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七天勇者の異世界英雄譚  作者: 黒鐘悠 
第二章 少年少女の戦場
55/112

探索依頼

お待たせしました!

え、待ってない?そんなこと言わないで、暇つぶしくらいに読んで頂けたら幸いです。

顎を伝って滴る汗をタオルで拭い、適当に身体を清潔にしてから着替え直した悠斗は、休むことなく部屋を出た。

つい先程まで訓練していた身体は程よく温まっていて、心なしか軽く感じる。

目的地は勇者とその仲間たちの一人である悠斗に与えられた工房。

いや、正確にはシャルル達と共同で使っている工房である。


「お疲れ様です。シャルルさん、居ますか?」


工房の中に入り、もう一人の師の名を呼ぶ。

悠斗には現在、多くの二人の師がいる。

一人はクレド。そしてもう一人がシャルルだ。


クレドからは無属性魔法と近接格闘術を学んでいる。

そして、シャルルからは元は属性魔法の方を学んでいたが、悠斗があるスキルを所得して以来、もう一つのことをシャルルと共に学んでいる。


さらに言えば、二人だけでなく、総合騎士団長のレイラや重装騎士団団長のアルフレイド、遊撃騎士団団長のリューナ等にも、空いた時間などで指導を受けている。

そして、悠斗が指導を受けている人間はもう一人いる。

それは────


「んん、ユウトじゃねぇか。シャルル様だったら、まだ来てねぇよ」


「あ、親方」


────そう、何を隠そう、リーデルで悠斗の愛剣である《竜双剣》を作った鍛冶師、親方である。

悠斗があるスキルを得た際、その能力を活かすには、有能な生産職系の技術スキルを持つ人間が必要だった。

その時に悠斗が強く推した人物こそが、親方であった。


「親方、そっちの方はどう?」


「んー、まだ掛かりそうだな。物質強化系の魔術式を組み込むまではいいんだが、オレはあくまでも鍛冶師だからまだ不安でな。単一系術式を並列で仕込むのは中々に難しいんだよ。

それこそ、素材そのものにスキルでもついてない限りな」


「うーん………あ、だったら付与魔法とかで加工前に素材にエンチャントすればある程度の工程はすっ飛ばせるかも」


「うーむ、その手があったか。試してみるとしよう。

ああ、後、頼まれてた剣は幾つか作っておいたぞ」


「数は?」


「十。六はメイン、二はサブ、残りは予備ってところだな」


「ちょうどいいよ。ありがとう」


「へっ、クライアントの要望に応えるのが仕事だからな」


後半を除き、あまり戦闘に関する言葉が少ない会話。凛紅達がいれば、首を傾げていただろう。

それもそのはず。今悠斗が話していたのは、武具に宿る効力やスキルの人工的調整、とどのつまり生産職の会話だ。


悠斗が新しく得たスキルの一つ、《創製術クラフト》。

《創製術》と、厳しい名前ではあるが、このスキルは無から物を創るスキルではなく、鍛冶術、錬金術、錬成等、生産系スキルを全て複合した、ある種の生産系スキルの極みだ。


「しっかし、お前さん、普通に戦闘員のはずなのに便利な生産スキルを持つなんてなぁ。いっその事、生産職に転職しないか?」


「それはそれで魅力的ではあるけど、まだしませんよ」


冗談交じりの親方の提案に、悠斗は少し考える素振りを見せて答えた。


「まだ、ってことはいつかはするのか?」


「どうですかね。まあ、せめて国に世話にならなくていいくらいまでのお金と地位を確立したら、生産職になるかも知れません」


「そりゃあ、お前さんならすぐじゃねぇか?」


「僕はそんな大層な人間じゃありませんよ。所詮は勇者と同郷の仲間ってだけです。

………取り敢えず錬金術の方にいるので、何かあったら教えて下さい」


ピシャリと、打ち切るように会話を止めた悠斗。

親方は薄々ではあるが気付いていた。彼が安全な生産職に就かない理由を。

しかし、親方が悠斗を止めることは無い。悠斗が抱えているそれは、彼自身の在り方だと、分かっているから。

だから親方は槌を振るう。悠斗に、己の最高傑作たる《竜双剣》に相応しい男になった少年の為に、せめて、より良い武具を提供するために。


☆☆☆☆☆


「やあやあユウト君、待たせたね。何か用かな?」


親方と話してから小一時間。シャルルが工房に来た。


「いえ、用って程のことでもないんですけど、新しいポーションをつくってみたので完成度を見てもらおうかと………」



「ポーション?この前言ってたヤツ?もう出来たのかい?」


悠斗は自分のデスクから試験管のようなモノを一本取り出し、シャルルに手渡した。


「これは………」


「超強化薬、です。具体的には服用後五分間の魔力増加、ステータス倍化、魔力自動回復、治癒力上昇、物理及び魔法耐性上昇、思考加速、情報処理能力の向上をもたらします。

ただし、効力が切れると脱力感に見舞われ、動けなくなります」


「文字通り切り札ジョーカー、だね」


五分切りの絶大な恩恵と、その代償。切るタイミングがネックではあるが、それさえ上手くやれば格上すら凌げる一手になる。


「うん、凄くよく出来ている。リスクは高いけど、使いようによっては比にならない位のリターンになる、良いアイテムだ」


多くの魔法を極め、錬金術や術式刻印すらも扱えるシャルルを持ってしても、浮かび得なかったポーション。

それを作れたのはひとえに、悠斗の意欲と《創製術》スキルの恩恵にほかならない。

それをよく分かっているシャルルは、素直に悠斗を賞賛した。


「これの早期実用化を目指そう。素材を教えてくれるかい?」


「えっと、いくつかグレートによって異なるのですが、一番低いものだと────」


説明を聞きつつもやはり感服せざるを得ない。

悠斗の作ったポーションの、段階毎の素材はどれも比較的安易に手に入るものばかりだ。

無論最上級の物となれば、入手困難な素材もあるが、それでも金を積めば入手可能なものだ。


クレドと殴り合いで渡り合えるだけの戦闘能力、状況に応じて剣士にも魔術師にもなる多彩なバトルスタイル、そしてスキルを活用した生産力。

多くの面で悠斗の存在価値は高い。ともすれば、勇者である白刃よりも。


悠斗はただの『勇者の友人』に納めるにはあまりにも有能すぎる。

そろそろ彼の立場を確立すべきではないか、と模索していたシャルルの思考は、魔導書からの通信によって打ち消された。


「………ああ、わかった。

ユウト君、悪いけど話は一旦終わりだ。レイラから話があるみたいだから、騎士団長室に集まってくれ」


「レイラさんが話、ですか?」


「うん。どうやら今後のことを決める大事な話らしいから、ちゃんと出席して欲しいってさ」


「分かりました。ではお先に」


そう言って、工房を後にした少年をシャルルは見つめていた。

これから起こるかもしれない波乱の予感をその胸に抱いて。


☆☆☆☆☆


「【修練の魔境】の探索、ですか」


集められて言われた内容を白刃は困惑したように繰り返した。

彼の視線の先には麗しの騎士団長、レイラの姿がある。


「はい。正確には探索ではなく、調査と言ったところですが」


どう違うのだろうか? という疑問は、口に出さずとも伝わったのだろう。レイラが詳細を説明する。


「最近、【修練の魔境】で異変が起こっています。

通常ではありえない難易度の魔物の出現。貴方達も覚えがあるのでは?」


「それは………」


確かに、あった。【修練の魔境】では強い敵といってもオーガロード程度のもの。白刃達なら簡単に倒せてしまう。

あくまでも白刃は安全マージンの取れているダンジョンに行くつもりだった。


そのはずなのに、出てきた強敵の数々。

後から調べて分かったことだが、タートルモックも、サイクロプスも、ハンター・マンティアスも、その全てが本来【修練の魔境】よりも上位のダンジョンで出現するはずのモンスターだった。


「確かに、本来出てくる魔物ではないものが出てきました」


白刃の返事にやはりといった顔で頷いたレイラは、状況を飲み込みきれていないでいる一行に、本題を切り出した。


「そこで今回、あなた方に修練の魔境の調査をお願いしたいのです」


「なんで俺たちなんですか?」


それもそうだ、とその場の誰もが思った。

その質問も想定内なのか、レイラはわかりやすく説明していく。


「あなた方は、今勇者とその一行としてグリセント王国に保護されています。

そして勇者という存在を一国家が保有してしまうと今後の四国連合の同盟関係に亀裂が生じる恐れがある。

それを回避するために、いずれあなた方は救いを求める人々の希望に、四国連合の象徴にならなければいけない。

しかし、魔王のような明確な脅威が存在しない今、希望の象徴であることを民達に示すのは難しい」


レイラが一旦間を取った。ここまでの話の内容が壮絶すぎて、理解の早い白刃と悠斗達以外は、事の情報処理がついていけていないようだ。


「つまるところ、あなた方に必要なのは実績なのです。

魔王がいなくとも、一般人にとっては脅威となる厄災。魔物郡勢モンスターパニックや龍種や巨人種等の大型種や幻想種の進撃を臆せず止めることが出来る、勇者としての功績があなた方には必要です。

その為にクレドとミリアにはギルドに交渉に行ってもらいました」


クレドとミリアの交渉に覚えがある悠斗は「ああ、あの時か」と合点がいった顔になっていた。


「元々は、高難度のクエストを受けてもらい、そこで実績と銀等級冒険者の資格を得てもらうつもりでしたが、今回のダンジョンの異変調査がタイミングよく被った、という訳です」


『………』


話を聞き終わり、考える少年少女。

ただ異世界からの来訪者という肩書きだけで、何もしなければ王宮から追い出されるのは目に見えていた。

それは特に勇者では無い悠斗や瑛士達にとっては死活問題であり、焦っていたのは事実だ。


「俺………俺は受けます!」


「っ、俺も!」


真っ先に声を上げたのは瑛士だった。

それに続くかたちで春樹も名乗りでる。


「………私も」


次は希理が。


『私達も受けます!』


摩耶が、綾音が。



「はぁ、しゃあねぇ。俺も受けるぜ」


「私も受けるわ」


「わ、わたしもです!」


大輝、凛紅、双葉が続く。

そして────


「僕も、受けます」


悠斗も名乗りを上げた。


『………』


答えを出せず口ごもっているのは白刃パーティーの面々だ。

グリセント国王との誓約上、依頼等の無理強いは出来ないことになっている。

元々極端に面倒くさがりな村山と蘭藤は当然、受けるつもりはなかった。

しかし、他のクラスメイト──白刃は別として──がこの依頼に乗り気であったことと、パーティーの、ひいてはクラスのリーダーたる白刃がこの依頼を請け負うのは明白であり、自分らがフケてしまえば、発言力が下がってしまうだろうと危惧しているからだ。


「麻弘、広吉、美鈴、沙耶香。オレはこの任務を受ける。

そして────できれば一緒に受けて貰いたい。

頼めるか?」


自分達のリーダーである白刃に『頼られた』という事実が嬉しかったのだろう。しばらく考えるような素振りを見せたあと、白刃パーティーの面々も受諾した。


彼らは気づいていないが、これは白刃なりのフォローだったりする。

白刃パーティーはリーダーたる白刃を含めて、強力なステータスを持っている。


それゆえ、ステータスでゴリ押ししてきた功績で自らを特別視し、横暴に振舞ってきた。

つまり、彼らは悪目立ちしすぎたのだ。


このままでは本当に王宮から追い出されかねないと思った白刃が咄嗟にとった救済措置。

はたして、その事に気がついたのは何人いただろう。

それくらい、見事なフォローだった。


「────話は纏まったようですね。準備の期間は三日。ポーション等の必需品はこちらで用意しますが、それとは別に欲しいものがあれば、王都に行くといいでしょう。

健闘を祈っています」


そう言って、レイラは話を切った。

そのまま解散、するはずだったのだが、何故か白刃と悠斗は残された。


「……桐生君はともかく、なんで僕ものこされたのですか?」


悠斗の疑問にレイラはしばらく目を伏せると、意を決したように追加の情報を提示した。


「二人に残ってもらったのは、二つの情報を与えるためです」


「二つの情報?」


「一つは魔物についてです。とある冒険者達の一行が命懸けで報告した情報では、第三階層にて黒いオーガ・・・・・が現れたとの事です」


「黒い………」


「オーガ………?」


はっと、その状態に覚えのある悠斗はレイラに飛びかからん勢いで質問した。


「まさかっ、黒化現象くろかげんしょうですか!?」


黒化現象。悠斗がミーシアを引き取る理由となった馬車の襲撃事件。その原因の一角狼達はこぞって皮膚が黒く変色しており、黒いオーラを身に纏っていた。


これと同様に、魔物達が黒いオーラを纏い、凶暴化するケースが多数報告されており、ギルドは未知の危険災害と認定、『黒化現象』と名付けた。


「その通りです。一行を引っ張る勇者様と黒化現象の当事者であるユウト君には話しておこうと思いまして、残ってもらいました」


「その、黒いオーガの情報を届けた冒険者達はどうなったんですか?」


白刃が恐る恐ると言った具合に尋ねる。


「………」


返答は無言。それは何よりも、彼等がもうこの世に存在していないことを雄弁に語った。


「もう一つの情報ですが、これもユウト君が大きく関わるものです」


「僕が、ですか?」


「はい。貴方は、修練の魔境でとある冒険者を介錯したと聞いています」


「っ………!」


予想外のタイミングで放たれた心の傷を抉る言葉に、悠斗は胸を痛めた。


「別にその件についてどうこう言うつもりはありません。

あなたに伝えたいのは、あの場で倒れていたパーティーを全滅に追いやった張本人のことです」


「!?」


「数ヶ月前から、冒険者を襲う謎の男の存在が確認されています。

その行動は固定化されており、出会ったパーティーに強襲を仕掛け、男性冒険者は一人は必ず残して抹殺。女性冒険者は動きや魔法を封じて………」


この先はあまり言いたくはないのだろう。

騎士団長と言っても一人の女性である彼女には、同性の人間がされた仕打ちを口に出すのは憚られるようだ。


「大丈夫です。その先は知っています」


気を使った悠斗がレイラに声を掛ける。

実際、彼らはその結果を見たし、そう何度も聞いて思い出しくはないことだからだ。


「……そうですか、助かります。

とにかく、その男はギルドで賞金首ブラックリストに指定されています。

ですが、彼は未だ生きている。数々の目撃情報からして、黒化現象に関係あるとも考えられます。

彼は最近は修練の魔境で多くの目撃情報があるので、注意してください」


『はい』


今度こそ、話は終わり退散となった。

騎士団長室から出た二人はやけに長く感じる廊下を無言で歩き続ける。

結局、一言も話さぬまま各々部屋の前で別れた。


「ふぅ」


どっかりと、自室のベットに座り込んだ悠斗は、今日の話の内容を整理する。


「……もしかしたら、また一 人を殺すことになるかもしれないな……」


手当たり次第に冒険者を襲う、狂気の男。

或いは自分の大切な人達にその魔の手が向けられないとは言いきれない。


そして、もしそうなった場合………


「二度と、奪わせるものかっ!

あんなのはもうゴメンだ!」


独り言と共に拳を握りしめ、決意を固める。

それは何処か自分に対する誓いのようでもあった。




────そうして時は過ぎ去り、いよいよその日を迎えた。



「よしみんな、準備は良いな!

さあ、行こう!!」


『おおっ!!!』


【光の勇者】白刃一行、計十四名は自らに課せられた使命をこなす為に、或いはいつの日かのリベンジの為に、【修練の魔境】へと再び足を踏み入れた。


☆☆☆☆☆


そんな白刃達を、眺めている存在がいた。

三人の女だ。その容姿はこの世のものとは思えないほど美しく、見た者を魅了するモノであった。


彼女達は俗に女神と呼ばれる存在だ。



蠱惑的な肢体を白い薄絹一枚で隠している紅の髪を持った勝気そうな女性。

身体の強さを司る女神、アンドレア。


紅色の美女には劣るものの、瑞々しい肉体を自らの髪と同じ水色の服で着飾る少女。

両立を司る女神、ベル。


そして、二人の女神に比べて慎ましい肉付きではあるが、そこに愛らしさと慈愛に満ちた包容力を感じる女性。

技を司る女神、セレスティア。


彼女ら三柱の女神は各々が与えた加護を持つ異世界人たる白刃達を、下界を見る水面を通して観察……もとい、見守っていた。


「はっ、下界じゃ随分と面白そうなことになってんじゃねえか。

あたしが加護を与えた奴らは無事生き残れるかね?」


「あら、珍しいわね。貴女が人の子の心配をするなんて」


次女ベルの嫌味ったらしい物言いに、からかっているだけだと分かりつつも、長女アンドレアは拗ねたように愚痴る。


「悪かったな、似合わなくて。

あたしだってこれでも女神なんでね。加護を与えた人間こどもたちの心配くらいするさ」


期待通りの顔を見れて満足したのか、ベルは意地の悪い顔で謝った。


「そんなに拗ねないの。私だってそれは同じだもの。

貴女もそうでしょ? ねぇ、セレス?」



後ろの方で姉妹の会話を聞いていた三女セレスティアは、いきなり指名されて、少しあたふたしていたが、すぐに落ち着きを取り戻して返答した。


「ええ、それは勿論。なにせ、彼らの中ではたった一人しかいない私が加護与えた人の子なのですから」


「ふふふ。セレスは素直でいい子ね。良かったわねアン?」


「ふん、だっ!」


「あらあら、まだ拗ねているの?長女なんだからしっかりしなさい」


「ぐぅ、分かったよ。もう拗ねないから、よしよしはやめてくれぇ」


妹に振り回される姉の姿にセレスティアはくすくすと笑ってしまう。


「最近、加護のことを勘違いしている奴ら多くねぇか?」


仕切り直すように、長女が告げた。


「まあ、確かに。それこそ、この異世界のこどもたちもそうね」


「……久しぶりに天啓を与えてみるべきでしょうか?」


彼女らの心配。それは下界の人間達の『加護』に対する勘違いである。

本来、加護は人の子が生まれた時に彼女ら三柱の女神のいずれかがその寵愛を与えることでなされるものだ。

加護の横にあるアルファベットの識別は、決して加護の強さを示すものではない。

そのアルファベットは彼女ら三柱の女神の頭文字をそれぞれの特性に合わせて表記したためのものだ。


例えば加護:アンドレアの場合、彼女が身体を司る女神であるため、その強みは身体能力の高さと言える。


順序を変えるが、加護:セレスティアの場合、彼女が技を司る女神なので、身体能力ではなく、数多くのスキルを会得出来ることが強みになる。


そして加護:ベルの場合、彼女が両立を司る女神なので、安定した身体能力とそれなりの数のスキルを得ることが出来るのが強みとなる。


しかし、身体能力至上主義の現社会において、加護:Aが優遇され、加護:Cは落ちこぼれ扱いされてしまうのが今の現状だ。

それが長く続き、次第に下界の人々は加護のアルファベットを強さの階級分けと勘違いするようになってしまった。


「でも今更根付いてしまった価値観をぬぐい去ることは難しいわ。

異世界のこどもたちあのこたちが人々の意識を改変してくれるのを待ちましょう」


「ああ、そうだな」


「そう、した方が良さそうですね」


その議題は呆気なく終わった。元々神々にとっては些細なことでもあったからだ。

しかし、セレスティアはこの後、自らが加護を与えた少年のことが心配だった。


どうにも出来ないことに焦りと不安を感じつつも、彼女はただひたすらに、悠斗のことを考えるしか出来ずにいたのだった。



☆☆☆☆☆

解説

《創製術》:物を作る魔法、『再製リクリエイト』を使い続けた結果、悠斗が得たスキル。これの場合はゼロから物を作るのではなく、ものづくりに関する全てのスキルを会得するという、破格のスキルである。


今回、加護について触れました。何故悠斗だけが多くのスキルを得られるのか、その理由が今回の話の後半の会話となります。

説明が分かりにくいなー、と思った方の為に、もう一度補足すると、


加護:A=高いステータスは持つけど、得られるスキルは少ない。


加護:B=加護:C以上加護:A未満のステータスと、加護:A以上加護:C未満のスキルを保有出来る。


加護:C=ステータスは低いけど、数多くのスキルを所得出来る。


見たいな感じです!


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