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七天勇者の異世界英雄譚  作者: 黒鐘悠 
第二章 少年少女の戦場
48/112

王都巡り ①

一応の日常編です。遅くなりましまし、短いですが、楽しんで頂けたら幸いです。

「王都の巡回、ですか?」



「はい。正確には、巡回を兼ねて王都を見て来て欲しいのです」



レイラとの戦闘訓練から何日か経ち、騎士団の執務室に呼び出された悠斗と大輝、凛紅、双葉、ミーシアは、レイラから指令を出されていた。




「とは言っても、誓約ギアスがあるので強制とは言いませんが」



悠斗達からすると、王都を一度よく見ておきたい気持ちは当然あったので、断わる理由はない。



その旨をレイラに伝えると彼女は安心した顔で、概要の説明を始めた。



「この巡回は二つのグループに分けて行います。ユウトとダイキにはクレドが、リンク、フタバ、ミーシア達にはミリアがつきます」



悠斗と大輝はこともなさげに聞いていたが、女性陣は軽くムスッとしていた。



「クレドたちは南地区と西地区に、ミリアたちは北地区と東地区に行ってもらいましょう。集合は昼頃、中央区の冒険者ギルドにしてください」




『はいっ』


揃った返事が響いた。


☆☆☆☆☆



「………とは言うけど、南地区と西地区には何があるんだろう?」



「うーん、わかんねぇなあ。行って確認するしかねぇだろ」



「ん? 南地区と西地区についてしりたいのか?」




「クレドさんはその辺詳しいんですか?」



悠斗の疑問にクレドは少し得意そうな顔で答える。



「おうとも。あの辺は俺の庭みたいなもんさ」



「へー、意外ですね」



「ま、あの辺が俺の生まれだからな」



「そうなんですか」



あまり触れることがなかったクレドの話に、悠斗は興味深そうな顔をした。



「南地区と北地区はそれぞれ商業エリアなんだが、その中でも俺たちの行く南地区は武器とか防具を主に扱っている。逆に北地区には衣服や雑貨が多いから、レイラは男女で分けたんだろうな」



「ふーん、そんなかんじなのか」




大輝の言葉を聞いたクレドは、言い聞かせるように語る。



「それだけじゃねえ。一般的には西地区、東地区は工業などの生産系エリアと呼ばれているが、実際は全部がそうというわけではない。食べ物の露店が多く並んであって、しかも工業系のヤツらが作った展示物があったりしてなかなか面白い」



「それは楽しみですね」



「だろ?ま、パトロールつってもあくまで建前で、メインは街の案内だ。精々楽しみな」



「はいっ」




その後、五分程度で準備を済ませて城の出口に集合。悠斗達は南地区へと向かった。




「それにしても、随分活気づいていますね」



「なんたって王都だからな。このくらいなきゃ名が廃るってもんだ」




悠斗の言う通り、流石王都だけあって、南地区は活気づいていた。武器屋で武具を物色している者や、オーダーメイドを頼むもの。近くの酒屋では、酔った男達が賭け事をしていた。



「うーむ、結構良いモン揃ってんな」



「最初にも話したがここは主に武具を作ったり売ったりする地区だ。生産エリアは量産とかをするところだけど、腕の良い鍛冶師や錬金術師とかはこの辺に店を構えたりしてたりするぞ」



リーデルでは見ることができないであろう圧倒的な店の数々に、目を白黒させていると、悠斗はある店に興味を示す。



「クレドさん、あの店………」



「ん?ああ、あの店は色んな物を売ってる店だな。例えば魔導具や魔法武器、あとはダンジョンの掘り出し物とかな。行ってみるか?」



「はい、ぜひ!」



「おお、お前がここまで興味を示すとはな。大輝もここによっていいか?」



「構わないっすよ」


大輝の了承を受け取ると、悠斗は駆け足で件の店に入っていく。クレドと大輝は、苦笑しながら後を追いかけた。






店に入った悠斗の目に真っ先に入ってきたのは売り物とは全く違う雰囲気を纏った武具の数々だった。



「おおー。すごいなー、これ」



悠斗は思わず、壁に掛けてある武器たちを鑑定した。



☆☆☆☆☆

【断裂の戦斧】ランクB

《|ATK(攻撃力)+》・《武器破壊(中)》・《断裂》



【水天の槍】ランクB-

《ATK+》・《魔力+》・《水属性魔法(中)》・《水操作》



【魔剣オーグ】ランクB-

《ATK+》・《魔力増幅(大)》・《魔法吸収(中)》・《殲滅剣》



【アルジウムシールド】ランクC

《|DEF(防御力)+》・《ジャストガード》



《ATK+》:攻撃力を上げる


《DEF+》:防御力を上げる


《魔力+》:魔力を上げる


《武器破壊》:確率で敵の武器を破壊する。


《断裂》:大地を割るほどの強力な攻撃。


《水属性魔法(中)》:水属性魔法がLv3まで使える。


《水操作》:触れた水を魔力で操作出来る。


《魔力増幅》:魔力流し込むことで、所有者の魔力を増幅させる。


《魔法吸収》:魔法を吸収する。


《殲滅剣》:大群をも殲滅出来る強化な攻撃。


《ジャストガード》:タイミング良く攻撃を防ぐと、ダメージを無効にしてくれる。



☆☆☆☆☆



「おおー」



なんというか、武器チートばかりな気がする。何、《殲滅剣》って。怖っ。


「お、いいもん揃ってんなー。これなんかランクは低いけど魔剣じゃん」



クレドが店の中を見て呟く。確かに、そこらのものより、品揃えは良い。



魔剣と言うのは世界各地に存在する強力な剣のことだ。或いは宝具とも呼ばれる。


似たようなものに魔槍、魔斧、魔弓などがある。これらは、魔が込められたの武器と魔法の力が込められた武器の二つの意味合いがあり、どちらの方であるかは一概には決められず、使い手次第と言うことになる。対極の武器に聖剣、聖槍、聖斧、聖弓などがあり、魔剣にしろ、聖剣にしろ、扱うには相応の実力が必要で、しかも力を十全に引き出すには、《聖剣士》や《魔剣士》のスキルが必要である。



まあ、そんなこんなでじゃじゃ馬アイテムまであるこの店だが、悠斗の目的は何も武器ではなかった。



「ん、悠斗、何探してんだ?」



少し広い店をキョロキョロしながら何かを探している悠斗に、大輝が訝しみながら声をかける。



「んんー、えっとねー………あった!」



悠斗の視線の先には、ショーケースの中に丁寧にしまわれたいくつもの巻物が。



「うん?ユウトはスクロールが欲しかったのか?」



悠斗が最も興味を示しているのは、巻物スクロール────それも、スキルを会得するためのものだ。



「スキル会得系のスクロールか。にしても、そんなの買うやつなんてそういないんだがな」



スキル会得系のスクロールはそれを読むことによってスキルを習得することが可能である。ただし、使用者にそのスキルの適性がなければ習得はできない。よってスキル会得系のスクロールを購入する人間はそう多くないのだ。



「いやー、僕は体質上、多くのスキルを習得することが出来るみたいなんですよ」



実際、悠斗の言う通りだった。悠斗はこれまで多くのスキルをスクロールによって会得してきた。



「初めてスクロールで会得したのは、《感知》っていうスキルです。使い勝手が良くて重宝しています」



その言葉に、クレドは戦慄表情を悠斗に向ける。



「おいおい、マジかよ。《感知》って言ったら索敵系スキルの最高峰じゃねえか」



そう、悠斗の持つ《感知》のスキルは索敵系の中で最高級のものだ。

《感知》は一定の範囲内を全て把握出来る能力を持つ。つまり、効果の範囲内にいる生物反応、体温、敵性反応、地形、接近反応etc………、ありとあらゆる反応を感知する。

その効果は何も索敵だけには及ばす、トラップの反応や、《鑑定》スキルまで含む。



「一応合わないのもあるんですけど、合うのが多いので、《感知》で適生を確認してから買うようにしています」



「はー、そりゃ羨ましいな。他人よりも多くのスキルが覚えられるなんて、かなり有利じゃねぇか」



大輝が感心したように悠斗に対して話すが、当の本人はそれを軽く否定する。



「いや、そうでも無いよ。スキルを持っているのと使いこなせるのとは似て非なるものだよ。一の技を極めた者に対して十の技を覚えただけで勝てるものではないのと同じさ」



「ほお、よく分かってるじゃないか。だがまあ、悠斗は比較的多くのスキルを保持しているけど、きちんと使いこなせてると思うぞ、俺は」



クレドの褒め言葉に嬉しくも恥ずかしい様子で、悠斗は「ありがとうございます」と返した。



「うーむ、わからんっ」


大輝には少し難しかったのか眉間に皺を寄せて悩んでいる。



「だが、お前はもう十分な程に多くのスキルを見に宿しているじゃないか。これ以上何のスキルが欲しいんだ?」



「そうですね………特に何を覚えようとかは決めて無いんですけど、《感知》みたいな常時発動パッシブ系よりも、任意発動アクティブ系のものが欲しいですね」



「ふーん。ちゃんと考えてはいるんだな」



「あなたは僕のことをなんだとおもっているんですか」



ジト目で見つめ悠斗に、クレドは軽快に笑う。



「ははっ、そう怒るな。お前が結構頭のキレる方なのは知ってるよ。だがまあ、スキルに限らず何の考えもなしに際限なく力を求める人間は最後には必ず破綻する。お前がそういうタイプじゃなくてよかったよ」



そう語るクレドの目は、どこか遠くを見ている………ような気がした。



「まあ、そんなことはどうだっていいか。ユウト、お前が欲しいものはあったか?」



「はい、結構いいのがありました」


「そうか。なら良かった。んじゃ、早く会計済ませてここを出よう。約束の時間に間に合わなくなるからな」



「あ、ごめん大輝、クレドさん。僕のことで時間を取らせちゃって………」



「なに、気にするなよ。俺はこれと言って行きたい所や欲しい物はなかったからな。楽しかったぜ」



「また案内はしてやるから、気にするな」



その後、悠斗は会計を済ませて、ホクホク顔で店を後にした。



「んじゃ、中央地区に向かって出発だ」



『おー!』



悠斗と大輝は、年相応の笑顔を浮かべていたと言う。


いやぁ、日常編というのは難しいですね。個人的にはシリアスを書いてた方が楽ですよ(笑)。


次回予告

次は女性陣の回になりますが、今回以上に短いかもなのでご了承下さい。


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