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七天勇者の異世界英雄譚  作者: 黒鐘悠 
第一章 Welcome To Anotherworld
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対サイクロプス  決着

ただなんとなく書きたくなって書きました。短いですが、楽しんで頂けたら幸いです。

 光の刃と雷の刀剣シャムシール、二つの絶大な攻撃がサイクロプスに直撃した瞬間、閃光が爆ぜた。眩い光が全ての生物の目を灼き、まぶたを閉ざす事を強制する。


 Lv8の魔法と勇者渾身の魔法技アーツから生まれた輝きは、閃光と同時に起こった轟音と爆風が消えるのと時を同じくして、消え去った。


「……………」



 誰もが押し黙る。流石にこの状況で「やったかっ!?」等とフラグを建築する者はいないようだ。


「…………おい、誰か風魔法使えよ」


 お約束である煙のもくもくがいつまで経っても消えない事に苛立った蘭藤広吉らんどうひろきが風魔法で煙を飛ばせと命令する。勇者である白刃のパーティーメンバーであることで自分は偉くなったと思っているのかいやに強気だ。


「風よ吹け、砲弾の様に、吹き荒れろ『エアロシェル』」


 煙の向こうが見たいのは同じなようで、特に文句も無く風魔法が得意な山本春樹やまもとはるきが魔法を行使する。風の砲弾は煙の所まで行くと器用に爆散、余波で煙を吹き飛ばした。


「見えるぞ………」


 晴れた煙の向こうにいたのは、長剣を振り抜いたままの姿勢で硬直している白刃と、片膝をついて荒い息を吐いている悠斗だった。


 白刃がノロノロと残心を解き、クラスメイトの方を振り返り、剣を上げて高らかに叫ぶ。


「勝ったぞーーーーーー!!!!」



「「「「「「「おおおおおおおおっっっっっしゃああああああ!!!!!!」」」」」」」



 クラスメイトも白刃に続く大声を上げて喜んだ。無理も無いだろう。二度目の命の危機を乗り切ったのだ。嬉しく無いわけが無い。


 そんなクラスの歓喜にも混ざらず、当然の様に悠斗の元に駆け出す影が四つ。言わずもがな、凛紅達だ。



「「悠斗!」」


「「悠斗さん(さま)!」」


 大切な仲間の声に、苦しそうにしながらも悠斗が浮かべた笑みは、まざんらでもない様子だった。






 ☆☆☆☆☆☆




 ────悠斗達がサイクロプスに勝利し、余韻に浸っているのと同刻。中立都市リーデルの冒険者ギルドには客人が来ていた。



「………それで、なんの御用ですかな、レイラ・シグルス騎士団長殿」


 そう、ギルドにやって来た客人とはグリセント王国総合騎士団長、レイラ・シグルスだ。背中まで達している長い髪は美しい金髪。凛とした顔立ちは宝塚女優のようで、凛紅とはまた違うベクトルの美しさを誇っている。


「レイラで構いません。私が来たのは、ある冒険者の事を聞きに来ました」


「………国はギルドに干渉しない約束では?」



 ギルドマスターの言う通り、ギルドは一つの独立機関であり、常に中立。各国からの干渉を受けない代わりに、有事(高ランク魔物の出現等)の際にはギルドから冒険者を派遣する約束になっている。それを破るつもりか?と暗に問いかけるギルドマスター。



「これは我が国の独断ではありません。四国連合の総意です」


「…………その話、詳しくお聞かせ願えますか?」


 連合の総意。その言葉に食いついたギルドマスター。四国連合とは、グリセント王国、リーベルヒ王国、リンガルム公国、そしてマークウェル帝国の四大超大国と、周辺諸国によって結成された平和連合だ。流石に、連合の頼みを切って捨てる事が出来ずに、ギルドマスターは耳を傾ける。


「このギルドに、ほんの数ヶ月前に冒険者登録をして、普通ではあり得ない速度で急激に功績を残している冒険者かパーティーはいませんか?」


 この質問に、ギルドマスターはギクリとする。実際にいるからだ。それも一パーティーと一人。


「それがどうしましたか?」


 質問には答えずに話を続けるよう促す。


「ギルドマスター殿はこんな噂をご存知ですか?曰く、マークウェル帝国が最近勇者召喚を行った。というものです」


 ギルドマスターは困惑する。そんな噂がどう関係するのか。勇者召喚の話など、急成長をとげる冒険者になんの関係があるのだろうか、と。


「一体、その噂がどう関係する………と言う…………っ!!??」



 刹那、ギルドマスターの脳裏に一つの可能性がスパークとなって弾けた。


「ま、まさか………」


「そう、そのまさかではないかと考えています。それで、その者は何処に?」


「…………今は、ダンジョン”修練の魔境”に籠っております」


 ばつが悪そうに答えたギルドマスター。レイラは考え込む様に唸ると、直ぐに結論をだした。



「ならば、私は一度王都に戻ります。連絡用の魔道具を渡しておくので、その人物のステータスを確認、報告をしてほしいのです。頼めますか?」



「…………」


 ギルドマスターは黙って魔道具を受け取る。



「沈黙は肯定と捉えてもいいみたいですね。分かってると思いますが、この事は特急機密案件です。くれぐれも、慎重に」



 そう言うと、レイラはギルドの応接室を出ていった。



「………勇者召喚、か」


 ギルドのはポツリと呟くと、自分も仕事をすべく、部屋を後にした。

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