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七天勇者の異世界英雄譚  作者: 黒鐘悠 
第一章 Welcome To Anotherworld
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ギルドと親方

短いです。でも頑張ったので読んで下さい。

凛紅とのやり取りから一夜明け、悠斗は”中立都市リーデル”の図書館に来ていた。

理由は情報収集の為である。

異世界で生きる。その事に憧れていた悠斗にはそれがどれ程難しいか理解していた。

様々な異世界転移物のマンガやライトノベルのパターンとしては今のこの状況は良いとは言えない。例えば国王的な人や王女的な人が異世界の勇者を求めて召喚、なんてパターンなら良いのだが、今の自分達の状況はいきなり異世界に投げ出され放置である。とても良いとは言えない。


故に悠斗は少しでも多くの情報を求めて図書館に来ていた。字の読み書きについては魔導書に《自動翻訳》や《言語理解》といった”スキル”が付いているので問題ない。


この図書館に来て二時間程でかなり分かった事がある。

まず、この世界には二つの大陸があること。さらには国も複数存在し、絶対的中立を守る組織、”ギルド”が存在している事が分かった。

ギルドにも種類があり、冒険者ギルド、傭兵ギルド、魔法使いギルドといった様々なギルドがあり、それぞれが中立の立場の下個人から国まで様々な依頼、仕事を斡旋している。これを考えると暫くは仕事先がありそうだと悠斗は思う。


そして重要な事だが白刃はくばの称号、【光の勇者】について。それについてはまだ何も分かっていない。人族は普通に健在だし、魔物達も普通である。

過去に勇者が現れ、魔王を倒し世界を救ったと言う伝説があるがそれに書籍には勇者は一人と書いてあり、自分達は複数人のため関係があるかどうか微妙である。

とにかく一体自分達の身に何が起きているか分からない以上、死ぬ気で生き残るしかない。そうでなければ待つのは”死”だ。

絶対に生き延びて見せる。死んでたまるか。

決意を新たに、悠斗は見慣れぬ街を下っていく。


☆☆☆☆


「クッソ!どうなっている!」


ドン!と音を鳴らし玉座を叩くのは”中立都市リーデル”の近くにある国、”マークウェル帝国”の皇帝ゲスニア・マークウェル。

逆立った金髪に丸々肥え太った体はまるでオークの様だ。彼は名前の通りかなり下卑い性格をしている。ゲスニアが苛立っている理由もこれまた最悪の理由だ。

数百年前は魔王が活発でとても平和な世界とは言えなかった。故に各国は同盟を組み力を合わせて神によって産み出された伝説の大魔法、『英雄召喚』を使い勇者達・・・を召喚した。彼らは世界を救う為に戦い抜いて魔王の討伐に成功し、ついに世界は平和を取り戻した。


それでも魔物の被害は続いた為、人々は国の騎士団だけでなく絶対的中立の”ギルド”を立ち上げた。それを期に永遠の平和の為、同盟を続ける事になった。しかし独占欲の強い”マークウェル帝国”は世界を自分達の物にしようと考え、普通は出来ないが生け贄を捧げる事で『英雄召喚』を実行し勇者を呼び出した。つまるところ勇者を戦争の道具にしようとしていた。



しかし、生け贄を捧げても魔力が足りず不安定だった為、勇者は一人しか召べず、しかも勇者以外にも複数人の異世界人が召喚された。その上召喚した所ではなく全く別の所に召喚されたのである。


「くそぉ。何としてでも探し出せ!近隣の国や都市にも探りを入れろ。いいか、けして他国に悟られるな。さあ行け!」


ゲスニアが周りの配下に命令すると皆騒がしく動く。それを見たゲスニアは名前にふさわしい悪者めいた笑みを浮かべていた。


☆☆☆☆


少し離れた所で一国の王が悪いことを考えているころ、悠斗は宿屋に戻り双葉、大輝、凛紅、白刃に図書館で集めた情報を説明した。最初は戸惑っていたが全員納得していた。皆への説明を白刃に任せて今後の為に大輝と冒険者ギルドに登録することにしたら双葉や凛紅まで来ることになった。悠斗が心配すると双葉は、


「少しでも皆さんのお役に立ちたいので私も行きます」


と思ったより強い覚悟を見せた。凛紅の方は「悠斗達が戦うのに私がいなくてどうするのよ」と言い、こちらも覚悟を見せた。ただし、「何かあっても悠斗が守ってくれるって言ってたし…」という爆弾付きで。悠斗以外には聞こえていたらしく大輝と双葉が物凄いジト目で悠斗を見ていた。


「なんか悠斗が恐ろしく感じてきた…」 


「凛紅ちゃんいいなぁ。私も悠斗さんにそんな事言われてみたいなぁ…」


「・・・・・・・・・・・え?」


その日、大輝はとても遠い目をしていた。


☆☆☆☆


宿屋から歩いて10分程。町の真ん中辺りに他とは雰囲気の違う一際大きな建物がある。壁に打ち付けられている看板にはこう書かれていた。”冒険者ギルドリーデル支部”と。


「ここか…」


「ここだな」


「ここね」


「ここですね…」


ファンタジー大好きな悠斗、大輝、凛紅は勿論、ゲームでそれなりの知識がある双葉までなにかしみじみきたようにしてる。意を決して中に入ると、そこには期待を裏切らない光景が待っていた。


入って正面すぐには受付と思われるカウンターがあり、右手側には酒場が、左手側には沢山の紙が貼ってあるボードや階段があった。そして中にいるのは盾と剣を持った軽剣士や分厚い鎧を着こんだ重戦士と思われる人間や弓を携えたエルフに大槌を担いだドワーフなど、theファンタジーな光景に悠斗達は感激していた。


「こんにちは。ようこそ、冒険者ギルドリーデル支部へ。ギルドへのご利用は初めてですか?」


カウンターに行くとなかなか可愛い受付嬢がナイス営業スマイルでお出迎え。つい悠斗と大輝の鼻の下が伸びそうになるが凛紅と双葉のダブルアタックが悠斗を襲い、その恐怖で大輝も鼻の下を戻す。


「はい。ごほっ、冒険者登録をしたいのですがよろしいですか?」


「はい、そうなりますとまずテストを受けて、それから10000エルを出して頂いて登録となります。」


「テスト…ですか?」


「はい、この職業は冷やかしや生半端な覚悟では生き延びることは出来ません。だからまず皆さんの実力を見せて貰いたいのです。それでもやるのならばこちらへどうぞ、やらないのであればお引き取り下さい。」


受付嬢の顔が真面目なかおに顔になる。それに対する悠斗達の答えは…


「やります。皆、行こう。」


「「「おう(ええ)(はい)」」」


「では案内します。ついてきて下さい♪」


☆☆☆☆


案内されたのは闘技場のような所だった。四角い部屋でかなり広い。そんな部屋がいくつもあった。


「では、内容の説明です。皆さんにはギルドが用意した魔術人形と戦って貰います。人形と言っても攻撃したりするので油断しない様お願いします。倒せば合格です。誰から行きますか?」


「私が行くわ。」


そう言ったのは凛紅だった。対する魔術人形はロングソードと盾を持った人形。凛紅は自身の刀を抜き構える。


「では、初め!」


開始の合図。その瞬間、凛紅の姿が消えた。元々の身体能力と異世界転移ボーナスとその他もろが合わさった結果最早チートに近いレベルである。


「はああぁぁ!」


気合い一閃。凛紅が気合いを込めて放った一撃は魔術人形を一刀両断していた。


「うそん。」


全員がそんな感想を抱く。しかしそれだけでは終わらない。大輝は大輝で持ち前の馬鹿力で相手の体を剣と盾ごと切り払い、双葉はこれまたアホみたいに高い魔力で光属性魔法Lv1<ライトスピア>を放ち魔術人形に穴を空けていた。もう受付嬢が凄いことになってます。


そしていよいよ悠斗の番。自然と悠斗にも注目がいく。しかし悠斗には彼らの様なチートはない。だから…


「初め!」


「<限界加速>!」


開始の合図と同時に、二本の刃渡り60cmほどのショートソードを携えていた悠斗は自身の”スキル”<限界加速>をしようし、先ほどの凛紅の様な速度で移動する。そして---


「<六連双牙りくれんそうが>!」


双剣術<六連双牙>は双剣術<双牙>の上位スキルアクション。<双牙>は二連撃だが<六連双牙>は六連撃。一撃目と二撃目は盾を弾き、三撃目で剣を弾く。そして二発同時に行われる四撃目と五撃目で人形に×型の傷を付け、最後の六撃目で×の真ん中に上段からの一撃を見舞い止めをさす。


「ぜ、全員合格です…」


流石の受付嬢も唖然としていた。悠斗は大輝達と違い、一撃で倒せていないので落ち込んでいた。


☆☆☆☆


「こちらがギルドカードとなります。再発行する場合は30000エル払って頂くので無くさない様お願いします。後は魔力を流して登録完了です。これで貴方も冒険者。頑張って下さい。」


ギルドカードを受け取り、ギルドを出た悠斗達は武器屋に向かっていた。


「ねえ悠斗、さっきギルドで何していたの?」


「ん、ああ。いらない素材の売却だよ。出来れば新しい武器が欲しいからね。お金はあるに越したことはないよ」


そうしてしばらく歩くと武器屋通りにでる。沢山の武器屋が立ち並ぶこの通りで悠斗は端の方にひっそりと立つ鍛冶屋を見た。そこには如何にも頑固そうなオヤジが一人。これまたテンプレ中のテンプレ。しかし悠斗が気になったのはそれだけが理由ではない。その店に悠斗は魅力を、引き込まれる様な感覚がしたからだ。


「すいません、このドラゴンの素材でショートソードを二本、作れませんか?」


「ほお、ガキの癖にドラゴンか。」


「僕はガキじゃありません。悠斗です。」


「くっはっは!おもしれえ、良いぜユウト。俺のことは親方と呼びな。剣の方だが金貨五枚。500000エル必要だ。持ってるか?」


「はい、今払います。親方、いつ出来ますか?」


「そうだな3日待ってくれ。いい剣、作ってやるよ。」


「ありがとうございます!」


こうして、悠斗は初めて新しい武器を購入する。その後、皆も武器を買い悠斗に合わせ3日間訓練し続けた。そして約束の3日後。


「お、来たかユウト。出来てるぞ。」


悠斗が受け取った剣は柄から鍔までがドラゴンの鱗と同じ緑色での片刃のショートソードだった。


「そいつの刃は鉄とドラゴンの牙、爪を合成したもんだから堅ぇし頑丈だ。魔力を通せばギミックもでるし、スキルが付いてる。ソイツは良い剣だぜ。」


「ありがとう、親方」


「しっかり励んでその剣が似合う男になりな。…生きろよ。」


「ああ、ありがとう。また来ます。」


剣の銘は<竜双剣>。悠斗は新たな相棒を手に入れた。しかしまだ誰も気付いていない。この世界が如何に残酷であるかを。

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