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大帝国に生きる~俗物皇子と帝国の娘達~

 僕の隠していたことが父上に一つ露見してしまい、

父上も僕に隠していたことを露見したあの日から時がいくらか過ぎた。


「ぐぇ…」

「ふむ…やはり固有能力以外は塵芥以下か」


 あれから父上は時間があれば僕を鍛えようとしてくるってか鍛えさせられる。

そうなる度にユージーンとヴァルジオは逃げ出しやがる。お前等絶対に許さない。

っていうか体が動かないお父上、六歳児にさせる訓練じゃないお。

っていうかこれ訓練じゃなくて本組手ってヤツじゃねーかお?


「今一度余の最手加減した連続攻撃レフレナンテムを耐えぬけローレンシェームス」

「ちちうえぇ…これ以上は僕ぁ…僕ぁ死んでしまいます…」

「……………これが終わればまたお前を良き所に連れて行ってやると言ってもか」


 また東西南北バール三昧かよ親父ぃ…! どこが良い所だってんだよ父上ェ…!


「おゆるしくだしあ…ちちうえぇ…」

「……仕方あるまい。今日はこれにて終わりだ。常に鍛錬を怠るな、

余はお前に失望したくは無いのだ」


 とか言ってるけど、要約すると「オメーを連れてかねーと

上手にハジけられねーんだからどーにかして強くなれよバカヤロー」である。


「次は翌日の正午だ。精々体を休めるが良い」

「……………………………………………………………………たしゅかった」


 何か今僕マジで六歳児童っぽくなったな。ってかクソやべーんだよ。

何が最手加減だよ親父ぃ…! 非力な僕の力でも鉄鋼獣をバターみたいに

焼き切り殺せるインシネレーターの一太刀を「温い」とか言って

指一本で受け止めちゃうって何なの?! マジバケモノすぎるわ!


「いつになく父上はご機嫌であらせられたな。我の時はあそこまで極限に

殺気を薄めたことなど一度たりとも無かったというに」

「手前相手の時は殺気が薄まったことすら無かったが?」

「それだけ彼方そなたは父上に認められておるのだろう」

「ふ…けいは面白いことを言う…手前とて彼様かように可愛がってもらいたいがね」

「ははは…」

「ふふふ…」


 僕が真面目に疲れて死に掛けてる傍で父上に匹敵する

殺気ガンのくれ合い飛ばし合いするのやめて貰えませんかね1、2の兄上様。


「おにぃたま…らいじょうぶ…?」

「らいじょうぶじゃn…よ」


 駄目だ、カロルには挫けぬ姿を見せて好感度ポイントを維持せねば…!


「……最近のローレン…凄いな」

「普段カスいとか言ってごめんなローレン」

「ハハハ良いんだカスいのは事実だから(でも逃げたことは絶対許さない)」


 だがヴァルジオにユージーン、テメーらは駄目だ。絶対仕返ししてやる。

まずはお前らの好きなお菓子を全部食ってやる…!


「しかしまぁ、ローレンの継承権上昇は少々面白くないかもしれんか」

「あの固有能力は中々に驚異的だが、抜かせねば良いだけだろう?」

「抜かれてしまえば完全勝利は難しくなってしまうぞ兄よ」


 色々と物騒で面倒くさそうな話題を臆面もなく話すのやめてくれませんかね。


「がんばったねぇローレンくん」

「ん。父上相手に泣き喚かない逃げ出さないのはカリオストにーさまより上だけ。

あとはみんなダメダメ」

「メルルよくわかんない…」

「ローにいたん。イタイイタイないの?」


 あの本組手の様を見てもあまり動じていない僕の異母妹たちって何なのかな。

やはりどこの世界でも女という生き物は男よりも色々と成長が早いからなのか?


「っていうか…1、2の兄上様らは兎も角、何でパール達が此処に…?」

「え? だって闘うお父様ってカッコいいでしょぉ?」

「ん。カリオストにーさまもカッコいいけど、やっぱりおとーさまが一番」

「メルルはフェルセフトおにーちゃまがすきだから!」

「キアラはエールにーにがすきー!」


 今此処にいるカロル以外の異母妹は上からパール、マリン、メルルーシア、

キアラの四人である。同い年がパールだけなので、幼女100%である。

なんだこの面子超ド級のロリコンしか得してねぇぞ。

せめてカリーヌお姉さまを連れてきてくれよマジで(切実)


「おにぃたまの痛いの痛いの飛んでけー☆」

「……凄いな。最近のカロルには驚かされてばかりだね」


 何度か父上にボコボコにされているうちに、最初はギャン泣きだったカロルだが

今はもう父上に無用な恐れを抱くことも無くなった。それどころかまだ

三歳に満たないのに回復魔術を詠唱破棄で使えるようになっていた。

果たして血筋なのか彼女の才覚なのか、その辺りは定かではない。

しかし…何にせよ優秀な妹がいるとこうも素晴らしいとは思わなかった。

そういえば僕…前世に妹がいたような…いなかったような…まぁいいか。


「おにぃたまー…カロルすごいー?」

「うん。カロルは良い子だよ」

「にへー☆」


 でもその穢れを知らない眩しい目で僕を見ないでほしい。

その目で見られると自分がクズの部類だと自覚してしまうから。


> > >


 父上との絡みが増えてから、最近の僕はどういうわけか異母姉妹らと

関わる回数が増えてきた。まぁカリーヌお姉さまとの絡みが増えるのは

色々な意味で素晴らしいのですよ。特に年を負えば負うほどグヒヒサーセン。


「………」


「どうしたのよロール? お茶が冷めてしまうのよ」

「スフィ…表情を動かしなさい。あなたは何時も無表情なのだから」

「むむむむぅ……?」

「やっぱりユフィもそうなのね? 私だけがおかしいわけじゃないのね?」


 だからといって上位のハーフエルフ四姉妹皇女といきなりティータイムは

僕にとって針のムシロでございます。だって四女のユーフェニア姉上様でさえ

既に70超えt…うおっ寒い!?


「な、何か…?!」

「ロー坊や…貴方今わらわの癪に障ること考えてなかった?」

「滅相も御座いませぬ…!」

「あなた…本当に半猿人の六歳なの?」

「はい! 僕、六歳と8ヶ月です!」

「それはもう良いのよ。それよりどうしてあーしの入れたお茶を飲まないのよ?」

「スフィニア…あなたはもう少し表情を作りなさいと何度言えばいいのかしら…」


 最初に話してた順番にいくと、第二皇女スフィニア、第一皇女リリエン、

第四皇女ユーフェニア、第三皇女アルジュナの四姉上様である。

僕が彼女らに気安く接することができないのには単に年の差だけじゃない。

リリエン、スフィニアは大帝国の闇も掌握してると噂の悪名も高い

ヴェルキンゲトリクス大公家、アルジュナは帝国の経済を回していると言っても

過言ではないドルマダキア第一公爵家、そして僕の心を見透かしかねない感じの

ユーフェニアは先代皇帝から仕え続ける最古にして最強の武人貴族である

ミーミルヘイム第三公爵家の娘ってか皆当主系。ちなみに1、2の兄上様方は

リリエンの実兄なのでもう言わなくてもわかるな?


 要するに父上に次ぐ大帝国最大権力陣営…いや女王陣営と言っても過言ではない

やば過ぎる大ババ…いかん死の気配…?!


「ローレンシェームス。正直にいてくれたら無用な怒りは控えるから」

「ところで何時になったらあーしが手ずから淹れたお茶を飲んでくれるのよ?」

「またわらわの癪に障る事を考えてた?」

「やっぱりあなた、ただの半猿人の六歳児じゃないの?」


 …身内の年上の女性に凄まれるのは前世の母ちゃんだけで勘弁してほしい。

みんなハーフエルフだから実年齢に全然そぐわない若い見た目だけど…

みんなやっぱり潜って来た場数を物語る凄みがバリバリなんだよ怖ぇよ。

っていうかスフィニア姉上様、あきらかに僕のお茶が色からしておかしいです。

それを全くの無表情で「飲め飲め」と言ってくるところがもう…!


「あ、あのぅ…大お姉様方…? あまりローレンをからかわないでくださいな?」

「!?」


 この声は…! うぉぉぉ僕のオアシス! 恥も外聞も忘れてガチ子供ぶって

行ってやるぞぉぉぉおおお! そしてあの二つの将来が楽しみすぎる二大霊峰に

癒されるんじゃああああああ!


「カリーヌお姉さまああああああべし?!」


 僕はカリーヌお姉さまの年齢不相応な二大霊峰桃源郷に飛び込みたかったが、

横からニュッと出てきた腕が僕に軽くラリアットをかましてきたので

それは叶わぬ夢と散った。


「ったく…おいカリーヌ。あんまこいつを甘やかすんじゃねーよ」

「リュシオ姉さん…だからといってそんな仕打ち…ローレンはまだ六歳ですよ?」

「はー…ったく…こいつはアタシの不肖の愚弟ヴァルジオのダチなんだぜ?

面は親父に似て悪くはねえが、腹ん中は想像以上にヤベーんだぞ?」

「そんなこと…」


「あァんまりだぁぁぁぁ…!」


 僕は泣いた。カリーヌお姉さまには本性を知られたくないのと、今一度

桃源郷へ飛び込む機会を伺うべく正邪入り乱れた心のままに泣いた。


「でもさーリュシオ姉ぇ? 傍目から見てると幼児相手に盛大に

ラリアットぶちかましてるわけだけど?」

「うむ、フラムの言うとおりじゃ。大人気ないというレベルではないぞぇ?」

「でもリュシオーネ姉様の言動には一理あると思う」

「ラルマもそう思います」

「お茶が旨いな、ルーナ」

「そうね、エイル」


 見た目はまだ幼児である僕にラリアットをぶちかまして色々言われてるが

かといって自分を曲げようとしないのはやはりヴァルジオの実姉かと

思わされるのが第五皇女リュシオーネ。最初に多分僕を擁護してくれたのが

第12皇女フラムフロン。追従したのがその姉で第11皇女セリナマリア。

すっとリュシオーネ側に立つは上から第九皇女マリエル、第十皇女ラルマニオヌ。

んでもってこのやり取りに感知してこなかった残りの姉妹が第七皇女エイルと

第八皇女ルーナである。いいさ、有象無象皇女なんて興味ないね。

僕には第六皇女カリーヌお姉さまがいればいいんだもん! でも…

カリーヌお姉さま…さっきから僕泣いてるんですけど…何で来てくれないの?

……どうしよう…バレたのか? だとしたら辛…むほぉ!?


「ほっといてごめんね、ローレン君…」

「むーむ! めんめんみーも!(んーん! 全然良いお!)」


 ミーモミモミモミモモモミモ…ざわめくざわめくイェイイェイイェイ…!

…いや?! 揉んだりとかそんな即バレするような愚は犯してないからね!?

あくまで見た目通りの六歳児を装いこの感触を堪能フヒヒサーセン自重しますんがッ!?


「何時まで甘えてんだボケナスが!」

「ひ、ひどぃよぅ…リュシおねぃちゃぁぁん…」

「ぐッ…?!」


 僕の桃源郷は10カウントなかったが、1カウント毎に3年はタタカエマスヨ。

だから仕返しとばかりに僕の首根っこを掴んで吊るしてきたリュシオーネに対して

年相応にもういっぺん泣き顔晒してくれるわ!


「あー…流石にそれは無いわリュシオ姉ぇ」

「大人気ないってレベルじゃないのぅ」

「リュシオーネ姉様マジキチ」

「ラルマはそうは思いませんが」

「ところでルーナ、この指輪を見てくれ、こいつをどう思う?」

「凄く…綺麗です…」


「……まぁ、そこまで妙では無かったかしら」

「…しかし…わらわにはどうにも…」

「そうね…あの子…やっぱりただの半猿人じゃ…」


「……新作の葡萄酒入りのお茶…冷めてしまったのよ」


 一部ブレねえのが居るが、この方々が僕の異母姉様方です。

あといい加減降ろしてくれませんかねリュシおねぇちゃん?

正直今なら本気で泣けそうなんですよ。

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