大帝国に生きる~俗物皇子とステータス~
サーセン。新作思いついちゃった病です。
そして今の僕はアエテルニタス大帝国なる国家の第14皇子、
ローレンシェームス・パラドプール・カエルム・ドラコー=アウグスタという
男児であると知った。まだまだ混乱は残っていたが、コレでも三十路過ぎだ。
そこまでは動じることはない……筆舌に尽くせぬ赤ん坊ライフを除けば。
赤ん坊生活はもう振り返るのも嫌だ…。
帝国には誕生日を祝う風習が無いに等しい。そんなわけで推定六歳となった僕は
大分マシになってきた口と手足を使って立ち入ってよい所は片っ端からうろついて
その辺にいる兵士や高級奴隷らの使用人たちに色々と聞いて
自分の立ち位置を把握するべく動くことにした。
まず気になったのは自分も含まれるこの大帝国の支配者の一族…そう、
アエテルニタス帝族だ。異世界で一国の、それも大帝国の支配階級に
生まれ変われてこられたのは真面目に大きなアドバンテージだと思う。
かつての前世の日本に比べると如何せん分明度がお粗末な気がするが、
やはり衣食住は間違いなく格別に恵まれている。牛や豚の丸焼きなんて
前世じゃ昔勤めてた会社の一回こっきりだった慰安旅行で食った一回だけだし。
何より既に個人の財産が少しづつ貯まっているというのが素晴らしい。
前世では夢ですら見れなかった不労収入生活である。異世界万歳。
こんな僕に素敵な新人生をくれた神様仏様魔王様邪神様ありがとう。
と、言っても油断はできない。今の僕の立ち位置がハッキリわかったので。
まず第14とかついてる段階で上に僕の上に13人もの兄皇子がいるのだ。
別に今の父たる皇帝陛下の後釜には興味が無いんだが、面倒くさいことに
僕にもちゃんと継承権があるのだ。それは宜しくない。
お家騒動なんて真っ平御免である。謀殺なんてお断りです。
とか考えてたら、このアエテルニタス帝国。ハーフエルフの皇帝の国でした。
そして継承権第一位すなわち皇太子と二位の皇子もエルフ系。
言うに及ばずだとは思うが、この世界のエルフという生き物はトンでもない長寿。
おk僕の心配は杞憂に終わりそうだ。というか金と身の安全さえ保障されてれば
余計なモノ共が絡んでくる帝位なんて手かせ足かせ首かせ目クソ鼻クソ耳クソだ。
さて、ようやく人気のない中庭だ。周りに人がいない事を確認して
僕は言葉を発する。もちろん盗聴対策でこの世界には存在しない
(存在してたら堪ったもんじゃないが考えすぎはよくない)日本語でだ。
「でも…力はあって損かといえばソレとコレとは全く全く別問題…なんてね」
どこかで聞いた言い回しはさておき、頭脳は立派なオッサンでも
体はまだまだ未熟貧弱脆弱な六歳児。エルフがいるこの世界に魔法が無いなんて
それこそ馬鹿な話だ。当然分明度が前世日本とは比べるまでも無いこの世界での
命の軽さなんて言うまでも無い。この間の公開処刑は酷いってレベルじゃねえぞ。
四つ裂きって何だよグロすぎるわ! っていうか六歳児に見せるもんじゃねえよ。
上の兄姉皇子女の中にはニヤリとする奴らもいるし!! あんなもんを見せて
間違いなく性格を歪ませるという状況に恐ろしい意図を疑うわ! っていうかさぁ
おかげさまで三日は肉が食えなかったよどうしてくれんだコンチクショウ?!
…いかんいかん閑話休題、閑話休題。
それはともかく自分の身は自分で守れる強さは持ってて損じゃないのは
前世でもそうであるから、そんなわけで武術鍛錬とかは積極的にやってる。
大帝国は覇権国家。だから武官も掃いて捨てるほどいるから先生には困らない。
とはいえ所詮子供の肉体だから「ごっこ遊び」にしかならないが、しかし
何もしないよりは全然いい。前世はそれ系を怠ったから万年ヒラだったし。
このチャンスは今度こそモノにせねばならない。
「……神の窓よ開け」
意識がハッキリしたころからどういうわけか頭の中にあったその言葉は
よくある転移転生のお話ではもうお約束の能力閲覧スキルの起動ワード。
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名:ローレンシェームス・P・K・ドラコー=アウグスタ[#$%&]
年:6[38]
性:男[男]
技能:
国語[異界ニホン(ヤマト)国]Lv63 アエテルニタス標準語Lv16
古エルフ語Lv18 古代魔導文明語Lv13 数学Lv19 理学Lv38
剣術Lv1 元素魔法Lv4 波動魔法Lv3 馬術Lv16 機械操作[異界]
弓術Lv2
才能:
神の窓開閉閲覧Lv-- 三千大千超常刀剣主LvEx-1
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この力の存在が前世であったらと強く思うが、まぁ今更である。
何はともあれ、努力がどのような形で自分に反映しているかを
データとして見る事ができるのは大変素晴らしい。無駄な努力など無いという
ある種の慰めも与えてくれるから………閑話休題。自分の能力がどんなものかは
大帝国どころか城の外の世界すら知らないし、他人のステータスを
見れるかどうかも現時点では不明なのでその辺は定かではない。
「第一このステータス閲覧能力がここでも普通じゃない気もするし…」
そんな不安もあるので聞くに聞けない。本来であれば人気が無かろうと
この世界じゃ異質だろう日本語での独り言も避けるべきなのだが、
万年ヒラ生活で染み付いた声出し確認はやらないと落ち着かないのだ。
いわゆる一つの職業病かもしれない。
―リーンゴーン~、リーンゴーン~―
…今のは中天の鐘の音だろうか? 大帝国は魔法技術も高いので
帝都を含めた都市には大きな魔法機械仕掛けの時計塔があるそうな。
とはいえ地球みたいに閏年うんぬんの知識は全然一般的ですらないので
まぁズレる。いつだったかまだ夕方になったばかりなのに日没の鐘が鳴ったし。
鐘の時間を間違っちゃった時計塔の人はきっと物理的に入れ替わっただろうな…
南無阿弥陀仏、安らかにお眠りくださいご冥福をお祈りいたしまする。
次の人は気を付けてくださいね。お城の片隅から見守ってますよ。
「……やめとこ。現実から目を背けちゃいけない」
僕は改めて人気が無いことを確認してステータスの才能:の欄に
あったとあるスキルを見る。
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三千大千超常刀剣主LvEx-1
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すごく…ものすごく、ものすごーく浮いてるよね? 魔法系はいい。
僕ぁ腐っても大帝国の皇子様だもの。そういう才能が受け継がれてても
別段何もおかしくはないし。
だがこの三千大千超常刀剣主ってぇ…何だぁ?
三千大千って途轍もない数を表す意味の単語だよね? まさかこんな
名前からしてヤバそうな香りのするスキルを誰もが持ってるなんて
ありえないのは絶対に間違いないだろうし。
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<三千大千超常刀剣主LvEx-1:召喚可能刀剣>
赤刑剣インシネレーター<召喚可能>
氷死剣ペインオブジューダス<召喚可能>
雷神剣エメットラアム<召喚可能>
空絶剣ヴェルシリゼファー<召喚可能>
星震剣ウヴェルリャトラス<召喚可能>
大黒天刀クリシュナヴァタール<召喚可能>
聖竜皇剣エルスアーディ<召喚可能>
死生喰剣シィングイーター<召喚可能>
猛烈風妖刀マタタキザンキ<召喚可能>
無量大数波動古太刀ユビナリゼツガ<召喚可能>
色魔王剣シドナイデウスマーラ<召喚可能>
神聖命剣エイドヴェルト・ドゥームセイバー<召喚可能>
幾千幾万魔殺壊剣シュヴァルツァーアブトルーンニッヒェ<召喚可能>
天帝王銃剣エルプサイスカイア<召喚可能>
地帝王銃刀エルオームグランダ<召喚可能>
星断巨神剣ヴィシュナヴァターラバリ<召喚可能>
弐百七拾六超地獄剣ヤーマィミル<召
…………。
名前からしてどれもこれもヤバそうな臭いがぷんぷんしてきそうな
魔剣聖剣の類が揃いも揃って召喚可能ときたもんだ。
「どれもこれも基本人前で呼んじゃ駄目そうな気がする…」
しかしながらこの諸刃になりかねないチート…
今後の為にも何振りかは使いこなせるようにはしたい。でも六歳児の皇子を
ホイホイと外に出すほど皇帝陛下は苛烈じゃないのよ有難や?
しかし下手を踏んで折角の帝室ニート生活を危うくするのは避けたい。
しかし今のうちから政争や内乱にも備えておきたい…あぁままならない。
「剣術の練習が精一杯か…」
僕は練習用にと持たされたブロンズナイフ…今の僕には
ブロンズショートソードみたいなそれをひたすら振るうことにした。
今日のエア敵はやたらとおっぱいが揺れてた女剣士さんにしておく。
ほ、ほら…? 目移りしないよう集中力の訓練にもなるでしょ?