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4話 其れこそ、新たな人生の始まり。

よし、ある意味吹っ切れた。戻れないものは戻れない。昨日の撫子との会話の中で転生陣はもう起動する事は無いとの事だし、ある意味吹っ切れるしか無い。


此の世界で、此の世界をっ面白おかしく、後悔のない様に生きていかねばならんのだ!はははははははっつ!!









ヤバい現実逃避からテンションが可笑しくなりかけた。

スっと風が流れた感じがして、扉の方を見やると、撫子がドアノブに手を掛けたまま、固まって居る。

おい、妹?よそんな目で見るな。



「あー起こしにきてくれたのか?」


「ええと、兄様、おはようございます…朝の支度が整っておりますので食堂までどうぞ………」



そんな目、と言うやつで見られたかと思ったら、スッと目を逸らされた。

フッ、遠慮しなくなったじゃないかあ。まあ、おそらく当分、撫子に世話になるんだ、お互い気を使わないくらいが丁度いい。



◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎



「なあ、撫子、昨日はさ、色々と混乱していたし、現状把握で精一杯だった、でもさ、折角生まれ変わった?んだ、俺って此の世界で何をしたら良いのかなあ」


「特に、母様は兄様に何かをして惜しいとは言って居りませんでした。兄様がしたい事をなさる事が最適かと思います」


「此の世界って、魔族とか居るんだろう?魔族の王、魔王みたいな奴って居ないのか?人族とかを襲ったりさ」


「魔族を統治する、人族と同じ意味での王なら居ますね。兄様のいう意味での人族に仇をなす様な魔王、という意味では何百年か前には居ました」


ちょっと気になったから参考までに聞いて見る。いや、魔王がいた所で、倒すつもりは無い。むしろあまり関わりあいたくも無い。苦労せずに生きて生きたい。


だか一応現在いる魔王という存在は人族にはがいはないようだ、よかったよかった。


そういや、なんか俺って自堕落に成ってるか?いやいや、今まで苦労したんだ、両親がわざわざ用意してくれた環境を甘んじて受け入れるとしよう。

しかし、苦労せずに生きる。とは言え、先立つ物は必要だ。此の施設には一体、どのくらいの資金が有るのだろうか。


「撫子、ちょっと質問なんだが、生活費って言うか、資金的なものってどのくらい残ってるんだ?」


「そうですね白金貨30枚ほどでしょうか?」


「白金貨30枚っ!?。て言うのはさ、どのくらいの価値があるんだ?」


「そうですね、実際見て説明した方が良いかもしれません」


そう言うと撫子は自身のポケットに手を入れる。鉄らしきものでできた貨幣が一枚、さしずめ鉄貨、銅色の貨幣が一枚、銅貨なんだろうな。、銀貨が一枚、金貨が一枚。撫子の説明によれば。


鉄貨=1ヌル、パン、果物、野菜等が一枚で買える程度、100円くらいか?

銅貨=10ヌル 1000円程度

銀貨=100ヌル 1万程度

金貨=1000ヌル 10万程度

大金貨=1万ヌル 100万程度

白金貨=10万ヌル 1000万程度


らしい、て事は3億程度か?

少し綺麗な宿が銀貨一枚で泊まれるらしいから、そんなもんだろう。

普通に贅沢せずに生きて行くには十分だろう。

俺が黙って考え込んで居ると、何を勘違いしたのか撫子が困った顔をして頭を垂れた。



「申し訳ありません。研究に使ってしまい、元々資金は潤沢だったのですが、母様はお金に無頓着な人で、残額が幾らかも把握していなかったかと。」



おいおい母さん、エルフってさ、賢い森の賢者なんだろ?いや、森の生活のせいで逆に金に対して無頓着に成ったのか?


しかし、そうなるとある程度の稼ぎも必要か?

まぁ、丈夫な体なんだ。この施設に引きこもってないで冒険?てのもしてみたい、旅なんかもいいな。



「なぁ、ギルドカードに登録したんだ。もう冒険者として活動できるのか?」


「いえ、実は、冒険者ギルドでは年齢が10歳以上でなければ登録を受け付けて居ないんです。カード自体には何歳でも登録できるのですが、ギルドで受け付けて居ない以上、兄様以外の人間が10歳未満で登録するという事は実質不可能でしょう。」


「なるほどね、じゃあまだ冒険は出来ないって事か。」



困ったな、特に何もすることが思いつかない。

うんうんと、俺が唸っていると、撫子が声をかけてくる。



「兄様、提案・・なのですが、この世界には学園という、教育機関があります。剣、魔法、鍛治、魔道具、錬金術、薬学。と、学ぶことが出来るのです。そちらの学校に入ってみるというのは如何ですか?7歳以上であればいつでも入学できるので、タイミング的(・・・・・)には丁度いいかと思います。」



何故か、少し含みのある言い方をする撫子を見やると、多少嫌そう?そこまででもないが、そんな顔をしている。俺が学園に入るのに反対なのだろうか?いやでも、撫子から提案してきたじゃないか。

しかし学園か、小学生の頃、病気になったからな通ったうちに入らない程しか行ってないな。

有りかもしれないな。学園に通うのは。



「そうだな、学園に通ってみるのも良いかもしれない。この世界で知り合いを作るというのも、大切な事だしな。この世界で生きていくにはさ。

あっ、そういやさ、この世界ってなんて名前なんだ??惑星なのか、ずっと平らな世界なのかは、わからないが」


「この世界の名前は、アスガレリアと言います。惑星という概念はこの世界にはありません。星々と私たちが住むこの世界は別なのだと、一般的には考えられて居ます。世界の形は、球体であると予想されて居ますが、確認された訳ではなく、まだまだ、未踏の地が多いです。」


成る程、どうやって予想したんだろう。まあ、外の世界に出てみればわかる事か。

と言うか、学園に行くのは良いが、まず外に出て外界に慣れとかないとな。



「なあ、取り敢えず学園には行く事にしたとして、一度先に外の世界を見て見たいんだけどさ」


「ええ、学園に入ることが出来るのは年の始まりですので、あと半年程あります。その間、此のダンジョンの外、30キロほど南に町が有り。幸い、私もそちらの町に住居が構えて居ますので。其方で此の世界の事を勉強しながら暮らすと言うのは如何でしょうか?」


「それは良いけど、こんな研究所みたいな施設、放ったらかしにして大丈夫なのか?」


「ええ、エルフでも在る私の、精霊魔法で侵入者がいた場合や何か異常があった場合などどんなに離れていてもすぐに解るように成っています。それ以前に、此のダンジョン自体が特殊な結界で囲まれており。元々が精霊と会話できるものしか入口が解らない事と、其処を通れたとしてもその後に父様や母様たちが張った結界が有ります。その結界は母様たちの魔力が、結界の扉の鍵になっておりますので、他のものに通る事は出来ないのです。ですが勿論、私と兄様は母様たちの体から生まれて居るので通る事が出来ますけど……」



まあ、それなら大丈夫なんだろうな、さてと、それじゃあ、近いうちに外へでも出るとしよう・・・



◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎



さて、研究所から出て、何時間か歩き今現在は森の中だ。

あのダンジョン研究所があるこの森を、精霊の森と云うらしい。其処から、歩いて2時間程度進んだ。此の体は本当に動かしやすいと云うか、普通の7歳では無い、大人と同じくらいの速さで歩ける。全くと言って良いほど疲れない。

撫子との移動途中、自分のギフトにもあった解析眼を試して見た。やはり父親の能力を受け継いで居たようだ。



「なあ、此の解析眼、使って見たいんだが、撫子に使って見ても良いか?」


「はい、大丈夫ですよ」



早速、歩きながら撫子を見る。自分の目に魔力を込める。ボウっと視界の端に表示の様なものが浮かぶ。




ナデシコ・デュアリス ♀


年齢 112


Lv 25


ライフ 1320/1320

マナ 6280/6300


str 1250

def 1350

agi 2800

dex 3750

mat 3750

int 356


ギフト 千里眼 能力理解


魔法技術 精霊魔法 ランク3(5属性 ) 付与魔法 ランク2 治癒魔法 ランク3


スキル 弓術 ランク4 軽業 ランク3 迅歩 ランク4 薬師 ランク4 道具作成 ランク3(弓のみ限定。



ちなみに一般的な冒険者外の人族の能力値がこんな感じらしい。


成人男性


年齢 20


Lv 10


ライフ 100/100

マナ 100/100


str 100

def 100

agi 100

mat 300

dex 600

int 200



ギフト

商業系、鍛治系、農工系、魔術素養、俊敏、身体値小増加など、他にも把握できないほどのギフトがあるらしいが、運良くギフトを持って生まれる確率は100人に1人。

ギフト持ちのうち、ごく稀に2つのギフトを持って生まれる者もいる。


スキル

ギフトのような物だが、後天的に覚えるもの。努力や環境によって得る物。


魔法技術

一般人が覚えるのは生活魔法など、魔法書などによって覚える。



◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎



いやいやいや。

おかしいだろ、一般人の何倍だよ。エルフの一般的が良く分からないが、どうなってるんだよ。


「なあ、千里眼てのは何と無く解るけど、迅歩ってのは?能力理解は?」


「早く 移動する事が出来るギフトです。能力理解は自分の運動能力や、魔力を理解し最適に行動へと移し事の出来るギフトです」



ハッキリと、通る声でそう言うと、何か言いたい事でも?と言わんばかりの顔。

いや、うん、早く移動するって。前世で言うとこの足が速い。的な才能なのか??

能力理解は、ステータスを無駄なく、最適解の動きを出来るんだろうな。


「あー、足が速くなるって事なんだろう?」


「ええ、素早さが、移動に関してだけ瞬間的に倍程度のスピードになると思って頂ければ……」



只でさえ恐ろしい素早さなのに、一体何キロで走るれるのだろう。前世で足の速いフルマラソンでサブスリーと呼ばれる人達で3時間で42キロと、時速14キロだ。まあ、何もしてない一般人だと8時間かかるって話もあるし、時速14キロで走るのに素早さが、200以上必要だとしても。

撫子は170キロ程度のスピードで3時間は走れる事になる。その上、瞬間的に倍。短距離を瞬間移動してる様な感じになるのだろうか。恐ろしいスピードだな瞬間的に300キロ以上出るわけだしな。



「なあ、そういや、解析眼で自分のステータス見れないんだが、どうしたら良い?」


「それは、能力値確認と言う魔法で確認します。肉体に記憶された能力値を魔力によって視覚化し、確認する魔法で、人間が最初に習得する魔法とも言われています」



なるほど、「能力値確認っ」

ボウっと視覚の隅の方に文字の様な、其れとも違う様な、だが認識できる其れが、表示される。



ワヒト・ クロガネ ♂


年齢 7


Lv 1


ライフ 300/300

マナ 250/250


str 300

def 350

agi 250

mat 300

dex 300

int 300


ギフト 解析眼 千里眼 龍化 闘気 思考力 真理理解


スキル 器用2 剛力2 自己治癒 3魔法消費減少2


魔法技術 五大元素魔法 3 生成魔法 0 空間魔法 1



折角魔法を効率的に使えそうなギフトが有るのに全く魔法の使い方がわからない。

魔法の使い方を学ぶ為に、魔法書か何かが必要になりそうだ。

そう言えば、親父はインベントリって言う魔法が使えたって撫子が言ってたな。よく有るマジックバックとかそう言うやつか?似た様な機能なら、確かに便利だよなあ。

インベントリ、インベントリ。頭の中で呟きながら、某未来のロボットの白いポケットを思い浮かべる。ズズズッっと、空間が歪む様な感覚

ん?マジか、こんなんで魔法って発動するのか?イメージ力って奴なのか?


胸の少し前の空間に横に空間が断裂した様な線が表れる。試しに腰に下げた鉄剣を線に当てる様に滑り込ませる。


「おおお!」


スルスルと鉄剣が空間に飲み込まれていく、手首の辺りまで突っ込むと、中で手を離す。

スッと手を抜くと、空間の断裂が閉じて行く。

さて、あとは取り出せるかどうかだ、〝インベントリ〟と脳内で呟き、異空間をイメージ、先程入れた鉄剣を思い浮かべ、イメージ固定。今度は右手の横に入り口をイメージすると、思った場所に再び空間の断裂が現れる。手を入れ、剣をつかんだ感触、断裂から引き抜く。



「成功だな。」



満足そうに俺は呟く。

いやー此の体はやばいチート能力と言うか、チートボディと言うか。

目を瞑ってウンウンと首を縦に。1人頷くと、横から撫子に話しかけられる。



「流石兄様ですね。早速インベントリを使える様になられるとは……」



撫子は何か当たり前とも言った様子で。満足そうに頷いている。ふと、遠くを見やる様に視線を動かすと。



「兄様、前方500メートル先にオークを二体確認致しました、今から処理致しますね。」


矢筒に指を当て、二本の矢を指に挟むと、視線を向けた方に向け弓を構える。キリキリと引き絞ると

ビッビッ!と言う擦過音と共に二本の矢が放たれる。弓が放たれた途端、再加速する。二本目は50メートル程遅れて一本目の矢を追いかけて行く。



「兄様、兄様のレベル上げを致しましょう、恐らくは二匹ともまだ生きているかと思います。移動してトドメを・・・」



撫子は軽やかに走り出す。慌てて俺も剣を握りしめ付いて行く。ヤバい付いて行くだけでやっとだ。

撫子の背中が少しづつ離れて行く。俺の息が上がった所で、前方の撫子が立ち止まる。

やっと追い付き。足を止め呼吸を直しながら、撫子の足元近くを見る。かなり良い体格の、オークなんだろうな。人間よりも肌色が強い色。人間の体に豚の様な頭、蹄がそのまま指になった様な手、下半身には布を巻いた様な格好。肉がはち切れんばかりの肉肉しい体だで腹も出ている。だがその下には十分な筋肉がある。そんな身体だ。そんな一朝一夕ではいかない様な生き物が、二匹とも仰向けに、喉に手を充てて倒れている。


かひゅ…かひゅ……と規則的に2匹分の音がずれて聞こえてくる・・・喉には深く矢が刺さったままだ。



「兄様、では、其の剣で心臓を突き、トドメを…ある程度のレベルは上がるでしょう」



サラッと何事もないかの様に言ってのける。

両手で下向きに鉄剣を握ると、体重をかけ、心臓をひと突きにする。

撫子の事は怒らせない様にしよう、そう考えながら。



オークの呼吸が止まった時。身体に力が溢れてくる気がした。

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