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17話 初めての・・・・。

少しグロいシーンがあります。


ライフとマナの表記を変更致しました。

 撫子が声を掛けてくる。


「取り敢えず皆に治癒魔法は掛けましたが、洗脳状態は解けませんでした。アリアならば解けるかもしれません・・・・」


「そうか解った、じゃあ此処を片付けてからだな。」


「そう言えば、この者がアキダケの件の者で?」


「ああ、だがラッチェスは俺がやるからな?」


「そうですか、其れは残念です。では私は隣の剣士が兄様に迷惑をかけぬよう相手をしておきますね?」


「ああ、頼むよ」


 俺達が話し終わると、ラッチェスは大盾と呼ばれる様な1メートル程もある盾を構えた。俺は何度か見た事のあるラッチェスの能力を解析眼で確認する。



ラッチェス ♂


年齢 36


Lv 45


ライフ 2543/2543

マナ 367/367


str 2430

def 3890

agi 543

mat 679

dex 1428

int 229



ギフト 堅牢(パッシブ、身体値反映済)


魔法技術 強化魔法 ランク2


スキル 剛力 ランク2 剣術 ランク3 鉄壁 ランク4 突進 ランク4



「どうした、ボーッとしやがってよう!口だけか?おい!」


 盾に刀をなんて相性が悪い、マジックバッグから取り出したフリをする暇も無い、カザール子爵や護衛に見られるかも知れないが、背に腹は変えられない。

 〝インベントリ〟と、声に出さず詠唱、ズズッ ・・ と目の前の空間が避ける。ウォーハンマーを取り出し構える。

 インベントリの空間断裂による切断も考えたが、インベントリの発現場所の設定に時間が掛かり現実的では無い。其れに、相手が負けたと実感出来ないうちに終わらせるのは、俺の思う所では無い。


 取り出したウォーハンマーは、自分の身長よりも少し長い位だが、俺のSTRならば振り回される事は無い、


「おいおい、何だソリャ?どうなってやがる!」


「さて、行くぞ?ラッチェス、ちゃんと受け止めろよ?」


 俺はラッチェスの問いには答えない。ウォーハンマーを斜めに持ち、ラッチェスとの距離を詰めウォーハンマーを大きく振りかぶる。


ガギィィイイイン!!


 金属が打つかる音が響くと、ラッチェスはシールドの後ろで目を見開く。サリュのサポート程度のガキだとでも思っていたのだろう。そうだ、そういや聞きたい事がまだあったな。俺は次の一打を叩きつけながらラッチェスに問いかける。


「なあ!ラッチェス!アキダケの件はアレはワザとなんだろう?お前らにとって俺は良いとしても、もしサリュが死んだらどうするつもりだった?」


 聞きながら次の一打。少しずつ叩きつける威力を上げて行く。打撃音の所為で声がかき消されないよう、声量をあげる。


「はっ!ありゃあ、遠くから見てたんだよっ!サリュがどの程度か見たかったのさあ!流石に赤熊猪を倒せるとは思っちゃいねえよっ!死ぬ前に助けに入るつもりだったのさ!クロト!テメエもキレイな顔してるからなあ!好きな奴は大金出してくれんだぜえ!!だがっ!マグレでテメエが倒しちまったけどなあ!」


 やはりマグレだと思っているようだ。まあ良い勘違いさせて置こう。俺は少しずつ凹み初めた盾に何度もウォーハンマーをぶつけて行く、少しずつ威力を上げながら。

 何打目かの打撃の後、ラッチェスの動きが変わる。盾を持つ腕が盛り上がり、脚の動かし方、盾の下から覗く脚が、地面を強く蹴る動作をしたように見えた。俺はハンマーを横に両手で持ち構えと突進を受ける。



ドガンッ!!


 大きな音が響き質量の違いで身体ごと押される、一瞬身体が浮き上がる感触がし、洞窟の壁側まで押される。腕に強い衝撃がかかるが、壁にぶつかる前、足の裏で地面を掴む。ドンッと、強い衝撃がかかる程の急ブレーキ、盾を使い身体ごと突進してきたラッチェスは、盾の裏から声を出す。


「ハッハア!どうしたぁ?潰れちまったか?」


「何言ってんだラッチェス。目でも腐ったのか?」


「てっテメェ!どうなってやがる!」


 大した事は無い、むしろがっかりな一撃だった。そう思ったのは赤熊猪の一撃の方が強かったからだろう。

 しかし助けに入るつもりだったと言うんだ、赤熊猪を倒せる自信があるか、実際相手をした事があるかだな。ラッチェスはガチガチの前衛なのだろう、赤熊猪の攻撃をラッチェスが引き受け、メンバーが攻撃を仕掛ければ確かに倒せるだろう。だが、ラッチェス自身の相性で言えば俺の相手は最悪だろう、素早さ、攻撃力、防御力、共にラッチェスの防御と攻撃力を上回って居るんだから。そして赤熊猪ほどの起死回生の一手もなさそうだ。

 立ちはだかる敵が総じて強敵とは限らない。特に順に強くなって行くとは限らないのだ・・・・

 少々ガッカリした。ウォーハンマーを凹みに向け最大値の力で振りかぶる。バギンッと今までとは違う音が響く。盾に穴が開くように凹みが割れる。割れた隙間からラッチェスの苦々しい顔が覗く。もう一発だ・・・


バガンッ!!!


 完全に盾に穴が空き盾が盾として機能しなくなる。さて、どうするか見ものだ。ラッチェスは、盾を放ると、剣を鞘から抜く。結構な剣だ、良いものなんだろうさ、ウォーハンマーを思いっきり横振りする。ハンマーのヘッド部分でラッチェスの顔面を叩くように狙う、ラッチェスが、剣で防ぐ。流石の力でハンマーの軌道が逸れるが、ギィンと剣が鳴り、剣の刀身が回転しながら弾け飛ぶ。

 ラッチェスの顔がとうとう青ざめる。ハンマーを横薙ぎに降ると、その軌道上にはラッチェスの横っ腹だ。


「ーーまっ!クロッッッーーー」


ドンッ!


「グエッ!」


 ラッチェスはカエルの潰れた様な音を口から吐き出す。流石にディフェンスが高い。コレで意識が飛ぶかと思ったが・・・・


「テッベェエ!!!グロドぉお!ゴポッ!」


 ラッチェスの口から血が飛び出す、内臓でも潰したか?俺はインベントリを開くと、ウォーハンマーを仕舞い、刀を取り出し、大きく構える。


ヒュッ


 横腹を抑え膝を付くラッチェスの片腕が肩から地面へと転がる・・・


「あ゛? 俺の・・お゛れのうでがあああああ!」


「なあ、ラッチェス?殺すと俺は言ったがどうする?お前が反省する。自分から犯罪奴隷になるって言うなら。このまま生かしてやる事も考えてやる。」


「ああ゛!も゛、もうこんな事はし゛ない!犯罪奴隷にでも何でもな゛る!だからた、助けて゛くれ!」


「そうか ・・・」


 俺はそう返事を返すと、振り上げた刀を下げ、撫子の方を見る。相手の剣士の身体には矢が刺さり地面に突っ伏して居る。あっちも終わった様だった。その時ラッチェスの残った腕が背中に移動する。


「よそ見じてんじゃねぇ゛ゾォぉお!!」


俺は刀の刃を返しそのままラッチェスの脇を目掛け切り上げる。

ドンッと落ちた腕には短剣が握られて居る。そんな物で攻撃されてもまあ死なないが・・・と考えながら。ラッチェスの元へ歩く。


「なあ、両手が無くなっちまったな?馬鹿な事するからだラッチェス。」


「お、俺のう゛、腕、俺の腕が・・・・」


 実際、生かしてやろうとも思った。やられた事を何倍以上で返すのが俺の性分なのだが、もう充分だろうとも思ったからだ。ラッチェスに出来る事はもう無いだろう。だが・・・俺は此処で割り切らなきゃ成らないんじゃ無いのか?そう言う思いが頭を擡げてくる。グッと刀の柄を握り、横に構える、一閃。



ラッチェスの頭がゴトリと地面に落ちた。


こうして、俺は、この世界で初めて人を殺した。

 

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