13話 自重しないという選択。魔法研究1回目。
短めの話です。
昨日の事があってから、この世界で生きて行く為に下手に手を抜かない事にした。
はっきり言って舐めてた、魔法の練習もして居なければ。レベル上げに力を入れて居た、と言う程でも無い。
今俺は誰も居ない精霊の森の一歩手前の草原に居る。自分の魔法がどの程度の威力か知らなければならない。
まずは、五大元素魔法の火だ、普通の魔法では、ランク1でファイア、2でファイアボール、3でファイアアロー、4でファイアランス、ランク5にも成ると範囲魔法のファイアレインと言うのが使えるらしい。ファイヤアローが降り注ぐ範囲魔法だ。
俺も試しにランク3迄のファイヤアローを使ってみた。だが確かに有効な技だろうが赤熊猪レベルの魔物には致命傷は負わせられないだろう、逆にゴブリンなどの雑魚には有効だろう。
俺の持ち味は多分火属性、水属性という括りでは無く。五大元素魔法という属性の中で同時に魔法を発動出来るという事だろう。
例えば、火と風で火嵐、コレはランク5以外でも使える範囲魔法になる筈だ、詠唱〝火嵐〟。
ゴウッ!と音を立てながら目の前に火柱が上がると其処に風が渦を作って行き、周りの酸素を取り込み範囲5m、高さ20m程に火柱が膨らんで行く。
うん、良い出来だ。
ファイアボールや、ファイアアローもいいが威力がイマイチだ。
それに変わり
火魔法に大地魔法を組み合わせる。目の前に3センチ程の弾丸を作り出し其れを蒼い炎で纏う。弾丸が真赤になる寸前で調整し空気魔法で圧縮して打ち出す。
炎弾。
地球では良くウォーターカッターと言うのが有ったが、おそらく再現出来そうだ。
水魔法に大地魔法で硬度の高い鉱石を混ぜ圧縮して、其れを掌の先、数十センチで高速回転させる。水螺子、相手の装甲を削り取る。
実際のウォーターカッター自体も一瞬でカットすることは出来ない、ゆっくりと金属を通過させて切って居た。
後は、空間魔法がランク2になったから、試そうと思って居た事だ。
撫子に寄ると空間魔法のランク2で空間認識系の魔法が使えるとの事だった。
まあ、空間魔法自体、親父しか使えなかった訳だが・・・
元々ある魔法を使うより作った方が早い気がする。
目を瞑り、周辺の様子を探る様にイメージする。無機物と有機物を別に分ける。
イメージ固定。〝空間認識〟。
頭の中で詠唱すると周辺の情報が頭の中に浮かぶ、精霊の森、木々の位置、何か動いて居るもの、小さい点のイメージや大きい点のイメージがある。森の奥の方だ、岩場の中だから、洞窟か何かかも知れない。その中に数点、動きがイメージ出来る。オークやゴブリンだろうか・・・まあ、今は良いオークやゴブリンを狩る気にはならない。
空間認識は上手くいったみたいだ。
後は最後に試したい事があった、五大元素魔法のうち3つの魔法を使って詠唱だ。
水魔法による水蒸気、大地魔法でチリ、風魔法でそれらを混ぜ合わせる。
雲の様なものが目の前に出来上がり其れがギュルギュルと渦巻く、パチっと音が鳴り出す。其処で生成魔法発動、固定。〝雷〟!
バチッ
音が響き雷雲から下にカミナリが落ちる。
さて、と、試したい事は此処からだ。
能力値を確認する。
ワヒト・ クロガネ
クロト・デュアリス ♂
年齢 7
Lv 15
ライフ 4530/4530
マナ 5130/5560
str 4450
def 4830
agi 3120
mat 4300
dex 3260
int 312
ギフト 解析眼 千里眼 龍化 闘気 思考力 真理理解
魔法技術 五大元素魔法 ランク3 雷魔法 ランク1 生成魔法 ランク1 空間魔法 ランク 2
スキル 器用 ランク3 剛力 ランク2 自己治癒 ランク3 魔力消費減少 ランク3 剣術 ランク2
よし、雷魔法が追加されて居る。魔術本を読んだり、教えて貰って覚える事が出来るなら、魔法として一度でも使えばその属性魔法を覚えると思ったのだ。
思った通りだった、後は声に出して使いさえしなければ、コレは俺だけのオリジナル魔法になるだろう。
まあ、他に雷魔法を使える奴がいたらあまり意味はないが。
この世界には素質で最初から魔法を覚えて居る場合と、使って覚える場合があるらしい。
生成魔法で詠唱自体を作り出し。魔法として使い、覚えたと言う事だ。
よし、遠距離攻撃の〝炎弾〟、近接攻撃の〝水螺子〟、範囲攻撃の〝炎嵐〟、
後は、〝空間認識〟と〝雷〟だな。
後は使いこなす為の練習を毎日して行けば良いな。
さて、帰るかと思った俺は、ふとある事を思い付く。試してみたい様な、やめた方がいい様な・・・
俺は森の入り口に向かうと、目の前の大木を見やる。
頭の中で詠唱。
〝インベントリ〟
唱えた後、直ぐに閉じるイメージ。
大木の内部にめがけ空間の断裂が起き、直ぐに消える。
ズッと音がして目の前の大木がズレて行く、そして地響きを鳴らし倒れる。
ズウンッ!・・・・・・・・・・
あ、コレはダメな奴だ。
俺はそう思った。