16話
「とうとう、ようやく、待ちに待った決勝戦がやって参りましたぁぁぁぁぁぁぁ!!」
あのまま二回戦、三回戦と戦いは続き、とうとう決勝戦。
周りには最初から見ていたギャラリーだけでなく、途中から見に来たギャラリーも増え、他にも戦いで負傷した冒険者とそれを治療しに来た医療班であふれていた。
戦いという戦いが全部俺の様な戦い方をしたわけでなく、中には本当に冒険者らしい戦い方をした者もおり、そのせいでの負傷者は後を絶たなかったのだ。
その医療班にはアイリスも参戦しており、すごい嬉しそうな顔で一気に複数の人を治療している。
ちなみにアイリスは二回戦にて負けてしまった。相手がリリーナだったのが悪かった。一回戦と同じように手助けをしようとした俺をリリーナのやつが見抜き、『ファイヤーボール』で俺の行動を牽制しつつ、アイリスを優しく場外へと下ろしたのだ。
鬼畜外道の座は俺ではなくリリーナに与えられるべきものだと俺は思う。
「それでは早速決勝戦を始めていきましょう! それではここまでの激闘を勝ち残ってきた強き冒険者のお二人、鬼畜外道のユウマさんとリリーナさん。戦闘場へおあがりください!!」
そう。なんと決勝まで残ったのは俺はもちろんとして、もう一人はリリーナだった。未来の大魔法使いと言っているだけあって魔法に関しては本当にエキスパートで、最初の試合こそは物理で戦っていたが、二回戦からは「動くのも面倒ね」とか言って、その場から全く動かずに中級魔法で相手を一撃で倒していた。
始まりの街と呼ばれるイニティでは中級魔法を覚えているだけでも相当なもので、それを攻撃魔法だけとはいえ網羅しているのだから本当にすごい。しかもそれでいて魔力も高いというのだから手に負えない。女神様からもらったわけでもない天性のチート持ちとしか思えない。
かくいう俺も持ち前の頭脳戦でここまで勝ち上がってきた。
初戦の試合開始と同時の魔法攻撃、新スキル『スティール』による精神攻撃、標準スキル『挑発』による相手の冷静さを奪い、こちらが優位に立つ作戦に、「あっ! UFO!」などのお約束の目線逸らしからの『潜伏』で姿を消し背後からのドンなどなど、俺の輝かしい頭脳戦が花を咲かせた。
「まさかお前がここまで勝ち上がって来るとはな、魔王リリーナ」
「そっちこそ、よくここまで勝ち上がってこれたものね。鬼畜王ユウマ」
「「フフフフフフッ……」」
「おーっと! 両者共、試合開始前から火花を散らしている! これは熱い戦いになりそうだ!」
決勝戦ということもあってか試合開始前から周りのギャラリーも騒がしい。
が、今の俺にはそんなことどうでもいい。
だって、だって―――
「「合法的にリリーナ(ユウマ)にいつもの仕返しができる!」」
「「ちょっと! 真似すんじゃねえ(ないわ)よ!!」」
「「だから同じこと言うな(わないで)よ!!」」
同じようなセリフを同時に吐く俺とリリーナ。
「ちくしょう! おい、司会の兄ちゃん! 早く試合を始めてくれ! 俺の右手の暗黒竜と左手の邪竜と左足の闇炎竜と右足のロードオブカオスと右目の邪王心眼と左目の暗黒眼が疼いてらあ!」
「あんたどんだけ危ないもん体に宿してんの!?」
「ユウマの言う通りよ! 私の中の魔力もこの街ごと目の前のユウマという男を木っ端みじんの、粉々の、微塵切りの、沙漠の砂のようにしてやれと叫んでいるわ!」
「あんたもあんたでなんで対戦相手を存在ごと消そうとしてるの!? しかも微塵切りってあんたの装備剣じゃなくて杖じゃん! 切れないじゃん! それに確かあんたら仲間で同じパーティーですよね!? そうですよね!?」
「「う(るさいわね)っせー!! とっとと始めろ(なさい)よ!!」」
「理不尽な! やっぱりこの人たち同じパーティーだ!」
最初は敬語で喋っていた司会者も、いつもの間にか俺らにだけは敬語を忘れて普通に喋っている。
「もう知りません! 殺し合いでもなんでもやっちゃってくださいよ! 試合開始!!」
「『ファイヤーボール』!!」
「『スプラッシュ』!!」
試合開始早々俺の魔法とリリーナの魔法がぶつかる。
相性の問題もあってか、どうにか相殺するまでに至った。
「ちっ、せっかく戦闘場に上る前から詠唱してすぐに魔法を撃てるようにしておいたのに、なんつー反応の良さ。さすがは能筋魔法使い」
「やっぱりロクでもない卑怯な手を隠し持ってたのね。牽制で魔法撃ってよかったわ。あと誰が能筋よ!」
最初のカードが上手く避けられてしまった俺は次のカードを迷わずに切る。今まで他の冒険者が戦っている間に「おー」とか「すげー」とか思っていたわけではない。
ちゃんと使えそうな作戦をいくつも練っていたのだ。
「『サンド』! からのー『エア』!」
俺は魔法によって形成したサラサラの砂を魔法によって生み出した風で吹き飛ばす。
「いつもいつも小賢しいのよ! 『ウインドブレス』!」
それをリリーナが中級魔法で何事もなかったかのように吹き飛ばす。
「今度はこっちから行くわよ! 『ブラストバーン』」
リリーナはさっきの中級魔法に続いてさらに中級魔法をほとんど詠唱なしに唱える。リリーナの杖の先から大きな炎が飛び出し、俺を目がけてすごい勢いで向かってくる。
それに対し俺は冷静に回避行動を取る。『逃走』スキルで敏捷を限界まで引き上げ、回避に足りなそうな分は『スプラッシュ』による加速をつけて回避。
「ちくしょう! さすがに何度も食らってりゃあ対策の一つも立てられるか! なら『スプラッシュ』!! からの『フリーズ』!!」
戦闘場全体を『スプラッシュ』で濡らし、それを『フリーズ』で一瞬で凍らせる。前に敏捷性のチートを持った奴に使用した作戦だが、今回の大会のルールではかなり優位に働く。
この大会の勝敗の決定は相手を気絶させるか降参させる。または相手を場外から落とす、だ。足元を凍らせてしまえば相手の動きの牽制を兼ねた上に、上手くいけば相手を落とすことも可能だ。
本当は俺が筋力や魔法でどうしようもできなさそうな巨体の男なんかに使おうと思っていた作戦だが、まさかここまできてリリーナに使うことになるとは思わなかった。
「どうだリリーナ! これで好きなように動けまい!」
「ふふんっ! バカはどっちかしらね! 『サンダー』!」
「へっ、そんなの当たるもんか……ってうおわっ!!」
リリーナの雷系魔法を避けようと逃走スキルを用いてその場を動こうとして転ぶ。リリーナの放った魔法は俺のすぐ横に飛来し、その場を黒く焦がした。
運よく魔法には当たらなかったものの、すぐ横に魔法が落ちたことに内心驚く。いくらリリーナの魔力が高いとはいえ初級魔法でここまでの火力が出るとは正直思わなかった。
それにしても俺は一体何に滑ったのだろう? 何かに躓いた感覚はなかったし、足が絡まったわけでもない。たとえるなら何かに滑ったような―――滑る!?
「しまった!!」
俺は足元を見て自分が何に滑ったのかを確認するのと同時に、自分の策のデメリットについて理解する。
「足元を凍らせるってことは俺もその氷に滑るってことじゃねえか! なんでこんな単純なことに気が付かなかったんだ!」
この戦闘場の全体に氷を張れば、それはすなわち自分の足場も凍らせることになる。つまり相手がデメリットに感じることを自分も味わうことになるということだ。
しかもまずいことに遠距離攻撃ではまず俺はリリーナに勝てない。俺も一応、申し訳程度の魔法と銃による中距離攻撃手段を持ってはいるが、魔力のブラックホール。魔力の四次元ポケットであるリリーナとの勝負には分が悪い。
「ふふっ。ユウマにしてはバカな作戦だったわね。言っておくけど私はこの場を一歩も動かないわよ。それでユウマは私になすすべもなく、みっともなく私に負けるのっ! いい気分だわ! 最高の気分よ!」
腰に手を当てて、嬉しそうに笑うリリーナ。
「くそっ! なめやがって! ちょっと形成が有利になったからって調子に乗んなよ! この能筋魔法使いが!」
「ふふっ。威勢だけはいいのねユウマ。ほら、なんかしてみなさいよ。できるもんならね! あはははははっ!」
「にゃ、にゃろー……」
待て、待つんだユウマ。冷静になれ! あんな能筋魔法使いに踊らされるな! まだ勝つ可能性は残ってる。
あの有名な先生だって言ってるじゃないか。「諦めたらそこで試合終了だよ?」って。
安西先生! 俺、勝負がしたいです!
そんなふざけた思考を脇に捨て去り、今度は必死に頭を回転させる。
足元は氷でまともに動けない。遠距離攻撃ではリリーナの方が上で、こっちは回避もままらなない。こっちの攻撃方法はリリーナより低レベルの魔法と銃が二丁。勝利条件は相手に負けを認めさせるか、気絶させるか、場外に落とすこと。
この条件から導き出される答えは―――
「なんもねぇ……」
考えてもロクな作戦が浮かばない。この状況を人は四面楚歌とかいうのだろうか。背水の陣なる言葉もあるが、この状況でどう頑張れと歴史の偉人は言うのだろう。
今の状況は安西先生すら真っ青な顔で「諦めも肝心という言葉もあります」とか言っちゃうレベルだよ! てか、昔の偉人って言ってること矛盾してるよな! 三度目の正直って言葉があるのに、二度あることは三度あるとかまさにそれじゃん!
「何ユウマ? もうあきらめたわけ? そうよねー、所詮ユウマごときが私に、未来の大魔法使いに勝てるはずがないのよ。食らいなさい『ウインド』!!」
「おわっ!?」
何もできずに動けない俺にリリーナは風属性の初級魔法で氷の上へと押し出す。どうにか落ちないように踏みとどまったものの、このままではジリ貧で負けるのも時間の問題だ。
もう一回リリーナが何らかの魔法を撃った時点で俺の負けは決定するだろう。
「もう飽きたわ。えっと、こういうのチェックメイトって言うんだったわよねユウマ。『ウインドブレス』!!」
リリーナの風魔法で俺の体が吹き飛ばさる。氷の上ではまともに踏ん張りなど効かず、あっさりと氷の上を滑っていく。せめてもの抵抗をと、わざとその場で転んで全身で氷に這いつくばるが、それも焼け石に水。一分も持たずに場外へと落ちてしまうだろう。
「やるっきゃない! 上手くいけよ! 『リスント』!!」
覚悟を持って右手を前に出し、リリーナに向けて拘束魔法『リスント』を放つ。その目的は決してリリーナを拘束しようというものではない。拘束してリリーナのエロい姿を公衆の面前にさらすのも悪くはないが、賞金と俺の自己満足を天秤にかけたら両方が同じ重さとなる。
「なに? 今更拘束魔法? もう魔法は撃ち終わってるし、今私が拘束されても意味なんて……きゃあっ!!」
「よし! まずは成功!」
俺の『リスント』はリリーナの手首をしっかりと捕らえた。もっと言えば手首だけを捕らえた。拘束魔法『リスント』の応用で、全身を拘束するのではなく身体の一部だけを拘束し、その端を自分で持つことで現在は宙に浮いている状態だ。
これは相手の筋力にも依存しているが、リリーナはその二つ名の通り能筋だ。魔法使いのくせに筋力も高い。具体的に言えば普通の魔法使いの三倍以上の筋力がある。
まあ、今はそのバカ力のおかげで俺は失格になっていないのだが。
「ヘルプサンキューなリリーナ! 大助かりだぜ!」
俺はそこまで力を入れる必要がないのでさっきの仕返しにリリーナを挑発する。
リリーナは俺のそんな罵倒に顔を真っ赤にして、必死に俺と繋がったロープを引っ張りながら。
「ふ、ふざけないでほしいわねユウマ……! このロープ……とっとと外しなさいよ……」
「ならそっちが風魔法を止めろよ。そうすれば楽になれるぜ」
「くっ……。仕方ないわね……」
リリーナが風魔法をやめた。
さっきまで吹き荒れていた初級魔法のくせに暴風に近い風は止み、俺の体が重力に従って地面へと落ちる。決して地球が大好きなわけではない。まずここが地球かもわからんし。
「ふー……。とりあえず一難回避ってところか……」
『リスント』は継続したまま、俺は空いている方の手を使って立ち上がる。
「今度はこっちの番だぜ! ドロー!」
カードなんて持っていないが、それらしいポーズを取る。
「攻撃魔法発動! 扇風機!!」
「せんぷうき? なによそ……れっ……!!」
俺はリリーナと『リスント』で繋がっている方の手を伸ばしてその場で思いっきり回転した。
「秘儀! メリーゴーランド~氷の上の舞姫~!!」
「結局技名……せんぷうきなのか……めりーごーらんどの……どっち……なのよ……っ」
なんとなく思いついたサブタイトルまでつけて、大きくその場で回転。回転。回転。
回転回転回転回転回転回転回転回転回転回転回転回転回転回転回転回転回転回転回転回転回転回転回転回転回転回転回転回転回転回転回転。
ちなみにリリーナの声がとぎれとぎれなのはリリーナも一緒に回っているので、少し変に聞こえるからだ。
「これがかの孔明も驚く、月と地球作戦だ!」
またもや新しい作戦名を思いついたので披露。
とにかく回転していればなんでもいい。それこそモーターでも、コーヒーカップでも、地球儀でも、お店でも何でもいい。
……ん? 最後のなんか違くね? 字、違くね?
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!! 今の俺なら螺旋力すら味方につけられそうだ! みろ! 俺のドリルを! 天を貫くドリルを!」
リリーナの声が聞こえなくなったが、思っていたより楽しくて調子に乗った俺はさらに回転の速度を上げる。
そして―――
「リバースカードオープン……おろろろろろろろろ」
吐いた。
そりゃああれだけ回転していれば何の訓練も積んでいない俺の三半規管が悲鳴を上げるはずである。
「ま、まったく……な、なんだっていうのよ……」
気絶したかと思われたリリーナも目をグルグルにして、フラフラの状態で立ち上がる。今の目がグルグルなリリーナならきっと魔方陣を書けば変なものが現れるはずだ。
かくいう俺もフラフラでグルグルの状態で立ち上がる。
「ど、どうだ……俺のトルネードハリケーンは……!!」
意味ほとんど同じだろ! という意見は受け付けません。
「な、名前一つに統一しなさいよ……」
今のフラフラで頭がしっかりとしていない状態ならいくらリリーナと手まともに魔法は使えまい。
どうにかリリーナの魔法攻撃を封した俺は、あとは実力行使 (物理)に出ようとして、わずかに残っていた理性がそれを止める。
ここで突っ込んでいっても、同じ状況のリリーナに筋力で勝てるはずがない。
「ならっ……!」
俺は一つの作戦を思いついた。
他の人なら利かないはずの、リリーナに対してのみ有効なこの作戦を!
「リリーナ。この街最強で未来の大魔法使い、いや、世界の魔法使いになるリリーナさん!」
「な、なによ……。気持ち悪いわね。二重の意味で……」
俺と同じく少しだけ冷静さを取り戻したリリーナが本当に気持ち悪そうな顔で返事をよこす。俺の顔や態度が気持ち悪いのではないと信じたい。
「ちょっと自信のあるなぞなぞがあるんだ。リリーナが本当に天才だってんなら答えてみろよ!」
リリーナに指を突きつけ、挑戦を挑む。
「こんな時に何なのよ。なぞなぞ? あとでいくらでも答えてあげるわよ。それより今は勝負……」
「なんだ? 自分で天才とか言っておきながら逃げるのか? もしかして答えられないのが怖いんだろ? そうなんだろ?」
「なっ! いいわっ、やってやろうじゃないの! なんでも来なさい! 一秒で答えてやるわ!」
よしっ! 乗ってきた!
こうやって挑発すればリリーナのことだから簡単に乗ってきてくれると思ってたぜ! よっ! 能筋! 大統領!
上手くリリーナを乗せることに成功した俺は、あるとは思えないがリリーナが冷静さを取り戻したり、周りのギャラリーから変な野次が入って戦闘に戻らされないうちに行動に移る。
「じゃあ第一問! 中に当てはまる文字を答えよ! 寝るときに頭を置く物、〇くら!」
「ふっ! 簡単ね! 答えは『ま』、まくらの『ま』!!」
「正解だ! じゃあ第二問! 基本的に人の頭に生えているもの! 髪の〇!」
「『毛』!」
「第三問! お前が今現在戦っている相手! ユウ〇!」
「『マ』!」
「第四問! 人の口の中にある歯でも喉ちんこでもない物! ○○」
「『舌』!」
「よしっ! 俺の勝ちだ!!」
あまりに嬉しくてガッツポーズ!
嬉しい時ってやっぱりガッツポーズしたいよね!
「……はっ!? なに言ってるわけユウマ? 今のでなぞなぞが終わりなら全問正解の私の勝ちでしょ! 負けを認めないのは男としてダサいわよユウマ!」
俺の勝利宣言にリリーナが食って掛かってくる。
周りのギャラリーも俺の勝利宣言の意味がわかっていないようで頭にハテナを浮かべている。
全く、あまりにも高度な作戦すぎてリリーナどころか周りのギャラリーにもわかってもらえないとは。
俺、孔明超えたんじゃね?
「仕方ない、サルでもわかるように説明してやろう。おいリリーナ。お前は今のなぞなぞの答えでなんて答えた?」
「え……? えっと……枕の『ま』、髪の毛の『毛』、ユウマの『マ』、舌、ベロの『舌』……ね」
「それを続けて言って見ろ」
「は? えっと、ま毛マ舌……マケマシタ……まけました……っ!? 負けました!?」
ようやく自分の犯したことに気付いたようだ。
「そうだ! お前は『負けました』、そう言ったんだ! つまり降参をした!!」
これが対リリーナ専用作戦! 言わぬなら言わせてしまおうホトトギス作戦だ!
「なあ司会者の兄ちゃん。俺の勝ちでいいよな? てか、勝ちだよな? それ以外ないよな?」
「むっ……卑怯! 外道! 鬼畜! でもそれでこそあなたたちの戦いの最後にふさわしいと私は判断しました! 勝者、鬼畜王ユウマ!! 皆さん! 優勝者のき・ち・く・お・う! ユウマさんに盛大な拍手を!!」
「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」」」
「おいおいおい! なんでやたらと鬼畜王を強調するんだよ! 俺が勝ち取ったのはこの街で最強の冒険者であるという証明だろ!? なんで鬼畜王の座を争ってたみたいになってんの!? あとギャラリーのお前らも歓声あげんな! 俺になにかをあげたいってんなら金よこせ! 美少女でも可!!」
こんな感じで最後はなんだかただのお祭り騒ぎになってしまったが、天下一武道会(仮)は俺の優勝ということで幕を閉じた。
「納得いかないわ……」
「リリーナ。ユウマに常識を求めちゃだめだよ……」
「ユウマさん……」
そんな俺の仲間三人の、悲しそうな目線に俺は気づくことない。




