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最弱ニートの異世界転生  作者: Rewrite
第四章
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5話

 俺のムスコの存在をみんなに見られてから早三日。

 どうにかみんなと前と同じように普通に接してもらうことができるようになった。

 ミカなんかはあの後すぐになんだかんだ言いながらも「大丈夫、小さいころにいっぱい見たもん。あの時より大きかったけど……うん……大丈夫……」などと自分に暗示をかけてすぐに立ち直り、俺と普通に話してくれた。

 リリーナもなんだかんだ罵倒をし終えたら満足したらしく、次の日にはケロッとしていたものだ。

 ただ、アイリスだけは違った。

 ほかの二人よりも純情な純粋な感情を持っていたアイリスは、俺のムスコの存在はかなり大きかったらしく、昨日の夜まで眼すら合わせてもらえなかった。

 あまりにアイリスに避けられ続けて生きている意味を見失った俺が自殺を試みるまで、アイリスは俺と大した会話もしてくれなかったぐらいだ。

 が、それも昨日まで、今日からはいつも通りの日常である。


「というわけでー、借金返済のために一狩り行こうぜ!」


 と、この前と同じセリフを宣言しながら三人のいる居間へと足を踏み入れる。


「そうね。三日間もクエスト受けてないし、今日は派手に暴れてやるわ!」


 俺の宣言にいの一番の乗ってきてくれたのがリリーナ。さすがの能筋魔法使い、こういう話は早くて助かる。


「そだね。私も動かないとお肉が……」


 そう言って自分のお腹のお肉を摘まむミカ。


「そんなことないと思うけどな。こっちに来てからそこまで体形変わってるように見えないし。それに男からしたら細っそい女の子より、少しくらい肉付きのいい女の子の方がいいと思うぞ」


 俺からしたらミカは普通くらいで、悪く言っても少し肉付きがいいかな? くらいのものだ。

 それに男子の目線から言わせてもらえば、ガリガリの女の子より少し肉付きのいい柔らかい女の子の方がかわいく見えるものである。

 まあ、これはあくまで俺個人の意見で、中には筋肉ムキムキじゃないとダメ! とか、ガリガリで体に触ったら骨の感触がないと嫌! なんていう人もいるかもしれないが、大抵の健全な男子は俺と似たような思考のやつが多いと思われる。


「それホント!? ユウマも細すぎる女の子より少し太ってるくらいの女の子の方が好きなの!?」


 なぜか俺の言葉に瞳を輝かせながらグイグイと寄ってくるミカ。

 ミカの食いつっきっぷりに少し動揺しながらも俺は言葉を返す。


「……あ、ああ。太ってるってのは言い過ぎだけど、男からしたら女の子のイメージって自分より細くて柔らかいって感じだから、痩せすぎず太りすぎず、ってのが一番だと思うぞ」


 何度も言うが、実際に女の子なんて抱いたことのない男の意見なので、あくまでもアニメや漫画での資料を基にした俺の個人的意見である。


「ふーん。ふーん。そうなんだー。ユウマはー、少しくらい太ってる女の子の方が好きなんだー。へえー。そうなんだー」

「……なんだよ。さっきまで少し落ち込み気味だったくせに急に元気だな」


 この前少し心配をかけてしまったことを俺なりに感謝していたので、今くらいは素直にフォローを入れてやろうと思って言ってやったのに、なんか気に食わない。何がとは言えないが気に食わない。

 たぶんミカの手のひらの上にいるっぽくて嫌なのだとは思う。


「……まあ、いいや。……それでアイリスはどうだ? キツイなら明日にでも回すけど」


 さっきも言ったが、アイリスは昨日まで俺との接触を極力避け、一日中神経を張る日々を送っていた。

 俺の方はと言えば、なんだかんだで昨日のユウマ自殺事件をアイリスという名の天使に救われた時点で心のゲージは回復している。

 我ながら単純だが便利な心だと自分でも少し笑えてくる。


「いえ、行けます。借金もまだまだたくさん残ってますし、今日も働きましょう!」


 元気いっぱいに右手を上げるアイリス。それはまるで遠足当日の朝の女子小学生のようで、心の底から嬉しそうだ。

 そんなアイリスの顔を俺はすかさずスマホでパシャリ―――しようと思ったのだが、焦っていたせいでスマホを上手く取り出すことができず、妥協として瞼を何度も閉じたり開いたりして心のシャッターを何度も切った。

 そしてアイリスが手を上げ終わったときに俺は自分のミスに気付く。


「しまったーーーーーーーっ!! 心のシャッターなんて切ってる暇があったら心のメモリーに動画保存しておくべきだったーーーーーーーっ!!」


 何たる深く、何たる失敗。

 俺の紳士としての心得はどこにいってしまったというのだろう。


「はいはい。その心のシャッターとか、心のメモリーのデータは全部消去してクエストに行こうねー」


 そして無情にもミカの可哀想なものを見るような目。


「……次は絶対に間違わない」


 そんな今のセリフだけならカッコイイセリフを吐きながら俺たちは玄関へと向かい、みんなでギルドへと足を運んだ。


 ―――――――――――――――――――――――――――――――


「ん? おう! ユウマじゃねえか。久しぶりだな。三日ぶりか」

「そうだな。三日ぶりだ」

「おっ、借金王子っ。今日も元気に借金返済か」

「そうだよ。同情するなら金をくれ」

「エッチなことはダメだよ~」

「俺がエッチなことをするのは君みたいなかわいい子がこの世に存在しているのがいけないんだ。俺は悪くねえ! あえて誰かに責任を取らせるなら、かわいい女の子のこの世に生んだ神が悪い!」


 ギルドに入るなり、そこらかしこからの俺への挨拶という名の野次。

 前までならギルド内では誰とも話すことなくアイリスやミカたちとクエストボードへと向かい、クエストを選び、きれいなお姉さんを選んでそこにクエスト用紙を出しに行くぐらいだった。

 が、今ではこの前のオーク集団を討伐した時にリーダーをやり、作戦を成功させて街を守ったことから俺とここの冒険者たちの間ではちょっとした絆が生まれていた。

 街の人にも俺がこの街を守る指揮をしていたことが広まっていて、挨拶は当たり前、たまに果物や野菜もただでもらったりしている。

 今の俺たちのとってこれほどありがたいことはない。


「ユウマ、あれからすごいみんなに慕われてるわよね。少し前までは鬼畜のユウマとか、外道とか言われてたのに」

「そうだな。やっとみんなが俺の魅力に気づいたんだろ。全く、遅すぎるぜおい」

「ユウマの魅力? なんかあったかしら?」

「おいリリーナ。これ以上借金は増やしたくない。門の外まで二人で行こう。そうしよう」


 周りのみんなは俺の評価を変えたというのに、俺のパーティーメンバーは俺の評価を全く変えない。昔からの馴染みであるミカはともかくとしても、リリーナあたりはもう少し俺に優しくするべきである。


「でも、よかったですねユウマさん。前まではみなさんユウマさんをみたら変な目をしたり、少し距離を取ったり、こそこそ何か言ったりしてましたもんね」

「……そうだな」


 アイリスの言う。変な目というのは獣を見る目か、女性達の非難の目である。

 少し距離を取られたのは自分たちもリリーナみたいなことをされるのでは? と自分の身を守った女性たちで、こそこそ何か言っていたというのはおそらく外道とか、鬼畜とか、変態とかであろう。


「男たるものそういった邪な感情がないほうがおかしいんだ。俺は普通。普通なんだ」


 だって男でエロくない奴なんていないだろ。

 純情系ぶってる草食系の男子だって肉食系の女子に襲われたら一瞬でコロッといくし、行かないにしても誰かに止めてもらわなかったら危ないところまで理性を持っていかれている。

 アニメや漫画でそうなんだから間違いない!


「何か言いましたかユウマさん? 声が小さくて聞き取れなかったのですが……」

「いや、独り言だよ。気にしないくていい」

「ダメだよアイリスちゃん。ああいう独り言をいうときのユウマは悪だくみをしてるか、エッチなことを考えてる時だから近づいちゃダメ」

「え? ユウマさん……」

「おいこらミカ! アイリスに変なこと吹き込むな! アイリスは純情天使ちゃんで言われたことを疑わないんだからやめろ! せっかく上げた俺のアイリスへの好感度が下がるだろ! エンディングが遠のくんだよ! 「エンディングは見えたぞ!」って言える日が遠のくだろ!」


 俺からアイリスを遠ざけるように引き離していくミカに、とんだ言いがかりだと文句を飛ばす。


「いい? アイリスちゃん。男はみんな狼なの。野獣なの。獣であり野獣なの。アイリスちゃんみたいなかわいい女の子はすぐに食べられちゃうんだから」

「狼……獣……野獣……」

「いい加減にしろよミカ! やっとアイリスとの距離を元通りにしたのにまた遠のくだろ!」

「嘘は言ってないもん。もし否定したいんなら私やアイリスちゃんの目を見て言える? 俺はアイリスに欲情もしないし、変な感情も抱かない。恋愛感情なんてありえない。って」

「当たり前だろ! 俺はアイリスに欲情しないし、変な感情も抱かない、恋愛感情なんて……」


 そこまで言って口ごもる俺。

 だって言えるはずがない。欲情はや変な感情というものはともかく、恋愛感情がないかと言われたらないとは言えない。むしろ将来設計まで立てたことがあるくらいだ。


「……ユウマさん」

「止めてくれアイリス! お兄ちゃんを、パパをそんな目でみないでくれぇっ!」


 その場で膝から崩れ落ち、涙ながらに懇願する俺。

 今アイリスに見捨てられたら俺はこの場で自決する覚悟まである。

 それでまたラティファに会えればなおよし!


「これはもう重症ね。ロリコンの鏡だわ……」

「うるせえリリーナ! 俺はロリコンじゃねえって何度言ったらわかるんだ! 俺がロリコンだとしたらお前のことを年増かババアって呼んでるよ!」

「年増……ババアですって! ちょっとユウマ! 聞き捨てならないわね! 私はまだ十七! 今年で十八よ! ユウマとそんなに変わらないでしょ!」

「俺は今十五で今年十六だから二つ年離れてんだろ? ロリコンからしたら十二を超えたらババアだよ」

「もう我慢ならないわ! 『ファイヤー……」


「「「止めろ(て)ーーーーーっ!!」」」


 ギルド内で魔法を放とうとしたリリーナを三人で抑え込むことにより、事なきを得た。

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