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最弱ニートの異世界転生  作者: Rewrite
第四章
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2話

 

「いいかリリーナ。作戦を説明するぞ。まずいつものように俺が囮になる。そしてお前は魔法を詠唱しろ。属性は火属性の魔法だ。できれば威力高めので頼む」

「わかったわ。そのかわり何があっても絶対に私を守りなさいよ。さっきのミカみたいな扱いは嫌よ。いい? 絶対だからね」

「……」

「返事しなさいよ! ……ねえ!? ユウマ!? 無言ってちょっと怖いのよ、返事くらいしないさいよ!!」

「……アデュー!」

「あーっ! こら待てユウマーっ!!」


 結局リリーナにロクに返事も返さず、俺はビックビートルに向かってショートソード一本で駆け出した。

 だって絶対に守り切るとか無理だもん。あいつの体当たりがリリーナの方に行ったら俺は絶対にあきらめる自信がある。あの『金剛力』持ちのミカが一発でノックアウトなんだから、軽装の俺がまともに食らったら一溜まりもない。

 俺には武器を持ったらその武器の使用方法がわかって戦闘力が上がるような紋章は宿っていないのだ。

 それに生きていればアイリスがどうにかしてくれそうだけど、下手して死んだらどうしようもない。

 前にアイリスにこういったことを聞いたことがあった。


「なあ、アイリス。この世界に蘇生魔法とかってないのか? 『ザオ○ク』とか『レ〇ズ』とか。魔法じゃなくても魔道具とかで『世界樹〇葉』」とか、『フェニックスの〇』とかさ」

「その、ざおり〇とか、せか〇じゅのは、というものはよくわかりませんが、死者の蘇生ですか……。一応そういった魔法はありますよ。魔道具の方は私は知りませんが、もしかしたらファナさんが知ってるかもしれません」

「そうか。確認だけどアイリスは蘇生魔法を使ったりできないのか?」

「すいませんができません。蘇生レベルの魔法となると、リリーナさんではないですが世界レベルの魔法使いでないと使えません。その中でも回復魔法に特化した人のみです。それぐらい死者の蘇生は難しいんですよ」

「そうなのか……。アイリスレベルでも蘇生はできないのか」

「はい……すいません。……でも、なんでそんなことを?」


 アイリスのそんな無垢な質問に俺は―――


「死んでもいいなら多少は無理が効くだろ? やっぱり誰かが死ぬのとか見たくねえし、それなら自分がって思うんだよ。知らねえ奴なら見て見ぬふりでもしてやるけど、アイリスやリリーナやミカにそんなことがあったら嫌だしさ」

「ゆ、ユウマさん……」


 という話なのだが。

 ここだけ聞くといい話っぽく聞こえるかもしれないが、実際のところ俺の内心は、やっぱり痛い思いはしたくないからもしもの時はミカを盾に使いたい。でも、死なれたくはない。

 という自分勝手で最低で最悪な考えをしていたからである。

 実際に最悪自分が死んでしまった時にアイリスに生き返らせてもらえないかも気になってはいたが。


 ゲームのように死者を蘇生できるのならば、ある程度は無理な行動ができる。

 例えば爆発ポーションを全身に纏って相手に突貫して倒したのちにアイリスに蘇生してもらうとか。もちろんその役目はミカかリリーナに頼む。

 後は、リリーナが魔物に放った魔法が俺にもあたってしまって死んでしまったときとか、ミカが戦闘中にとんでもないドジを起こして俺を殺したときとかに生き返れたりしないかとか。

 特に後者はマジでありそうだから困る。


「だから絶対に死にたくはない! リリーナなら大丈夫だ。アイツはなんだかんだ言って悪運が強い。オークに囲まれたときやコットンラビットに囲まれたとき、ワイルドボアに囲まれたときにもあいつはケガ一つなく生きてた」


 そう。リリーナはやたら魔物に囲まれるくせに、その全部で無事に生還している。それもロクなケガもなしでだ。

 いつもただ遊ばれるだけ遊ばれて、痛い目に合うこともエロい目に合うこともなく、いつもフラフラになって戻ってくるか、気絶してその場に倒れこんでいる。

 何度寝ている美少女にいたずらをしてみたいという衝動に駆られ、それを抑えてきたかわからない。リリーナは本当に黙っていれば美少女だからな。


「それに比べて俺は―――」


 それに比べて俺はリリーナと同じくケガこそしていないものの、いろいろなものを失っている。

 オークに貞操を奪われかけたり、オークに貞操を貞操を奪われかけたり、オークに貞操を奪われかけたり。


 ―――あれ? 俺、オークに貞操奪われかけたくらいしか命の危険なくね?


「忘れるんだユウマ! トラウマを自ら掘り下げるな! 今を生きるんだ! 過去じゃない、今を!」


 危うく過去のトラウマに苛まれそうになる自分を奮い立たせ、その時の怒りをすべて発散させるためにビックビートルに挑む。

 人はこれを八つ当たりという。


「俺のレベルアップとともに成長した筋力を見せてやる! ふんっ!」


 掛け声とともにショートソードでビックビートルの一番危険そうな部位である角の部分をへし折りにかかる。

 あれさえ破壊できれば戦闘がだいぶ楽になる。

 それを見込んでの攻撃である。

 が、しかし。


「……かってぇぇぇぇぇぇぇーーーーーー!!」


 角をへし折るどころか俺の持っていたショートソードの方が折れ、それを振るった俺の腕すらも折れるんじゃないかと思った。

 実際に今でもショートソードを振るった右手がマヒして震えている。


「っつーっ! ったく、なんつー硬さだよ。あーあ、俺のショートソードが……今は一ギルですら恋しいってのに。ぜってー許さねえ!」


 ビックビートルに対しさらなる八つ当たりをぶつけることを決意し、『ゲート』を使って銃を二丁とも取り出す。

 まだ少し震える右手には実弾を撃つ黒い拳銃を、左手には魔力を銃弾に変えて魔弾として撃つ白い銃を握りしめる。

 本当は銃の引き金の部分に指を入れて回したかったのだが、失敗して暴発したら怖いのでやめておく。


「いよいよ本格的に実戦投入だ。見せてやるぜ」


 これ見よがしに拳銃を取り出した後ビックビートルから少し距離を取って、まずは実弾を三発ほど発砲。その内の二発が当たり、一発だけ外してしまう。

 この拳銃も普通の拳銃と同じく、一発発砲するたびにある程度振動で標準がぶれる。そのせいで一発だけ外してしまった。

 今度『狙撃』なりなんなりのスキルを取った方がいいかもしれない。


「……にしても効果なしかよ。はじかれてやんの」


 俺の放った銃弾は見事に二発はビックビートルに命中した。

 一発が背中に、もう一発が角の付け根のあたりに命中したのだが、その二発とも見事に甲殻によってはじかれた。


「となりゃあ……」


 魔弾を二発ほど発砲。今度は二発とも命中した。


「どうだ!!」


 手ごたえは確かにあった。

 俺の少ない魔力を全力で込めた魔弾二発。これでダメならもう打つ手がない。


「―――ですよねーっ! 俺の残り少ない魔力を二発分にも分けた魔弾じゃその硬そうな甲殻を貫通するわけないよねーっ!!」


 結果、俺の放った魔弾は貫通することはなかった。

 そりゃあ、今朝にリリーナに対して『リスント』を使って、今ここで『ゲート』も使っている。

 元々の魔力が雀の涙程度の残り魔力なんてたかが知れていた。それを二発分にも分けて発砲したのだから一発分に込められた魔力はアイリスの『ヒール』一回分にも満たないだろう。


「でも、時間は稼げたはずだ。リリーナ!!」

「任せなさいって!」


 後ろを振り返ると、リリーナがすでに魔法の詠唱を終えていた。


「やれリリーナ!」

「言われなくとも! 食らいなさい、『エクスプロージョン』っ!!!」

「……えっ?」


 リリーナが放った火属性魔法『エクスプロージョン』。

 ビックビートルの周りが一瞬の静寂に包まれる。やがて魔力が収束していき、その場を中心に広がって爆発と化した。

 耳を劈く爆音とともに、周りのすべてを吹き飛ばそうと爆風が俺を襲う。

 爆音は俺の耳を破壊するんじゃないかと思うくらいの音を響かせ続け、爆風は俺を吹き飛ばし焼けつくそうと荒れ狂う。

 今までに見たこともないような威力であり、破壊力。

 俺の知っている虚無の魔法使いの女の子や、爆裂道を歩んでいる一日に一発しか爆裂魔法を撃つことのできない女の子が放つ、『エクスプロージョン』と差して変わらないレベルの魔法。

 確実にこの世界でトップレベルの魔法だろう。


 そしてそれを理解した時にはもう―――


 命を落としていた。


 ―――――――――――――――――――――――――――――――


「あのー……起きてください。……あぁ、ユウマさまー。起きてくださーい」


 柔らかな声が聞こえる。

 とても温かみのある優しい声。声は少し高めで、それが女性のものだと思われる。

 しかしその声に聞き覚えはない。アイリスの声でもリリーナの声でもミカの声でもない。ましてやファナや母さんの声でもない。

 それなのに、初めて聞く声のはずなのに、なぜか安心できる、そんな声音。

 優しすぎて、甘すぎて、溶けてしまいそうな声。

 そんな声が俺の名前を呼んでいる。

 確かに、呼んでいる。


「……んん」


 何とも言えない甘美な声に俺は軽い身じろぎで応じる。

 ニートはすぐに起きれないのだ。


「ユウマさまー。起きてくださーい」


 再び甘美な声が俺の名を呼ぶ。そして今度は軽く体を揺さぶられた。

 が、その揺らし度は軽いもので、まるでゆりかごのようだ。逆に眠気を誘発させる。


「あと一年~」


 ニートらしくその甘美な声と揺さぶりに甘え、お決まりの言葉を吐きながら再び深い眠りに着こうと布団を被ろうとしたら何か柔らかいものを掴んだ。


「ひゃん!!」

「ん~?」


 布団だと思って手に取ったそれはとても大きい。そして柔らかい。

 が、布団の様な柔らかさではなく、もっと弾力性に富んでいる。

 それが何なのか俺の好奇心が知りたがって、目をつむったままの状態でそれが何なのかを手探りで確かめる。

 揉んで、撫でて、つまんで、指と指で挟んで、握って、思いつくありとあらゆる方法でソレを確かめる。


「ひゃっ! ……あ……あのー……ユウマ様……」


 何だろう。柔らかくて、暖かくて、弾力性があるもの。

 それが何なのか確かめたくて、ニートとしてのプライドを一回捨てて目を開ける。

 そこには―――


 女の子の胸を揉みしだく俺の右手があった。


 少し視線をずらすと、そこにはとてもかわいい紫紺の瞳の女の子。

 雪のように白く穢れを知らない長髪に、雪のように白く透き通った肌、大きく見開かれている両目には紫紺の瞳が宿っており、その瞳には確かに俺が映っている。

 その子を見た俺の最初の印象はまさに雪。真っ白で透き通っていて、まだ誰にも踏み入られていないきれいなままの純白の雪。穢れを知らない、まっさらな雪。


 それを自覚した時、冷や汗が全身を濡らした。

 自分が今トンデモナイことをやっているのだと意識よりも本能が先に理解した。

 これ、不慮の事故だよね? 俺、捕まったりしないよね? 大丈夫だよね?


「ようやく起きてくださいましたね……。……もうそろそろ手を離してもらってもよろしいでしょうか?」

「いや、無理だ。手がそれを拒否している。もうこいつは俺の言うことを聞いてくれないんだ。沈まれ、俺の右腕ーっ!」


 この期に及んで俺の考えたいことは、どうせ捕まるのなら最後は好きなことをやっておきたい。どうせ犯罪をしてしまったのなら、そのまま思う存分堪能したい、だった。

 我ながらいい性格をしている。


「ですが、私も手を離してもらえないと困るといいますか、恥ずかしいといいますか……」

「え? なんだって? なにから手を離すって? おじさん耳が遠いから聞こえないなー。もっと大きな声で、はっきりと、名詞も含んで言ってくれなきゃおじさんわかんないよ」

「あの……本当にお願いです。……離してください」


 なんだか俺のやっていることは、いい年こいたおじさんが頬を上気させ、息をハアハアさせながら「お金あげるから、おじさんと一発しようよ」と言ってるのと似たようなものの気がする。

 さすがにああいったおじさんにはなりたくないので、彼女のおぱーいから手を離す。

 若干……いや、かなり抵抗があったのは言うまでもない。


「手を離していただいてありがとうございます」

「え? ああ、うん。いいってことよ」


 なんでか目の前の女の子は未だに少し頬を赤くしながら、なぜかただの犯罪者である俺にお礼の言葉を言ってくれた。

 そのことに対する俺の罪悪感が半端ない。罪悪感がマッハなんだけど。


「……で、君誰? 俺のファン? それとも追っかけ? それともストーカー? どれでも君みたいなかわいい女の子なら大歓迎だけど」

「えーっと……どれでもないと思います」


 俺のバカみたいな質問に真面目に応答してくれる女の子。

 なんというかこの子。髪の色といい性格といい、アイリスみたいな子だ。

 アイリスが成長したらこんな感じになるのだろうか。ロリ巨乳になるのだろうか? だとしたら将来が今から楽しみ……


「いや、待つんだユウマ。そんな未来に期待をする必要はあるのか? アイリスは今だって十分にかわいい。確かにロリで巨乳は需要が高いが、貧乳はステータスという名言もある。ここで安易にアイリスの成長を望むのは早計ではなかろうか? 大きくは誰にだってなれる。でも小さくはなれない。なら、そのひと時を望んでもいいのではなかろうか」


 人によっては永久に答えの出ない問いを俺は頭の中の全俺で展開する。

 一応俺の守備範囲を説明しておくと、幼稚園児からちょっと大人なお姉さんまで。ロリコンでもなく、年上好きでもない。どちらも好きというオールラウンダーである。

 人は俺をただの女好きと呼ぶ。


「ん? そういえばここどこだ? 確か俺みんなと一緒に森にビックビートルを倒しに行ってたはずなんだけど。討伐中だったはずなんだけど」


 永久に答えの出ない問いを放棄して今の状態を冷静に分析してみると、自分が今いるところがおかしいことに気が付いた。

 俺の今いる場所はだだっ広い空間だ。

 周りは白に包まれ、ところどころ白い柱が立っている。それなのに上を見上げても天井は見えず、明かりもどこからきているのかが全く分からない。

 床は白いタイルの様なものでできているようで、歩くとこの空間が静寂に包まれているというのもあるのだろうが、カツカツと子気味よい音を鳴らす。足の踵で音を鳴らすアレをやりたくなる床ではあるが、俺にそんな特技はない。

 次に視線を前に戻すと、そこには白いテーブルが一つと白い椅子が一二つ。その奥に王様が座っていそうな背もたれが長い大きな椅子があり、その奥にはこれまた大きな白い扉がある。

 白いテーブルの上には紅茶の入ったティーカップが一つ置かれており、この子が今まで飲んでいた物だと簡単に推測で来た。

 それを使って何かを飲みたいと思う俺は男の子として正常なはずだ。


「えーっと、いろいろと混乱していると思いますので一から説明させていただきます。……まず私の名前はラティファです」

「ラティファ? どっかで聞いた気が……」


 アニメや漫画などではなく、現実(リアル)としてどこかで聞いたような気がする。


「たぶんユウマさんが異世界に来た時だと思います」

「こっちに来た時? ……あっ! 女神! 女神様か!」

「はいっ!」


 思い出した。

 この世界に飛ばされて、最初のチュートリアルで確か女神ラティファという名を聞いた。

 俺たちをこの異世界に送り込み、さらにはいきなり魔王討伐を命じ、みんなにはチートを宿したのに俺にだけ宿してくれなかった張本人。


「それでラティファ……女神様って呼んだ方がいい?」


 俺からしたらただのかわいい美少女ではあるが、相手は一応神という存在。

 女の神と書いて女神。神様の中の一人なのだから。


「いえ、ユウマ様のお好きなように呼んでもらって構いません。……ただ、わがままを言わせてもらえばラティファと呼んでいただいた方が友達みたいでうれしいです」


 指を合わせてもじもじとしながら小さな声で言うラティファ。どこまでもアイリスに似ている。


「わかったよ。……で、ラティファ。ここはどこなんだ? 何で俺はここにいる? みんなはどうした? 俺の嫁は?」

「えーっと、順番に説明させてもらいますね。まずここは『生と死の間』です」

「『生と死の間』?」

「はい。簡潔に申しますと、死んだ人間が通るあの世への最後の扉がある場所になります」

「つーと、あの世とこの世の狭間みたいなやつか? この扉を通るとあの世に行けるっていう」

「そういうことになりますね。理解が早くて助かります」

「そりゃあ自慢にもならないけど、伊達に引きこもってなかったからな」


 本当に自慢にもならないが、伊達に現実世界―――日本で親を泣かせながら自室に引きこもっていたわけではない。

 いろいろな物語を読み、いろいろなゲームをし、いろいろな想像をした。

 魔王を倒す王道ファンタジーから、魔王が世界を滅ぼす非王道ファンタジー、RPGにアクション、学校にテロリストが乗り込んできたら……などなど、いろいろとやったものである。

 ちなみに最後の学校にテロリストが乗り込んできたら、という内容は誰もがみんな一度は考える妄想だろうが、俺は不登校だったのでどうあってもこの状況にならないことを妄想の途中で理解し、泣いた覚えがある。


「……ってーと、俺って……死んだのか?」


 ここが生と死の狭間だというのなら。

 ここがあの世への扉の入口だというのなら。


 俺は―――死んだことになる。


「その通りです、ユウマ様。日本でのお話をすれば倉木(くらき)優魔(ゆうま)様」

「えっ!? ここで俺の本名出すの!? ここまで来て俺の苗字出すの!? 俺ってばこのまま一生苗字を名乗ることなく死んでいくものだと……」


 なんという今更感。

 異世界物というと、苗字の大抵の役割は貴族の証だったりするから、それが嫌で俺は苗字を名乗らずに生きてきたのに、まさかこんな形で自分の苗字を発表することになるとは思わなかった。

 気になる方がいるかもしれないので一応紹介しておくと、俺の幼馴染、ミカの本名は水野(みずの)美香(みか)である。


「……えっと、お話を戻しますね」

「ああ、悪かった。説明を続けてくれ」


 俺の意味の分からないツッコミのせいで脱線してしまった話を元のレールの上に戻す。


「とりあえず改めてもう一度言わせてもらいます。ユウマ様、日本でのお話をすれば倉木優魔様」


 ラティファは改めて俺の名と、俺の本名を言って、それから―――


「あなたは死にました」


 たった一言、そう告げたのだった。

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