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最弱ニートの異世界転生  作者: Rewrite
第三章
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9話

「それじゃあ俺は出かけてくる。アイリス、二人の面倒悪いけど頼むな」

「はい。任せてください。ユウマさんは安心してお出かけしてきてください」

「あー。行ってくるよ」


 次の日、俺はアイリスに昨日のクエストで後遺症が残っているミカとリリーナの面倒を任せて、屋敷を後にした。

 リリーナは昨日魔力を使いすぎたとかで「今日は魔力が足りなくて調子が出ないわ……」などと、珍しく疲れた表情で言っていた。

 なので俺は日課であるリリーナの今日のパンツの色チェックを簡単に済ませることができた。

 リリーナは不機嫌そうな顔で「明日は覚えてなさいよ……」とか言っていたが、リリーナのことだから明日にはきっと忘れている。

 ミカは昨日岩で打ったところが痛いらしく、今日は一日アイリスに治療してもらうと言っていた。

 その際に「『金剛力』でもコブとかできるんだな、そういえば昨日お前を背負ってる時に思ったんだが……ミカ、太った? 大分重かったんだが……」と言ったら殴られた。殴る元気はあるらしい。


「まあ、今日はあの面倒な二人がいないし一人で頑張るか。むしろ一人のほうが捗るかもしれないしな」


 呑気なことを言いながら頭の後ろで手を組みつつ、歩いて五分ほどのギルドを目指す。


「おっ! ユウマの兄ちゃんじゃん! どうしたんだ?」

「ぺこ。ふんふんっ」


 目の前に盗賊ザックとシュリちゃんが現れた。

 ユウマはどうする?


 戦う。

 逃げる。

 道具。

 シュリちゃんをhshs、prpr。


 うん、迷うことなく最後のやつだ。


「ユウマのprprする攻撃!」


 俺は自分でそう言いつつ、シュリちゃんに近づく。


「……おい、兄ちゃん。いくら兄ちゃんでもシュリに手を出すなら憲兵呼ぶぞ」

「冗談だよ冗談。だから笑えない冗談はやめてくれ」

「俺は本気だよ兄ちゃん」


 やたらと鋭い目で睨んでくるザックに、俺は半分以上本気だったことを隠しつつ笑いかける。


「それで兄ちゃん、ホントに何してんだ? アイリスや姉ちゃん達は?」

「ふんふんっ」


 改めてザックとシュリちゃんが質問してくる。といってもシュリちゃんはザックの言った後に首を振り自分で擬音を口にしているだけだが。


「ああ、今日は一人でクエスト受けに行くんだよ。リリーナたちは今日はお休みだ」

「そうなのか。……なあ、ユウマの兄ちゃん」

「ん? なんだ?」

「ユウマの兄ちゃんがいいならなんだけど、今日だけでも俺とシュリとクエストを受けないか? 俺たちもユウマの兄ちゃんに憧れて冒険者になったんだ! 俺が盗賊で、シュリが魔法使い」


 無邪気に笑いながらザックとシュリちゃんが二人仲良く冒険者カードを見せてくれる。

 軽く二人の冒険者カードを見てみると、確かにザックは盗賊、シュリちゃんは魔法使いになっている。


「ザックはやっぱり盗賊なんだな、シュリちゃんは魔法使いか。なんか魔法使いってより、魔法少女、って感じだな」

「まほうしょうじょ?」

「?」


 思った通りのことを口にしただけなんだが、この二人には魔法少女という単語が伝わらなかったらしい。まあこの世界に魔法少女なんて職業がないんだろうから当たり前っちゃ当たり前なのか。


「悪い、気にすんな」


 俺は二人に軽く詫びてから改めて二人の冒険者カードを覗き込む。


「えーっと、ザックは職業盗賊、スキルが『リスント』に『潜伏』とまあ、俺に教えてくれたスキルがほとんどか。……それでレベルはっと……レベル六!?」

「ど、どした! ユウマの兄ちゃん!?」

「い、いや、なんでもないよ……」


 ザックのやつ、ついこの前冒険者になったみたいなこと言ってたのにもうレベルが俺を上回ってやがる。

 俺は若干不安になりつつも、今度はシュリちゃんの冒険者カードを見る。


「シュリちゃんは職業魔法使い、スキルは『スプラッシュ』に『ウインド』。なるほど、水魔法と風魔法を中心に取ってるのか」

「ふんふんっ」


 俺の言葉に嬉しそうにふんふん言いながら首を振るシュリちゃん。

 この可愛いさ……アイリスと並ぶぞ!


「それでレベルは……四!?」

「!?」


 突然大声を出してしまったせいかシュリちゃんが少し怯えてしまった。


「ごめんごめん。この前冒険者になったみたいなことを言ってたから少し驚いちゃってさ」


 笑顔でフォローを入れると、シュリちゃんは涙目になりかけていた瞳をぱっちりと開きなおし、再び嬉しそうな顔を見せてくれた。

 よかった。こんな大通りで女の子を泣かせるとか洒落にならん。また変なあだ名がついてしまう。

 それにしても二人ともこの短期間でこんなにレベルを上げたのか。俺だってもうこっちに来て二カ月近く経つというのになんだこの差は。


「それでユウマの兄ちゃん。どうなんだよ、一緒に来てくれんのか?」

「ふんふんっ」

「もちろんオッケーだ!」

「しゃあーっ!」

「ぴょんぴょん!」


 俺からのオッケーの返事がもらえてうれしいのか、ザックが笑顔で喜び、シュリちゃんも笑顔でぴょんぴょん言いながら跳ねている。

 その際ピンクのかわいらしいドレス状のローブも一緒に跳ねてあと少しでお宝が見えそうなんだが、あと少しの所で見えない。

 くそ! これが絶対領域ってやつなのか!


「……なあ、ユウマの兄ちゃん。なに地面に這いつくばってんだ?」

「こ、これは目の前にお宝があったらトレジャーしたくなる男のサガというやつでな」


 ザックに指摘されて初めて気づいたが、どうやら俺はシュリちゃんのパンツを見るために地面に這っていたらしい。


「……」

「……」


 無言で見つめ合う俺とザック。そしてそれを無表情で見つめるシュリちゃん。

 極めつけに俺のことをすごい不審な目で見る周りの人たち。


 あ、これこの後の展開読めたわ。


「あそこです! あの男が小さな男の子と女の子を脅してて、小さな女の子のパンツを覗こうとしてるんです! 早く捕まえてください憲兵さん!」


 この誤解されてもしょうがない状況を見て、遠くの方から女の人と憲兵さんが怖い顔してやってくる。


「ザック、後で行くからギルドで待っとけ! 『潜伏』!」


 俺は咄嗟にザックから教わった『潜伏』を発動させる。


「くそ! あの男どこへ行った!」


 突然姿を消した俺をキョロキョロと探す憲兵。

 その間に憲兵を呼んできた若い女の人の方はザックたちのところに駆け寄っていた。ちなみに俺は近くの樽に隠れている。

 下手に動くと音でばれそうだったので、少しここで様子を見ることにした。

 ちなみに俺が結構愛用している『潜伏』だが、消せるのは姿だけで匂いや音までは消してくれないらしい。

 樽の中でじっとしていると、俺を探すことを一旦諦めたのか憲兵もザックとシュリちゃんの方にやってくる。


「君たち大丈夫だった!? ごめんね、憲兵さん探すのに時間かかっちゃって……。なにか変なことはされてない?」

「いや、ユウマの兄ちゃんは何も……」

「ユウマ!? あの鬼畜外道のユウマ!? 本当に大丈夫だったの君たち!?」

「いや、だからユウマの兄ちゃんはなにも……」

「ふんふん」

「ううん。何も言わなくてもいいの。大丈夫、あの男はもういないからね。大丈夫よ。お姉さんがいるからね」


 なにやらわかってます顔のお姉さんはザックとシュリちゃんを胸に抱き寄せる。

 うらやましい。ってそんなことより何この状況!?

 なんで俺この街で鬼畜外道のユウマとか呼ばれてんの!?

 確かに公衆の面前でミカやリリーナのスカートを『エアー』でめくったり、『サンド』で目つぶししてみたり、ファナに土下座させちゃったりしちゃったこともあったけどさ、それぐらいじゃ……

 それぐらいじゃ……ないな。うん。


 何でだろう、目から汗が……


 この後俺は、憲兵さんと近くにいた人たちが去るまで樽の近くで一人泣き続けた。

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