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最弱ニートの異世界転生  作者: Rewrite
第二章
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21話

 ふざけたことを言っていたユウマをおいて私ことリリーナはロレンス卿の屋敷へとアイリス、ミカ、ザックを率いて向かっている。

 もちろんあの一千万も一応は持ってきているわ。といってもあの状況で私がそんなことに頭が回るはずもなく、ザックが持ってきてくれたんだけどね。


「全くユウマのやつ……。なんだかんだでいつも最後はどうにかしてくれるのに、こんな時だけ役に立たないんだから。貴族なんか怖がっちゃって男じゃないわねアイツ」


 ここにはいないユウマの文句をみんなに聞こえないように呟きながら歩き続けていると、目的地のロレンス卿の屋敷についた。


「あのー、リリーナさん。なんだかロレンス卿のお家騒がしくありませんか? 昨日来たときはもっと静かだったと思うんですけど」


 ロレンスの屋敷に着くなりアイリスが不思議そうに訪ねてきた。


「ふふん! たぶん私たちが来るから怖がって慌てているのよ。もうすぐ約束の時間だしそうに違いないわ!」


 アイリスの素朴な疑問に自信満々に答える私、少しかっこよくない? 頼れるお姉さんって感じよね!


「そんなことよりミカ! ユウマが使い物にならないから私たちでどうにかしましょ! 最悪二人で暴れてやりましょ! 大丈夫! 私という最強の魔法使いに、物理攻撃最強のミカ、アイリスの回復魔法と補助魔法に今日はザックまでいるわ。この四人ならどうにかなるはずよ!」

「うん! そうだねリリーナ! 大丈夫! ユウマなんていなくても私たちでどうにかできるよ!」

「その活きよミカ! アイリスもザックも気合を入れなさい! これから私たちは戦場へ向かうのよ!」


 さっきからユウマに対する怒りからなのか、いつも以上に魔力が体の中を暴れまわっている。早く放出させてほしいと私の体に訴えかけている。

 わかってるわよ。ロレンスがザックの妹を返すって言わなかったら私の最大威力の魔法を最大魔力でぶち込んでやるわ!

 そう自分の中の魔力に言い聞かせ、ロレンス卿の屋敷のドアの前の兵士二人に話しかける。


「そこをどきなさい。あんたたちに用はないわ。早くロレンスを出しなさい」

「貴様! ロレンス様を呼び捨てにするなどなんて失礼なことを! それに生憎ロレンス様は今お忙しい。今度日を改めて来るんだ……な。……ひいいいいいいい!!!」


 突然目の前の兵士二人がおびえたように私たちから距離をとった。

 なんでかしら? 私の溢れる魔力に怯えてるのかしら? きっとそうね。違いないわ。


「お、おいそこの子供二人! 今あいつはどこにいるっ!? この前の鬼畜外道の男だ!」

「あはは……」


 兵士の言葉とおびえよう、そしてアイリスの苦笑い。それで私はすべてを察した。

 きっとこの二人の兵士はこの前ユウマにトラウマになるような何かをされたのね。

 でもつけ入るにはちょうどいいわ。


「ユウマならすぐそこで待機してるわよ。あんたたちが言うことを聞かないようだったら俺に言えって言ってたわ」


 本当はユウマの力なんて借りたくはなかったけど、今はそんなことを言っている暇はないわ。私はユウマという人間の鬼畜性、外道性を優に発揮して兵士二人を怯えさせる。


「わかった! 入っていい! むしろ入ってくださいお願いします!!」


 さっきまでの威勢はどこに行ったのかしらこの兵士二人。いきなり土下座なんて相当なトラウマを埋め込まれたのね。可哀想に。

 っていうか、ユウマこの前なにをやらかしたのよ。


「最初からそうしないさいよ、まったく」


 少しユウマがこの兵士二人に何をしたのか気になったけど、私はそんな私利私欲を頭を振って無理やり吹き飛ばす。ついでにユウマのことを考えていた自分にイラ立って頭を軽くたたく。痛いわね。


 兵士二人が使い物にならないから、自分でロレンス卿の屋敷のドアを開けると中は想像以上に豪華な屋敷だった。無駄に高そうなものがこれでもかと視界に入ってくる。

 でも今はそんなのどうだっていいのよ。


「ロレンス! 出てきなさい!」


 屋敷の入り口でロレンスの名前を大声で叫ぶ。すると目の前の階段から一人のデブなおっさんが下りてきた。

 私は本能的にこいつがロレンスだと察した。


「なんだ騒々しい。誰も屋敷へは通すなと言っておいたのに何をやってるんだ入り口の兵士どもは」


 いかにも悪い貴族っぽい顔に底意地の悪そうな眼、だらしなくたるんだお腹に趣味の悪い服とアクセサリー。

 一分一秒でもこんな奴と同じ空間にいたくないわね。


「あんたがロレンスね。ザックの借金の件、片をつけに来たわよ!」

「誰だ貴様は、それに口の利き方を弁えろ。私はこの地を統治する当主、ロレンスだぞ。たかが冒険者ごときが口を利くことすら烏滸がましいというのにその態度はなんだ? 一度マナーというものを勉強してくるのだな」

「うっさいのよ! あんなにマナーなんて必要ないでしょ! この極悪貴族!」

「本当に口の利き方を知らないやつだな。……ん? この前の男はどうした? 確か……ユウマとか言ったか? あの小賢しそうな男はどこにいる」


 ロレンスが私たちの中にユウマがいないのを気にしだす。

 なんなのよ、みんなユウマユウマって! ここに来るまでもアイリスやザックがユウマユウマ言ってるし、こっちに来たら兵士がユウマに怯えてるし、ロレンスに会ったと思ったらまたユウマ! ふざけんじゃないわよ!


「ユウマなら今いないわ! ここにいるのは私たち四人だけよ!」


 イラついた私はなにも考えずにそう口走った。


「そうか、勝てない勝負だとわかって逃げたか、少しは悪知恵の働く男だと思っていたが、所詮は小悪党だったか……」


 なんなのかしらこのイライラは? さっきまであんなにユウマのことでイラついてたのに、今こいつにユウマをバカにされて私イラッとした。

 ううん、リリーナ! 勘違いよ! 今はそんなどうでもいいことは忘れなさい!

 私は頭を振って再び雑念を振り払う。


「それで金は用意できたのか? まあ、あの男がいない時点で結果は見えているがな。フハハハハハハっ!」


 醜い笑顔で笑うロレンス。

 あったまきたっ!!


「『ファイヤーボール』!!」


 私は我を忘れてロレンス目がけて詠唱なしで放てる最大威力の『ファイヤーボール』を飛ばす。


「むわっ! 貴様何をする!」

「ちっ、外しちゃったわ」


 いきなりの魔法だったので制御が甘く、狙いが少しズレてしまった。


「ふざけたことを。だが今の反応を見るに金はやはり用意できなかったか。なら早々に立ち去れ。今ならさっきの魔法のことは許してやる。私も暇ではないのでな。それとザック。残念だがお前のかわいい妹は一生私の元で働くことになったな。フハハハハハ!」

「カッチーン……。今のは少し頭に来ちゃった……」


 汚らしいロレンスの高笑いに今度はミカが行動を起こした。


「ふんっ!!」


 ミカはすごい跳脚力でロレンスに近づき、その醜い顔を殴ろうと腕を振るう。


「きゃっ!」


 つもりだったみたいだけど最後の最後で転んでしまった。

 おしかったわよミカ!


「全く、冒険者というやつはどいつもこいつも物事を暴力で解決しようとする野蛮な生き物だ。冒険者などこの世から消えてしまえばいいのだがな」

 

 心底うっとうしそうな顔のロレンスはそう言うと手を二回ほどたたく。

 すると私たちを囲むようにたくさんの剣士、魔法使い、僧侶、あらゆる職の冒険者たちが集まってきた。


「こいつらは私に借金のある冒険者たちでな。今日お前らが何か暴力的なことをしてきたらと一応用意しておいたのだが、どうやら役に立ったようだな」

「卑怯者! 正々堂々戦いなさいよ!」

「卑怯者か……。最高の褒め言葉だぞ、礼儀も知らぬ魔法使い」

「リリーナさん! ここはいったん撤退したほうがいいです! やっぱりユウマさんにどうにかしてもらいましょう!」


 大勢の冒険者に徐々に追い詰められたどうしようもない状況の中、杖を構えたアイリスが言う。


「そうだぜリリーナ姉! やっぱりユウマの兄ちゃんがいないとダメだ! コイツ一筋縄じゃどうしようもない!」


 短剣を構えたザックまでもユウマなんて言いだす。

 なんで私に頼ってくれないのよ! 私だって本気を出せばユウマみたいにできる! この世界の常識に疎いくせになんでか変なことばっかり知ってるユウマより、私のほうが!

 私のほうが……


 ……何もできてないじゃない。


 いっつもいっつも魔物の群れに突っ込んでユウマに助けられて、何度も同じことを繰り返す私を呆れながらもなんだかんだ言っても助けてくれてるユウマ。

 そんなユウマに私が勝てるはずもなかった。


 ――――なかったのよ。


 なにもかもあきらめて、構えていた杖を下す。


「囲まれちゃって逃げられない……。……リリーナさん! あきらめないでください! きっとユウマさんが来てくれます! それまででもどうにか耐えれば!」

「そうだよリリーナ! ユウマのことだからいつもみたいに最後はどうにかしてくれるよ!」

「そうだぜリリーナ姉! ユウマの兄ちゃんを信じようぜ!」


 私以外のみんなはどうにかユウマが来るまで時間を稼ごうと戦闘態勢をとっている。こんな数に勝てるはずもないのに、ユウマなしの私たちが勝てるはずもないのに。


「……無理よ。私たちだけじゃ無理なのよ……」


 そう言って、私は床に膝をつく。

 何もかもを諦め、投げ捨てた。


 そんな時だった


「なんだよリリーナ。らしくないんじゃないの? いつものお前ならこんな冒険者たち目でもないだろうがよ。もっと最後まで頑張ろうぜ! ネバーギブアップ! もっと熱くなれよーっ!」


 屋敷の入り口から一人の男が入ってきたのは―――

 ―――ユウマが入ってきたのは。


「「「ユウマ(さん)(の兄ちゃん)!!」」」


 私以外の三人がユウマの登場に心底ほっとしたような顔をする。

 こんなことを言ってる私も、実は安心しきっていた。


 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦


 リリーナ達より一足遅くロレンスの屋敷の到着した俺。

 中に入ると、そこにはリリーナたちが多数の冒険者たちに囲まれていた。それに何やら床の一部が焦げている。

 何やったんだよこいつ等。

 そんなことを内心思いながら、俺は自由気ままに軽く手を挙げながらロレンスに話しかける。


「よう、ロレンス。なんだか俺のハーレムヒロイン達にひどいことしてくれたみたいだな。さすがに俺も激おこだぞ」

「なんだ、今更来たのか貴様。それで何の用だ? こいつ等の反応を見るに金は集まらなかったのだろう? 金ならびた一文まけんぞ」


 ロレンスはリリーナ達から聞いたのか、それともリリーナ辺りの態度で金が集まらなかったのを察したのか知らないがやたらと強気だ。

 そんなロレンスに俺は飛びっきりのむかつくであろう笑顔で、


「なに勝手に決めつけてんだよ。金ならあるぞ」


 と言ってやった。


「「「「「……えっ!?」」」」」


 俺の言葉にロレンスだけでなく、リリーナ、アイリス、ミカ、ザック、そして知らない冒険者たちすら驚いている。

 まあ誰にも言ってないし、そりゃあ驚くか。


「ほれっ! 約束の一億ギル。もし嘘だと思うんだったら中身を確認してくれてもいいぜ」


 俺は自信満々に一億ギルの入った袋をロレンスの前に投げつける。

 ロレンスは俺の行動に驚き、急いで俺の投げた袋に近づいて中身を確認し始める。

 その間、俺とロレンスを除いたみんなは放心状態だ。

 なにが起こっているのか、頭が追い付いていないのだろう。

 少ししてロレンスがすべての袋の中身を確認し終えた。


「ちゃんと一億ギルあっただろ?」


 俺は驚いた顔をしているロレンスに憎たらしいであろうドヤ顔で言ってやった。


「た、確かに一億ギルあった……。なぜだ! 一介の冒険者に過ぎないお前にどうやってこんな短い期間で大金を稼ぐ方法があった!?」


 ロレンスが相当慌てた様子で俺に問う。


「そんなの企業秘密に決まってるだろ。誰がこんな大金の稼ぎ方をおいそれと教えるかよ」


 そんな言葉を返してやった。


「ほんじゃま、金は確かに用意できたんだから、この金は約束通り借金がなしってことで俺のもんだな。あとはちゃんとザックの妹を返してもらうぞ。えっと確か……百合ちゃん!」

「シュリだよユウマの兄ちゃん!!」


 俺の間違いに放心していたザックが大声で訂正してくる。

 どうやら妹の名前を間違えられることを嫌ったようだ。

 ……アイツ、やっぱりシスコンだな。


「ふんっ! 誰がそんな約束を守るものか! おい冒険者たち! こいつらを追い払え! もし追い払えたものには借金を全部帳消しにしてやる!」

「うわー……。もうやってることが三下だぜロレンス。正直だっせーよ」

「うるさい! 貴様達などこの借金冒険者たちがどうとでもしてくれる!」


 多くの冒険者に守られているロレンスがだらしない腹を張って自慢げに立っている。

 お前がなにかするわけでもないだろうに。


「ユウマ。どうするの? やっぱりユウマは鬼畜外道だからこんな人たち全員フルボッコ?」

「おいミカ。お前後で屋上な」


 ふざけたことを言うミカに俺は人差し指を上に向け屋上に行くように指示する。


「あははっ! 屋上なんてないよユウマ」

「そうだったな。仕方がない。今回は許してやる」

「やったーっ!」


 こんな時だというのに俺とミカは日本ではもはや夫婦漫才とまで言われた漫才を披露。


「えーい! こんな状況でふざけおって! 何をしている早く行けっ。借金冒険者ども!」


 痺れを切らしたのかロレンスが冒険者達を俺たちの方へけしかける。


「ユウマさん! とりあえず補助魔法を皆さんにかけますね!」

「私はとにかく魔法を撃ちまくるわ! こんな屋敷ぶち壊してあげる!」

「私もいろいろやっちゃうよー!!」

「俺も頑張るぜ、ユウマの兄ちゃん!」


 俺以外の四人がやたらとやる気になってそれぞれ武器を構える。

 そんな四人に向かって俺は何事もなく言う。


「え? 何言ってんの? 俺戦わないよ? めんどいし痛いのやだし」


「「「「「……えっ!?」」」」」


 またも四人とロレンス、そしてロレンスに借金のある冒険者一同が一斉に俺のほうを向き驚いたような顔をする。


「俺無益な殺生嫌い。痛いことは大嫌い。面倒ごとも嫌い。楽に生きたい。これ、俺のモットー」

「何を言ってるんですかユウマさん! たしかに私だってこの人たちとは戦いたくないですけど……。この状況じゃ……!」


 アイリスが俺に言葉を返してきた。

 おー、アイリス。朝はお兄ちゃんのこと嫌いなんて言ってたのに話してくれるんだね。お兄ちゃんうれしいよ!


「アイリス。戦いたくなければ戦わなければいい」

「でもこの人たちにも事情が……!」

「事情って借金だろ? そんなの俺が一旦肩代わりするよ。俺今、十億の貯金あるから」


「「「「「十億っ!?」」」」」


 またまた俺以外のこの場全員が俺の方を見て驚いた顔をしている。

 なんだろう。この感覚少し癖になってきた。


「なぜ貴様がそんな大金を! そうか、ハッタリだな! この場をどうにかしようとハッタリを言っているのであろう!」


 ロレンスが信じられないというように言っていたかと思えば、今度は俺が嘘を言っているとか言い出した。ここまで人を信用できなくなっちゃうのは悲しいな。人のこと言えないけど。


「嘘じゃない。俺は確かにここの一億ギルを合わせて十億ギルの持ち合わせがある。あー、あとロレンスに借金のある冒険者の皆さん。返済方法は払える時に払えるだけ払い。利子なし、期限なし、催促なしの三連コンボでどう?」


「お、おいどうする? 俺、同じく金返すならアイツの方がいいんだが」

「俺もだ。なにより利子なし、期限なし、催促なしって最高すぎるぞ」

「私っ!、あの人のほうに付くわ!」

「俺も!」

「私も!」


 俺の言葉にロレンスに借金のある冒険者たちが一斉に裏切って俺の方に付く。


「これで形勢逆転だな。どうするよロレンス? 俺はザックの妹のシュシュちゃんを返してくれれば……」

「ユウマの兄ちゃん! だからシュリだって!」

「おっと間違った。シュリちゃんを返してくれれば、ここのところは俺たちはおとなしく帰るぞ?」

「くっ!」


 ロレンスの表情からさっきまでの余裕が消え、悔しそうな顔をし始める。

やっぱり調子に乗ってたやつが立場逆転されて悔しがる顔を見るのは気分いいな。スッキリスッキリ。


「おいおいロレンス。ただでさえ見れないほど醜い顔してんのに、顔ゆがませてさらに醜くすんなよ。……気持ち悪くなってきた。……おえーーっ!」

「おいこらっ! 私の屋敷で吐くんじゃない!!」

「それならほら。早く」


 俺は片手で口元を抑え、もう片方の手をクイクイさせてザックの妹を早く返すように急かす。


「くそ! 勝手に連れて行け!」


 そう言うと、ロレンスはどこの部屋のか知らないが鍵を一つ俺に放った。

 いきなりのことで落としそうになるも、俺はどうにか放られた鍵をキャッチ。リリースはしない。


「サンキューなロレンス。しばらく会えないと思うが、っていうか屋敷ともおさらばだろうが頑張れよ」

「うるさい! 早く私の屋敷から出ていけ! ……ん? おい貴様! 今なんと言った!?」


 ロレンスがそう発言した時だった。

 一人の執事がすごく慌てた様子でロレンスの元へと駆け寄ってきた。


「ロレンス様! 大変です! なぜか今そこまで憲兵が来ておりまして、この屋敷に不当に攫われた女子供がいると匿名で通報があったと申しておりまして、私たちにはもう手に負えず……って来ました!!」

「なにっ!? 誰がそんなことを……って……貴様かーーーっ!!」

「ひゅーひゅひゅー」

「下手なとぼけ方をするな! 口笛も吹けてないぞ!」


 そんなことをしているうちにたくさんの憲兵がなだれ込んできた。既にロレンスに借金の方などで攫われて来ていた人達は発見されたらしく、ロレンスは憲兵に見つかるなりすぐに拘束魔法で捕えられた。

 捕まえられたロレンスは怖い顔で俺をにらみつける。

 おーこわっ! ションベンチビっちゃうとことだったぜ。


「おいおい、そんな怖い顔すんなよロレンス。俺は約束は守っただろ? お・れ・は、何もしてないだろ? 本当におとなしく帰る気満々だぞ。面倒ごとは嫌いだしな。というか早く部屋に戻ってベットにダイブしたい」


 そんな気の抜けるような言葉にロレンスが再び顔を醜くゆがませる。


「きさまーーーっ!」

「こらっ! 大人しくしろ! いくらロレンス卿と言えど、犯罪者は犯罪者だ!」


 暴れようとするロレンスを憲兵さんたちがさらに拘束魔法をかけて黙らせる。


「おっと忘れてた。ここで決め台詞! この世に悪の栄えたためしなし! ……決まったぜ!」


 ちゃんとポーズまでつけて、俺は一人勝利の余韻に浸っていた。


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