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最弱ニートの異世界転生  作者: Rewrite
第二章
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14話

「え? いつの間に着いたんだ?」

「何言ってるのよユウマ。さっきからその辺をぶらついてたオークの後を追って、集落に案内させてたじゃない」


 当然と言うようにリリーナが急にそんなことを言い出す。

 え? 俺が将来設計図を作ってる間にそんな話なってたの?

 てか俺、あまりに妄想に耽り過ぎて『敵感知』すら忘れてた?

 誰だよ、俺はそんなマンガやアニメの主人公とは違うとか言ってやつ。


 ……俺だよ。


「まあ、上手くいったんだからそれでいいか。先人はいい言葉を残すよな。終わりよければすべてよし、最高の言葉だ」


 先人様の言葉を自分の良いように使ってそんなことを考えながら俺は頬を叩き、改めて緊張のスイッチを入れなおす。

 早速『敵感知』を使って、オークの集落にどれくらいのオークがいるのかを確認する。


「嫌ってほど『敵感知』がビンビン反応してやがる。もう帰りたい……」


 気合を入れなおして五分経たないうちにニート魂を呼び戻す。

 しかし、そんなことを言っても三人は聞いてくれないだろう。

 それならば楽にこのクエストを終えて宿でだらけよう。これが一番楽な道に違いない。


「いいか。絶対に早まるなよ。ちゃんと敵情視察をして、相手の戦力を見極め、どういう風に動くか、こんな時どうするかを考えて慎重に行動するんだぞ。いいか、フリじゃないからな、絶対に変なことするなよ」


 俺が三人に向かって、その中でも主に脳筋二人に向けて注意事項を言う。


「ねえユウマ! 早く行きましょ! 私、早くあいつらにいろんな魔法を使いたいの! もう私の中の魔力が漲っているの! もう詠唱始めちゃうけどいいわよね? 止めてももう始めちゃったから無駄だけど」

「そうだよねリリーナ! 私もさっきからウズウズしちゃって落ち着かないの! 私ももう突撃しちゃってもいいよねユウマ?」


 ……。


 ―――ダメだ。

 ―――コイツら俺の話を全く聞いていない。




「お前ら俺の話を聞いてたのか! ここは慎重に行動するべきだって言っただろうが!」


 悲しいかな、俺の制止を無視して脳筋コンビが動き出す。


「ミカ、行きまーす!!」

「食らいなさい! 『ブラストバーン』!!」


「バカヤローっ!!」


 どこのロボットアニメの主人公だよ! とか、なに調子に乗ってすごそうな魔法唱えてるの!? とか、いろいろ言いたいことはあるが、そんなことよりも。


「くそったれ! アイリス、各種ステータスアップを頼む! いつもは使わないようなのも全部だ!」

「わ、わかりました! 『アグレッシオ』! 『ディフェンシオ』!」


 ミカが何も考えずにオークの集落に一人突っ込んでいく中、リリーナはかなり威力の高い魔法を撃ったばかりにも関わらずまた長い詠唱を始め、アイリスが俺に各種ステータスを向上させてくれる中、俺は密かにため息を吐いていた。


 こうして、なんの作戦もなくオークの集落破壊のクエストが始まった。


 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦


数分後、俺はとんでもない光景をアイリスと目にしていた。


「あはは! なにこれ! 楽しいわ! これが一方的に攻撃する楽しさなのね!」


 いつも複数の魔物達にいいように弄ばれるリリーナがいつもとは逆に一方的な虐殺をしていた。


 何この不思議な光景。


 なんの作戦もなくただ無鉄砲にオークの集落に突撃した俺たちだったが、思った以上に苦戦することなく、むしろ簡単にクエストが進んでいく。逆に順調すぎて怖いくらいだ。

 集落に建てられていた木と藁でできたオークたちの家の大半はリリーナとミカの手によって壊され、中にはリリーナの魔法で燃えている家もあった。

 既にオークの集落はオークたちがまともに生活できないほどに荒らされ、もう立て直すのは無理だろう。できたとしても何週間もかかるはずだ。

 そんなことをするくらいならば、住む場所を変えた方がマシである。

 オークの集落の現状はそんな感じだった。


 集落の中はそれはもうひどい有様になっている。

 逃げ惑うオーク、泣き叫ぶオーク、命乞いをするオーク。

 すでにオークたちは戦意を失っていた。というか、最初から戦意などなかった。

 最初のリリーナの『ブラストバーン』とかいう高火力の火属性魔法でオークたちの集落の大半は吹っ飛んだのだ、無理もない。

 その魔法はリリーナの今までに使った魔法の中で最高の威力を持っていた。

 リリーナが魔法を唱えた瞬間に一瞬音が消え、次には耳を劈くような爆音。気が付けばオークの集落のド真ん中は焼野原と化していた。


 もうわけわかんねー。


「『フレイム』! 『サンダーボルト』! 『アースクエイク』!」


 さっきからリリーナが暴走したように中級魔法を唱えまくっている。

 そのほとんどが見たことのない魔法で、見たことがある魔法も今までに比べて威力が段違いだ。『ファイヤーボール』なんかいつもはサッカーボール位なのに、今のリリーナは運動会の大玉ころがしで使われるような大きさの『ファイヤーボール』を連発している。


 多くの火の玉が辺りを飛び回り、強力な電気が当たったものを痺れさせ、土魔法で地面が割れたり突起したり、もうちょっとしたパレードだなこれ。


「えーいっ! そーれ! もういっちょー!」


 そしてミカはリリーナが少し離れたところから魔法で攻撃しているのに対し、一人単独でオークたちに向かっては倒している。

 たった一発拳を当てれば倒せるのだから女神様のチートはすごい。

 ミカのもらったチート、『金剛力』がいかんなく力を発揮している。

 その証拠にさっきからミカは転んだり躓いたりしてばっかりなのに、その拳が偶然目の前のオークに当たっただけでオークたちを倒している。

 コケてしまったと思ったらリリーナの魔法で吹き飛ばされてきたオークが目の前に現れ拳が直撃。転んだと思ったらなにやらアクロバティックな動きで回転し、奇跡的な踵落としでオークを撃沈。と本当にドジだけで敵を倒している。

 その姿を一言で表現するのなら、一撃必殺、とか、天下無双、そのあたりだろう。あいつはもう俺と違ってこの世界で俺TUEEEしてるし、無双してる。

 あ、ミカは女だから私TUEEEか。


 ……俺もあんなチートがほしかった。


 二人がドンドンとクエストを進行させていく中、俺とアイリスはオークの村の入り口で、ただ口を開けて佇んでいた。

 というか、突っ込んで行ったら俺らも巻き込まれる。


「……なあ、アイリス」


 俺は開けっ放しだった口を使って隣で同じようにあんぐりと可愛らしく口を開いているアイリスに話しかける。


「……なんでしょうかユウマさん?」


 アイリスもこの惨劇を見ながら呆けている。

 しかし会話くらいはできるようだ。


「……これ、俺たちとオークたち、どっちが悪者だっけ……?」

「……私も正直わからなくなってきました……」

「だよな。むしろ俺たちが悪者な気もしてきたよ……」


「「……」」


 再び二人して黙り込む俺とアイリス。


 そしてオークの集落は十分ほどでリリーナとミカの手によって壊滅させられた。


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