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最弱ニートの異世界転生  作者: Rewrite
第二章
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4話

これ以上タイトルの名前を考えていてもよい案が出そうになかったので、結局(仮)を外すことにしました。

「……この話はもういいよ」


 三人組と別れて、ミカと一緒にギルド内の食事スペースで飲み物を飲みながら、本当に小一時間お説教を受けていた俺はようやくお説教から解放され、テーブルに身を任せる。


「それよりさ、ユウマ。ユウマにパーティーがいるのはしょうがないけど、せめて今日だけでも一緒にクエストに行かない?」


 俺はミカにそう言われて近くの壁時計に目をやる。ちなみにこの時計は見た目は日本の壁時計と同じだが、動力は電気でなく魔力らしい。この世界のほとんどのものが魔力によって動いている。日本で言うところの火力、電力、水力、風力などのほとんどの力が魔力で補われているようだ。


「んー。まだお昼くらいだしいいぞ」

「ホント! やったー! じゃあ私クエスト適当に選んでくるね」


 そう言ってミカはなにやら嬉しそうにクエストボードに向かって走っていく。少しの間クエストボードを見た後、いい感じのクエストがあったのか受付のお姉さんのところに持っていく。

 少ししてクエストの受注が終わったミカがこっちに戻ってくる。


「ただいまー」

「おかえり。なんのクエストにしたんだ?」

「えーっとねー。スモールゴーレム二体討伐。報酬が二十万ギルだって。簡単だし中々いいクエストだよね!」


 ……。

 ……スモールゴーレム?

 俺とアイリスが一度戦って全く歯が立たず、リリーナがパーティーに加わってどうにか倒すことのできた、あのスモールゴーレム?

 しかも今ミカの奴なんて言った? 簡単とか言ってなかったか?


「……なあ、ミカ。今お前何て言った?」

「ん? なにユウマ、耳遠くなった? えーっとねー。スモールゴーレム二体討伐、報酬が二十万ギル」

「違う。もうちょっとあと」

「えっとー、ユウマが「ミカ……俺、お前のことが」って」

「冗談はいいから真面目に!」

「えー、ノリ悪いなー。……確か、簡単だし中々いいクエストだねって言ったよ」


 ……おい。マジかよ。


 俺とアイリスとリリーナがあんなに頑張ってようやく一体倒したスモールゴーレムを倒すのが簡単だって?

 しかも今回は一体じゃなくて二体。それにパーティーも俺とミカの二人? ミカはどうやら装備を見たところ軽装を着てるから俺と同じく剣で戦ってるか、素手で戦ってるみたいだから魔法使いもいない。

 え? これで勝てんの? 簡単なの?


「なあ、ミカ。そのクエストはやめよう。アイツら本当に強いぞ。そこらの大きな岩を簡単に砕くぞ? スモールって言ってんのにサイズは俺等と変わらないぞ? むしろでかいぞ?」

「さっきから何言ってるのユウマ? スモールゴーレムなんて弱いじゃん。まあ女神さまチートのおかげだけどね」


 笑顔でそう言うミカ。

 え? マジで行くの?




 というわけで、俺とミカは一旦各自装備を取りに宿に戻ってから街の入り口で待ち合わせをして、現在スモールゴーレムの生息する岩石地帯まで来ていた。

 ミカの装備はやはり俺の予想した通り格闘家のようだった。

 具体的な説明をするとすれば、特になんの変哲もない動きやすそうないかにも格闘家って感じの服装だ。

 ただ、やはりミカも女の子。細部がところどころ可愛い感じになっており、下もズボンではなくスカートだ。

 ちなみに中はスパッツを履いているらしい。中身が気になってちらちら見ていたらさっきミカに教えられた。

 

 ここまでの道中は俺の『敵感知』スキルのおかげで多少迂回をするだけで一回も魔物と戦闘することなく、ここまでやってきた。我ながら便利だし取ってよかったと思う。

 ミカも俺のスキルを聞いて「なにそれ!? それ使ったら絶対に敵に会わなくて済むじゃん!」とか、騒いでいた。

 絶対なんてことはないんだが。


 そして俺は岩石地帯に足を踏み入れてからも『敵感知』のスキルを発動させていた。このスキル、範囲も意外と広い。前どころか後ろの敵にすら反応を見せる。俺が認識していなくても、視界に入っていなくてもちゃんと反応してくれる。

 このスキルがあるのとないのでは大違いである。

 特に不意打ちを受けないで済むのが本当に助かる。知らない間に後ろから接近されて、気づいた時にはもうあの世。なんていうのは御免だからな。


 しばらくミカと二人でスモールゴーレムを探し回っていると、突然俺の『敵感知』スキルに反応があった。

 急いで反応の合った方向を見る。ミカも俺の反応を見て『敵感知』に反応があったことを悟ったのか、俺と同じ方を向く。

 そこには二体の争っているスモールゴーレムの姿。

 縄張り争いなのか俺等人間でいうところの喧嘩なのかわからないが、とにかく二体のスモールゴーレムは争っていた。

 二体のスモールゴーレムの腕が近くの大きな岩を豆腐を潰すように簡単に砕いていく。


 ……あんなとこ行きたくねえ!


「なあミカ。あそこはやめよう。あそこは危険すぎる」


 俺は二体のスモールゴーレムから目を離すことなく、隣にいるであろうミカに話しかける。さすがにミカはどこかの脳筋魔法使いの様に無鉄砲に敵に突っ込むようなマネはしないだろう。


 ……。

 あれ? ミカから返事が返ってこない。

 俺は嫌な予感を感じ、恐る恐る隣にいるであろうミカの方を見る。

 そこにミカは―――いなかった。

 嫌な予感が加速していく中、急いで前方に向き直る。


「何やってるのユウマーっ! 早く来ないと私一人でやっちゃうよー!」


 そう言ってスモールゴーレムに向かってすごいスピードで走っていくミカ。この前のリア充二人組の一人の敏捷性チートを貰ったやつに比べれば少し遅いが、俺がアイリスの敏捷性向上の魔法を掛けてもらった時以上のスピードでスモールゴーレムへと突っ込んでいく。


「バカかアイツは!」


 俺は急いで『逃走』スキルを発動する。これで普段に比べて格段に敏捷性が上がった。ミカと俺との距離がどんどんと縮まる。ことはなかった。どんどんと距離が離される。


「マジかよ。早すぎるだろ」


 俺はまだ全然距離を詰められていないのに、ミカはもう既にスモールゴーレムの争いの輪の中に入ってしまっている。


「よーし! 一発いっちゃうよー!」


 そんな呑気なことを言いながらミカは争っている二体のスモールゴーレムの内の一体に突っ込んでいく。


「くらえぇ……って、わあっ!」


 そして見事の転んだ。何もないところで転んだ。しかもスモールゴーレムの目の前で。


「あのバカ! なんであんなところでいつものドジッ子発動させてんだ!」


 ミカは小さい時からドジだった。

 俺とミカは家が隣同士で同い年だったため、小さい時からよく一緒に居た。そのためよく知っているのだが、ミカの奴は超が付くほどのドジだ。それはもう、不器用とかでは説明がつかないくらいに。

 今みたいに何もないところで平気で転ぶし、持っている物はすぐと落とすか、失くす。小さい頃まだニートなんてやっていないピュアだった頃の俺は、よくミカのドジをフォローしていたもんだ。

 しかしそんなドジをミカの奴はあんなところで起こしやがった!

 俺とミカとの距離はまだかなりある。『逃走』スキルを使って全力で走ってもすぐにスモールゴーレムがミカを攻撃したら間に合いそうにない。

 まずい、これは非常にまずい!


 俺が内心慌てていると、おかしなことが起こった。


「……あれ?」


 俺は走っていた足を一旦止める。


 おかしい。

 なんでスモールゴーレムが一体いなくなってるんだ?


 自分の目を擦って、もう一度ミカとその前に立っているはずのスモールゴーレムに目をやる。しかし俺の視界に見えるのは転んでいるミカと、さっきまでミカの目の前にいたスモールゴーレムと争っていたもう一体のスモールゴーレム。

 あっれ~!?


「いたた~。また転んじゃった。おー、でも奇跡的にスモールゴーレム一体倒してる。ラッキー! ねえユウマ! みてみてー。私スモールゴーレム一体倒しちゃったー!」


 ミカが呑気に喜んでいた。しかももう一体のスモールゴーレムがすぐ近くにいるのに俺の方を見てニコニコしながら手を振っている。

 え? 倒した? あのスモールゴーレムを? 俺たちがあんなに苦労して倒したスモールゴーレムを転んだだけで? ウソだろ!?

 俺は意味がわからずその場に立ち尽くす。


 そんな時だった。

 ミカを残っていたスモールゴーレムがぶん殴ったのは―――


「うわっ!!」


 ミカが防御すら取れず、モロにスモールゴーレムのパンチを食らった。そしてそのまま近くの岩に向かってものすごいスピードで吹っ飛んでいく。最後には強い衝撃で岩にぶつかった。


「ミカっ!!」


 迂闊だった。

 ミカがあまりにもおかしなことをやるから呆然としていたが、俺たちは今戦闘中だった!

 まずい。スモールゴーレムはその辺にある岩を豆腐を潰すように簡単に砕く魔物だ。そんな化け物の攻撃をまともに受けたら普通の人間なら死んでもおかしくない。それをミカはまとも食らったのだ。

 もし息があったとしても動くことなんてできないだろう。回復してやろうにも俺は回復魔法は使えないし、ここにはアイリスもいない。

 この状況は本当にマズイ。

 俺はそれでも急いでミカのところに駆け寄ろうと『逃走』スキルを全力で行使する。


 しかし、俺は再び足を止めることになる。

 それはたった今スモールゴーレムにパンチをもらったミカが何事もなかったように立ち上がったからだ。

 ミカは何事もなかったように立ち上がると、「あーあ、服少し破けちゃった……。それに服の中に砂と石が入っちゃって気持ち悪ーい」とか言いながら、服に着いた砂を払っている。

 え? あの子なんで立ってるの? なんでスモールゴーレムに殴られてあんなに平気そうなの? 意味わかんない!


 俺が再び意味がわからずその場に立ち尽くしていると、ミカは服に付いた砂を払い終わったのか、スモールゴーレムに向き直る。


「もー! 女の子にいきなり暴力なんてひどいよ! 私怒っちゃったからね!」


 ミカはそう言って残ったもう一体のスモールゴーレムに単独で突っ込んでいく。


「くらえぇぇぇぇ!!」


 そしてミカがスモールゴーレムに一発思いっきり拳を入れると、スモールゴーレムは粉々になって砕け散った。


 ……。

 ……え?


 結局、俺が現状を把握できていないどころか、意味がわからない状態でクエストは終了した。

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