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最弱ニートの異世界転生  作者: Rewrite
第一章
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17話

 

「……この辺りでいいかしらね」


 お昼になってから俺とアイリスとリリーナは近くの草原に来ていた。もちろんクエストは受けていない。

 今日はお金稼ぎが目当てではないのだ。俺がリリーナに魔法を教えてもらうのが今日の目的である。


「まずこの世界の変な所に疎いユウマに最初に言っておくわよ。この世界は魔法を使うのに杖を持っていないと、安定性が悪くなるし、威力が少し下がるわ」

「そうなのか? 知らなかったわ」


 初耳である。ゲームなんかでは装備すれば魔力が上がったりするが、現実で杖を持ったら魔力が上がるとはどうも想像しにくかった。

 包丁を持って物理攻撃力が上がると言われれば納得するけど、足腰が悪くて杖を持っている人の魔力が上がっているなんて誰だって思うはずがない。それが日本でなくたって魔力なんて目に見えないものの話をされれば現実味はどうしたって薄くなる。

 にしても、流石は世界一の魔法使いを目指すとか言っているリリーナ。ちゃんと知識は持っているようだ。

 ……脳筋の癖に……。


「杖には魔力を自動的少しずつ増幅させる力が備わっているの。魔法には詠唱があるでしょ? 詠唱って言うのは魔法のための魔力を杖に送り込んで増幅させている最中ってわけね。だから上級の威力の高い魔法はみんな詠唱時間が長いわけ」

「なるほど、杖が魔法の手助けをしてくれている訳か」


 リリーナがここぞとばかりにいろいろな知識を教えてくれる。しかもどれも有力な情報ばかりだ。

 俺のゲーム脳にも杖を装備すれば魔法の威力が上がるというのはあるが、それを現実と結びつけてはいなかった。詠唱の理由など、ただ演出を盛り上げるため程度にしか考えていなかったんだ。

 ゲーム中に、魔法使いだからって杖を持ってなくてもいいじゃん。だって手からでも魔法は出るんだろ? とか思ったことが何度かある。まあ、杖を持ってる方がカッコいいという結論にいつも最後はたどり着くのだが……。

 どうでもいい俺の持論はおいておいて、これが二次元と三次元、日本と異世界の差、というやつなのだろうか。

 俺がそんなことを考えている間にも、先生役が興に乗って来たらしいリリーナは人差し指を立てながら若干ドヤ顔で説明を続けていた。


「だから元々魔法に素質がある人でも魔法使いやアイリスみたいなヒーラーにとって杖って物はとても重要なわけ」


 リリーナの魔法の授業に相槌を打ちながら、何度も頷く。

 アイリスも興味深そうにリリーナの話を耳にしている。アイリスもまだ知らないことがあったのだろう。

 それにしてもホントにこのリリーナは誰だ? 俺の知っている魔物の群れにすぐ突っ込んでいく脳筋魔法使いはどこに行ってしまったんだ。


「だからユウマみたいに元から魔力がそこまで高くない人にも杖は重要よ。あるのとないので、魔法の安定性や、威力にかなりの違いが出るわ」

「……そうなのか。でも生憎俺は杖を持ってないし、剣との両立は難しそうだからやめとくわ。とりあえずスキルを教わるだけでいいよ。どうせそんな強い魔法は使えないしな」

「そうね、とりあえず知識として知っておいてくれればいいわ。それにユウマのパーティーには私って言う世界最強の魔法使いがいるんだもの、魔法は私とアイリスに任せなさい」


 リリーナの言うとおり、魔法のことはリリーナとアイリスに任せればいい。適材適所というやつだ。

 しかし、だからと言って俺の魔法が弱いままでいいということではない。リリーナとアイリスが火力なら、俺は使い方で魔法を上手く使ってやる。

 弱くたって使い方によっては魔法は効果的に作用するはずだ。アニメとかで最弱の主人公が、弱いスキルを上手く使って強敵と戦うものがよくある。

 俺もそれに則ってこの世界で最弱なりに最強を目指す。


「それじゃあ、まずは基本属性の初級魔法を教えるわね。火属性の『ファイヤーボール』と水属性の『スプラッシュ』は大丈夫よね。なら、後は風魔法、土魔法、電気魔法かしらね。それ以外の派生魔法とかは今度教えるわ。それじゃあ一通り見せるから、その眼でちゃんと見てなさいよ」


 派生魔法とかまたよくわからん言葉が出てきたが、俺はリリーナが杖を構え始めたので質問するのを止めた。

 リリーナが近くの岩に向かって杖を向ける。そして詠唱もなしに魔法を放った。


「『ウインド』!」


 リリーナが魔法を唱えた瞬間小さな竜巻が杖の先から放たれる。その竜巻は近くの岩にぶつかり、それを砕いた。


「とりあえずこれが風魔法ね。他にも見せていくから後はユウマの好きにして」

 

そう言ってリリーナはどんどん魔法を唱えていく。


 風魔法、土魔法、電気魔法、様々な魔法を俺に説明しながら見せていく。これによって俺のスキル取得可能覧がどんどん満たされていく。これは帰ったら楽しみで仕方がない。


「……ふう。まあ、こんなものかしらね」


 リリーナが一通り魔法を放ち終わり、一息ついた。


「サンキュー、リリーナ。これで俺も少しは魔法が使えるようになる。それにしてもやっぱりすごいな。全属性の攻撃魔法が中級までなら使えるって言ってたけど、やっぱり実力があるんだな」


 俺は周囲の状況を見て素直にリリーナを褒める。

 俺たちの周囲は今穴だらけだ。リリーナが放った魔法の数々が原因である。最初は岩なんかに撃っていたのだが、途中からいい目標がなくなったからか、適当にそこら辺に魔法を放っていた。

 しかし、それがリリーナの実力の証明ともいえる。

 恐らく俺が全力で魔法を放たなければ、地面を抉るようなことはできないだろう。それに対し、リリーナは適当に魔法を放つだけで地面の土を抉るのだ

 伊達に世界最強の魔法使いを目指してはいないようだ。


「……な、何よ急に……。ユウマが優しい言葉を掛けてくるとなんか気持ち悪いんだけど……」

「……」


 せっかく人が素直に褒めてやったというのに何て言うやつなのだろうかコイツは。


「でも、やっぱりすごいですねリリーナさん。正直私の水魔法が霞んで見えます……」


 まずい、アイリスが少しナイーブになってきた。

 俺がどうしようかと戸惑っていると、リリーナが口を開いた。


「そんなことないわよ。それに私は全属性の攻撃魔法が中級までは使えるけど、水魔法とその派生の氷魔法は苦手だもの」


 いつもの自信満々なリリーナにしては珍しく弱気な発言だ。


「だからたぶん、もう少しアイリスが成長したら水魔法と氷魔法は一瞬で抜かれると思うわよ。だからそんな落ち込まないの」


 そう言ってリリーナが笑いながらアイリスを撫でた。

 アイリスも嬉しそうにそれを受け入れている。

 その光景はまるで本当の姉妹のようだった。


「それじゃあ、最後にかたずけ、っと」


 リリーナはアイリスの頭から手を離すと、土魔法で大量の砂を作った。


「そしてー。『ウインド』!」


 初級風魔法でその砂を辺り一面に吹き飛ばす。

 すると穴だらけだった地面がどんどんと埋まっていく。元通りに戻っていく。それは逆再生を見ているようですらあった。


「ふう~。こんなものかしらね。どうかしらユウマ、元通りだと思う? ……ん? ユウマ……?」

「……。……あ、ああ。完璧だよ」


 俺は一瞬あまりの衝撃にリリーナの魔法に目を奪われていた。

 これが、俺の憧れていた魔法。


「私の教えられるのはとりあえずここまでかしらね。満足かしらユウマ」

「ああ、満足過ぎて困っちゃうくらいだ」

「そう、なら私に感謝しなさい。なんならこれからは大魔法使いリリーナ様と呼んでくれてもいいわよ」


 そう言ってリリーナが自信満々に胸を張る。

 だからそんなことされると目のやり場に困るからやめなさい。

 とは言えず、目を少し逸らしながら、リリーナの話を聞く。


「まあ、呼び方はともかく、今日は本当にサンキューなリリーナ」

「ユウマがこんなに素直にお礼を言ってくるなんて……。今日は嵐かしら……」

「よーしっ! 早速魔法の試し撃ちしちゃおっかなー。アイリスちょっと杖を貸してくれよ」


 そう言って俺はリリーナにアイリスから借りた杖を向けて魔法を唱える。


「よーし! 『スプラッ』」

「まままま、待ちましょう! さっきのは冗談よ冗談! ユウマったら真に受けちゃってー。それよりほら、アイリスは何かユウマに教えられる魔法はないのかしら?」


 そう言ってリリーナがお仕置きから逃れるべく、アイリスに話を振る。

 俺はアイリスに杖を返してからリリーナの質問に対するアイリスの返事を待っていた。

 アイリスのは既に『スプラッシュ』を教わっているが、それ以外にも便利な魔法があるのなら覚えておきたい。


 アイリスは少し悩んだ表情をしてから、何かを閃いたのかパッと顔を明るくさせた。


「ユウマさん。水魔法の派生魔法の氷魔法を覚えてみますか?」

 

アイリスがそんなことを言ってきた。


「なあ、さっきから言ってる派生魔法ってなんなんだ? 正直さっぱりなんだが……」


 派生魔法って言うのがなんなのかわからなかった俺は素直にアイリスに質問をした。


「ユウマって、ほんと変なことは知ってるのに、この世界の常識を知らないわよね」


 リリーナが不思議そうに俺にそう言った。

 バカにした様子では無いから、本当に不思議なのだろう。


「俺の住んでたところが相当田舎でな。この世界の知識が本当に全然ないんだよ」


 俺はまだ二人に俺が日本という異世界から来たということを話していないので、それらしい言葉を並び立てた。

 別に俺としては言っても構わないんだけど、何故か異世界ものの主人公たちというのは自分が異世界の住人であることを隠したがる。転生にして転移にしても面倒だとか言っても意味がないとか言って本当に話したがらない。

 でも、この二人にはいつか言わないとな。


「ねえ、ユウマってスモールゴーレムの弱点魔法を知ってたじゃない? 誰かに聞いたわけでもなさそうだし、その他にもいろいろと知ってるわよね。なんで?」


 リリーナがさらに踏み込んだ質問をしてくる。

 変に墓穴を掘らないよう、口に出す前に頭の中で怪しまれない程度に整理してから答えを口にする。


「俺の住んでたところの書物で読んだんだよ。だから少しは知ってるんだ」

 

 前にも言ったが、その書物はもちろんラノベとマンガである。


「ふーん。まあ、いいわ」


 リリーナが興味をなくしたのか、俺が深くは話さないという事を悟ったのか話を打ち切ってくれた。

 これ以上質問をされると正直、ヘマしそうだったので助かった。


「それじゃあ話を戻しますね。派生魔法っていうのは基本属性である。火、水、電気、風、土の魔法の少し変化した魔法の種類です。例えば、火属性の派生は爆発、水属性の派生は氷になります」


「そうなのか……。うん、だいたいわかったよ」


 アイリスの説明でだいたいが理解できた、とりあえずざっくりまとめれば、この世界の基本属性は火、水、雷、風、土で他にも氷とかの魔法がある。それぐらいの認識でいいだろう。

 深く考えると、ばかばかしいことになりそうだ。


「それじゃあ。氷属性の魔法をお教えしますね」

「ああ、アイリス頼むよ」

「はいっ! お任せください!」


 こうしてアイリスにも魔法を教えてもらえることになった。

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