プロローグ
こんにちわ、みなさん。
この街、イニティの救世主であり、違うタイプの美少女を三人も侍らせ、自分の屋敷を持ちつつ、ちょっとした借金こそこさえてしまってはいるものの、魔王幹部を相手できるくらいの実力を持ったパーティーのリーダー、ユウマです。
そんな優秀で有能で天才的な才能でチート能力すらも上回る俺ともなると、そこらの一般市民とは生活の質が違ってくるというもの。
「ねえ、ユウマ。いつも色々あって疲れてるでしょ? なんなら、マッサージ……しよっか?」
そう言って俺の肩を揉み始める幼馴染のミカ。
幼小中高と同じで、同じクラス。肩ほどまでの伸びた黒い髪に、まだあどけなさを残したままの顔。中肉中背で、胸もそこそこ。クラスで一番というわけではないが、クラスで上位の可愛さをキープできる美少女で、コミュニケーション能力が高く、誰からも好かれる性格と見た目から友達も多く、幼馴染でもなければ俺なんか一生仲良くなれそうにない感じの女子、というのがミカだ。
まあ、幼馴染じゃなくても笑顔で話しかけてきてはくれそうではあるが。
そしてオタクボッチである俺が勘違いしてやらかしてしまう未来まで鮮明に想像できもするが、今はそのことはおいておこう。
「そうか? そこまで言うならやらせてやらんこともないが……」
「ほんとっ!? やったぁ~!」
「ふふっ。可愛いやつだな」
ミカの提案をまんざらでもない顔で受け入れた俺は、したり顔を浮かべならミカに身を委ねる。
楽しそうに、そして嬉しそうにはしゃぐミカが、「それじゃあまずは肩から」なんて言いながら俺の肩を揉み始めた。
「どう、ユウマ? 私のマッサージ気持ちいい?」
「ああ、気持ちいいよミカ」
「うれしい! それじゃあ次は腰をマッサージするね!」
そう言うとミカは俺をベッドの上に横にならせて跨った。
やわらかいお尻が布越しだが確かに感触を教えてくれる。
「あの~、ユウマさん。私にもマッサージさせてもらえませんか……?」
ミカのマッサージより、尻の辺りに当たる柔らかなものに全神経を集中させていると、いつの間にか降臨なさっていた天使が癒しの声を響かせていた。
「アイリス。いつの間に来てたんだ?」
そう。うちのパーティーの唯一の良心であり、可愛らしいマスコットでもあり、いるだけで周囲に癒しを与えることのできる天使、アイリスだ。
窓から差し込んでくるわずかな光を反射するほど綺麗な銀の長髪に、小学校高学年ほどの身長、年相応の可愛らしい顔立ち、背中には真っ白な羽が生えて……いるようにも思える天使のような女の子。
「ついさっきです。ノックをしても返事がなかったので、悪いとは思いつつ入らせてもらいました」
「そうか、気づかなくて悪かったな」
「いえ、私の方こそ勝手に入ってしまってすいません」
少しおどおどした感じでひかえめな返事をしてくるアイリスに俺はにこやかな笑顔を返す。
特に悪いことをしたわけでもないのに、本当に勝手に俺の部屋に入ったことを悪いと思っているらしかったアイリスは、俺のその表情を見て安心したような顔をする。
「それでその、勝手に部屋に入ってしまったお詫びと言いますか、なんといいますか……」
「ふっ……。それじゃあアイリスは俺の腰を踏んでくれないか?」
「腰を踏む、ですか……?」
俺ほど周囲が見える人間ともなると、女の子の考えていることなんて手に取るようにわかる。数多のギャルゲーやエロゲー、そして女の子の心情を探るために乙女ゲーまで経験済みの俺に四角はなかった。
俺はミカに腰は終わりにして足のマッサージを頼むと、ミカはそれを笑顔で承諾してくれたので、アイリスを腰に乗るように促す。
「は、はい! 誠心誠意、一生懸命やらせていただきますね!」
そう言うとアイリスは、靴下を脱いで可愛らしいあんよを晒しながら俺の腰の上に乗った。
そして「あの~。重くないですか?」なんて、可愛い女の子らしいテンプレなセリフを口にした。
そんなアイリスに「重くないよ」と告げると、笑顔の花を咲かせて俺の腰をふみふみし始めた。
「どうですか? 気持ちいいですか?」
「あぁ、すごく気持ちいいよ。アイリス」
「う、嬉しいです!」
幸せそうな俺の顔を見て、さらに一生懸命俺の腰を踏み踏みするアイリスに癒されながら、俺は少し前に入ってきたもう一人の来客に目を向ける。
「ちょっとユウマ! 私にも何かさせなさいよ!」
高圧的な態度で少しキツイ感じの言葉を言い放ってきたのはもちろん美少女。
腰ほどまで伸びた赤の長髪に、グラビアアイドル顔負けなプロポーション。俺よりも少し高い身長にキリっとした顔立ち、少しばかりキツイ性格もツンデレであって、ただ傲慢で高慢なだけのそれではない女の子。リリーナだ。
ちなみに本名はリリーナ・ラブ・フルハート。という可愛らしい名前だったりする。
「なんだなんだ? 今日は俺様感謝デーか何かか?」
「う、うるさいわね! 私はただ仲間はずれみたいで気に食わなかっただけよ! 別にユウマを思っての行動とかじゃないから!!」
お茶らけつつも余裕の表情でリリーナを見やると、さっきまでの高圧的な表情から一変して少し照れたような顔で言い返してくるリリーナ。
こういうギャップがリリーナの魅力なんだよなー。
「そうかそうか。それじゃあリリーナには手を揉んでもらおうか」
「手? そんなところでいいの?」
「そんなところがいいんだ」
「ふーん。そういうものなのね」
疑問を拭い切れない表情のまま、リリーナは俺が差し出した手を両手でそっと握る。
意外なほど柔らかいリリーナの手に少し驚きつつも、俺は余裕の表情を繕い、リリーナに感想を告げる。
「良い調子だぞ、リリーナ」
「ふ、ふん! 当たり前でしょ! なんといっても未来の天才魔法使いであるリリーナ様のマッサージなんだから当然でしょ!」
口ではそんなことを言いながらも、顔は正直なもので、少し顔を赤くしてそっぽを向くリリーナ。
そんなリリーナを余裕の笑みで眺めつつ、俺はそっと視線を少し下にずらす。
そこには俺の手をにぎにぎしているリリーナの手と、少し奥にはリリーナのメロンちゃんがあった。
手をにぎにぎする度にかすかに揺れ、少しでも手元がずれると俺の手が触れてしまいそうなほど大きな果実に視線を釘づけにされていると、足のツボが思いっきり刺激された。
「いでででででっ!!」
背中にアイリスが乗っている以上、身を捩らせるわけにはいかない俺は、悲鳴だけで足のマッサージをしているミカに抗議の目を向ける。
「な、何するんだよミカ」
「だって、ユウマが私に構ってくれないんだもん……」
「ミカ……」
確かに最初に構ってやって以来、ミカとはあまり会話をしてなかったように思う。
ハーレム物の主人公としてはあるまじき行いだ。
「全く、俺がミカのことを忘れるはずがないだろ?」
「じゃ、じゃあさ。誰のマッサージが一番上手い? どこが一番気持ちいい?」
少し緊張気味に告げたミカにどう答えようかと迷っていると、上の方から天使の声が聞こえてきた。
「あ、あの、私のマッサージは不服でしょうか……?」
次には横から声が聞こえてくる。
「もちろん私よねユウマ? なんて言ってもこの私が直々にマッサージしてるんですもの」
最後には足元から声がしてくる。
「私だよね? だって私、ユウマの幼馴染だよ? 私が一番ユウマのこと知ってるんだよ?」
三人からの質問に答えあぐねていると、三人ともマッサージを一旦止めて同時に顔を寄せてくる。
「「「誰のマッサージが一番『ですか?』」」」
俺がどうにか口を開こうとすると、腹の辺りに衝撃が走った。
「リックドムっ!!」
悲鳴を上げつつ目を開けると、そこには見慣れた幼馴染の顔があった。
「ミカ、さすがに一番になりたいからって暴力で訴えるのはどうかと思うぞ……」
腹を抑えつつ、呻き声のような声で訴えると、ミカは呆れたような顔と声で言ってきた。
「なに意味わかんないこと言ってるのさユウマ。それよりもうお昼だよ。さっさと起きて簡単なクエストでも受けに行こうよ」
「は? クエスト? せっかくマッサージで身体が癒されたところにクエストとかなんの嫌がらせだよ」
「ユウマこそさっきから何言ってるのさ。今までさんざん寝てただけのユウマに誰がマッサージなんてするの?」
「え? 俺寝てた?」
「うん。寝てた」
「……」
「それじゃあ私たちはもう準備できてるから、先にギルドに行ってクエスト選んでるね。ユウマもさっさと支度してギルドに来てね」
そう言い残すと返事を待たずに部屋を出ていくミカ。
その背中を無言のまま見送った俺はゆっくりと天井を見上げる。
「あー……これがいわゆる夢オチってやつか……」
それにしても、こんなに長い夢オチ、しかもプロローグって……。
……うん。止めよう。これ以上は精神衛生上よろしくない。
「さてと、ミカとリリーナ辺りに文句言われないようにさっさと支度するか」
今日もこうして俺の異世界日常の一日が始まる。
もう昼だけどな!!




