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最弱ニートの異世界転生  作者: Rewrite
第七章
156/192

5話

「えーっと、つまりはなんだ? この間新しく見つかった……というか、発見されたダンジョンの探索をしてくればいいわけか?」

「はい。そういうことになりますね。中の敵の強さや、道の幅、明かりの有無なんかを確認してきてもらえると助かります」


 ギルドが俺たちに個人的に依頼してきたのは今言った通り、新しく発見されたダンジョンの探索だそうだ。普通なら発見したもの勝ちのような気もするが、この世界では新しいダンジョンなどを発見した場合はそれをギルドに報告してからじゃないと、中には入ってはいけないらしい。

 それというのも、今の依頼内容の中にある敵の強さが大きく関係しているらしく、簡単に言ってしまえば、調子の乗って中に入って見たはいいが、敵が強すぎてどうにもならない。その上脱出も困難。最後にはダンジョンも出られずモンスターに追い詰められて死亡。なんていう冒険者をなくすためらしい。


「中にお宝とかがあった場合は俺たちがもらっちゃっていいのか?」

「はい。もちろんです。一応クエストという形になっていますし、そうでなくても皆さんには危険を承知していただいた上でダンジョンの中に入ってもらいますので、全然オッケーです!」

「でもそれだと、俺たちは全部の宝を取るまでギルドに報告しなきゃ、ダンジョンの宝は全部俺たちのもの! みたいにならないか?」

「あー、説明をし忘れていたことがありましたね。ダンジョンの探索は最初の一階層までで結構ですよ」

「なるほど。一階層目のモンスターの強ささえわかれば、ギルド的にはとりあえず安全に冒険者を送り出せるのか。それに宝箱を取りつくされることもないと」

「はい。そういうことですね。正直に言ってしまいますと、地図とかはほとんどおまけみたいなものなんです。追加報酬が手に入る、くらいに思っててくれれば結構ですよ」


 笑顔で対応してくれているロリ巨乳ちゃんには悪いが、このシステムにはやっぱり欠陥がある。


「あれ? お姉さん。それだと結局同じじゃない?」

「? 何がですか、ミカさん?」

「いやさ、結局ダンジョンの探索が終わってないってことにして私たちが下の階まで行っちゃたら同じじゃないかなって。もし宝箱を他の冒険者たちが見つけても、ほかの冒険者たちが先に取ったんでしょ? って私たちは言えちゃうわけだし……って、ユウマ、なんでそんな驚いた眼で私を見てるの?」

「み、ミカが頭よさそうな発言してる……」

「ちょっとひどくない!?」


 傷ついたという表情をするミカだが、実際驚いたのだ。

 いつも能天気で、何事も考えてなさそうで、いつも行き当たりばったりみたいなミカが、まるで話をちゃんと聞いて、まともな質問をするなんて誰が思うというのか。


「それに関してはユウマさんたちの良心に任せるしかないですね。私たちが一緒についていくわけにはいかないですし。……ユウマさんは~そんな私をだますようなことはしませんよね~?」


 腕を前で組み、胸を強調するロリ巨乳ちゃん。

 あざといし、男を騙す気満々の表情だ。いくら童貞引きニートの俺だって簡単に見破れる。

 だから俺は言ってやった。


「当り前じゃないですか。真摯な俺は美少女には嘘をつきませんよ」

「わあ~。さすがユウマさんですね~。私、信用しちゃいます~」


 男らしい俺の返事に、当然のというように満足げな顔をするロリ巨乳ちゃん。

 わかってても無理に決まってるじゃん。かわいい子に嘘だとはわかってても、あんな頼まれ方したらワンチャン狙っちゃうじゃん。しょうがないじゃん。


「ユウマさん……」

「ユウマ……」

「はあ~……」


 いつものようにパーティーメンバーの三人には呆れられてしまったが、美香あたりは今の俺と逆の状態になったら絶対に俺と同じ対応をするに決まっている。

 だからというわけではないが、俺は三人のほうを見ないようにした。自分の精神的ためにも。


「お姉さん。ホントにユウマのこと信用してるんですか?」

「してますよ~」

「この男は嘘の塊よ? それでもしてるって言えるの?」

「言えますね~」


 脳筋コンビがとても失礼なことを言い出した。

 お姉さんはあんなにも俺を信用してくれてるというのに。目は少し変なとこ向いてるけどさ。


「おい、お前ら少し言い過ぎだぞ! 俺だって少しくらいは信用できるだろうが! 俺が今まで嘘をついたことがあったか?」


「「「うん(はい)」」」


 ショックだった。

 確かに嘘をついてないとは言えないけど、まさかノータイムでアイリスにまで否定されるとは思わなかった。

 ユウマは精神的に9999のダメージを受けた。


 そのダメージから少しでも早く回復したかった俺は、さっさと自分に都合の悪い話題を抜け出すことにする。

 そのためにわざわざ、話を変えますよー、という意図を込めた大げさな咳をしてから質問をした。


「クエストってことは、いつもみたいにギルドから報酬が出るのか? さっき追加報酬云々言ってたけど」

「そうですね。それどころかギルド側からの依頼ですので、いつもより少し多めの報酬が出ますね」


 とりあえず聞きたいことが一通り聞き終わり、話の内容的にはそう悪いものではないように思う。ダンジョン内の探索というのは初めてのことではあるが、ゲームでマッピングは慣れたものだし、話を聞いた感じだと中のモンスターの強さによるが、そこまで大変なクエストでもないらしい。

 制限時間もなく、本当に無理そうなら途中リタイヤもあり、地図も絶対な正確さを求められているわけではないらしく、ある程度の完成度で構わないらしい。

 ようするに。


「最低限やれることだけやれば報酬はもらえる……と」

「そういうことになりますね。さすがにやってもらったことが少ないと報酬の減額はさせていただきますけど、そうそうそんなことにもならないと思いますし、なんなら簡単な地図と、中のモンスターを調査してもらえれば結構ですよ」


 うん。話を聞けば聞くほど悪くはない話だ。

 それに、ダンジョンに入ってみたいという願望はやっぱり俺の中にもある。冒険というものは男の子の心をいつだってくすぐるものだ。ダンジョンの中には出会いがあるはずなのだ。


「俺は結構いい話だと思うんだが、みんなはどうだ?」


 とはいえ、さすがに俺一人で中に入るのはさすがに危険すぎる。

『潜伏』スキルで身を隠しながら進むにしても限界があるだろうし、もしもの時の対応も遅れる。最低限あともう一人は着いて来てもらいたいところだ。


「私もいいとも思います。ユウマさんお一人に任せるのが申し訳ないというのもありますけど、他の冒険者さんたちのお役に立てるのなら、ぜひやらせてもらいたいです」


 うん。天使アイリスらしい意見でとても可愛らしく、優しい。

 アイリスは周りを光で照らす魔法も持っていたはずなので、この中では一番来てほしい人材だった。


「私もついていくわ。私一人で残るのなんてごめんだし、アイリスとユウマを二人で暗いダンジョンの中に行かせるのは危険だもの」

「おい、何がどう危険なのか聞かせてもらおうか。ことと次第によっちゃあお前の禁忌に触れてやってもいいんだぞ」

「ご想像にお任せするわ」


 大変ムカつく理由ではあるもののリリーナも参加決定。

 こいつ、ダンジョンの奥底にはぐれたふりして一人置いて行ってやろうか。


「私も行くー。ダンジョンってどういうのか気になるし、行ってみたーい」


 続いてミカもついてくれることになった。

 これで今回のダンジョン探索に置いて一番の火力を確保。探索にダンジョンみたいな狭い場所での戦闘なら、魔法でド派手に広範囲に攻撃するリリーナよりも遥かに頼りになる。ダンジョンで生き埋めになるなんてごめんだしな。


「それではみなさんでお引き受けしてもらえるということでよろしいですか?」

「あぁ、それでいいよ」

「それではこちらが依頼書になります。報酬やクエスト内容も記載されているので、改めて確認してください」


 そう言われて俺たちは四人でクエスト用紙の確認に入る。

 クエスト内容、報酬、期限、注意事項など、様々な項目を適当に確認し、四人で大丈夫だと頷きあう。


「オッケーだ。これで頼むよ」

「了解しました。それではユウマさんご一行の活躍に期待しております」


 契約が結ばれると同時にロリ巨乳ちゃんが丁寧に腰を曲げてお辞儀をしてくれる。しかし、そんなことをされると、その大きな果実を強調する形になるわけで、なんなら着ている服が胸元がざっくりと開いているタイプの服なので谷間がよく見えちゃうわけで、男としてはそこに目がどうしても行ってしまうわけで。


「いででででっ!! なにすんだよミカ! リリーナ! それにアイリスまで!?」


 右耳をミカ、左耳をテーブル越しにリリーナ、横腹をアイリスにつねられた。ミカやリリーナはわからんでもないが、今回はアイリスまで一緒だ。


「ユウマがお姉さんをエッチな目で見てるからでしょ」

「ミカの言う通りね。バレてないとでも思ってたのかしら?」

「ユウマさん。そういうのは相手に失礼ですし、いけないことだと思います」


 三人にそれぞれ言いたいように言われてしまって、少しばかり腹を立てたいところではあるが、アイリスの言う通り相手に失礼というのはわからないでもないし、自分に少しばかりの非があることは理解している。

 でも、ちょっと待ってほしい。物事というのは一つの方向からばかり見ていてはいけない。多方向から見るべきだ。


「ちょっと待ってくれ三人とも。確かに俺が今エロイ目でお姉さんを見ていたことは認めよう。でも、考えてみて欲しい。お姉さんはわざわざ胸元の開いている服を着ているわけだ。それは見てほしいからだということにはならないか? それに、男として女性のことを一切そういう目で見ないというのは逆に失礼なんじゃないか?」


 そうだ。そうなのだ。

 見られたくなかったら胸元までちゃんと隠れる服を着ればいい。そうでなくても今は冬で寒いのだから上から何かを羽織ればいい。そんな中でこんな格好をしているのだから、それは女の魅力を見てほしいというお姉さんからのサインだ。

 それに、男が誰一人としてエロいことに興味がなかったらこの世界はどうなる。少子高齢化どころか子供が生まれなくなってしまうではないか。つまるところ俺はこの世界の少子高齢化を食い止めようと奮闘している戦士だ。

 こればかりは俺が間違っているということはないはずである。


 だから俺は「俺の言っている通りですよね? お姉さん」という意味を込めてロリ巨乳ちゃんを見やる。

 すると、ロリ巨乳ちゃんはいつもの笑みを浮かべて、言ってくれる。


「全然そんなことないです。ユウマさん、それってセクハラですよ? 憲兵さん呼んじゃいますよ? この服だって普通の服を着ると少し胸が苦しいから胸元が開いている服を着ているだけですし、何も羽織ってないのはさっきまで動き回ってて少し暑かったからです」


「……」


 笑顔のまま、なんてことないように言ってくれるロリ巨乳ちゃん。でも、そこには小さいながらも確かな怒りがあって、ミカやリリーナのそれよりも怖く感じる。


「ユウマさんに限らずにそういった目で私のことを見ている男性冒険者の方がたくさんいるのは知ってますけど、直接言われたら私だって嫌ですし、今度同じようなことがあったら牢屋行きですからね。ユウマさん」

「は、はい……。肝に銘じておきます……」


 普段怒らない人や、笑顔でいる人の方が怒ったときに怖いなんてよく言うが、それは本当のことのようだ。

 俺はそのことを今日改めて身をもって思い知ったのであった。


 女の子って怖い。


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