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最弱ニートの異世界転生  作者: Rewrite
第六章
141/192

28話

 

 あれからどうにか犠牲者を出さずにヤマタチオロチから撤退をしてきた俺たちは、現在俺が王都にいる間貸してもらっている自室に集まっていた。

 この場にいるのは俺たち四人パーティーとエイトとセツコさんだ。


「――――――というわけなんだけど、頼めないかなユウマ?」

「私からもお願いしたい。脅迫のように聞こえてしまうかもしれないが、これはセントラル王やルリお嬢様からの頼み事でもある。もちろん私たちも協力を惜しむつもりはない。どうか頼めないだろうかユウマ殿」

「んー……」


 そして俺はエイトとセツコさんから頼みごとをされていた。

 その内容はヤマタチオロチ討伐メンバーに常に参加し、さっきのようにリーダーが暴走した際に歯止めをかけ、最悪の事態にならないようにしてほしいという内容だった。

 簡単に言ってしまえば、討伐が無理そうだと判断したら撤退を進言する役をしてほしいと言われているのだ。


「つってもなー。エイトはわかってると思うけど、あいつ結構頑固だぞ? 俺たちがあんなに言ってもまともに取り合わなかったし、次だってたぶん一緒だ。今回は不意打ちで強引にやっちまったけど、さすがに二度目はないだろ。正直俺じゃあ力不足感しかない」


 別に俺は討伐メンバーに常に参加することに対しては思うことはない。むしろいるだけでお金がもらえる機会を確定でもらえることになる。問題なのは、依頼内容の方だ。今言った通り、俺にはあの冒険者のリーダーを正攻法で言いくるめられる気がしないのだ。

 相手がいくら賢くても、頭の回転が良いやつでも、状況によっては言いくるめるくらいならどうにかできると思っている俺だが、あいつのように最初から怒り狂っていて冷静さを欠いているやつはどうしようもない。話を聞きやしないんだから言いくるめるもなにもないのだ。

 じゃあ勝手に撤退命令を出してしまえばいいのでは? なんて思ったそこのあなた。考えてほしい。一度は失敗したけど、今までの信頼のある冒険者のリーダーと、始まりの街の冒険者で明らかにお零れ目当ての俺、王都の冒険者が信じるのはどっちだろうか。間違いなく前者である。


「そこをどうにか。聞けばユウマ殿は街の危機の際に数々の作戦を素早く考えたらしいではないですか。冒険者ギルドの方から手際が良く、作戦も見事だったと聞いています。その力をどうか私たちにも貸してほしい」


 申し訳なさそうにしているエイトとセツコさんを見ると、エイトはともかくセツコさんの頼みならとオーケーしたくなる気持ちをぐっと飲みこみ、俺はどうにかその役目から逃げられないかと思考を巡らせる。

 面倒ごとはごめんである。大きな面倒と小さな面倒なら両方回避できるなら両方回避、無理なら楽な方へと逃げるのが俺のスタンスだ。


「あのさ、冒険者に任せるんじゃなくてエイトたちの騎士団とかで討伐しちゃうとかダメなのか? それなら俺もいくらか作戦を立てるのくらいは手伝うし、エイトとセツコさんが言えば他の兵士たちも言うことを聞いてくれるだろ? 正直あの冒険者どもをどうにかするよりはるかに楽だと思うんだが」


 そうだ。冒険者に頼らずともここにはエイトとセツコさんが率いるセントラル王が納める王都の騎士、兵士たちがいる。訓練場で見ただけでも結構な数がいたし、あの場にいた以上の兵士騎士がこの王都には居るはずだ。


「それは無理なのです。ユウマ殿」

「へ? なんで?」


 我ながらナイスアイデアだと自画自賛しているとセツコさんが申し訳なさそうにそう告げた。そのセツコさんの反応に首を傾げる俺。


「ユウマ。実はね。僕たちは訓練以外でギルドのクエストを受けることはできないんだ。僕たちまでギルドでクエストを受けてしまったらまともに生活できない冒険者が出てくるからね」

「なるほどな。面倒くさいけど仕方ないシステムだわな」


 言われてみればそうだな。と頷いている俺の服の裾が引っ張られた。振り返ると、ミカがおずおずと、「今のどういうこと? 全然意味わかんないんだけど」などと言ってきた。

 マジですかおい。


「はぁ~。いいか? エイトたちは冒険者じゃない。この国の、もっと言うならこの城の騎士として働いてるんだ。だからちゃんと働けばこの城から給料が支払われる。でも、冒険者は違う。ここまで言えばわかるだろ?」


 嘆息を吐き、出来の悪い生徒の面倒を見る先生の様な気持ちになりながら、俺はミカに自分で答えを出すようにヒントを出す。じゃないと成長しないからな。


「えっと……つまり、エイト様たちは国からお金が出るけど、冒険者は働い分しかお金がもらえないから、仕事量が減ると冒険者が困るってことでいい?」

「その通りだ。大丈夫だと思うけどアイリスとリリーナも理解したよな?」

「はい、大丈夫です。今ので自分の考えがあってるのも確認できました」

「私も大丈夫よ。当たり前のこと聞かないでくれるかしら」


 なんとも頼もしい返事をもらい、俺は改めてエイトとセツコさんの方に向き直る。

 それにしてもミカ……。お前小学生くらいのアイリスですら理解できることを一回で理解できなかったってのか? 心配なんだけど。マジで。


「んー……でもやっぱり俺たちじゃあどうしようもない気が……」


 頭の中で色々と思考を巡らせたが、ろくな案は出てこず、出てきても自分自身で否定ができてしまい。最終的に振り出しに戻ってきてしまった、堂々巡りである。


「ちなみにですが、この依頼を受けてもらえるならヤマタチオロチを討伐出来た際の討伐報酬の他に、この依頼の褒美として追加報酬を出すとセントラル王から仰せつかっております」


「任せてください!! なに、この俺にかかればそんな以来お茶の子さいさい。朝飯どころか昨日の晩飯前ですよ! なーに、大船に脱出用ボートを付けたくらいには信頼してください!!」


 さっきまでの気乗りのしなさはどこに行ってしまったのか。旅行にでも行ってしまったのか。そんなことを思うくらいには金に目が眩み、金に汚く、残念な男がそこにはいたそうな。

 誰だろな。

 俺は必死に心の目を逸らした。


「「「……」」」


 そして、哀れみの目を向けてくるパーティメンバーたちからも目を逸らした。




「ユウマ~。人は失敗から学んで成長する生き物なんだよ? ユウマは人じゃなかったの? ニートで鬼畜で外道なだけじゃ飽き足らずにさらにいらない属性を追加するの? ねぇ、ほら、何か知ってごらんよ」

「反論の余地もございません」


 俺の返答に笑顔を咲かせてセントラル王に報告しに行ったセツコさんとエイト。二人が出て行って俺たち四人パーティーメンバーしかいなくなった俺にお部屋で、俺は悲しいことに三人の女の子に囲まれ正座をさせられていた。

 正直この状況に少しときめく何かを感じている。俺はどうかしてしまったのだろうか?


「ユウマは本当にお金のことになるとダメになるわね。いつもは小賢しいくせにお金をチラつかされると馬鹿みたいに飛びつくんだから」

「ぐぬぬ……」


 普通に暮らしてるだけじゃ返せないほどの借金があるんだから仕方ないだろ! という反論があったが、でも、それならそれで一言私たちに相談するとか、意見を聞くことくらいはできたわよね? とかいう言葉が返って来ることがわかりきっていたので強引に飲み込んだ。


「そんなんだからユウマはモテないんだよ。お金に汚くて、欲望に忠実で、頭がエッチなことでいっぱいだからユウマは女の子にモテないんだよ。わかる?」

「……」

「そうね。ミカの言う通りだわ。そこらの男でも探せばいいところの一つくらいはどうにか見つかるけど、ユウマにはないもの。このままじゃ一生童貞ね」

「……」

「ユウマ。女の子といい雰囲気になったときにすぐにがっついたらダメなんだよ? いい雰囲気を出せとか無茶は言わないけど、それなりに順序は踏んでいかないと女の子は嫌がっちゃうよ」

「……」

「ミカ、そんなこと言ったら可哀そうよ。ユウマにはそういう雰囲気になる相手すらできないんだから、踏めもしない段階の話をしたって可哀想だわ。酷な話よ」


「さっきのは確かに俺が悪かったけどお前ら言い過ぎだろ!! あと、なんで俺が勝手に依頼を受けた話から俺がモテない理由で説教受けなきゃいけないんだよ! 本当に悲しくなってくるからやめろよ! 俺だって辛けりゃ泣くんだぞ! いいのか? 俺が泣くとめんどいぞ! 大声で喚き散らしながら床に寝転がって、足をばたつかせつつその場でバレリーナのごとき回転を見せるからな!!」


 自分でもよくわからない脅しを交えつつ、好き勝手に言ってくるリリーナとミカに反論する。

 確かにさっきのは俺が悪かった。今俺がミカたちの立場にいたなら間違いなく同じことをするか、見捨てるか、もしかしたらもっとエグイことをするかもしれない。でも、かもしれないばかり気にしてはいられない。

 だって―――自分大事!


「そもそもなぁ。俺たちには簡単には返せない借金があるんだぞ。今はギルドの人たちのご厚意で屋敷は取られずに済んでるけど、いつ屋敷を追い出されるかわかったもんじゃないんだ。俺たち四人が普通の冒険者みたいに頑張ったって返せないほどの借金があるなら、少しは金にも汚くなるだろ!!」


 そう、俺にだって大義名分はある。

 約二億なんていうとんでもない借金があるのだ。一国を治めるセントラル王直々の依頼ともなればその報酬は期待してもいいはずだ。それに討伐までできればヤマタニオロチの討伐報酬すら入ってくる。それは俺たちにとってかなりの大気人なるはずだ。

 まぁ、俺たちの財布には全然入らないんだけどな……。


「うっ……そこを言われると弱いなー」

「ほんと小賢しいわね……」


 さすがに今の反論には二人も反論を返すことができないしく、口を噤む。


「ま 、まぁまぁ、みなさん落ち着いてください」


 少し気まずい雰囲気が流れ始めた中、アイリスの癒しボイスが部屋に響いた。


「確かにユウマさんが今回の件を勝手に決めてしまったのは少し悪いことかもしれないですけど、ユウマさんの言い分だって間違いじゃありません。それに、リリーナさんやミカさんだって、ここの冒険者の皆さんが傷つくのは嫌なはずです。それならどんな理由にしても助けられるならそれでいいとは思いませんか?」


 ……天使だ。

 天使がいる。

 あまりにも優しすぎる。それこそ弱っている魔物に回復魔法をかけてしまうほど優しすぎるアイリスの言葉に俺たちは癒され、心を落ち着かせた。


「アイリスの言う通りだな。そんじゃあ、こんなことで言い争ってないで早速作戦の一つでも考えるか」


 天使アイリスの差し伸べてくれた手を拒絶するつもりもない俺は、さっきまでの喧嘩腰をなくしてリリーナとミカに向き直る。


「うん、そうだね。でも……作戦? もしかしてユウマ、ヤマタニオロチを倒すつもりなの?」

「そうなのユウマ!? そういうことなら私も喜んで協力するわよ! まぁあ! 未来の天才大魔法使いの私がいれば、あんな奴イチコロだけどね!!」


 さっきの戦闘であれだけの冒険者たちが魔法と物理で攻撃していたのに対し、まるで決定打を与えられなかったというのにどこから来るんだ、その自信は。という意味を込めた嘆息を零し、その考えは違うと俺の考えを口にする。


「お前たちはヤマタニオロチとの戦闘に必死で知らないだろうけど、今回の撤退を指示したのは俺とエイトだ。あの冒険者のリーダーじゃない」

「はい。それはなんとなく知ってます。撤退を指示した声がリーダーさんのものじゃなかったですし、ユウマさんの声に似てるな、とは思ってました。それに先のお二人との会話でも少し話してましたし」


 詳しく説明をする必要もなさそうなことをアイリスが証明してくれた。唯一心配だったミカもうんうんと首を縦に振っていたのでたぶん大丈夫だろう。わかってなくても自業自得だ。


「さっきの話をちゃんと聞いててくれたなら話は簡単なんだが、あのリーダーがな、ちょっと自信家というか、自信過剰というか、とにかく面倒な性格でな」

「ユウマに言われるなんてあの男も対外ね」

「お前はせっかく天使がくれた平和を破壊しにきた魔王か何かなのか?」


 なぜかまた喧嘩腰なことを言い出すリリーナに大人な対応を返した俺は、呆れたように息を吐き、口を開く。


「……とにかく話を戻すぞ。とにかくあのリーダーは俺たち始まりの冒険者のことをバカにしてる。俺とエイトが撤退を進めた時もお零れをもらいに来ただけの始まりの冒険者は黙ってろだとか、まだ勝てる可能性が残ってるだとか、あのバカみたいに魔法を使ってる魔法使いさえいなければとか色々言ってた」

「さっきの私もだけど、ユウマもやっぱり対外だと思うわ」


 さっきの仕返しを交えつつ話を進めていたら、今度はリリーナにため息を吐かれた。しかし、これで気分は晴れた。俺ってば案外ちょろい。


「最後のはともかく、前半の二つは本当だ。なんならあとでエイトにでも確認してみろ」

「わかった! 今すぐ行ってくるよ!」

「あとでって言ってるだろ!」


 いきなり回れ右をして部屋を飛び出して行こうとする幼馴染の首根っこを掴んで強制的に動きを止める。ミカはいきなり首根っこを掴まれたせいで体は前に行っているのに首だけがその場に留まろうとした反動で「ぐえっ」っと、女の子があげてはいけないような声を漏らした。


「全く、エイトのこととなるとすぐ目の色変えやがって。いいか? ああいうイケメンには既に思い人がいたりするんだよ。俺はこの人を守るための剣になるみたいな。いないにしても、あんなイケメンなら女の子はよりどりみどりだ。わざわざミカなんて選ばねえよ」

「あぁ、それなら大丈夫だよ! ヤマタニオロチのところに向かう途中に彼女はいるんですか? 気になってる人は? って聞いたら、いないって答えてくれたもん」

「だからなんでお前はそんなとこだけ行動力があるんだよ!?」


 正直少しキツイことを言ってしまったかもと、少しだけ反省していたのだが取り越し苦労だったようだ。


「ったく、もう一回話を戻すぞ。とにかくあいつは俺たち始まりの冒険者の言ううことなんて聞いてくれない。それどころか王族の専属騎士をやってるエイトの言葉にすら耳を貸さなかった。ここまで言えば言いたいことはわかるだろ。俺が言った作戦ってのは、どうやってあいつを上手く説得するか、だ」


 ようやく話の本題を切り出せたと内心ほっとする俺。なんでこれだけの会話をするのにここまで疲れなきゃならんのだ。

 そんな俺の苦労を意にも介していないようでリリーナは偉そうに腕を組んでいるだけ、ミカに至ってはさっきからしきりに背中の方にある扉を気にしてる。そんなにエイトに会いたいのかよ! と、怒鳴りたくもなったが、それだとなんだが俺が嫉妬してるみたいで癪だったのでどうにか堪えた。

 そして、こんな悪魔みたいなやつらとは違って、この中の唯一の良心であるアイリスは口元に手を当て一生懸命考えていてくれた。


「あのー、ユウマさんとエイトさんが二人で説得してもダメだったんですよね?」

「あぁ、戦ってたアイリスたちの方がわかってると思うけど、あの状況を巻き返すのは無理だったからな。それなら悪戯に戦力を削られて撤退すらできる前に撤退するべきだって言ったんだけど、無駄だったわ」

「それじゃあ、イニティの時みたいにユウマさんが冒険者のリーダーになるのはどうでしょうか? それなら今のリーダーさんを説得する必要もありませんし、撤退のタイミングもユウマさんが決められます。どうでしょうか?」


 この短時間の中で、小学校高学年くらいのアイリスがここまでの案を出せたのには素直に驚いた。前から賢い子だとは思ってたが、やっぱりアイリスは頭がよく回る方だ。実際今も俺が頭を撫でているせいか、頭が少し回っている。


「いい案だけど、無理そうだな」


 アイリスの案を否定はしたくなかったが、できると思わせてできなかったときに傷つくのはアイリスだ。ここは心を鬼にしておく。


「なんで無理なのユウマ?」


 いつの間にかこっちの会議に参加していたミカが口を開く。ようやくまともに会議に参加する気に―――


「おい、ちゃんと話し合いに参加する気があるなら背中向けてないでこっち向けや」


 少し感心していたらミカの奴、まだ扉の方を見ていやがった。

 俺の感心した心を返せ!


「もう、ユウマ。そんな小さいこと気にしてたら人生詰まんないよ? 私くらいゆとりを持たなくっちゃ」

「あー、はいはい。ミカさんのお胸様もそこまで小さくもなく、服もゆとりがございますね」

「ユウマ、私だって怒るんだよ? ほら見て、拳に少しだけど血管が浮いてるの」


 どうやら割とマジで怒っているらしいミカ。本当に拳に少し血管が浮いてるから困る。俺はこれ以上の追及を止め、自分の身の保身をすることにした。


「ん……ふぅ」

「……アイリス。アイリスはまだ成長途中なんだから気にすることないぞ。これからどんどん成長するんだから今はリリーナでも見て、将来の自分の姿でも想像しな」


 なにやら自分の胸を見て落ち込んでいるっぽいアイリスに優しい言葉を投げかける。直後にリリーナとミカから鋭い視線と「セクハラ」「ロリコン」と罵倒まで受けてしまった。俺が何をしたっていうのか。ただ励ましただけだぞ。


「ゆ、ユウマさん……。お、お気持ちはうれしいのですが、そういうのは恥ずかしいのでできればやめていただけると……」


 ……。

 俺が全面的に悪かったです!!


「それで、さっきのことなんですけど、なんで私の案はだめなんでしょうか?」

「ん? あぁ、俺が冒険者のリーダーをやればうんぬんって話か。それはな―――」

「どうせまたリーダーなんて面倒くさいとかそういうやつでしょ? ユウマの考えなんてお見通しなのよ。馬鹿でもわかるわ」

「否定はしない。でも、それが一番の理由じゃねえよ」


 半年近くも一緒にいるせいか、幼馴染のミカどころかリリーナまで俺の思考を理解し始めた。そこまで俺のことをわかってるんなら毎日俺好みのパンツでも吐いてほしい。そしたらスカート捲りにもせいが出るのに。


「それで結局何が理由なのユウマ?」

「あぁ、簡単に言っちまえば冒険者たちが俺の言うことなんて聞かないのが問題なんだよ。相手は王都の実力のある冒険者、こちとらイニティ前の草原でも苦戦する始まりの街の冒険者、王都の連中が俺らを頼りたくないのなんか目に見えてる。見栄とか尊厳的なものがあるからな」

「でも、今はそんなことを言ってる場合じゃないと思うんです。それは王都の冒険者のみなさんもわかっているはずで」

「わかってるのと、実際に納得するのは違うんだよアイリス。理解してても実行するのは難しかったりするんだ」

「そうだよね。ユウマも学校に行かなくちゃいけないってわかってはいても、なかなか部屋から出れなかったもんね」

「うっせえー!!」


 ったくミカの奴。そんな昔の話を持ち出しやがって。ほら、見てみろ。学校なんてもん知らないリリーナとアイリスが置いてけぼりだぞ。


「つまりだ、俺たちがあの冒険者グループの中に入るのはまず不可能といっていい。居ても邪魔扱いされるだけだろうな。だから前回同様、強硬手段にでるしかない」

「例えば?」


 説明を終えると同時にミカが質問を投げかけてくる。


「そうだな。口の中に強引にスプラッシュはもうやっちまったから。ボルトで電気流して気絶、ミカがドジした振りして一撃加えて気絶、潜伏で後ろから近付いて不意打ちで気絶、狙撃スキルで遠距離から何か当てて気絶、うっかりを装ってヤマタニオロチの攻撃に当てさせて気絶。……すぐに出るのはこんくらいかな」

「さすがユウマ……卑怯で下劣で鬼畜だよ」

「さすがの私も引いたわ……」

「ユウマさん……」


 みんなが若干引いたような目で俺を見ている。


「し、仕方ないだろうが!! 相手は上級冒険者だぞ! そんな奴相手に最弱冒険者がまともにやって勝てるはずないだろうが!!」

「た、確かにそうですよね……」


 まだ完全には戻ってきてはないもののアイリスが少し心の距離を戻してくれた。


「ともかくだ! とりあえず俺たちはヤマタニオロチ討伐には必ず同行。さらには撤退のタイミングを計って、リーダーをどうにかして黙らせて冒険者たちを撤退させる。あわよくばヤマタニオロチの討伐だ。いいな!」


「「「はーい」」」


 強引に三人を納得させて作戦会議とも言えない作戦会議が終わった。


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