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最弱ニートの異世界転生  作者: Rewrite
第六章
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4話

 アイリスの可愛さに負けた俺はすぐに馬車の運転手のおじさんに猫を引き取る了承をもらった。

 おじさんは「いやあ、助かるよ。食費もバカにならなくてね。私にもあんまり懐いてくれないから少し困ってたところなんだ」と、笑いながら話していた。

 あの猫……ただの女好きなんじゃ。


「その猫俺らで引き取っていいってよ」


 二人のところに戻ると二人は交渉に行ってた俺のことなんて忘れ、戻ってきた俺も無視して黒猫を可愛がっていた。

 黒猫も黒猫でお腹を見せたり、顔を掻いてみたりと可愛らしい行動を取りまくっている。

 あの猫、女の扱いがわかってやがる!


「にゃろーっ!! 『潜伏』」


 腹の立った俺は盗賊スキル『潜伏』を使って二人と猫に近づく。

『潜伏』は姿形は消せても音や匂いは消せない。つまり調子に乗って走ったり、香水のような匂いを発するものを身に着けたりしたら一発で効果の半分は失われる。

 だから俺は慎重に忍び足で近づく。アイリスは俺のことを最初から認識していたので俺の姿が見えているはずだが、俺が何をしようとしているのかわからずに首をかしげている。


 音を殺し、とうとう二人と猫一匹の所に来れた。

 俺はここで深呼吸をして、そっと手を伸ばす。


「にゃあーっ!!」

「ぬをっ!?」


 あと少しで猫に触れるというところで黒猫がこちらに向かってとびかかってきた。

 しかし俺はスンのところでそれを回避。


「なぜバレたんだ!?」

「シャーッ!」


 驚く俺に背中の毛を逆立てて威嚇する猫。

 ここに、元ニートvs黒猫という対決が始まった。


「「なにすんのよ(してんの)!!」」


 その決着は以外にも意外、脳筋魔法使いと、ドジッコ格闘家の手によって付けられた。

 リリーナが火の魔法で俺の足元だけを燃やして俺を拘束、動けなくなった俺にミカが近づいて来て、ミカの攻撃範囲に俺が入ったのを見計らってリリーナが魔法を解除し、水魔法で火の処理、俺とミカを遮るものは何もなくなりミカが俺の腰に手を回す。うん。小さいながらにも確かな感触が……とか考えていたら俺の視界が突然の回転。


「とりゃああああああっ!!」


 気が付けば俺の視界は真っ暗になっていた。

 口の中は土の味がする。じゃりじゃりする。

 俺は、土の中にいた。


「まったくこのニートは! 馬車に戻ろリリーナ。バカが移っちゃうよ」

「そうね。まったく、ほんとバカねあのニートは!」


 そういうと二人は大きな足音を立てながら馬車へと戻っていった。と思う。


「だ、大丈夫ですかユウマさん……」


 やっぱり本気で俺のことを心配してくれるのは正妻のアイリスだけか。

 もう、二人に借金押し付けてアイリスと駆け落ちでもしようかなー。

 でも、それだとアイリス悲しむだろうなー。

 とか考えていると、いきなり足が引っ張られた。


「ど、どうにか引っ張ってみるので少し痛いの我慢してください」


 ふにふにとした手に力が込められた。

 痛いのを我慢してほしいと言われたが全然痛くない。


「ふにゅ~っ!!」

「んんんんんんんんんっーーーーーーーーーあ」

「す、すいません! 痛いんですよね? でも、こうでもしないと抜けそうになくて……」


 ……。

 アイリスには非常に申し訳ないことに、今の言葉にならない叫びはアイリスの可愛らしすぎる掛け声による俺の萌えレーダーが反応した声である。

 つまり、痛みなどでは全然ない。


「はにゃ……」


 アイリスの手から力が抜ける。

 力尽きたのだろう。


「も、もう一度いきます……! ふんっ!」


 可愛らしい掛け声とともに再びアイリスの両手に力が込められた。

 それでもユウマは抜けません。


「そうだ! 魔法で筋力を強化すれば……。『アグレッシオ』」


 どうやらアイリスが自分に筋力増強魔法をかけて俺を引き抜くことにしたようだ。


「これならいけるはずです! それっ!」


 三度アイリスの可愛らしい掛け声とともに両手に力が込められる。

 まだまだユウマは抜けません。

 え? なに? 俺って選ばれし者にしか抜けない聖剣かなにか? 確かに俺の体の一部には聖剣エクスカリバーがあるけども。


「あれ? 全然抜けません……。ど、どうしたら」


 できることをやるだけやったアイリスが可愛らしい顔で困っている……はず。

 だって、見えないんだもん。

 俺だって見たいんだよ? アイリスが困った顔で悩んでるのを少し離れたところから見守ってたいんだよ?

 それで、涙目になってきたら颯爽と登場して解決方法を教えたいんだよ?

 でも無理なんだよ。だって今回の悩みの原因俺だもん。


 それにしても本当にどうしたものか。

 さすがにこの固い土を見えない状態で掘るのは危険そうだし、柔らかくしようにも水なんかで濡らせば空気を通す場所がなくなって、土から抜け出す前に死んでしまう。

 やっぱり出発の時間にミカが飽きれながらも抜いてくれるまで大人しく待つしかないか。


「そうです! なんでこんな簡単なことが思いつかなかったんでしょう!」


 俺が諦めモードに入ったころアイリスがなにやら新しい方法を思いついたようだ。

 でも、正直アイリスにできることってもうないような……誰かに助けでも求めに行くのか?

 いやでも、アイリスは若干コミュ症というか、人と話すのが苦手な節があるしな。うーん。


「土が固いから抜けないなら土を柔らかくしちゃえばいいんです! 運よく私は水魔法が使えます! これならユウマさんを簡単に助けられるはずですっ」

「……」


 まずいまずいまずいまずいっ!

 本当にまずい。このままだと死ぬ! 土の栄養になるーっ!!


「んーっ!! んんんーっ!!」

「わかってますユウマさん。もうそろそろ辛いんですよね……。私が今助けてあげます。……それで、もしよかったらその後、褒めながら頭を撫でてもらえると……。あはは、贅沢ですよね。助けるのだって仲間だから当然なのに」

「んんーっ!」


 かわいい! 可愛いけどもアイリスちょっと待って! 頭なら気が済むまで撫でてあげるし、むしろ撫でたいし待って! 水なんか撒かれたら……


「『スプラッシュ』!!」


 死ぬーっ!!!


 この後、聖剣のごとく直立状態で埋まっていた俺が力なくへにゃたれたのを、もうそろそろ俺を抜くかと来たミカが見て、俺は意識朦朧の状態で救われた。


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