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最弱ニートの異世界転生  作者: Rewrite
第六章
114/192

1話

約半年ぶりの投稿です。

少しずつ、でも着実に投稿していきたいと思います。

……異世界行きてぇ。

 

 こんにちわ、みなさん。

 晴れてレベル六からレベル一の最弱に戻ったユウマです。

 ただ、良いこともありました借金が二億から一億九千五百万に減りました。


 ……泣いてもいいですか?


 冬特有の窓が白くなる現象を利用して窓に適当な落書きをしながら零れそうになる涙をこらえる。

 借金が減ったのは確かに嬉しい。でも、百万円の代償がレベル一なのは俺にとって重すぎる。

 レベル一で百万もらえるならゲームだったりしたら嬉しいじゃん、とか思ってるそこのあなた。少し考えてみてほしい。

 ここは異世界であってゲームじゃない。いくらゲームみたいでもゲームじゃないのだ。

 攻撃をされれば痛いし、モンスターを目の前にすれば大なり小なり怖いし、致命傷を受ければ死にもする。レベル一つ上げるのも苦労するのだ

 その上、この世界の経験値は人数で分割ではなく、倒した本人の総取り。つまり、自分でモンスターを倒さないとレベルも上がらないのだ。

 そして、レベルが上がらないとモンスターも狩れない。負のスパイラルである。


「うぅ……」


 レベルダウンポーションを飲んでから今日で一週間。

 俺のレベルは一のままです。

 せめて元のレベルにだけでも戻りたかったのでファナにレベルアップポーションはないのかと聞いたところ、レベルアップポーションはとても貴重なものでなかなか手に入らないということと、その商品を売ってくれた商人は他の町に行ってしまったということだ。

 万事休すである。


「ユウマー、いつまでも落ち込んでないで今日こそはクエスト行こうよ。クエストに行かなきゃ借金も返せないしレベルも上がらないよー」

「う、うるさいなー! もういいんだよ。もう怖いの嫌なんだよ!」

「なに何かのロボットのパイロットみたいなこと言ってるのさ。今まで、このパーティーを支えてきたのは俺だって言えないなんてユウマじゃないよ」

「ちくしょう、ノリがいいなぁお前は!!」


 こういった地味にわかりずらいネタにも乗ってきてくれるのがこの幼馴染、ミカの良いところである。


「ねえねえ、行こうよユウマー。太陽浴びると元気になるよー。酸素吸って栄養取ってるだけじゃダメだよ。しっかり太陽浴びないと」

「俺は光合成なんてしねえよ! その前に植物でもねえよ! れっきとした人間だよ!!」

「でも、ニートなんて植物人間みたいなものでしょ?」

「ちげーよ!! てか、お前今さらっと俺をニート扱いしたな! 違うから! 俺ニートじゃねぇから! 働く意思はちゃんとあるから!」

「……ホント?」

「……まーぁ、働かなくていいならそれに越したことはないけど……」

「やっぱダメニートじゃん」

「きさまーっ! 言ってはならないことを! よろしい、ならば戦争だ!! 金剛力も武器も捨ててかかってこい!」


 ミカと慣れ親しんだ会話を交わし、俺は今日も現実の厳しさに枕を濡らす。

 ……話変わるけど、枕を濡らすって、なんかエロくね? 俺だけ?


「た、大変ですぅーっ!」


 もうそろそろミカが呆れてリリーナたちのところに戻る頃、アイリスが珍しく大きな声を上げる。

 それに対する俺の行動はもちろん


「どうしたっ! アイリス、今行くぞーっ!!」


 勢いよく部屋を飛び出し、駆けつけるである。


「……私が何言っても聞かないくせに、アイリスちゃんが困ってると簡単に出るんだね……」


 なにやら開けたドアの後ろから声が聞こえた気がしないでもないが、アイリスの困った発言に比べたら月とスッポンだろう。

 無視して、普段甘やかすに甘やかした足腰を総動員させる。


「どうしたアイリス!? 敵かっ!? 敵襲かっ!?」


 我ながら敵ってなんだよと思うが、そんなの今はどうでもいい。


「ゆ、ゆ、ユウマさん……こここ、これを……」


 アイリスが腰を抜かしてその場に座り込みながらも、俺に持っていた手紙を渡してきた。

 最初は俺へのラブレターかな? とも考えたが、あまりにラブレターらしからぬ手紙の様子にその考えはすぐに捨てた。


「なんだ? なんかこう、高級そうで仰々しい、いかにも高貴なるものです感を漂わせる手紙は?」


 アイリスから受け取った手紙は今まで俺がこの世界で見てきたどの紙よりも綺麗で高そうなものだった。

 触り心地からして違うし、色もこの世界では珍しいくらいの真っ白。いつも見る少し茶色掛かった物とは全然違う。

 それに右下のところになんか変なマークまである。なんだこれ?


「さっきから何騒いでるのよユウマ。珍しく部屋から出てきたと思ったら、今度は気でも狂ったのかしら。……最初からよね」

「おう、リリーナ。あと、話しかけてきたと思ったらディスるのやめろや」

「いいじゃないどうでも。それよりどうしたのよ。さっきアイリスの悲鳴みたいなのも聞こえたけど」

「お前な……。聞こえてたんならすぐに来てやれよ」


 アイリスが困ってるのがわかってて無視を決め込んでたのか、この脳筋魔法使いは。


「脳筋じゃないわよ!」

「心の声読むなよ!」


 何故か見透かされてた心の声のことはさておき、アイリスの困った原因となった手紙の件に戻る。


「何よ、その手紙」


 リリーナが俺の手から手紙を引っ手繰る。


「この刻印、王族のものじゃない。どうしたのよ、この手紙」

「なんか知らんがアイリスが持ってたから家に届いたんじゃないか?」

「そう、家に王族から手紙が。すごいわね」

「そうだな。普通は王族なんて俺ら冒険者からしたら一生に一度見れれば良いくらいだろうしな」

「そうよね」

「だよなー」


「「王族から手紙ーっ!?」」


 一瞬落ち着いてからの驚き。


「おいおい、王族から手紙ってなんだよ!? 俺らなんかしたか!? むしろしてないか!?」

「そんなの私が知るわけないでしょ! あ、あー、きっとあれよ。この私、未来の天才魔法使いであるリリーナ様を王家の近くに置きたいっていう手紙よ! そうに違いないわ!」

「何言ってんだこの天災魔法使い! お前に才なんてないだろうが! あるのは災厄だろうが! 夢見んのは夢の中だけにしろ!」

「ユウマこそ一日中夢見てないで現実見なさいよ!」

「あんだとーっ!」

「なによーっ!」


 リリーナと額と額をぶつけてにらみ合う。

 そして、次第にこんなバカなことしてる暇じゃないことをお互いが認識しなおし、再び手紙に目を戻す。


「……とりあえず、読まなきゃだよな? 無視してなんかあってもヤバいし」

「そ、そうね……。まだ慌てるような時間じゃないわ」


 とりあえず内容を確認しないと、話にもならないということになり、ゆっくりと慎重に手紙を開き、中身を読む。




 王族よりユウマ、アイリス、リリーナ、ミカへ


 王族より貴君らに、多くのオークから街の冒険者たちを率いてイニティを防衛し、オークを討伐したこと、さらには魔王幹部であるヴォルカノ討伐の功績を、王族自ら称したい。

 そのため貴君らに一度王都まで出頭願いたい。

 城へ入る際にはこの手紙の王家の紋章を兵士に見せれば入れるように手配しておく。

 期限は特に記さないので、貴君らのタイミングで構わないものとする。

 そして、貴君らのさらなる功績に期待する。


 セントラル王国国王 ジーニアス・ヴィレンチ・クレセント




「「……」」


 俺とリリーナが無言で顔を見合わせる。

 数秒後に冷や汗が出てきて、さらに数秒後に―――発狂。


「うおおおおおおおおおおおおおーーーーーーっ!!!!!」

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーっ!!!!!」


 突然の王族からの、それもこの国の国王直々に執筆された手紙に恐怖する俺とリリーナ。

 恐怖のあまりとんでもない考えが浮かぶ。


「俺らしがないただの冒険者になんで王族のお偉いさんが手紙なんてよこすんだよ! 王族なら王族らしくデカい椅子にふんぞり返ってドヤ顔してろよ!!」

「バカユウマ! 何言ってるのよ。ジーニアス王と言ったらかつて世界を救った英雄よ! 魔王軍を滅ぼすまでには及ばなかったものの、壊滅寸前まで追い込んだ勇者よ!」

「嘘だろ!?」

「ほんとに決まってるでしょ! こんなことで嘘ついてどうすんのよ!」


 あの、いつも無駄に自信満々で自分が世界で一番最強の魔法使いだとか抜かしているリリーナがここまで言うのだから嘘ではなさそうだ。

 王族からの手紙なんて俺からしたらリア充のクラスメイトから今日クラスのみんなで打ち上げ行くんだけど、来る? って聞かれてるようなもんだぞ!

 ……あれ? こう考えるとなんか軽く感じるな。

 じゃああれか? 学校のマドンナ的な女子にラブレターをもらう感じか? なんかこれもしっくりこないな。んー……。


「ど、どうすんのよユウマ! あんたこのパーティの一応、かろうじて、名前だけ、表面上、なんちゃってリーダーでしょ! あんたが決めなさいよ」

「ちょっと待ってくれ、今がどれだけ緊急事態なのか他の言葉で表そうと思ってるんだが思いつかないんだ」

「んなこと、どうでもいいわよ! いいからどうすんのよこれ!?」

「どうでもよかねえよ!」

「どうでもいいわよ!」

「んだとーっ!」

「なによーっ!」


 お互いに額と額がくっつきそうにな距離で数秒間睨み合い、今はそんなことよりも自分たちの置かれている状況を思い出す俺たち。


「今はこんなことをしてる場合じゃないな。うん」

「そうね、今はお互いの力を合わせるべきよね」


 二人でどうするべきか考えてみるが、こんな難題を簡単に解けるはずもなく……


「「どうすんのこれ……」」


 正直言えば王都に行ってみたくないこともない。が、俺たちはこの始まりの町、イニティにおいて、いや、全冒険者たちにおいて最強の借金パーティーだ。

 俺たち以上に生活に困ってる冒険者を俺はまだ見たことない。

 そんな俺たちが日本でいうところの東京に出向いて、生活できるかと言われれば、間違いなくノーだ。確実に生活費が足りない。

 仮に王族がお金の工面をしてくれるにしても、前にリリーナとアイリスから聞いた話だと王都は魔王城にそれなりに近いらしく、そのせいで周囲の魔物もこの当たりとは比べ物にならないそうだ。

 ドラゴンとか見てみてぇ! とか、軽い気持ちでいると一分も持たずに死ぬらしい。

 この街の近くでさえ、何度も死にかけている俺なんかは何回死ねばいいんだろう。

 さらにさらに、王都に出向くということは、もちろん城にも行かなくちゃいけないわけで、下手をしたら王様なんかと堅苦しい話をしないといけないわけで……。


「でも、断ったら後が怖いんだよな……」

「そ、そうね……。ジーニアス王はお優しい方だと聞いてるけど、私たちみたいな冒険者がお誘いを断ったら、どうなるかわからないわね」

「だよなー。それに、そんなことをして、私用で王都に行くことになったら俺精神的に辛い……。周りの視線が怖い」


 もし、王都に行って、「あの時ジーニアス王のお誘いを断った冒険者よ。よくもまあ、ここに顔を晒せたものね」とか、住民に思われそうで怖い。


「なら行ってみようよ。私、王都見てみたいし。お城もあるんでしょ?」

「お前なぁ。簡単に言うなよ。……って、ミカ、今までどこにいたんだ? こんな大変な時に」

「ユウマには言われたくないよ。ユウマのせいで私のファーストキスはユウマの部屋の扉とになったよ」

「ははは。面白いこと言うなミカ。お前のファーストキスの相手は地球だろ?」

「地面だよね!? それ、地面だよね!? 私が転んだ時に顔面から行った時の話だよね!? それはファーストキスじゃないから!!」

「それじゃあ、お父さんじゃないか? 人間だし、異性だし」

「自分のお父さんをそんな風に意識しないよ!? ていうか、急に生々しい!!」


 いきなりやってきたミカといつも通りの漫才を済ませ、少し頭が冷えた。


「まぁ、事実はさておき、王族から直々に手紙が届いてんだ。嫌でも行くしかないだろ。ちょっとした旅行とでも思っていこうぜ」

「そこは冗談をさておこうよ!」

「そうね。王族の招待を断るのはさすがにまずいものね」

「リリーナ! リリーナもツッコんで!」

「ミカ。お父さんは大事にしないとね」

「なんでいつもは喧嘩してるくせにこういう時の二人は仲いいの!?」

「さーて、それじゃあ泡吹いて気絶してるアイリスを起こして、各自旅行の準備を整え次第、王都に向かうぞ」

「はいはーい」


 こうして、俺たちは突然王都に向かうことになった。


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