16話
「今日はいつにもまして寒いな……」
暖炉の前でみんなと並んで暖を取りながら、気が付けば俺はそうつぶやいていた。
今は冬だし寒いのは当たり前と言ったら当たり前なのだが、今日はその冬の中でも一際寒い。
その上、時刻はすでに夜の七時という、お日様も定時だし今日の仕事は終わったとばかりに姿をくらませ、これからは俺の時間だとばかりに月が姿を見せている。
そのせいでお昼には太陽というお助けキャラがいたのに、今はもういない。
「そういえば、酒飲むと体が火照って熱くなるってよく聞くけど、あれってホントなのかね?」
「あー、よく聞くよねそれ。うちでもお父さんがお酒飲んでて、私たちは暑くないのに一人で暑い暑い騒いでうるさかったよ」
「あー、わかるわかる。その上ダルがらみまで増えて最悪なのな」
「そうそう!」
俺の提供した話題に一番に乗ってきたのは同じ日本から異世界に飛ばされてきたミカ。
ただ、俺が話したいのはそういうことじゃない。
「なぁ、リリーナ。どうなんだ?」
「なんで私に聞くのかしらね!」
「いや、なんかお前って飲んだら寝るまで暴れるイメージだから何か知ってるかなって思ってな」
「その前に私がお酒を飲むのかを聞くべきじゃないのかしら?」
「飲むのは半年も一緒にいればわかるっつーの。てかギルドの飲み会で飲んでたろ。問題はその先だ。外だとお前なんかもっと飲みたそうな顔してるのに、周り見て飲むの止めるから、もう手遅れな体裁でも気にしてるんだろうと思ってさ。なら、限界まで飲んだ時のことも知ってるだろうと」
「そ、そんな顔してないわよ!! っていうか、手遅れってなによ! 手遅れって!!」
この異世界では日本とは色々と決まりが違う。
日本では当たり前のようにダメなことでも意外と大丈夫なことが多い。
その筆頭とも言ってもいいのが、未成年の飲酒だ。
未成年と言っても、この世界では十三を過ぎればそこそこ働けるから一人前ということらしいので、日本とは大きく考えが違う。そのため十三を過ぎれば男女問わず結婚ができ、飲酒も可能だ。ただし、自己責任という便利な言葉が後ろにつくが。
なので、この世界では俺もミカも問題なく飲酒可能なのである。
だから俺もよく調子に乗って酒を飲むし、ミカもジュースの方がおいしいとか言いながらもそれなりに酒に興味があるのか、この世界に来てから俺が呑んでいる酒を奪って少しだけ飲むことがある。
アイリスはまだ十三を超えていないので、まだ飲んだことがないと言っていたが、どんな味なのかは気になりますとは言っていた。
「それで結局のところどうなんだよ。知ってるのか? 知らないのか?」
「知らないわよ! 私はお酒を飲むより紅茶を飲む方が好きなの!」
確かに見た目だけならリリーナは紅茶を飲んでいる方がしっくりくる。でも、性格を含めるとなると……
「はぁ……」
「なんなのよそのため息は!!」
ため息の一つも吐きたくなるのである。
残念系女子というのは本当にいるのだ。
「そんなに気になるなら限界まで飲んでみればいいじゃない!」
「おっ? それもそうだな。たまにはいいこと言うじゃないかリリーナ」
「たまにって何なのよ! キィィィィィ!!」
リリーナがハンカチを口で噛んで下に引っ張りそうな顔で悔しがっているのは無視して、限界まで酒を飲んでみることにする。
「でも、お酒の飲み過ぎは体に悪いですよ? それなら暖かいココアでも飲んだ方がいいんじゃないですか?」
ここで俺たちの心配をしてくれるのがこのパーティーの唯一の癒しで良心のアイリスである。
「確かにアイリスの言うことも一理あるな。……でも、自分の限界を知っておくのも必要な気がするし、」
俺の酒に対する最大の懸念はリバースだ。次点で二日酔い。
この世界に来て何度も酒に手を付けてはいるが、それなりの量しか飲まないのでどちらも経験したことがない。……いや、二日酔いは経験あったな……。思い出したくないからすっかり記憶から飛ばしてたわ。そのせいであの時暖かかったかなんて覚えてもない。
「わかりました。でも、無理はしないでくださいね」
「おう。でももし、ヤバくなったら面倒は頼むなアイリス」
「もちろん頑張りますけど。ホントに危なくなるまで飲まないでくださいね……」
アイリスがもしもの時は任せてくださいと言ってくれた。その表情には呆れが混じっていたような気もするが、それはきっと気のせいだろう。そういうことにしておく。
「ミカとリリーナはどうする?」
「飲むーっ! 本当に暖かくなったら最高だし、ダメでもお酒飲むと眠くなるって聞いたことあるから最悪寝ちゃえば寒いのも関係ない!」
ミカにしては失敗した後のことも考えてあって、珍しく賢い。
内容はアホまるだしだが。
「リリーナは?」
「二人が飲むのに私が飲まないのはなんかノリが悪いから、しょうがないから一緒に飲んであげるわ」
「そう言って自分が飲みたいだけだろ」
「ち、違うわよ!!」
リリーナが興奮気味に俺にくってかかってくる。どうやら図星のようだ。
「それじゃあ私が入れてきますね。私もココアを作りに行きたかったので」
「そうか? 悪いなアイリス」
「いえ、大丈夫です」
アイリスがわざわざこの寒い中、暖炉の前という聖地を自ら離れてまでお酒と自分の飲むココアを取りに行ってくれた。
本当にできた嫁である。
「お待たせしました」
少ししてアイリスがお盆に三人前のお酒と自分の分のココアを乗せて持ってきてくれた。
酒を飲むのにコップを置く場所がないのは不便に感じたので、全員で暖炉から少し離れた位置にある炬燵まで移動する。
ちなみに、この炬燵も俺の『鍛冶』スキルによる製作品である。
「それじゃあみんなで……かんぱーい!」
「「「かんぱーい(です)!!」」」
みんなで一度コップを合わせて、まずは一口。
うん。結構苦いけど、割と旨い。
こんな感じで始まったお酒で本当に体は温まるのか、という実験がスタートした。
「アイリス~。おかわり~!!」
「まだ飲むんですか!? 本当に大丈夫ですかユウマさん!?」
「大丈夫だって! 余裕で元気だし!」
あれからどんどんと酒を飲んでいった俺とミカとリリーナ。
俺はすでに五杯も酒を飲んでいるが、呂律も思考もしっかりしてるし、足元もおぼつかないなんてことはない。
リリーナは三杯目をおいしそうに飲んでいる。しかもなぜか上品に……。なんでこいつが飲み物を飲むと上品に見えるのだろうか。
ミカは未だに一杯目をチビチビと飲んでいて、もうそろそろ一杯目が飲み終わるというくらいだろうか。やっぱり酒が口に合わないのかもしれない。
「いやー、酒飲んで体が温まるってのは本当だな。さっきより全然温かく感じるぞ。むしろ暑いような気もする」
三杯目を飲み終えた辺りで気付いたが、自分の体が妙に火照っているのを感じた。五杯目に入ってもその暖かさは続いており、さっきまで震えるほど寒く感じていたのが嘘のように今は暖かい。これが酒の力だと言うのなら、俺は毎日酒を飲もう。
これから毎日酒を飲もうぜ!!
「持ってきましたよ、ユウマさん。ほどほどにしてくださいね」
「おう、ありがとうなアイリス」
「アイリスちゃーん。私にもおかわり~」
「はーい。今持ってきますね」
俺のお代わり分の酒が届いてすぐにミカが自分の追加分の酒を注文した。
あのペースからいって、ミカは一杯飲んだだけでギブアップだと思っていたのだが、どうやら予想は外れた。
アイリスが再びキッチンへと戻っていく。
「ユウマさんたち本当に大丈夫でしょうか? お酒ってすごい匂いしますし、興味はあるんですけど、おいしくなさそうなんですよね。何かと混ぜたりしたら私も大人になったら飲めるんでしょうか? ん……?」
少ししてアイリスが戻ってくる。
「お待たせしましたミカさん」
「うん。ありがとーアイリスちゃーん」
アイリスがミカにコップを笑顔で手渡す。
「アイリスもココアおかわりか?」
「はい。寒い時の温かいココアはおいしいです」
自分の分の追加ココアを持ってきていたアイリスが炬燵に入る。
四人で特に何もすることなく、平和に飲み物を飲んで温まる。たったこれだけのことに幸せを感じる。
そんなことを考えつつ、酒を一口。
「ぷっはぁ~!!」
苦味にも慣れてきて、もう旨味しか感じない。人間なんにでも慣れるものである。
「はぁ~!!」
どうやら俺の他にも酒を一気に飲んだ奴がいるようだ。まぁ、リリーナ辺りがいつも抑えているリミッターが切れて一気飲みでもしたのだろう。
「……って、ミカか!? お前、さっきまでチビチビ飲んでたのに大丈夫かよ!?」
驚くことに一気飲みしていたのはリリーナではなくミカだった。
酒を一気飲みすると、急性アルコール中毒になるともいうので心配になって声を掛ける。
「らいじょーぶらよ、りゅーまぁ~」
案の定、ミカはもうヤバそうだ。呂律が回っていない。
仕方ない、面倒だがミカの部屋まで連れってって寝かせて来よう。
「おい、もうお前やばいって。一緒に行ってやるから自分の部屋まで帰れ」
「にゃははは、なに言ってんのりゃ、りゅーまー。夜はまだ始まったびゃかりだよー」
「もう無理だって。明日二日酔いになるぞ。あれめっちゃ痛いぞ。お前も痛いのイヤだろ」
「うるへー! いいからお酒を飲むんらよー!!」
「ゾック!?」
ミカの肩に無理やり肩を入れて担いでいこうかと思ったら脇腹に肘撃ちを食らった。しかも酔いのせいで『金剛力』のセーブが効いてなかったのか、いつも以上に痛い気がする。骨に異常がなさそうなのが唯一の救いだ。
それにしてもこれはまずい、一番面倒なやつが酒に飲まれやがった。しかも、このままじゃ一人でどうにかするのは難しそうだ。拘束魔法『リスント』で拘束してもミカの『金剛力』の前じゃ雀の涙だし、懐に入ろうものなら攻撃を貰う。
俺は助けを乞うことにした。
「おい、リリーナ。ちょっとミカを部屋に連れてくから手伝ってくれよ。俺一人じゃどうしようもない」
俺が助けを頼むと、何も言わずにリリーナはその場を立ち上がり、こっちに来てくれた。
「助かる。こいつ近づくと暴れてさ……。ちょ、リリーナ……?」
リリーナの足取りが覚束ない。ゆらゆらと漂うように無言でこっちに来るのもなんか怖い。
いつもなら「なに? 女の子一人部屋まで連れてけないの? これだから貧弱冒険者は」みたいな嫌味を言ってくるはずなのに、それがない。
なんだか嫌な予感がする。
「り、リリーナ。こっちを手伝う前に水でも飲んできたらどうだ? なんなら俺が持ってくるし、だからぁ!?」
どうにかリリーナの進行を止めようとしたのだが、最後にいきなりリリーナが躓き、こっちに倒れこんできた。
「っちー……。おい、大丈夫かリリーナ」
不意打ちだったのでまともに受け身も取れずに打った頭を手で摩りつつ、リリーナの状態を確認する。
しかし、リリーナからの返事はない。
「大丈夫みたいだな。大丈夫なら返事くらいしろよ。あと、そこどいてくれ、色々とやばいから」
現在俺とリリーナの状況は俺がリリーナに押し倒されている状況だ。
俺が床に寝転び、リリーナがその俺を下にして膝と両手をついている。状況によっておいしい状況だが、相手がリリーナだしそこまで何も感じはしないが、俺も一応男の子なのでそれらしいセリフを言っておく。
「お、おい……リリーナ……?」
俺が言っているのにリリーナが動こうとしない。
何がどうしたんだ? 両手両ひざに超強力な瞬間接着剤でもつけてて、床から離れられないのか?
「ねぇ、ユウマ」
とか、ふざけたことを思っていたらリリーナがようやく口を開いた。
「私って……そんなに魅力ないかしら……」
「……は?」
「だってユウマ、よく私に女らしくないって言うじゃない? 胸のこととかセクハラしてくるのに、脳筋魔法使いとか言って私を女の子として見てくれないじゃない? それっぽいことしても気持ち悪いとか、明日の天気はどうだの言って文句言ってくるし……」
「ほ、本当にどうしたリリーナ? お前なんかおかしい……」
ぞ、と、言葉を続けようとしたその瞬間、リリーナが下に向けていた顔を上げる。
その顔は真っ赤に染まっていた。
もしかしてこいつ、俺の事意識して……なんて思うほど俺の頭もめでたくない。酒を飲んでもそれくらいわかる。
これは―――
リリーナも酒に飲まれてる!!
やばいやばいやばい。
四人中二人、しかも面倒なのが酒に飲まれやがった。
必死に頭をフル回転させている間に、リリーナがゆっくりと端正に整った綺麗な顔をこちらの顔に近づけてくる。
「ねぇ……ユウマ……私も結構女の子だと思うのよ。いつもユウマがセクハラしてくる胸とか、体だって女の子特有の柔らかさがあると思うし、匂いとかも結構気を使ってるのよ?」
知ってるよ! いつもいい匂いさせてるもん! 身体のことだってただ照れくさいから素直に褒めてないだけだよ! わかれよ!
そんな俺の思いが通じるはずもなく、リリーナが両腕を折り、全身を俺に預けてくる。リリーナの大きくて柔らかい胸が俺の胸に押し付けられ、俺の顔のすぐ横にリリーナの顔がある。耳元で囁くように呟かれる言葉がくすぐったくて心地よい。
甘い匂いが鼻孔をくすぐって、女の子特有の柔らかい感触に包まれて、どんどんと思考がマヒしていく。
「ななな、なにをしていらっしゃるのですかリリーナさん……?」
彼女いない歴=年齢=童貞歴の俺には刺激が強すぎる。
少しでも気を緩めたらこのまま流れで行くところまで行ってしまいそうだ。
理由だって酒のせいにしてしまえばいい。俺もリリーナも酒に飲まれてしまったというだけで理由なんて十分だ。
リリーナはさっき俺がリリーナを女の子扱いしていないって言っていたが、確かに扱い的にはそうかもしれないが、心情で言えばすごい意識しているのである。
可愛い女の子たちと一つ屋根の下で同棲。心躍らないはずがない。
三人がお風呂からあがって姿を見て意識するし、三人が女の子っぽいやり取りや行動を取るたびに意識する。
それぐらいには俺はちゃんとリリーナを意識しているのだ。
だから、良いんじゃないか?
ここで長年連れ添ってきた童貞とお別れしてもいいんじゃないか?
色々と順序がおかしい気がするけど、薄い本ならそれも当たり前だし、酒に酔っているとはいえ、同意の元ならいいんじゃないか?
ここで逃げたら一生童貞を捨てられる気がしないし、男なら覚悟を決めるべきだろうユウマ。
よし! ユウマおじちゃんがんばっちゃうぞ!!
そう思って俺に全身を預けているリリーナを抱くように手を伸ばそうとして―――
「んなわけねぇだろーっ!!」
わずかに残っていた理性を総動員させてリリーナを押しのける。
と言っても、リリーナはまだ俺にまたがったままだし、この体制は色々と俺の精神的にマズい。
俺だってこういうのは時と場合を選ぶのだ。ちゃんと段階を踏んで、ラノベの主人公たちのように、お前らもうくっついちゃえよ! と、言われるようなことをたくさんしたいのだ。
こんな流れで、まともな思考もできない状況での童貞卒業は嫌だ。相手と自分の思考がしっかりした状態で同意した上で卒業したい。
それにここにはアイリスとミカがいるのだ。ミカはワンチャン酔ってたから見間違いか、夢でも見たんだろ? で、ごまかせるかもしれないが、アイリスはどうしようもない。
むしろ、こんなのアイリスには悪影響である。アイリスにはこのまま一生そういうことを知らないで生きていてもらいたい。
大人になってもサンタを信じていたり、子供は男の人と女の人がキスをするとコウノトリさんが運んでくる。みたいな認識でいてほしい。
「あ、アイリス! 助けてくれ! リリーナが酒に酔って変なんだ! このままだと俺の貞操が危ない! あと理性も!!」
最後の頼みである、このパーティーの唯一の良心であるアイリスに助けを求める。
アイリスは酒を飲んでないし、最悪筋力増加魔法の『アグレッシオ』を掛けてさえくれれば、俺一人でもどうにかなるかもしれない。
俺の言葉に飲んでいたココアを机の上に置き、こっちに来て、俺の顔のすぐ横に座るアイリス。
やっぱりアイリスは天使だった。
「助かるよアイリス。やっぱりアイリスは最高だ……」
この中で唯一まともなアイリスに嬉しくなって涙が流れそうになる。
ホント、こうなるなら酒を飲もうなんて言わなきゃよかった。
「ユウマさん」
「なんだ、アイリス。できるだけ早く助けてくれると助かるんだが……」
こうしてる間にもリリーナは俺の手を振りほどいて、また俺に全身を預けようとしているのだ。ことは一刻争う。次は俺も理性を保てる気がしない。リビドーのままに行動してしまうだろう。
「いつもごめんなさ~い!!」
「えーーーっ!!!?」
いきなりアイリスが泣き出した。
大きな声で、年相応の女の子のようにアイリスが大きな声で泣き出す。
え!? 俺なんかした!? いや、むしろされそうなんだけど!!
「いつも魔物に回復魔法かけちゃってごめんなさい! いつもクエストの時に役に立てなくてごめんなさい! いつもいつもごめんなさーい!!」
わからない! ユウマわからない!!
なんでいきなりアイリスは泣き出したの!? なんでいきなりアイリスは謝りだしたの!? もうなにがなんなのー!?
こっちの頭までおかしくなりそうになってきたが、このまますべてを流れに任せるのは危険な気がする。
どうにかリリーナを振りほどき、机を盾に三人から距離を取る。
「そういえば、リリーナとミカはわかるけどアイリスはなんでおかしくなってんだ? ……もしかして!」
もしや……と、思いアイリスの飲んでいたココアを口に含むと、ほんのりと酒の味がした。どうして入ったのかは知らないが、何らかの理由でアイリスにも酒が入っている。
頭を働かせている間にいつの間にか来ていたリリーナにもう一度押し倒される。アイリスは再び俺の顔のすぐ横に座り込んだ。
なに、なんなのこの生殺し!!
「本当にごめんなさい、ユウマさん! こんな私とパーティーを組んでくれたのに、いつもクエストじゃ魔物を回復させてばかりで邪魔しかできてませんし、攻撃もミカさんやリリーナさんの方がすごいですし、いつも私と話すよりもミカさんやリリーナさんと話しているときの方が楽しそうですし……本当にごめんなさーい!!」
「いやいやいや! アイリスはちゃんと役立ってるぞ! 回復魔法はアイリスにしか使えない。俺たちのケガを治せるのはアイリスだけなんだぞ。適材適所だ。気にすることなんて何もないんだぞ。むしろ、アイリスより俺の方が何もできてない!」
「ねぇ、ユウマ……やっぱり私って魅力がないのかしら? 今だって私はこんなに頑張ってるのにユウマはなんにもしてくれないし……。なんなら少しくらいなら胸とか触ってもいいのよ? いつも私がお風呂あがってパジャマ姿になると、おっぱいばっかり見てるでしょ? ねぇ、ユウマ……」
「なぁぁぁぁぁぁっ!! なんなの!? お前なんなの!? 童貞キラーなの!? 童貞絶対殺すウーマンなの!? もう理性がやばいんだよ! お前が魅力的過ぎて俺のビックマグナムがバーストしそうなんだよ! あと、視線に気づいてるなら言ってくれよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「りゅーまぁー、お酒なくなっちゃったぁ~。おかわりどこ~」
「お前はもう酒飲むな! これ以上飲んだら本当にまずいから! すでにお前の許容量超えてるから! 頼むから俺を助けるか、部屋に戻って寝てくださいお願いします!!」
「にゃんだと~! 私の酒が飲めにゃいって言うのか~!」
「おかしい! 会話が成り立ってない!! 会話の前後があってない!」
「これでもくりゃえー」
突っ込みを入れた瞬間、唯一俺と距離の会ったミカが俺の頭の辺りに来て、俺の首を絞める。
苦しい……。
リリーナを倒れてこないように支えている手の片方を離し、首に回っているミカの腕をたたく。
しかし、ミカはやめてくれない。力でもかなわない。
マズい……もう……意識が……
「ん~……頭痛い……」
「なに? もう朝なの……?」
「あれ? 私、こんなところで寝ちゃったんでしょうか?」
「あれ、ユウマが泡噴いて寝てる」
「うわー……何してるのかしら」
「昨日のことが何も思いだせません」
「「「それにしても……なんでこんなに部屋が荒れてるんだろう(でしょう)?」」」
次の日の朝、泡を吹いた状態で俺は発見された。
三人の記憶はないようだ。
もう二度と、この三人とだけで酒を飲み明かすのは止めようと俺は誓った。




