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最弱ニートの異世界転生  作者: Rewrite
第五章
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10話

「ごめんなアイリス。ちょっと手間取って時間かかっちまった」


 家を出るときとは逆の立場になりながら、ギルド前に待たせたアイリスのところまで戻る。


「いえ、全然待ってませんよ。それにさっきはユウマお兄ちゃんに待ってもらったので、これでお相子です」


 可愛らしいアイリスの笑顔に癒されつつ、今日一日だけとはいえお兄ちゃんと呼んでもらえる至福を心に刻みつけた。


「それじゃあ今度こそどっかに出かけようぜ! 今日はゆっくりエンジョイだ!」


 改めて行く当てのない散歩のようなデートに戻る。

 話すネタのないことに困った俺は、さっきアイリスが具合悪そうにしていたのを思い出し尋ねてみる。


「そういえばアイリス。さっき具合悪そうだったけど大丈夫か? 辛いなら無理しない方が……」

「い、いえっ! さっきのは……そう! どうやったらユウマお兄ちゃんをこの前ミカさんから聞いたキュン死させられるか考えてただけで!」

「……え? アイリス……俺の事殺そうとしてたの……?」


 これは驚きを通り越してショックだ。

 まさか俺がここまでアイリスに嫌われていたなんて、ミカやリリーナには嫌がることはしてもアイリスには絶対にしまいとしてきたのに、すでに嫌われていたなんて……。


「ご、ごめんなアイリス。……まさかアイリスが俺を殺したいほど嫌ってるなんて思ってなくて……アイリスにならキュン死以外の方法で殺されても構わないから……いや、ダメだ。アイリスが俺を殺したらアイリスが罪に問われる……悪いけどアイリス、明日ミカが来てからでもいいか? ミカの金剛力ならすぐに死ねると思うんだ……」

「いやいやいやいやっ!! ちちち、違うんです! さっきのは間違いです! 間違いなんです!」

「そ、そうなのか? アイリスは優しいから嘘をついてるんじゃ? ……いいんだぞアイリス、俺のことを殺したいほど憎んでも……」

「ないです! ユウマお兄ちゃんを殺したいなんて思わないですから! さっきのは間違っただけです! 嘘も言ってません! だから死なないでください! 私はちゃんとユウマお兄ちゃんのこと大好きですから!!」


 アイリスが大きな声でそう言った。


「……へ?」

「……。―――っ!? あわわわわっ!!」


 ようやく自分の言ったことの意味を理解しだしたのか、アイリスの顔が見る見るうちに赤くなっていく。

 いつもの俺ならスマホを取り出して記録を取るか、瞳のシャッターをひたすら切ることに集中するところだが、今は―――


「ひゃはぁーーーーーーっ!!! アイリスが! アイリスが俺のことを好きだって……大好きだって言ってくれたぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 俺は有頂天になっていた。


「アイリスーっ! 嬉しいっ、お兄ちゃん嬉しいよぉーっ!!」

「ちちち、違うんです! 違わないけど、違うんですぅーっ!!」


 こんな感じで、俺たちは周りの人たちの注目を浴びながら歩き始めた。




 お互いに時間が経って落ち着き始めたころ、少しお腹が減ってきたということで近くの店でお昼ご飯を食べることになった。

 俺に至ってはリリーナの魔法を食らって気絶していたため朝ごはんすら食べていない。お腹もそろそろ限界を迎えるころだ。


「アイリス。あそこなんてどうだ? なんかパスタとかサラダを中心にしてるお店みたいだけど」


 丁度近くにオシャレな感じのお店を見つけた。

 アイリスは見た目通り小食で、ご飯を残したりすることはないが、量の多いものを食べるときは最後の方かなり苦しそうにしている。

 かといって手伝おうか? と、問うと、「いいえ、せっかく私のために作ってくれた料理です。食材さんたちにも悪いですし、食べます……」と、無理をしてでも一人で食べる。

 最近では俺が量の調整をしていることもあってそんなこともほとんどなくなり、毎日おいしそうにご飯を食べて幸せそうに食べ終えているのが見ている側としての救いだ。

 でも外だとどうなるかわからない。

 そのことを考慮してパスタのように量があまり多すぎず、女の子のためにサラダもあるこの店を候補に選んだ。


「いいですね。なんかオシャレなカフェって感じがして素敵なお店です」


 どうやらアイリス的にも及第点な様子。

 早速アイリスと二人で店の中に入る。


「いらっしゃいませーっ! こちらの席へどうぞー!」


 異世界と言っても日本と何も変わらない。接客の基本は笑顔だし、挨拶も同じ。そしてウェイトレスはなるべくかわいい女の子というのも異世界と言えども同じだ。

 つまり―――

 可愛い女の子をしっかりとした名目で凝視することができる。しかも話してもくれる。

 ウェイトレスの女の子の後姿を思う存分楽しみつつ、案内された席について、最後の最後までウェイトレスの女の子を凝視する。

 そして離れて行ってしまったことに落ち込んでいると、アイリスがムスッとした顔で話しかけてきた。


「ユウマお兄ちゃん。今あのウェイトレスさんの事変な目で見てませんでしたか?」

「え!? いやっ! そんなことはないぞ! 見てるには見てたけど、ここの制服がかわいいなぁー、って、思ってただけだよ!」


 我ながら苦しいいいわけだが嘘は言っていない、半分は本当だ。


「嘘です。だってユウマお兄ちゃん、あのお姉さんの顔と胸ばかり見てました。嘘を吐くお兄ちゃんなんて嫌いです」


 そう言って頬をリスのように膨らませて怒るアイリス。

 ―――どうしよう……

 怒られてるし、俺的に非常にまずい状況なのに、頬をふっくら膨らませたアイリスが可愛すぎてもう少し見ていたい。できればその頬を両側から手で挟むか、指で突いて萎ませたい。

 この欲求、どうしておくべきか。


「ご、ごめんよアイリス。せっかく隣にかわいいアイリスがいてくれてるのに、他の女の子ばかり見てごめんよー」


 とりあえず自分の否を認めて謝ることにした。


「こ、今回だけですよ……」


 アイリスのそうやってすぐに許してくれる優しい心は美徳だけど、いつか変な男に騙されそうでお兄ちゃん心配です。

 そうこうしているうちに頼んでいた料理がやってきた。

 二人分のパスタに、二人で一緒に食べればいいということで少し大きめのサラダを一つ。見た感じ量もあんまり多くなく、最近の家で食べるご飯と大して変わらない量だ。


「「いただきます」」


 アイリスがいるのでしっかりと一緒にいただきますをしてからパスタを口に運ぶ。

 うん、うまい。

 おいしいパスタに舌を打ちつつ、今度家でも作れないかな、と、材料の考察をしながらどんどん食べていくと、あっという間にパスタがなくなっていた。


「ふぅ~、美味かった~」


 満足のいった俺はまだ食事中のアイリスの方を見る。

 アイリスは食べてる姿も可愛いのだ。


「おっ? どうしたアイリス? 口に合わなかったか?」


 アイリスの方を見ると、アイリスのパスタの皿はまだ半分ほどしか減っていなかった。

 いつもに比べて食べる速度も遅いように思う。


「いえ……おいしいです。おいしいんですけど……」


 アイリスが申し訳なさそうな顔をしながら言う。


「家でユウマお兄ちゃんが作ってくれる料理の方がおいしいなって思ってしまって……。ダメですよね、お店の人にも失礼ですし……あはは……」

「いやいや、人の好みなんてみんな違うんだし、それでもいいんじゃないか? 俺だって自分の作った方がおいしいって言ってもらえればうれしいしな。嬉しいついでに今日はアイリスの好きなものを作ってやるよ」

「ほ、ホントですか! な、なら、私ハンバーグが食べたいです!」

「はははっ、今お昼食べてるのにもう夕食の話しか? アイリスは食いしん坊だなぁ」

「っ!? た、確かにそうですけどー……ひどいです、ユウマお兄ちゃん……」


 こんな嬉しいこともありつつ、お昼が過ぎていく。

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