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最弱ニートの異世界転生  作者: Rewrite
第一章
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9話

昨日は投稿できずに申し訳ありませんでした

 

 クエストを受けてすぐに街を出た俺たちは、スモールゴーレムの生息地であるいつもの草原を少し進んだ先の、岩の多い岩石地帯に来ていた。


「たぶんこの辺りにゴーレムがいると思います」


 アイリスが不安定な足場をやたら慎重に歩きながら言った。

 ここの岩石地帯は足元に小さい石や岩がたくさんあって歩きにくい。周りには大きな岩がいっぱいで視界も悪い。

 正直、戦闘にはあんまり向いていない場所だ。

 良いところがあるとすれば、おっかなびっくり歩く可愛いアイリスが見れる点くらいだろうか。


「いましたっ! ユウマさん、あれがスモールゴーレムです!」


 アイリスが少し離れたところにいるスモールゴーレムを指さした。俺もアイリスの指の先に目を向ける。


「……なあ、アイリス。……俺たちが受けたクエストってスモールゴーレムの討伐依頼だったよな? スモール! ゴーレムの討伐依頼だったよな!? 本当にあれがスモールゴーレムなのか!?」


 スモールゴーレムを見て、俺はアイリスに今日受けたクエスト内容の確認を取る。しかも大事なことなので二回。

 だってスモールって言ってるのにあのサイズはおかしい。

 俺の身長の半分くらいを想像していたのに、実際少し離れたところを悠然と歩いているスモールゴーレムは俺より少し大きいくらいの大きさだ。姿は一応人型で、やたらとゴツイ。

 姿だけなら俺の知っているゴーレムと同じだ。でも、絶対にスモールではない。


「は、はい。あれがスモールゴーレムです。私も見るのは初めてですし、あんまりよくは知らないのですが、確か……物理耐性が異様に高く、攻撃力もかなり高いそうです。確か、この辺の小さい岩くらいなら簡単に壊せるとか……」


 アイリスが自分の知っていることを教えてくれた。

 まあ、今の情報のほとんどは俺のゲーム脳と一致している。高い攻撃力と物理防御力、並みの物理攻撃ではダメージを与えられないはずだ。

 それに対する対策ぐらい、俺だって考えてある。

 それでもやっぱり不安になってきた。


「そ、そうなのか……。なんだか帰りたくなってきた……」


 さっそく街に帰って宿のベッドにインしたいところだが、俺はアイリスにかっこいいところを見せたくてどうにか踏みとどまった。

 そんなことよりもあのサイズでスモールなのか、普通のゴーレムはいったいどれほど大きいのだろうか。そんな不安が俺を苛む。


「まあいいや、早く終わらせて帰ろう。じゃあアイリス、今回はアイリスにかかってるから頑張ってくれ」

「……えっ!? 私ですか!?」


 俺の言葉に心底驚いた顔をしながら少し後ずさるアイリス。

 でも、今回の作戦の要は俺ではなく、アイリスだ。

 今までのコットンラビットやワイルドボアのような獣系の魔物は俺のショートソードが通用していたが、今回のゴーレムには俺のショートソードは通用しないだろう。攻撃したのならまず、こっちの剣が折れる。それと同時に俺の心も折れる。下手をしたらスモールゴーレムの反撃で俺が物理的に折れる。

 しかしそんなことは百も承知だ。なら、重要なのはどうやって攻撃するか。

 魔法だ。アイリスの魔法で攻撃するのだ。

 もちろん俺もサポートするが、アイリスの半分もない俺の魔力ではたかが知れているだろう。なので、今回の攻撃の要はアイリスになる。


「怖いだろうが頑張ってくれ。俺ももちろんサポートはするし、指示もする。だから頼む、アイリス。俺に力を貸してくれ」


「……わ、わかりました。せせせ、精一杯ががが、頑張らせていただきます!」


 俺の言葉になんとか勇気を振り絞ってくれたアイリス。

 さあ、戦闘の始まりだ!




「じゃあアイリス、基本的には俺がアイツを引き付けるから、その隙を見てアイリスが攻撃を仕掛けてくれ、タイミングがアイリスに任せる。大丈夫、アイリスの方には絶対に行かせないからな」

「わわわ、わかりましたっ!」


 アイリスに指示を飛ばし、俺はわざとスモールゴーレムの視界に入る。俺を捕えたスモールゴーレムは大きな雄たけびをあげながら俺に目標を定めた。


「『スプラッシュ』!!」


 瞬間、こっそり回り込んでいたアイリスがスモールゴーレムの後ろから『スプラッシュ』を放った。


「そ、そんな……私の魔法が……」

「お、おい。……うそだろ?」


 アイリスの『スプラッシュ』を食らったはずのゴーレムは、何ともなかったかのように俺の方を向いたままだ。

 さすがにこれは計算外だ。いくら今までのクエストに比べて高額で難易度が高いクエストだったとはいえ、まさかアイリスの攻撃が全く効かないとは思わなかった。


「ユウマさん。あぶないっ!」

「……え? おわっ!」


 アイリスの魔法が全く効いていないことに驚いているところを、スモールゴーレムは有無を言わさず攻撃してきた。

 俺はアイリスの声に意識を引き戻され、咄嗟に右に飛ぶ。その上空をスモールゴーレムの腕が通過していき、すぐ横の大きな岩をいとも簡単に砕いた。

 パラパラと俺の頭に砕かれた岩の残骸が降りそそぐ。

 なにあれっ! マジで洒落にならないんだけどっ、当たったら即死なんですけど! 骨折じゃ済まないんだけど!


「ユウマさんっ! 大丈夫ですかーっ!」


 離れたところから心配そうなアイリスの声が聞こえ俺は立ち上がり、声を張ってアイリスに応答する。


「あーっ。なんとか大丈夫だー。それよりアイリス、また魔法をたのむっ!」


 そんな強がりを言ってみたものの、これは正直完全な積状態である。将棋で言うところの王手、チェスで言うところのチェックメイト。そんな状態だ。

 そんな状況でももう少し粘ってみる価値はある。せめて弱点くらいは見つけたい。


「わ、わかりましたっ!」


 アイリスの声が聞こえたのを確認して、俺は再びゴーレムの方を向き直る。


「しかし、どうするよこれ……。アイリスの魔法でもビクともしないとか正直計算外なんだが……」


 一応、何発か撃てば効果があるかもしれないとアイリスに詠唱をしてもらっているが、正直見込みは薄い。

 アイリスの魔力だって無限ではないし、帰りのことも考えると多少は残しておいた方がいい。かといってアイリスの手加減した魔法が効くとも思えない。

 それじゃあ数を増やすか? いや、アイリスの魔法が通用しないのに、俺の魔法が通用するとは思えない。


「それでもやるしかないんだよな……。ちっくしょーっ!」


 半ばやけになりながら俺はスモールゴーレムに突っ込んだ。

 が、そんな気合とかでどうにかなるはずもなく……。


「ぎゃーっ! 死ぬーっ! 今、髪の毛数本散ったんだけど! 髪の毛が何本か散ったんですけどーっ! こんなの無理! 絶対無理だって! こんなクエスト駆け出し冒険者にやらせんなーっ!!」


 結局何もできずに逃げ回ることになった。


 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦


「……ひどい目にあった。大丈夫かアイリス。ほら、もう街だぞ」

「ふぁ、ふぁーい……」


 どうにかスモールゴーレムから逃げ切った俺とアイリスは、スモールゴーレムの討伐を諦めて始まりの街、イニティに帰ってきていた。

 俺とアイリスの現状はとりあえずは二人とも怪我はなし。でも、アイリスの魔力が底をついているという感じだ。魔力がなくなってフラフラのアイリスは俺が背負っている。アイリスは申し訳ないから自分で歩くと言い張ったのだが、俺はそれを確固たる意志を持って拒否。

 元はと言えば、俺がもしかしたらと無茶をさせ過ぎたのが悪いのだ。これぐらいは当たり前である。

 けして、アイリスをおんぶしてみたかったとか、背中に当たる微かな柔らかさを味わってみたかったとか、そんなふしだらな理由ではない。俺はロリコンでなく、紳士だ。

 ……ホントだってっ!


「今日のところはギルドに寄らないで宿に帰ろう。アイリスも疲れただろ。無理させて悪かったな、今日は宿でゆっくり休んでくれ」

「は、はひー。そうさせてください……」


 既に魔力切れによる気だるさと、体力的にも限界を迎えているアイリスを背負い俺は宿屋に直行した。


 宿屋に戻ってきた俺はアイリスを部屋に連れて行き、ベットに横にならせる。


「じゃあ俺行くけど、アイリス、何かあったら呼べよ? 飛んでくるからな。……ん? アイリス?」


 部屋を出る前にアイリスに声を掛けるが返事はない。

 おかしいと思ってアイリスのことを見てみると……。

 そこにはアイリスの可愛らしい天使の寝顔があった。


「……。今日はお疲れさん、アイリス。明日も頼むぜ……」


 俺はそれだけ言って、規則正しく息をしながら寝ているアイリスの寝顔を、若干惜しく思いながら俺は部屋を退出した。



「それにしてもスモールゴーレム、どうしたもんかなー」


 自室に戻った俺はベッドに横になって、どうやってスモールゴーレムを倒すか考えていた。

 正直言って、今の俺たちの現状でスモールゴーレムを倒せるかというと、かなり辛い。

 まず、重要な問題点として火力が足りない。これが一番俺たちのパーティーでネックな所だ。今までのクエストは物理攻撃の効く相手だったため、俺も前衛に出てダメージソースになることができたが、今回のスモールゴーレムは物理攻撃が効かない。

 全くというわけではないのだろうが、スモールゴーレムに通用するような圧倒的火力は俺にもアイリスにもない。

 そのための魔法だったわけだが、これも火力不足だった。アイリスの魔法でも通用しなかったし、アイリスの魔法が通用しないなら俺の魔法なんてゴミ火力だ。ダメージにすらならない……。


「……ほんとどうすんだよこれ、クソゲーなんじゃねーの、この世界」


 最終的に愚痴を零していただけだが、そのくらいスモールゴーレムを倒すのは俺とアイリスに取って難題なのだ。


「となると方法は一つか……。あんまりやりたくないなー」


 結局、一番取りたくない策を取ることになりそうだ。


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