プロローグ
新作です!
今回は異世界物です! 「ホームレス少女」とはまた違った作風になっております。
俺たち四人はとある場所で巨大な人型の魔物と戦っていた。
「アイリスっ! 『ヒール』を頼むっ!」
俺は傷ついた身体を回復させてもらうために、仲間のヒーラーであるアイリスに向かって叫ぶ。
「はいっ! わかりました。『ヒール』!」
アイリスの呪文が唱えられた瞬間、かすり傷だらけだった俺の体がどんどん癒されていき、傷が塞がっていく。
「サンキュー、アイリス! よしっ! ミカは俺と一緒にアイツに突っ込むぞっ! その間にリリーナは魔法を詠唱しておいてくれ、出来れば強力な魔法を頼む。アイリスは引き続き俺たちの援護を!」
身体の傷が塞がった俺は、再び意気揚々と仲間に三人に指示を飛ばす。
「わかった、ユウマと一緒にアイツをやっちゃえばいいんだよね。よーし、一発でかいのいっちゃうよー」
「いいのねユウマ! あのデカぶつに私の最大魔力をつぎ込んだ魔法を撃ってもいいのね!? ……フフフッ。目にもの見せてあげるわ」
俺の指示に従い、ミカは俺と一緒に人型の魔物に突撃し、リリーナは魔法の詠唱を始める。
俺とミカは二人でアイリスの支援を受けながら、大型の魔物相手に時間を稼ぐ。
しばらくしてリリーナの魔法の詠唱が終わった。
「ユウマ、魔法詠唱終わったわ。早く退いて……もう限界よ」
人型の魔物相手に、ミカと二人で時間を稼いでいた俺たちは、リリーナの詠唱が終わったのを確認して、すぐにその場を離れる。
「よしっ、リリーナ頼むっ!」
「任されたわっ! くらいなさいっ!『ブラストバーン』!!」
リリーナの魔法が人型の魔物と共に、辺り一面を轟音たてて吹き飛ばす。
これが俺たちの日常。
いきなり異世界に連れて来られた俺の日常、剣も魔法もない現実世界から、俺を含めた数人の日本人が連れて来られた異世界。
これから俺たちに何が待ち受けているのかを俺はまだ知らない。
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「おーい勇魔ー。朝だよー。今日こそ学校いこー。そろそろ行かないと遅刻しちゃうよー」
「ふぁあ~、なんだー。また美香の奴か?」
俺は外から聞こえてくる聞き飽きた幼馴染の声で目が覚める。
目覚まし時計を見てみると、針は八時ぴったりを指している。美香の言うとおり、家からだとそろそろ出ないと学校に間に合わない。
「……よし、もう一眠りしよう」
しかし、俺は起きることなく、そのまま布団を深くかぶった。
自慢にもならないが俺は生粋のニートだ。学校なんて真面目に通ってないし、昨日だって朝の四時までネットゲームだ。
え? それはもう昨日じゃないって? そんな小さいこと気にすんなよ、俺にとっては寝て起きるまでが昨日なんだ。
そんな本当に自慢にもならないことを考えていると、再び外から元気な美香の声がする。
「おーいっ、勇魔ー。早くしないと勇魔の恥ずかしい昔話しちゃうよー。いいのー、私本気だよー」
外からそんな声がするが、まあ、そんなに気にすることもないだろう。
確かに俺と美香は小さいころから一緒だから、俺の知られたくないことの一つや二つ知っているだろうが、今になってそんな言われて困るような恥ずかしい記憶なんてほとんどない。
だって、今の俺の状態の方が世間からしたら恥ずかしい部類だろうから。
俺は安心して再び眠りにいそしむことにする。
「ご近所のみなさーんっ。こんな時間にすいませーん。この家に住む引きニートの勇魔なんですがー、小学三年生までよくおもらしをしてましたー。その他にもー、小学校高学年までお母さんのおっぱいが大好きでー。それでですねー……」
「よーしっ! 朝だし、起きちゃおっかなー! おっ、今日はいい天気だから久しぶりに学校にも行っちゃおうかなーっ!」
俺は窓を全開にして、美香に聞こえるように、それでいて、ご近所さんに俺の恥ずかしい過去の話が聞こえない様に大声で叫んだ。
「……ったく。俺に何の恨みがあるんだよお前は……」
結局、俺は美香によって家を引きずりだされた。
入学式以来全く袖を通していない、ほとんど新品の制服を着て美香と一緒に学校に向かう。
「恨みなんてぜんぜんないよ。ただ入学式以来全然学校に来ない勇魔が心配なだけ」
「あのなー。お前も俺と長い付き合いなんだから俺がニートなのは知ってるだろ? それにお前は入学式の日に俺に何があったのか知ってるだろうが」
「……うん、知ってるけど……」
美香は先ほどまでの元気な声をどこへ行ってしまったのか、小さく、消え入りそうな声でそう呟いた。
「……」
そんな美香を見て、俺も息をのむ。
入学式の日、俺は簡単に言えば、バカにされたというか、軽いいじめのようなものにあった。
入学式だというのにリア充と呼ばれるバカな生き物は、俺のようなオタクのことが気に食わなかったようだ。幼馴染で俺の二次元話のわかる美香と話しているところに突っかかってきて、「何やってんのオタクくーん。この子がかわいそうじゃーん。聞きたくもないオタク話聞かされちゃってさー。君も嫌なら嫌って言えばいいじゃーん」そんな感じで絡まれて、最終的に入学式終了時には俺がオタクだとか、クソニートだとかいう、変な噂が広まっていた。
それから俺は両親や美香の反対を完全に押し切って、自室に引きこもった。トイレ以外は本当に部屋を出なかった。飯も母さんに持って来てもらって、ろくに返事もせず、母さんがどこかに行ったら回収、トイレだって母さんや父さんが近くにいないのを確認してから行っていた。オタクと言えばラノベや漫画、それも全部ネットで購入していた。
結局のところ、中学の頃から半ば引きこもりだった俺は、高校デビューすら一日で失敗してしまい元の引きこもりに戻ったのだ。
そういった理由で入学式以来、俺は約一か月、引きこもり続けていた。
「……確かに私のせいで勇魔には悪いことしちゃったけど、それでも私は勇魔と一緒に学校に行きたいんだよ……」
「お、おう……」
あまりにも真っ直ぐな美香の言葉に少し驚く俺。
そんな変な空気に包まれたまま、俺たちは学校に着いてしまった。
まだ数えるほどしか入っていない校門を二人で通り、通いなれるはずもない下駄箱で、一回しか履いていない上履きに履き替え、美香と二人で教室に向かう。
ちなみに俺と美香は同じクラスだ。だから向かう教室も同じ。そして二人で教室の前までやってきて、俺は扉の前で一瞬止まる。
「……大丈夫だよ勇魔、もし何かあっても、私が守るから……」
何この子、めっちゃかっこいいんですけど、俺も死ぬまでに一度でいいから言ってみたい。
どこのあや○みだよ。
「……ああ、まあ気にしてない。ただ少し……な」
そう言って俺は勢いに任せて教室の扉を開け、美香と二人で中に入った。
瞬間、急な浮遊感に襲われる。
足元を見てみれば、床が崩れ落ちている。床は一面ゆがんでおり、俺の知っている教室の風景ではなかった。そして、俺と美香は状況が呑み込めないまま、ゆがんだ床の中へとその身を落としていく。
冗談じゃねえぞこれっ!
そして俺は意識を失った。
作品の最初に戦闘部分がありますが、あんなに本格的な戦闘はほとんどありません(笑)。
基本的にギャグ要素を多く含んで書いております。
もし、よろしければ、ご意見・ご感想をいただけると嬉しいです。




