097:最下層攻略02
管理迷宮事務所:
「おい、クソギルド長、なんで私が参加しないといけないんですか?」
テレスだ、言葉遣いが色々と間違っている
「念のためです、最初の安全地帯への転移に合わせて貴女の転移カードで別のPTが40Fに転移します、例の魔物対策です」
「転移カードならあげるので勝手に使ってください、それにあの魔物はもういません」
「転移カードは手に入れた本人がいないと効果が無いのは貴女も知っているでしょう?」
「それに、あの魔物がもういないというのはどういうことですか?」
あいつ等、魔物へ堕ちた冒険者達をテレスが倒したのなら
わざわざ死の危険を冒してまでボスへ挑戦する必要が無い
危険を冒さず安全地帯で今日を待てばいいだけだ
「私が倒しました」
騎士に侍、魔術師に司祭、そして不明の魔物、前衛後衛に不確定要素
奇襲できたのならまだしも正面から戦って勝てる相手ではない
信じ難いが、テレスを治療し服を与えた者が倒したという事だろう
そして、見えすいた嘘をついてまでテレスがわざわざかばう者
実力を隠していることはわかっていたが、これほどだったとは
彼も一緒だったのだろうか?
ギルバートにあしらわれている少年を見る、今日も騙されたらしい
ギルは彼のことを相当気に入っているらしいが本人に自覚は無いだろう
彼女より彼のほうが扱いやすそうだが、彼は危うい
ギルに似ている事を考えれば扱いを誤ると全てを巻き込み大爆発
そのような惨事、ギルはそれが見たくてからかっている節もあるが
ともに暴れたいのか、彼と殺し合いたいのか、両方なのか
「あのー、」
緊張感の無い声が掛かる
カーサとともに管理迷宮に転移し1階の転移魔法陣に出る
転移カードは出していないので、ここからの再転移は発生しない
隠密のまま一度管理建物を出て、普通にギルドカードで入り直す
カーサは商人として一緒に入る、魔道具屋なので許可証はあるのだ
管理建物内は、酒場もあれば武器防具屋もある
建物に入るだけならば身分証を見せれば冒険者でなくても入れる
迷宮に入るにはギルドカードかギルドの許可が必要になるのだが
今日は人が多い、
ま、当然か、取りあえずギルドの受付に向かいゆっくりと歩く
「カーサも片っ端から鑑定してね」
目的の一つ、この人混みなら鑑定に気付く猛者もこちらを特定できない
「わかったわ、やばそうなの見つけたら教えたほうがいい?」
「そうだね、クロは大人しくしててね」
ローブの中でクロを抱きしめる
「はーなーせー!、強い奴と戦うのだー!」
口では色々言うがクロは本気で抵抗しない
今も腕の中でぐりぐりと動き回っているだけだ
上から抜け出しては、下から元の位置に戻ってくる
色々といる、この辺は冒険者だけみたいだ
「………、混沌としているねぇ」
鑑定が飛び交っている、私も何度か鑑定された
「さすがに最下層攻略だとトップレベルの冒険者が多いわね」
カーサも鑑定されているが、特に問題ない
「鑑定持ちって結構いるのね」
「そうね、深層の宝箱を安全に調べるには鑑定が有効だからその為だけに高給を払って雇っている冒険者は多いわね」
「それって王宮勤めより給料高いって事?」
「ええ、それはリンもわかってるでしょ、もう遊んで暮らせるだけの稼ぎあるんだし」
「まあねえ、けど戦闘に参加しないとしても危険だよね?」
「リンは、、あれよね、鑑定レジストされた事ないでしょ?」
「ないかも、」
「………ずるい、というかリン散々私の鑑定レジストしてるくせに、しかも鑑定結果の偽装まで自由に出来るくせに!」
「あぁ、結局鑑定持ちもレベル上げしないとダメなんだ?」
「そういうこと、鑑定持っててもINTが低いと使い物にならないのよ、王宮勤めとかは、INTアップの装備とかも支給されるけど騎士団とともにレベル上げもやってるらしいし」
「鑑定持ちも大変だねぇ」
「………ずるい」
ジト目で睨まれる、ずるいといわれてもねえ
「もしかして今ここに世界の鑑定持ちのほとんどがいたりするの?」
「うーん、この国周辺の半分くらいじゃないかな」
胸元から顔だけ出してクロが小声で
「皆殺しに!」
「しないよ?」
「ぬぅ!」
「だって居ないじゃん」
私とクロを鑑定できる者が居ない
「クロちゃんも物騒な事いわないでよ、この辺一体の鑑定持ちが一気に居なくなったら色々大変なんだからね」
「そうなのか?」
「ローランの王都に鑑定持ちがいないのは国境付近の街に配置しているからだし、冒険者の鑑定持ちが居なくなると宝箱での死亡率が格段に上がるんだから」
「大変だな!」
「大変なのよ、鑑定狩りみたいなものも居るし」
「鑑定狩り?」
なにそれ、たまにいる暗殺持ってる人?
「暗殺スキル持ってる人達?」
「そう、あれ、おそらく他国の密偵、国も今回の攻略に参加するから国境から鑑定持ちをこちらに移動して入国しやすくなってるし」
「それに合わせて邪魔なものを暗殺?」
「そう、さっきリンも混沌と言ったけど、本当に今この場所は一番危険な場所ね」
「燃えるな!」
「燃えないよ?」
来てよかった、藤原君が危険だね
「スキル強奪とか鑑定されちゃったら真っ先に殺す対象じゃない?」
「あー、そうかも!」
「ぬぅ!」
(奴を殺すのは我なのだ!)
(クロ、、素直じゃないね?)
「むぅぅ!」
指をかみかみしてくる、ふふ、素直じゃないねぇ
受付に着いた、
テレスさんとウィリアムさんがいる、楽しそうだね、丁度いい
「あのー、」
(クロは、藤原君連れてきて)
(うむ!)
クロがトコトコと藤原君のほうへ歩いていく
「リンさん、なんでここに?」
ウィリアムさんだ
「こんなものが届いたんですけど」
例の手紙を渡す
「リンちゃん、こんなところにいてはダメよ私の家に行きましょう!」
何で家?
「テレスさん、こんにちは」
とぅ!、とクロが戻ってくる
「くすの、、リン!」
藤原君の登場、人前ではリンと呼ぶことになっている
とぅ、くるくるくる、げし!
「クソネコなんで蹴るんだよ!」
「キシャー!」
(何で蹴ったの?)
(なんとなく?)
(もしかしてリンって呼ぶのが気に入らない?)
(べーつーにー!)
「お、お嬢ちゃんも来たのか」
ギルバートさんの登場です
「ギル、これはなんですか!」
私に届いた手紙を突きつけるウィリアムさん
「ぎく!」
「ぎくっじゃありません、ギルド長名でなんてもの出しているんですか!」
ちょっとこっちに来てください、やじゃ!
テレス手伝ってください、くそじじいこっちに来やがれ!
そこの若人、いたいけな老人を助けてくれ!
取りあえず無視しとく、
「藤原君、ちょっと」
「ん、なんだリン」
げしげしげし!、いたいいたいいたい!
「もー、クロいい加減にしなさい」
ひょいとクロを抱き上げる
(はーなーせー!)
「鑑定された?」
「ん、そういえば今日は鑑定が多かったな」
やっぱりね、ギルバートさんと一緒だったし目立ってたろうな
「全部レジストしたぜ!」
キランと笑顔で答える藤原君、鑑定する
「あ、忍術って言うの増えたんだ凄いね、、ところで今のわかった?」
「...わかりませんでした、」
うなだれる藤原君
「カーサもやってみて」
「あ、今のはわかった、レジスト出来なかったけど」
「雑魚ね!」
「カーサさんは何でそんなに俺のこと嫌うの?」
「雑魚だからよ!」
「なにそれ?」
こっちをみて通訳をお願いしてくる藤原君
「さあ?」
しかし、これは判断に困るなあ
(リン、忍術って何なのだ?)
(忍者が使ってた火遁とかじゃないかな?)
(おぉぉぉ!、クソワラのくせにずるいのだ!)
「やっぱりスキル強奪は反則ね」
カーサが小声で話しかけてくる
「なんで?」
「忍術なんて存在しないのよ」
「そうなの?」
「あれは魔物だけのスキルよ、手に入れるために人族の忍者が闇に堕ちるわ」
「おー、じゃあ人で忍術持ってるのは藤原君だけなんだね、それはたしかに凄いかも」
(ずるいのだ!)
「なあリン、ちょっと相談があるんだけど」
(すげー殺したいのだ!)
(もー、しょうがないんだから我慢しなよ)
(無理なのだ!)
(もー、)
「なに?」
「えっと、クソネコ怖いんだけど」
「もー、クロはこっちね」
「にゃー!」
「忍術ってさ使う時、触媒が必要なんだけど、火遁とかは火属性の魔石で出来るんだけど、空蝉っていうのがよくわからなくってさ無属性は無理だったし、もしかしたら空間かと思ったんだけど、それもなんか違う気がするし」
「どうゆうの?」
「どうやら攻撃を一撃だけ絶対避けられるらしいぜ」
「おー、まさに反則、もしかして魔法も?」
「何でもみたいだぜ、今後を考えると使えるようになっておきたくってさ」
たしかにそれは、凄い欲しいなあ
「カーサはわかる?」
「さすがに魔物のスキルはわからないわ」
「どんな感じに発動するの?、煙が出て木になったりするの?」
漫画とかのイメージしかわかない、いまいちよくわからない
「いや、なんか攻撃受けると人の形した紙になるんだよな」
人型かあ、心当たりがあるなあ
人の式を喚ぶのに使う人型を取り出す
「はい、これ、人がいない場所で試してみて、あと私にも見せて」
「お、これ、たしかにこんなのが出てた、あれ?、リンも忍術使えるの?」
「私は使えないよ、たぶん」
ちょっと楽しみが増えたかも
「リンさん、」
ウィリアムさんが声をかけてくる
「あ、はい」
「今回の事はすみませんでした、帰っていただいて構いません、フジワラさんも帰ってもらっていいです」
そういうことになったらしい、けど
「えーと、私とフジワラ君で治療班として参加しても構いませんけど」
「いいんですか?」
「はい、だけど幾つか条件があるんですが、いいですか?」
私の治療班は藤原君とふたりだけとし
商人のカーサも付き添いとして同行すること
私達の治療対象は冒険者のみとすること
カーサの名を聞いたとき、わずかに反応した、さすがに気付くかな?
冒険者のみは、なるべく王族や貴族とは顔を合わせないようにするため
ついでにギルバートさんを近づけなくする事も加えておいた
最下層の攻略が始まる、
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名前:楠木 凛 種族:人族 性別:女 年齢:16
レベル:18
HP:290/290 MP:560/560
STR:285 VIT:275 DEX:305 MND:275 INT:560
スキル:(特殊)言語翻訳、アイテムボックス、鑑定
(技) 隠密5、罠解除1
(魔法)召喚魔法(式神)、空間魔法4
火魔法5、氷魔法1、雷魔法3、土魔法5
光魔法、闇魔法5
(自動)HP回復、MP回復、クリティカル
装備:普通の服、偽りの宝石、魔法の鞄
聖魔の糸+5:ALL100、HP回復、MP回復
白のローブ:INT20
素早さの靴:DEX10
魔力の腕輪:MP20
力の腕輪 :STR10
ウサギの尻尾:DEX20、クリティカル
使い魔:クロ
スキル:(特殊)念動力
(武技)格闘術5
(技) 隠密5
(魔法)炎魔法2、水魔法1、風魔法5、鉄魔法3
光魔法5、闇魔法5
(自動)HP回復、MP回復、クリティカル
名前:カーサ 種族:ハイ・エルフ 性別:女 年齢:116
レベル:30
HP:70/70 MP:250/250
STR:15 VIT:30 DEX:150 MND:30 INT:200
スキル:(特殊)鑑定
(武技)弓術4
(魔法)火魔法2、水魔法3、風魔法4、鉄魔法1
(生産)錬金5
装備:偽りの宝石+3、魔法の鞄+5
エルフの弓:MP20、DEX20、INT10
深緑のローブ:DEX10、INT10
エルフの衣:DEX20
エルフの靴:DEX10
巨人の腕輪:VIT20
大地の腕輪:HP20
セット効果エルフ:HP30、MP30、DEX30、INT30
名前:藤原 秀平
種族:人族 性別:男 年齢:16
レベル:17
HP:280/280 MP:215/215
STR:225 VIT:255 DEX:165 MND:165 INT:175
スキル:(特殊)言語翻訳、アイテムボックス、スキル強奪
(武技)剣術5、槍術3、格闘術3、弓術4
(技) 隠密5、罠解除4
(魔法)炎魔法1、氷魔法1、風魔法5、土魔法5
光魔法4、闇魔法4、忍術1
(自動)気配察知3、HP回復5、統率3
装備:大地の剣:HP20、STR10、VIT20
騎士の剣:STR20
大地の鎧:HP30、VIT30
緋色のローブ:MP20、INT10
大地の籠手:HP20、VIT10
セット効果大地:HP30、MP30、STR30、VIT30
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