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ネコと私  作者: 昼行灯
管理迷宮編
95/143

094:管理迷宮07

ボス部屋の扉が開く、思ったよりも早かったな

扉が開いたということは、決着がついたということだ


おそらく王都ローランで一番危険な場所であり

踏破されたとの報告がいまだ無い最深層だ

万全な体制で人数も最大の6名で挑むのが定石

そこへソロで挑む者、状況がそうさせた


だが、それでもやはり正気の沙汰ではない


死体は残っているのだろうか?


部屋の中を覗くと、なんと転移魔法陣が出ている

なんとなんと、攻略してしまったということか

見回すと部屋の隅に死にそうな女がいる

片方の手足がない、そして宝箱も無い


なんということだ、爆発の罠を作動させたのか!

折角ボスを倒したと言うのに、その様なミスをするとは


バカなの?


女に近づく...

「うっ、、ぐっ!」

必死に動こうとしているが、無駄な足掻きだ

手足が吹き飛ぶほどのダメージ、生きているほうが不思議な状態だ


てし!

「...うっ?」

必死に動こうとしているを止める


てしてし!

バカ女にお仕置きをする、必殺の攻撃だ!

「テレスよ、我に魔闘技を伝授するまで死ぬ事は許さんぞ?」

「な、、ん、で?」

「ちょっとクロ、何普通にしゃべってるのさ?」

ぺしっと、お仕置きされる

「むきゃ!」





凄まじい爆発の中に消えていく笑いの仮面を見ながら

まともな防御も出来ず、己の手足が無くなった事を認識する


壁に激突し、無様に転がる

死ぬ寸前と言う奴だ、再生スキルが発動するが意味を成さない

再生される生命力より失われていくそれのほうが大きいのだ


何者かが部屋に入ってきたのがわかる

入ってくるものなどあいつ等しかいない、暗黒の魔物達...


死にたくない!

絶対に死にたくない、、生き残る可能性を必死に考える

不意打ちを、、仕掛ける手段が無い...

転移魔法陣は、目が見えないが位置はわかる!

「うっ、、ぐっ!」

残った手足でなんとか、死んでも地上へ戻れれば...


てし!

「...うっ?」

敵に動きを止められる………あれ?


てしてし!

懐かしい感覚に、、どういうこと?

「テレスよ、我に魔闘技を伝授するまで死ぬ事は許さんぞ?」

女の子とも男の子ともとれる中性的な子供の声が私の名を呼ぶ

初めて聞く声なのに、なぜか前から知っているような...

違う、知っている、けどこの声の持ち主は喋れないはず

「な、、ん、で?」

「ちょっとクロ、何普通にしゃべってるのさ?」

リンちゃん?、じゃあこれはやっぱりクロちゃん?

「むきゃ!」

可愛らしい声が聞こえる


ふわり、と誰かが覆い被さり温かい腕に抱え起こされる


暖かな光に包まれ、、





テレスさんを光魔法で回復する、結構ギリギリでした

「リンちゃん、なんで?」

テレスさんが不思議そうに聞いてくる

「テレスのピンチを察知して助けに来たのだ!」

無論大嘘である、クロの珍しい敵に会いたいとのリクエストで

ふたりで迷宮に潜っていたらたまたま見かけただけだ

珍しい敵も居たので観戦してたら大惨事の発生と、ね


テレスさんの胸に乗り、肉球で顎をてしてししているクロ

もう隠す気も無いのか普通にテレスさんに話しかけている


まあ、いいけどね


「クロちゃん?」

不思議そうにクロを見つめるテレスさん

「うむ?」

「喋れるの?」

「うむ!」

「すごい、ね?」

「うむ、すごいだろ!、だが皆には秘密だぞ?」

「う、うん」

元に戻った手でクロを撫でようとしたテレスさんを肉球で制し

その手に頭をぐりぐりし、その指をぺろっとひと舐めし離れる


すとっ、と地に降り立つクロ、私のほうを見て確認する

いいけどね、あまり張り切ってへましないでね?


「道化よ、いるのだろう?」

返事は無い、起きようとするテレスさんを制する

「クロがやりたいらしいから、任せちゃっていいですよ」

「でも、」

クロとの訓練である程度実力があるのは知ってるだろうけど

「あー、んー、大丈夫です」

「テレスとの戦闘は見てたから大丈夫なのだ、任せとけ?」

任せたよ?

「大丈夫、なの?」

まあ、大丈夫ですよ?


「我が下僕をいたぶってくれた礼をせねばならぬのだ!」

「下僕?」

自分を指差すテレス女史

「みたいですよ」

クロの性格に戸惑ってます、その反応新鮮です!


「逃げ場の無い事、理解しているだろう?」

クロの挑発が続く、こちらを攻撃してこない限り手出しはしない

先ほどのクロとのアイコンタクト、格好良く殺るからみててね?、だ

ちなみにボス部屋に入った時にロックの魔法でこの部屋を封鎖した

部屋外での奇襲攻撃も見ていたし鑑定も済ませてある


道化師さんは既に丸裸、いまの時点でこちらに負けの要素は無い

だからといって油断しないけどね?


鑑定した中で厄介そうだったのはふたつ、引き寄せと同化

影や闇等に同化するスキル、今は壁か何かに同化しているのだろう

敵PTに紛れていると非常に厄介だけど、味方もなく逃げ場も無い

今の状況では正直、なんていうか、あれです



コトン、と音が...見る、部屋の隅のかすかな闇に笑いの仮面


泣いているのだろうか?

ドンッ!、と言う音と共に仮面へと向かうクロ

「シネヤーワレー!」

と言いつつ仮面をふたつに割る、、残念でした!


仮面は囮、来るならここだよね?

私とテレスさんとの死角に微かな気配が揺れる、はい、こんにちは?


放っておいた糸を引く!!

死角を囲むように四方八方に張り巡らされた糸が一気に縮まる


ゴトン、と大鎌を持った腕が落ち

コトン、と表情の無い首が落ちる

えっ?、と驚くテレスさん


ずるいのだー!、とクロが頭から突っ込んでくる

パシッ、とキャッチし腕の中に抱き撫でる!

「むにゅ~!」



リン休憩中...



「クロちゃんは、ネコじゃないの?」

ほとんど裸同然の状態だったので私の服を着てもらったテレスさん

動きやすいようにサイズは大きめの服を持っているのだけど...ね?

「我は闇の化身!、破壊神クロ!」

平常運転のクロ君

「クロは私の使い魔なんです」

使い魔、それが意味する事、衝撃の告白ですよどうします?

「...そうだったのね」

「そうだったのだ!」

「そうだったんです」

突っ込んで聞いてこない、さすが節度ある大人の女性!


「ウィリアムさんに聞いてなかったんですか?」

逆に突っ込んで聞いてみる、人は動揺している時に本音が出る

どの程度まで話しているのか、どの程度まで認識されているのか

「...あのクソギルド長は知ってたんですか、ムカつきますね」

「奴のSATSUGAIを許可するのだ!」

殺害って、ダメだからね?


おそらくウィリアムさんが一番信頼しているテレスさん

その理由は、こんな管理迷宮の最下層に共に来ていること

死と隣り合わせの迷宮で背中を預けられる存在


そのテレスさんにも話していない、確証が無いからかな?

それとも、、うーん


「このことはウィリアムさんには、くれぐれも内密でお願いします、利用とかされたくないので」

「リンを利用したら殺すけどな!」

「そうね、私も手伝うわ!」

うん、前々から思ってたけどテレスさんカーサに似てるよね?

いや、会った順番からすると逆?



「リンちゃんもクロちゃんも強いのね...」

嬉しそうで悲しそうな顔のテレスさん、複雑な心境?

「40Fのボス部屋をソロでクリアするテレスさんのほうが凄いですよ?」

「我もそれくらい余裕だがな!」

一言多いクロ君、秘密をバラした事で少し浮かれているね

テレスさんのこと気に入っていたみたいだし、喋れるのが嬉しいみたい


「でも、私が戦闘を回避した暗黒騎士達をふたりだけで倒したんでしょ?」

斥候役である忍者がいなかったし、扉の前に突っ立ってるし

正直、戦闘と言うよりただの的だった、初手に鉄魔法と雷魔法

不意打ちでこれが決まってしまうと本当に相手は何も出来ない

鉄飛礫に当たれば物理的なダメージに加え雷による感電ダメージ

防御してもそこから雷によるダメージと麻痺、騎士とか地獄だろう

無駄に強い相手だっただけに死ぬまでの苦痛が長引いただけ

「あんな雑魚に苦戦する奴の顔が見てみたいな!」

横を向くテレスさんの前に執拗に回り込むクロ君

「ふふ、クロ凄い心配してたよね?」

倒した魔物の中に道化師がいなかったのに気付き

閉まっている扉を爪でかりかりしていたのだ

「べ、別に心配なんかしてなかったのだ!」

今度はテレスさんに見つめられるのが恥かしいらしく逃げ回っている

フードに逃げ込んできて肉球でぷにぷにしてくる

「りんのばかー!」

はいはい、



リン雑談中...



そろそろ脱出用の転移魔法陣が消える...

「じゃあ、私とクロはもう少し迷宮探索するので」

「うむ、めいきゅなのだ!、またなテレス!」

「ええ、また」

名残惜しそうだけど、一緒に行くとはいわない、楽でいいね

自分がするべきことを分かっているのだ


生きているならば、早急にウィリアムさんたちのところに戻る

なぜか?

せっかく設置した転移装置を使ってまで救援に来る可能性

数を揃えての35Fからの救援部隊出動の可能性

非常に可能性は低いが有り得なくは無いのだ

ギルド長としての資質を問われる個人への執着

莫大な資金のかかる転移装置を使ってしまったら?

おそらくギルド長は続けられない、口ではなんと言おうと

テレスさんも解っている、ウィリアムさんはギルドに必要な存在だ


ともに転移出来ない理由も理解している

隠密発動していれば管理員には気付かれないだろうけど

ウィリアムさん達がいた場合、気付かれる可能性がある

貴族や王家にパイプのある彼等はある程度気付いているだろうけど

それでも秘密なのだ、わかっているからいいやなど

どうぞ今後は存分に利用してくださいと言っているようなものだ

公然の秘密というのは意味が無いようで有るものだ


それに最大の理由、テレスさんは装備が無い

精神的にも疲れがある、本調子ではない


それを理解した上での、また、だ



転移魔法陣の光に消えるテレスさん

「これで、フジワラは用済みだな!、今後前衛は我とテレスで十分だ!」

ばらした真意を口にするクロ軍師

「えー、三人のほうがいいじゃん?」

「ダメなのだー!」

我がままさんだねぇ、

と言いつつ道化師の落とした階層が書いてない転移カードをしまう



リンは、レベルが上がった!

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名前:楠木(クスノキ) (リン) 種族:人族 性別:女 年齢:16

レベル:18(2up)

HP:290/290(20up) MP:560/560(40up)

STR:285(20up) VIT:275(20up) DEX:305(20up)

MND:275(20up) INT:560(40up)

スキル:(特殊)言語翻訳、アイテムボックス、鑑定

    (技) 隠密5、罠解除1

    (魔法)召喚魔法(式神)、空間魔法4

        火魔法5、氷魔法1(new)、雷魔法3、土魔法5

        光魔法、闇魔法5

    (自動)HP回復、MP回復、クリティカル


装備:普通の服、偽りの宝石、魔法の鞄

   聖魔の糸+5:ALL100、HP回復、MP回復

   白のローブ:INT20

   素早さの靴:DEX10

   魔力の腕輪:MP20

   力の腕輪 :STR10

   ウサギの尻尾:DEX20、クリティカル


使い魔:クロ

スキル:(特殊)念動力

    (武技)格闘術5(1up)

    (技) 隠密5

    (魔法)炎魔法2、水魔法1、風魔法5、鉄魔法3

        光魔法5、闇魔法5(1up)

    (自動)HP回復、MP回復、クリティカル

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