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ネコと私  作者: 昼行灯
管理迷宮編
82/143

081:転移設定

管理迷宮事務所:

迷宮を管理するここに入る条件は、冒険者ランクD

ランクDとは、冒険者ギルドが一人前と判断した冒険者の証明だ


白いローブを着た冒険者が受付に冒険者カードを提示し中に入る

その腕に前足で掴まり、後ろ足をぶらぶらさせている小さな生き物

「にゃ!、にゃ!」

冒険者のペットだろうか、なにやら嬉しそうに鳴いている

迷宮に潜るという事を理解していないのだろう


きょろきょろと周りを見回す冒険者、待ち合わせだろうか?

一瞬動きを止めたかと思うと、迷宮の入り口へ向かい歩き出す


いつもならあのような冒険者に絡む無法者共がいるのだが

先日からなぜかそういう者達が行方不明になっている

「平和になったものだなあ、、」

そう呟き、仕事に戻る職員、、


だが、はたしてそうなのだろうか?

真の悪と言うものは表には出てこないものだ


そう、ここにも居るのだ、闇に蠢く悪と言う存在が!!!




酒場の一角、そこからは建物の入り口と受付が見渡せる

そこに目の前の酒を飲むでもなく、静かに座っている男がひとり


カタン、と椅子をならし向かいに座る男がひとり

「教えてくれ、、」

一言、そして酒の横に金貨を積む


酒を一口飲む、コトンと杯が置かれると金貨が消えている


名前:リン 種族:人族 性別:女 年齢:16

レベル:10

HP:30/30 MP:90/90

STR:20 VIT:20 DEX:20 MND:60 INT:50

スキル:(魔法)水魔法2、光魔法3


そして、伝えられる鑑定結果!

そう、この男鑑定持ちなのだ、売れそうな獲物の情報を売る


売れそうな獲物とは?


いつの間に席を立ったのか、先ほどの男を先頭に歩く冒険者が数人

その先には白いローブの冒険者、獲物と判断されたのだろうか?



真の悪は情報を重要視する、先日から暴れている冒険者

あれは手を出すべき者ではない、鑑定できなかったからだ!

ランクDになりたての冒険者などといっているが怪しいものだ

おそらくギルドから派遣されたベテラン冒険者だろう

あのような罠に嵌る小物は狩られた方がこちらもやりやすい


以前召喚された勇者が言っていた

「彼を知り己を知れば百戦殆からず!」

良い言葉だ、そう、確実に勝てる相手にも油断はしない!


俺を含め前衛が3人、魔術師が2人、そして闇の商人

フフフ、負ける要素が無い、装備を全て回収し売り飛ばす

自己責任、良い言葉だ


そろそろ頃合か、これ以上進まれると魔物が出てくる


仲間達と無言で視線を交わす、皆がコクリと頷く


さあ、狩りの始まりだ!!!




ちゃきーん!




「めいきゅー!、めいきゅー!」

襲ってきた男達を瞬殺したクロが楽しそうに歩いている

「クロは鑑定されなかったの?」

「うむ!」

鑑定不可だと怪しまれるのでカーサの鑑定で色々試し

こちらの思う通りの鑑定結果を見せる事に成功したのだ!


「鑑定してきたやつはどうするのだ?」

「んー、別に鑑定しただけだしね」

「リンの情報を売ってただろ?」

「別にそれは情報を取得した本人の自由だしねぇ、見せた情報も公表してるのだし、あ、逆にああいう半端な能力の人は生かしておいたほうが色々都合がいいかも?」

「おおぅ、悪辣だなリン!、かっこいいな!」

鑑定スキルは希少な分信頼も高い、レジストしなかったし

冒険者リンの情報は、取りあえずあれで確定するだろう


そして、鑑定スキルを持っていて無所属と言うのは考えにくい

そうすると消してしまう事のリスクのほうが高いのだ

ウィリアムさんの手の者か国所属の可能性だってあるのだから

もし正当な機関に所属していて小遣い稼ぎで情報を売っているなら

そのうち勝手に消えるだろうし、私には関係ない事だ

正当じゃない機関に所属しているなら余計係わりたくない

つまり、どうでもいい事



「じゃあ、予定通りまだ見つかってない隠し部屋探しながら行こうかー」

「うむ!、魔物は我に任せろ!」

「次元の迷宮と違って冒険者もいるからあまり派手にやらないでね?」

「善処するのだ!」

何を善処するのかなー?

「やらないでね?」

「前向きに検討するのだ!」

検討だけするってことかなー?

「肉串あげないよ?」

「ぐぬぬ!、わかったのだ」

いい子だね、ナデナデ、ぐりぐり


MAPが50×50の真四角とかなら隠し部屋も判り易いけど

まあ、そんなわけもなく全ての通路を周りながら鑑定していく

そう、鑑定、その階層のMAPを売り物としている以上

まず隠し部屋や隠し通路の見落としなどありえない

複数の冒険者の情報を総合して作成しているのだから

あるとしたら特殊な方法で隠されている場合

そして、それを見破る方法は、おそらくこれのみ


(ぬう、冒険者が多すぎなのだ!)

(まあ、浅い階層だしね、ここで冒険者少なかったらそっちのほうが問題だよ)

隠密を発動したまま戦闘中の冒険者PTから遠ざかる


1Fは何も無し、ボス部屋の扉が開いていて宝箱が出ている

(じゃあこのまま2F行こうか)

(戦いたいのだー!)

(無理だよ、ボスの湧き待ちしているPTいるじゃん)

クロを抱き上げ、ボス部屋の階段を降りる

2Fも同じような状況だ、戦闘とかは無理だね

(じゃ、行こうかクロは寝ててもいいよ)

まだ、魔物を一匹も倒してないが、しばらくはこの状態が続きそうだ

(むぅ!)

パフッっとフードに飛び込み、ぷにぷにしだすクロ君

ふふ、いい子だね


2Fも何も無い、ボス部屋は戦闘中だったので終るのを待ち階段を降りる

(Zzzz…)

冒険者も少なくなってきたけど隠密を発動したまま鑑定を続ける

魔物もスルーする、今回の目的は戦闘じゃないからね

3F4Fとボス戦もスルーして5Fに降り鑑定を続ける


ここのボスが転移カードっていうのを落とすんだったっけ

んー、けど順番待ちがいる、うーむ、色々面倒だなあ

転移カードをあきらめ隠密のまま開いた扉をくぐり6Fに行く


少しづつ魔物も強くなってきているけど、まだランクD程度だ

ステータスの最高値も40がちらほら、まだまだ余裕かなあ

まあ、その分冒険者も多い、転移で直接来れるからか

6Fでまた冒険者の数が増えてる、あ、サンド君達だ


頑張ってるなあ、あれ?

いつも治療に来ているベテラン冒険者さんも一緒だ

いつの間に仲良くなったんだろう、ちょっと意外な組み合わせ

あ、レベルも追い抜かれてる、凄い頑張ってるんだなあ


隠密しながら応援してるね!



リン探索中...



リン探索中...



戦闘しないまま、10Fにたどり着いてしまった

うーん、流石にそんな都合よく隠し部屋なんかないかあ


ボス部屋前、冒険者もいないし部屋に宝箱もない

「クロ、戦闘だよー?」

「Zzzz…」

まあいいか、ボス部屋に入る


背後で扉が閉まり、部屋の中央が淡く光る

10Fのボスはゴブリン系だったっけ、、、職持ちのゴブリンが沸く

ゴブリンリーダー、ナイト、メイジ、ヒーラー、シーフ

いい構成だね、静寂!


魔法を封じる、とことこと歩き魔物に近づく

統率があるからか迂闊に突っ込んでこないが動かないと、ねぇ?


全てに糸を絡めたので、くぃっと引く

静寂が切れ、トトトトトンと何かが落ちる音がする

うーん、よく見るとゴブリンの迷宮にいるのよりひとまわり大きいね


宝箱と転移魔法陣と階段、そしてカードが落ちている

拾ってみると、ん、あれ変化した?


そういうことか、拾った人の魔力で専用化してしまうんだ

転移カードとか売れば大儲け出来そうなのになんでと思ってたけど

「こういう仕組みなのかあ」

だけどまいったな、隠し部屋無いや、これ以上深く潜ってもなあ


床に手をつき転移先設定をしてみる、、、魔法陣が描かれない

「やっぱりボス部屋は無理かあ」

部屋の外の通路で試す、、、魔法陣が現れ、消える

「うーん、やっぱりここなら出来るのか」


転移カードを持ったまま、脱出用魔法陣に乗る

軽い浮遊感の後、ここが出口かあ

「おや、おかえり」

「どうもー」

迷宮の入り口へ向かう

「んんん?」

「忘れ物しちゃいました」


隠密を発動し、1Fの転移魔法陣へと向かう

こちらは転移魔方陣しかないのでその目的の冒険者しかいない

アイテムボックスにカードをしまい転移魔法陣に乗る、、発動しない

カードを取り出し乗ると、10Fの入り口へと転移する


カードを持って転移魔法を唱える、10Fのさっき設定した所に出る

「んー、悩ましいなあ」

次元の迷宮に設定してある転移先は消したくない

なので設定できる転移先は後一個のみ


転移カードを持って転移したらもしかして、と思ったけど

これは1Fの転移魔法陣専用みたいだった、しかも一方通行


なので、転移先の設定候補はみっつ


ひとつめは、5Fの転移カードで転移する位置

ここならは見られても転移カードで来たといい訳が出来る

難点は、探索するには1Fの転移魔法陣まで戻ってカードで転移が必要


ふたつめ、潜った最下層、または5の倍数の最下層入り口地点

これはある意味理想的、5の倍数ならばいい訳も出来る

けど、探索に特化した設定になってしまう

出たいときは迷宮脱出の転移をすればいいけど


みっつめは、、出来るかな?

1Fの転移魔法陣に少しずらし転移先設定をする、、、出来た

ここの魔法陣は一方通行だからなのかずっと輝いている

少し離れた場所で転移カードを持ち、転移する


軽い浮遊感が二度続き、10Fに出る、、いいね、カードをしまい転移!

目の前に冒険者がいるが隠密を発動している、問題ない

転移時の魔法陣の輝きも気づかれなかった様だ、決まりかな


当初は、

隠し部屋を見つけてそこに転移先設定しようとしたけど

まあ、結果オーライというやつかな?


流石に疲れちゃった、今日はもう帰ろう

クロは、まだ寝てるのね、お寝坊さんだね!








静まり返る闇の中、翡翠色の光がふたつ輝く

「ここは?」

心地好いリンの腕の中、寝なれないベッドの上

「むむむ?」

目の前にはリンの顔、すぅすぅと寝息を立てている

「リン?」

腕を抜け出し、ほほをぺろぺろと舐める

「うぅん、くすぐったいよぉ」

コテンと転がされ、腕の中に戻される

「夢?」

ぎゅっと抱きしめられる、リンは暖かくて気持ちがいいのだ!



「と、言う夢を見たのだ!」

お湯の中でばしゃばしゃと暴れながらクロが言う

「んー?」

クロを捕まえる

「拭いて拭いてー!」

「もー、炎魔法で乾かしたら?」

「やなのだー!」

大きめのタオルでクロをくるむ、ぐりぐりぐり!

「というか、クロずっと寝てたからそのまま一緒に寝ただけだよ?」


「な、に!?」

固まるクロ君!

「ああ、けど1回起こしたよ、起きなかったけどね?」

「む」

「む?」

「むっ」

「むっ?」


むっきゃぁぁぁぁぁぁぁ!

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名前:楠木(クスノキ) (リン) 種族:人族 性別:女 年齢:16

レベル:11

HP:170/170 MP:320/320

STR:115 VIT:130 DEX:135 MND:130 INT:320

スキル:(特殊)言語翻訳、アイテムボックス、鑑定

    (技) 隠密5(1up)、罠解除1

    (魔法)召喚魔法(式神)、空間魔法4

        火魔法4、水魔法5、雷魔法3、土魔法4

        光魔法、闇魔法5

    (自動)HP回復、クリティカル


装備:普通の服、偽りの宝石、魔法の鞄

   聖なる糸 :HP50、VIT25、MND25、HP回復

   白のローブ:INT20

   素早さの靴:DEX10

   魔力の腕輪:MP20

   力の腕輪 :STR10

   ウサギの尻尾:DEX20、クリティカル


使い魔:クロ

スキル:(武技)格闘術4

    (技) 隠密5

    (魔法)炎魔法1、風魔法5、鉄魔法3

        光魔法5、闇魔法4

    (自動)HP回復、クリティカル

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