表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネコと私  作者: 昼行灯
ローラン城編
8/143

007:閑話:藤原君の決意

ゴッ!

骨が砕ける


グチッ!、ミチッ!

筋がちぎれる


ブチッ!

皮がちぎれる

鈍器による切断だと皮膚が最後に切れるんだな、宙を舞う腕を見ながらそんなことを思う


今日も鷹山と楽しい戦闘訓練の最中だ、まあ訓練と思っているやつは誰もいないだろうがな

相手を傷つけないため刃が潰された剣だが、今の状況だとただの拷問道具だ


おかげで痛みに対する耐性が出来てしまったのか、意識から痛みを切り離せるようになった

全身いたるところが骨折し腕がちぎれ、あー、折れた骨が内臓を傷つけたみたいだ


いてぇ、、、これはまた別の痛さだな、まあいい、これにも慣れよう


死ななければ魔法で五体満足に戻る、本当に便利だ、俺も光魔法欲しいぜ


「タカヤマ様、おやめください!」

「はやく、フジワラ様に回復を!」

おっと、レフリーストップだ、残念だったな鷹山また生き残ったぜ?

死が身近にある世界だけあって本当にぎりぎりのところでストップがかかる

ま、俺がアイテムボックス持ちじゃなければぎりぎりを越えたところでストップかかるんだろうな



あー、みんなころしてー



パーティー模擬戦

俺は戦闘スキル何もない荷物持ちなのに、何で前衛として参加させられるんだろうね


戦闘開始と共に背中に痛みが走る、おいおい、フレンドリーファイアーですか?

「藤原ごめーん!」

まったく誠意のない謝罪の言葉と共に、追撃がくる、あー、つまり11対1のPT戦ですか?


両腕切り落とされちゃったぜ、ははは、はやく助けないと大事なアイテムボックスが死んじゃうよ?


ふふふ、みんな楽しそうだな?、俺お前達に何か悪いことしたか?



あー、みんなぶちころしてー




次の探索に同行する予定の騎士が、難しい顔で聞く

「あれは、大丈夫なのか?」

訓練と称したリンチを、何の感情もなく眺める勇者召喚計画を実行した者に聞く

「ええ、いい不満の捌け口でしょう?、彼もアイテムボックスの価値しかないですし

 いっそのこと自分の意思というものを放棄してもらったほうが使いやすいでしょう」

不満の捌け口などという域を超えていると思うのだがな

あのフジワラという子供よくもっているな


「次の探索で殺人を経験させるつもりです、まあ、予行演習みたいなものですよ」

奴等はまだ、隷属契約を実行していない、身内同士で争っていてくれるなら都合もいい

いい感じにタガも外れてきている、殺人後の心理状態なら契約も上手くいくだろう

いっそのこと今あのフジワラというやつが死んでくれれば楽なのだが

難しい顔の騎士とさっきから大忙しの僧侶をみる、、、無理か




体は元に戻るが、服はボロボロだ

1回目の探索で皆レベルが上がったこともあり、魔法等の威力が上がっている

「流石に次の探索後だと止める間もなく殺されそうだな」

もう少し自分のレベルが上がったらと思っていたが、もう無理だな

次の探索中に消えよう、上手くいく可能性がほとんどないんだがな、、、まったく


レベルは、殺した魔物のそばにいれば実際に手を出していなくても

戦闘をしたものより少ないが、ある程度経験値的なものが入るらしく上がる

しかし、スキル強奪は止めを刺さないと発動しないのだ、現状のままだと時間経過と共に詰む

スキル強奪は、魔物じゃなく人に対しても発動するのだろうか?

説明では相手を殺したとき発動だから、おそらく発動する


ちがう、


本当に俺は人を殺せるのか?

殺せる!


覚悟はあるのか?

ある!


本当に?

本当だ!


いつもこうだ、度胸がないのか覚悟がないのか、実際その時に躊躇したら自分が死ぬ

殺したいと思っているだけでは駄目だ、殺すんだ、遊びで殺されそうになっているんだぞ

そんなことは分かっている筈だ、、いっそ俺も薬入りの食事をとるか?



悩みながら歩いていると、前をドレスを着た女が歩いている、腹黒姫か?

違うな、髪が黒い楠木か、何だあの腰の辺りでぶらぶら揺れてるのは、猫か?

なんでドレスなんか着てこんなところを歩いているんだ?

「楠木、パーティーでも行くのか?」

声をかける、もしかしてこの世界来てこいつと話すの初めてか

「学生服が汚れてしまったので、服をいただきました」

楠木がこちらを向く、、、、綺麗だ、、目が、離せない、クソッ!

しかしそれ夜着るイブニングドレスってやつじゃないのか、誰かに遊ばれてるのか?

肩とか丸出しだし、、胸元も、、、はっ!、楠木と猫がじーっと見てる


ん?、、猫


確認しておくか、別に気まずい雰囲気を誤魔化すためじゃない!

「お前も食べてないよな?」

「うん、」

「俺は、スキル強奪だ、お前はアイテムボックスと鑑定か?」

まあ、これで話すの最後かもしれないしな、情報の出し惜しみとかしてもしょうがない

「あー、はいよく気づいたね」

「アイテムボックスは俺も持っているからな、使われればわかる、で?」

「うん、個別に出る食事に何か混ざっているよ、毒の類ならそれとわかるから

 おそらく精神系に作用する何かだと思うけど、詳しくはわからないんだ」

想像通りか、

「おそらく意志力低下と感情高揚だろう、人を殺すことの忌諱をなくす

 次の探索あたりで盗賊か奴隷もしかすると俺達の中で要らないやつを殺すのかもな」

薬の影響だからって、あいつ等は許さないけどな

まあ、最悪、俺が要らないやつの可能性もあるんだがな


なんだ?、意思疎通してるよな?、あ、その猫使い魔なのか


「そいつ、分かっているよな?」

猫を指差す、、、、空気が変わる、やばい!、なんだあの猫やばい!

「ダメだよ、2人ともやめて」

楠木がとめる、猫も楠木のところに戻る、さっき魔法使おうとしたよな?


「次で消えるってことだよね?」

「ああ」


なあ、楠木、一緒に行かないか?


はは、死ぬ可能性のほうが高いんだろう?


なんだよ、俺、楠木のこと好きなの?、、、ちょっと気になってただけだろ


言葉に出す

「いつか力をつけたら、鷹山を殺す」

もう、後戻りできない

「本当にその覚悟と意思はあるの?」

覚悟と意思もある

「ある」

絶対に生き延びてみせる!



「じゃあ、これ餞別」

楠木がアイテムボックスから何かを取り出す

「!!!」

し、たい?

「ろくな装備もらってないんでしょ、こいつの使えばいいよ、ちなみにこいつは

 私を犯そうとした騎士ね」

「!!!!!」


なんだよ、楠木はもうすでに踏み越えているのかよ、まったく、、


じゃあな、と言ってわかれる。




準備をする、殺す武器は手に入れた、殺す相手も決めた


探索組みが出発する日が来た、姫様も同行するらしい

各人付きのメイドも同行するみたいだ、こいつ等は楠木の鑑定で奴隷とわかっている

つまり、今回殺す相手と言うのは、、、、まったく、心底クソッたれだな!


魔術師が数人同行している、どうもこいつ等が今回の召喚の黒幕らしい

俺はてっきり腹黒姫が黒幕と思っていたが、利用されているだけとのこと

楠木いわくただの天然らしい、一般常識のない天然は手に負えないともいってた



楠木ともっと色々話したかったな、なんだよ、死亡フラグか?


「俺、この探索から帰ってきたら楠木にプロポーズするんだ!」


帰ってこないけどね!


へへ、どんなことをしても生き残る、だから、


また、絶対、会おうな

--------------------------------------------------------------------------------------

名前:藤原(フジワラ) 秀平(ヒデヒラ)

種族:人族 性別:男 年齢:16

レベル:2

HP:30/30 MP:15/15

STR:15 VIT:15 DEX:15 MND:15 INT:15

スキル:(特殊)言語翻訳、アイテムボックス、スキル強奪


装備:ボロボロの学生服

お金:0

--------------------------------------------------------------------------------------


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ