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ネコと私  作者: 昼行灯
管理迷宮編
79/143

078:管理迷宮

早朝:

窓から差し込む澄んだ光の中、

まだ暗い部屋の中を、光を避けつつ音も無く移動する影


熟練のなせる技か、それとも実体が存在しないのか

その影からは、一切の音が発せられない


その姿は、朝に抗う闇の残滓!

闇に溶け込んだその瞳が見つめる先には、、静かに眠る少女


じっと少女を見つめる闇、確実に寝ている事を確認しているのか

その翡翠色の瞳は獲物を狙う捕食者のそれだ!!!


「すぅ、すぅ、」

静かな寝息を立てる少女


にぃ、と鋭い牙を覗かせ獰猛な笑みを浮かべる影

寝ている事を確信したのか、隠密5を発動したまま、静寂で音を消し

闇の中から飛び出し、一瞬で獲物に飛び掛る!!!


少女の頬へ、その獰猛な肉球が当たる寸前!


ぴぅん、と音がしたかと思うと、空中で動きが止まる

「む!」

光の中に曝されたその姿は、なんと言うことだろう、、ネコだ!



「むむむ!、リン、動けんのだ!」

言った瞬間、ポテッっと少女の腕の中に落ちる

「もう少し寝ようね?」

頭を撫でられる、暖かなその手で撫でられると気持ちがいいのだ!

「うみゅ~!」

気持ちよさそうに少女の腕の中で眠りにつく影

「ふふ」

と微笑み、影を捕らえた糸をしまい少女も眠りにつく




いつもと違う朝食をとり、いつもと違う宿を出る

マルアさんの宿屋は現在急ピッチで再建中だ

資金の心配は無い、放火の犯人は挙がっているし賠償請求も済んだ

冒険者ギルドご用達の宿屋だ、抜かりは無い

実際の所、犯人の屋敷にはなぜかお金も売れる宝も無かったので

同族の家から借金をしたらしい、不思議な事もあるものだ


「今日は管理迷宮について調べて、行けそうなら明日あたりにちょっとだけ行ってみようか?」

ネコ用の薄味の食事がお気に召さなかったクロ君に言う

「おぉ、新しい戦場か、燃えるぜ!」

フードの中から肉球をぷにぷにしてくる


「リン、肉串食べたいのだ!」

「えー、さっき朝ごはん食べたじゃん」

「あーれーわー、ご飯じゃなくて餌なのだー!」

ぷにぷに攻撃が激しくなる、気持ちいいだけだけどね

「えー、普通の朝ごはんも食べたじゃん」

足りないと言うので普通の朝食も出してもらったのだ

「それは別腹なのだ!」

「なにそれー?」



管理迷宮は、貴族街ギルドと市民街ギルドの中間に存在するらしい

今の宿は貴族街にあるので、迷宮より貴族街ギルドのほうが近い

「テレスさんはあれだから、ウィリアムさんいるかなあ」

ギルドに入ると注目される、うーむ


ランクアップ試験で少し目立ち過ぎた

ほとんど魔法を使わず、ひのきのぼうだけで勝ち進んだのだ

ただでさえ光魔法で有用な存在が、戦えるとなるとどうなるか

「リンさん、おはようございます」

「ランクアップおめでとう、ところで、、」

数人の冒険者の人達が近づいてくる

「リンちゃん、クロちゃん、おはよう!」

近づいてきていた人達が散っていく


試験場で人目を気にせず殺戮の限りを尽くしたテレスさん

不埒な冒険者をギルド内で何度か撃退していたので

ある程度強いというのは皆知っていたけど

あれほどとは思ってなかったみたい


内通者を捕らえる時、放たれた魔法を拳の一振りでかき消し

次の瞬間には相手を撲殺していると言う、そう殴って殺すのだ

何か特別な装備をしているでもない、メイド服と素手だけでだ

ギルド内での撃退劇は手加減していたというのを思い知る

本気で怒らせると死ぬ、冒険者とギルド職員の共通見解だ

メイド姿が良かったと言うのは、男性冒険者の共通見解らしい


「おはようございます」

「にゃ~!」

注目されているので治療室に移動する、今日は誰もいないみたいだ

「リンちゃん、今日は治療士の仕事をする?」

「あー、いえ、ちょっと教えて欲しい事がありまして、ウィリアムさんっています?」

「む!、あんなダメギルド長に聞いたってろくな答えは返ってきません!」

テレスさんがむっとしている、わかりやすい!

「えっと、管理迷宮について「ダメです!」、うん、言うと思った」

「テレスさん、仕事しましょうね?」

落ち着いた男性の声が響く

「にゃ~!」

クロのほうを見るとウィリアムさんがいる、むぅ!


(リン、こいつおそらく隠密持ってるぞ!)

(私も今そう思った、クロは気づかれた?)

クロも今隠密を発動していた、もし気づいてたなら気配察知も?

(いや、気づいてなかったので驚かしたのだ、むはははは!)

(それって、自分が隠密持ってるってばらしたのと同じだからね?)

(むむ!)


「今度はストーカーですか、最低ですね?」

「仕事をサボっている貴女にいわれたくありませんね、で、私に管理迷宮について説明を聞きたいと言うことでよろしいですか?」

ウィリアムさん、私に、の所を強調してテレスさんをあおってます!

「リンちゃんは管理迷宮に行かないので必要ありません!」

「行きたいんでお願いします」

ガーン、と体全体で表現している彼女の肩でてしてしとクロが慰めてる



管理迷宮の説明を受ける、


迷宮を管理している建物に入る時にギルドカードのチェックがされる事

迷宮の階層は40Fまで確認されている事

1FからDランク相当の魔物が出る事

5F毎にボスと呼ばれる魔物部屋が存在する事

ボスを倒すと転移カードがドロップする事

1Fに階層転移用の転移魔法陣が存在する事

転移したい階層のカードを持って入ればその階層に転移できる事

管理迷宮では、PT人数のチェックは行われない事

20FまでのMAPと魔物情報はギルド受付で購入できるという事



未踏破なのか、ちょっと意外

(40Fまでいったのは、あのじじい達だろな)

クロが言う

(だろうね、それでも40Fまでなんだね、やっぱりあれかな?)


「ボスで稀に異様に強いのが出たりするんですか?」

レアボスだ、もし居るなら激レアボスもいる事になる

「ええ、レアと呼ばれる魔物ですね、出ます私達のPTもそれを考慮して40Fのボス部屋は挑戦しない事にしました、ギルバートを止めるのに苦労しましたが」

さらっと、言ってくる

「40Fの魔物ってランク的に幾つなんですか?」

「Aランクですね、レベル50相当の魔物が出ます」

またまたさらっと、言ってくる

(約5倍の強さだな!)

(そうだね!)


「希望するならばギルド員の同行も可能です」

「そうなんですか?」

「ええ、本来ならばC以降のランクアップ試験時以外は同行しないのですが、あるギルド長がよくない前例を更新中でしてね、」

ああ、藤原君と次元の迷宮潜ってたんだっけ?

「大変ですね?」

肩をすくめて苦笑いをする、ウィリアムさん、様になってるね!


「あと、既にお気づきと思いますが、管理迷宮は安全に管理されている迷宮と言う意味ではありません」

そうだね、次元の迷宮みたいにPT人数のチェックが無い

ソロも可能と言うこと、数の上で拮抗しない戦力は何を意味するか

PTで魔物を狩るより容易い金策、高レベルのソロによる蹂躙

迷宮内は何でもありと言うことだ


吸収される人間が居ないと困る


その成長を管理された迷宮、その意味で管理迷宮なのだろう

ギルド関係で結構簡単に殺される人々はどこに消えているのか

これがその答えと言うことだ


安全に冒険者を続けたいなら、ゴブリンの迷宮で十分なのだ

実際、少し贅沢な安定した暮らしを求める冒険者はそうしている

巻物でも拾えれば冒険者を続けなくてもよくなる


冒険者ギルドが国にも宗教にも囚われない独立した存在として

その力となる精鋭を育成する場所、謀らずもクロの言葉が的を射る


戦場だ、


まあ丁度いい、、クロと目が合う

「にゃ!」

「ふふ」

笑いあう、戦わなくて済むように戦いを求める、矛盾した選択だね

まあ、クロと笑っていられるならば他はどうでもいい



邪魔なものへの容赦は無い、解り易いこの世界の常識

ウィリアムさんの対応を見る限り、私は有用な物件なんだろうね

「リンちゃんが迷宮行くなら、私も同行します!」

テレスさんは、、いまいちよく判らない

思いは有るけど裏は無い様に思える、ただ単に気に入っているだけ?

けど、その強さは常人の踏み込める範疇を逸脱している


(テレスなら、大丈夫だろう)

クロが言う

(クロは、少し甘いところがあるよね?)

(なーんーだーとー!、裏切ったら殺せばいいだけなのだー!)

ぐりぐりしてくる、極端だなあ



受付で管理迷宮についての買えるだけの物を買う、結構な金額だ

(リン、見られているぞ?)

情報はお金になる、今買ったものだけでも転売すれば良い稼ぎ

相手は世間知らずな治療士だ、とでも思っているのだろう

試験を見てたならばその情報は違っていると判るが

そういう人達は、基本的に見たいものしか見ない


(んー、取りあえずカーサのとこでこの資料一緒に見ようか)

(うむ、あいつ等は?)

(無視無視、あの程度隠密発動したら見つけられないでしょ)

(殺ってもいいのだが?)

(こっち見てるだけじゃん、殺すために絡まれるとかそっちのほうがダメな人だよ?)

(そうだな、雑魚などに構っている暇も無いしな!)

(そうだね!)


ギルドを出るところでウィリアムさんに声をかけられる

「バス君が学園に戻ったそうです」

「良かったですね」

「ありがとうございます、冒険者ギルドとして借りが出来ました」

「はあ、何の事です?」

曖昧に笑い、ギルドを出る


人混みに紛れた所で隠密を発動し、消える

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名前:楠木(クスノキ) (リン) 種族:人族 性別:女 年齢:16

レベル:11

HP:170/170 MP:320/320

STR:115 VIT:130 DEX:135 MND:130 INT:320

スキル:(特殊)言語翻訳、アイテムボックス、鑑定

    (技) 隠密4、罠解除1

    (魔法)召喚魔法(式神)、空間魔法4

        火魔法4、水魔法5、雷魔法3、土魔法4

        光魔法、闇魔法5

    (自動)HP回復、クリティカル


装備:普通の服、偽りの宝石、魔法の鞄

   聖なる糸 :HP50、VIT25、MND25、HP回復

   白のローブ:INT20

   素早さの靴:DEX10

   魔力の腕輪:MP20

   力の腕輪 :STR10

   ウサギの尻尾:DEX20、クリティカル


使い魔:クロ

スキル:(武技)格闘術4

    (技) 隠密5

    (魔法)炎魔法1、風魔法5、鉄魔法3

        光魔法5、闇魔法4

    (自動)HP回復、クリティカル

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