063:ランクアップ試験2
ランクアップ試験:
月に一度、または希望者が5名以上になった場合行われる試験だ
試験官の都合で希望者が5名以上になっても行われない場合もあるが
それでも10名を超える事はない
試験参加者、総勢32名
異例の人数である、ほとんど毎日冒険者の顔を見ているテレスだが
始めてみる顔が何人かいる、本来ならありえない事態だ
冒険者登録を行い、何の実績も無いのに試験参加を承認した
いくら貴族が力を持っていようと外部からの圧力だけでは出来ない
ギルド内部に協力者がいる、しかも試験承認までできる権限の者
しかし、このようなバカな思いつきの手伝いをして馬脚を現すとは
ウィリアムはこれを利用して掃除をするつもりらしいが
また、貴族の戯れで人が死ぬ
てしてし!
クロちゃんが心配してくれている、、、上手く笑えない
様々な思惑を持った者達の見守る中、、試験が始まる
闘技場内、参加者32名、4箇所で試合が行われる
初戦 :32名:4試合×4回
二回戦 :16名:4試合×2回
三回戦 :8名 :4試合×1回
準決勝 :4名 :1試合×2回
決勝 :2名 :1試合
5回勝てば優勝か、三回戦までは4箇所で試合をするらしいし
1回でも勝てばいいらしいから、三回戦までの間に適当に負けよう
周りを見回す、
話題のフレイア様、気の強そうな女の人、、いい装備だね
周りをゴミでも見るかのように見回している、ササッ!
危ない危ない目が合う所だった
もう1人の話題の人物は、いたいた、、、うーむ
(クロ)
(うむ?)
(あの寒そうな名前の人いたじゃん?)
(うむ、変身する奴だな!)
(え!、あの人変身するの?)
(うむ、油断したら駄目だぞ!)
(まあ、組み合わせ的に決勝でしか当たらないから戦わないと思うけどね、それより氷魔法もってるよあの人、しかもレベル30とかレベル詐称もしてる)
(おー、氷魔法、戦ってみたいぜ!)シュッシュッ!
(じゃあじゃあ、プレミアとか言うやつは炎魔法持っているのか?)
(フレイアね、火魔法3だね、なんかすごいって話だったけど見る限りたいしたこと無い感じだよ、装備で火魔法の効果アップをつけてるけど、それだけ)
(なんだ雑魚か、がっかり)
知り合いは、サンド君達一行と治療室であった事のある人が数名
ござるの君事、ジュノ君は前回の試験で合格済みらしく見学らしい
初戦の1回目:
第一試合場でバス君が試合をする、私は初戦は2回目なので見学しよう
テレスさんは、隣の第二試合場で審判をするため移動する
会場といっても壁で区切られていると言うわけでもない
始めてみる魔道具、審判の人がそれに魔石を嵌めると
透明な膜状のものが広がっていき、一定の大きさで固定される
お馴染みの感覚、ロックの魔法が掛かったみたいだ
「昔の人が安全に殺し合いを見るために作ったと言う話だよ」
ウィン君が解説する
(ご苦労でござる!)
「ボス部屋で発動するロックくらいの強度があるんですか?」
「...リンさん、ボス部屋で発動している魔法感知できるんだ、ふーん、、べ、別に驚いてないけどね!」
「ツンデレ?」
「違うから!」
(秘密にしていたが、ウィンは男装した女の子なのだ!)
(衝撃の事実!)
(次回、僕の胸が腫れているのは蚊に刺されただけなんだからね!)
(乞うご期待!)
「リンさん達、すごい失礼な事考えてたよね?」
「誤解でござる!」
「にゃ~ん!」
薄い膜の外でウィン達が楽しそうにはしゃいでる、、ったく
相手は剣士、あいつはたしか両手剣使いだったはずだが
片手剣に盾という出で立ちで開始の合図を待っている
こちらもクロスボウにボルトをセットし開始の合図を待つ
この距離は狩人にとって丁度良い
そう、
PT戦ではこの距離を前衛が詰める時間を中後衛が稼ぐのだ
狩人が先制で攻撃し、次に魔法使いが威力の高い攻撃
その後始めて前衛が接敵し戦いが始まる
高レベルの近接職のスキルならば一気に距離を縮める技もあるだろうが
低レベルの俺達がこの距離で一対一とか、近接にしたら絶望しかない
優位度で言えば、先の攻撃の順番がそのものずばり
詠唱などの必要の無い飛び道具持ちが一番
魔法使いが次点、少し不利だが槍等の長物が次に来て
最後が接近戦の前衛となる
今回のこの組み合わせは相手にとっては最悪だろう
だからヤケクソで使い慣れていない片手剣と盾にしたのか?
んなわけ無い、マントで隠しているが背中に両手剣を背負っている
絶望的な状況で絶望する奴は、冒険者を続けるべきじゃない
こちらを見て剣士が笑う、ぎこちないが精一杯の張ったりだ
殺さないようにするには、と考えていた自分を戒める
これは戦いだ、本気で戦う覚悟の無いやつが負ける
ボルトを交換する、試験で赤字とか笑っちまうな!
開始と共に前傾姿勢で一直線に突っ込んでくる剣士、被弾覚悟かい
新しく買った三連式のクロスボウで足を狙う、キン、カン、ドスッ!
盾と鎧に弾かれたが最後の一発が足に刺さった、突進が止まる
「グッ!、ウリャア!」
剣と盾を投げて来る、チッ!
剣を避け、三連式で盾を弾く!
続いて飛んでくる物は、両手剣を振りかぶる剣士
「そうくると思ったぜ!」
がら空きの腹に三連式と逆の手のクロスボウからボルトを放つ!
ドンッ!、と言う音と共に吹き飛ぶ剣士、指向性の炸裂ボルトだ
普通なら抉れるのだが、奴の被弾覚悟の重装備に防がれ衝撃のみになる
だが、それでも来た方向と逆に吹き飛ぶ剣士、ドッと背から落ちる
クロスボウを捨て短剣を抜き、、、審判に止められる
この後、剣士の首を掻き切る覚悟はあったかと問われれば、無かった
こんな世界だ、襲われて返り討ちにし殺した事もある、しかし、
俺の勝ちで試合が終了し、薄い膜が消えてゆく
「くっそー、負けた!、しっかしバスよお、あの爆発なんだよ反則だろう、死ぬかと思ったぞこのやろうが!」
「お前こそ、両手剣で真っ二つにする気だったじゃねーか、ばーか」
それもそうか、といい笑い合う、、悪くねえな
どうよ?
ウィン達を見る、見事に背中を向けている、マジか!
仲間の試合なのに、ガン無視とかマジか!
薄情な奴等の見ているほうをみると、、火の海だった、、、マジか!
「ご武運を」
古臭い言葉と共に、火のレイピアを受け取る
「ただの遊びに武運も何も無いわ」
試合場へ入る、相手は水魔法使い、先方がご所望の奴だ
殺せばいいらしい、簡単ね、あら
テレスが試合場へ入り、魔道具を起動する
あれは例の生意気な女だわ、たしかパレスとかいったかしら
私に対してその辺の平民と同じ態度で接してくるいけ好かない女
平民の分際で私と話せる栄誉を理解できていない女
そのうち攫わせてその生意気な態度を矯正してやろうと思ってた
「丁度いいわ、2人まとめて燃やしてしまいましょう」
ふふふ、楽しくなりそうね
レイピアに魔力をこめる、、赤く、赤く
「始め!」
生意気な女が合図をする
「ウォーターカッター!」
水の刃が飛んでくる、水って刃になるのね、凄いわね
ジュ!
火のローブに当たる前に蒸発する、水魔法って、、哀れね
「ファイアーウォール!」
レイピアを横に振る
ゴォォォ!
全てが火に包まれる、真っ赤な真っ赤な炎になる
「ウ、ウォーターウォーうわぁぁぁああ!」
水魔法使いが、燃える!
生意気な女も、燃える!
「ふふふ、消し炭になったら蘇生も出来ないかしら?」
燃上がる炎の壁を見ながら呟く、水の一族のだしそれでもいいかしらね
真っ赤なそれを見ながらそんな事を考える
審判も死んでしまったなら
この薄い膜の中で燃え広がる火を止める者は居ない、ただただ燃える
膜の外では観客が呆然と見ている
その中に、水の一族の氷の貴公子と呼ばれているフリーザの姿も見える
「水魔法が貧弱過ぎて面白くないわ」
そう囁くが、膜の外へは音は一切漏れないので伝わらない
このままずっと炎の燃上る音だけが続くと思われた中、いきなり
「勝負あり!、消火します!」
冷静な声が響く!
ゴゥ!
風が吹く、つよいつよい風が吹き、視界が奪われ
目を開くとそこには、平然と立つテレスと倒れている水魔法使い
「な」
膜が解除される
「リンちゃん、いいかな?」
髪を払いながら誰かを呼んでいる
「あ、はい」
白いローブを着た娘がとことこと歩いてくる
「なにを」
「ヒール!」
癒しの光と共に、水魔法使いが目覚める
「は?」
「う、俺は、、ここは、あ、リンさん!」
ゴッ!、娘の手を握ろうとした水魔法使いが、吹き飛ぶ
「へ?」
「あなた死にたいようですね?」
「あ、いえ、すみませんテレスさん、違うんですごめんなさい!」
「テレスさん、つよく殴り過ぎほんとに死んじゃうよ!」
な、な、なんなの?
「な、なにをしたの!!!」
思わず叫んでしまう、クッ!
何で生きているの?
何で平然としていられるの?
燃え尽きたんじゃないの?
私の魔法が効かなかったの!?
「?」
不思議そうな顔でこちらを見る生意気な女
「試合の決着がついたので終了しただけですが?」
平然と言い放つ、平民の分際で!!!!
「あ、あなたもあの炎の中に居たんでしょう!、何で平気なの!!!」
炎の姫と呼ばれるわたくしの炎なのよ!
「え?、ああ、ちょっと熱かったですね、あの火」
それが何か?、と本気で聞いてくる
こ、こ、こ、こ、こ、ころす!
「テレスさん、そこは凄い熱かったって言わないとプライドに傷をつけちゃうよ」
こ、こ、こ、こ、こ、こ、こ、こ、こ、小娘!!!!!!
「あ、そうだね、凄く熱かったわ、あの火!」
ひ、ひ、ひ、ひ、ひ、ひ、ひ、火じゃないわ炎よ!!!!!!
会場の外から、氷のような声が響いてくる
「くくく、熱そうな火だったな」
フリーザ!!!!
「いきなりしくじるとは、火の一族は無能だな、くくく!」
氷のような笑い声を残し立ち去っていくフリーザ
(知らないうちに決定的なフラグを立ててしまったリン!、果してどうなるのか!、次回を待て!)
(何言ってるのクロ?)
(秘密なのだ!)
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名前:楠木 凛 種族:人族 性別:女 年齢:16
レベル:11
HP:170/170 MP:320/320
STR:115 VIT:130 DEX:135 MND:130 INT:320
スキル:(特殊)言語翻訳、アイテムボックス、鑑定
(技) 隠密2、罠解除1
(魔法)召喚魔法(式神)、空間魔法3
火魔法2、水魔法3、雷魔法2、土魔法2
光魔法4、闇魔法2
(自動)HP回復、クリティカル
装備:普通の服、偽りの宝石、魔法の鞄
聖なる糸 :HP50、VIT25、MND25、HP回復
白のローブ:INT20
素早さの靴:DEX10
魔力の腕輪:MP20
力の腕輪 :STR10
ウサギの尻尾:DEX20、クリティカル
金貨:26225
使い魔:クロ
スキル:(武技)格闘術1
(技) 隠密2
(魔法)火魔法5、風魔法4、鉄魔法1
光魔法3、闇魔法2
(自動)HP回復、クリティカル
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