061:氷の貴公子
水魔法:
その代表的なものは、水の刃と水の壁
水の刃:
同じ技量の者が放つならば、風の刃の方が威力は高い
水の壁:
術者により任意の位置に水で出来た防御用の壁を作成できる
これも術者の技量に左右されるが、戦士の使う鉄の盾には勝てない
魔法の四大元素、火・風・水・土
魔法スキルと言う稀有な特技を持つ事は、そのものに富と名声を与える
しかし、戦闘という一点においては水魔法はハズレと言われる
迷宮への探索時、水魔法使いは水源の確保と言う点で便利だが
戦力としては、もう1人別の属性が加わることが多い
水の一族:
曰く、ハズレの一族と揶揄されてきた者達だ、その闇は深い
水魔法を極めれば、、
この想いのみであらゆることを行ってきた
血を濃くすること、
一族のと言う意味でなく水魔法スキルの血脈を濃くすること
ある冒険者は、一族の姫をもらう事でその血の中へと招かれる
ある者は戦闘を嫌ったため、隷属させられ無理やり探索へと駆出される
無理やり上げられたレベルとスキルは次の世代へと受け継がれる
そうして繰り返された執念の結果
水魔法の上位、氷魔法へと到達する
火魔法の上位である炎魔法、それと対を成す氷魔法
全てにおいて引けをとることが無い
氷の刃は、切り刻んだ敵を凍らせ、触れただけでも凍らせる
武器に付与すれば、斬った部分を凍らせ敵の再生能力を阻害する
氷による守りは、大地の守りよりも高いダメージカット率を誇る
その守りは攻撃を行った者への反撃ダメージまでも発生させる
そして、ハズレといわれた水魔法との併用によりその戦術は広がる
氷の一族:
その域へ到達した者達を、尊敬と敬愛をこめそう呼ぶ
ここに若くしてその才能を開花させ氷の貴公子と呼ばれるものがいる
その名は、フリーザ!!!
異世界の言葉で凍らせるものと言う意味があるらしい
入ってきたフリーザはこの部屋の主の座る席へと向かう
「...」
今まで座っていたものが、席を立ちフリーザへと譲る
黙ったままその席に座るフリーザ
譲ったものはこの屋敷の主であり父である
敬われるべき相手だが、ただひとつ
氷魔法1のフリーザに対し、水魔法5の父
これのみで立場が決まる、それが魔法を至上とする一族の掟
「火の一族の姫が本格的に活動を開始しました」
炎魔法に一番近い存在とされるフレイアという小娘
現在の火の一族には炎魔法の使い手がいない
フリーザも先日氷魔法へと達したばかりだ
水の一族がまたその極みへ達したことはまだ知られていない
「殺せ」
邪魔だ、至高の存在はふたつは要らない
「影の守りが堅く近づけません」
その攻撃力から大きな権勢を振るってきた火の一族
妬まれ狙われ暗殺される、その繰り返し
その対抗策として出来たものが影
暗殺者を暗殺し、その依頼者さえも暗殺する
火の一族の苛烈な性質を持ちながら影で暗躍する者達
忌々しい一族め!
「未確認の情報ですが、奴等は勇者を取り込もうとしているようです」
「イレーヌ姫が召喚した者達か?」
我が一族もひとり水魔法を持っていた勇者を貰っている
既に正気を失っているが一族繁栄に役立ってもらっている
有能な者達は王族で隷属させると言う話だった
しかしあれは、失敗したと聞いたが、、、、
「イレーヌ姫に取り入っているのか?」
気が合うとは思えないが、、
「いえ、冒険者ギルドに登録しているようで、火の姫もそこに」
貴重な水魔法持ちの情報を公開しない奴等か
もっと血を濃くすれば更なる高みへと至れるものを
丁度いい、干渉するのにいい機会だ
「ギルドについて調べろ」
「はっ!」
勇者には期待したのだが壊れてしまった以上レベルアップも望めない
もっと有能な水魔法使いがいないか、冒険者の中になら
高みへ至った俺の慈悲を与えるに相応しい存在が居るかも知れない
ああ、フレイアでもいいな
水の一族に氷魔法と炎魔法を持つ者が誕生するのも一興だ
手と足を氷付けにしてから、、ククク!
その氷のように一片の感情も示さない顔に笑みが浮かぶ
氷のような笑みが、、、
貴族街闘技場:
当初の予定と変わってしまったが準備が整った
ギルド内協力者、我が一族だけでは少なく思うように事が進まなかった
仕方なく火の一族とも協力する事となった
ギルドの長が切れ者だ、目を眩ませなければならない
本来なら反発しあう火と水が協力し常に問題を起こす
情報が集まる、
良い素材が揃っている
欲しい素材は殺すことにした
一介の冒険者に蘇生の寄付金が用意できるはずも無い
試験登録者でスキルを確認し、殺すリストを作成する
我らの貰う素材は今も昔も変わらず水魔法スキルだ
純粋な高レベル水魔法使い
水魔法が使える治療士
剣術が使える水魔法剣士
どれもいい素材だ
火の一族は、一貫性が無い素材選択だ
騎士や風の一族、狩人もいる
何をしたいのか、、まあいい
奴らとは最終戦で雌雄を決する事になった
俺とフレイアが当たる様に組み分けを行う予定だ
俺の氷魔法のお披露目でもある
楽しみだ、、、ククク
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