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ネコと私  作者: 昼行灯
冒険者編
47/143

046:冒険者の平凡なる日常8

市民街冒険者ギルド:

「鑑定持ちですけど、どうしますか?」

何人か宛てはあるが、フレデリック王の事だそのまま囲い込むだろう


「ほっとけばいいんじゃないか

 どうせろくでもないことに使うんだろうし

 囲い込めなかったら殺されるじゃろ?」

溜まった書類を適当に処理しながら答えるギルバート


本当に適当に処理している、困ったものだ

サラ達が適当に処理していいものだけまわしているのだろうが


...まあいいか、これで上手く回っているのだ

そうなるように人を配置しているのはギルバート自身だ

サラ達もそれを理解した上で仕事をしている、問題は無い

自分が楽したいからこういう風にしていると公言しているし


これでギルバートが無能だったら問題もあるだろうが

職員で処理できない問題が起きた時は、彼が力尽くで解決している

責任がありやりがいのある仕事と、もしもの時に解決してくれる上司

一見、理想的な職場に見える


「あー、サインするのめんどくせー、寿命が縮まる」

中身も見ずにサインしながら文句を言うこいつが理想的な上司ですか


「タイミング的に勇者関係でしょうね」

「あー、この前戻ってきた奴らか、全滅したんじゃろ?」

皆死んでいたらしい、一体何があったのか


「どこから?」

この情報は緘口令が敷かれている

「わしが教えている騎士からじゃ」

騎士がギルバートから何を学ぶのやら、、


「私は同行した司祭からです、司教も接触してきました」

てっきり教会が関わっているものと思っていましたが、違うらしい

「なんで司教まで動いてんじゃ、やっぱ教会絡みなのか?」


国に属さない組織として、冒険者ギルドと教会は似ている

しかし、力を信奉するものと神を信奉するもの

各都市のギルド長による合議制と神の啓示による絶対制

信じるものも決定方法も違う、相容れる存在ではないだろう

各ギルド長がそれぞれ上手くやっていくしかない


「教会は関与してないようです、どうもイレーヌ姫が何かしている様で

 先日行った大規模蘇生でも、殺した侍女を混ぜてきたとか」

「なんじゃ、あの姫様は人を簡単に殺すような奴じゃったかの?」

殺すような人だったと記憶しているが、生き返らせるとは聞いていない

「それはまあ王族ですので、しかし生き返らせるというのが問題です」


「違う魂をいれるとかかの?」

英霊召喚か、肉体を失った英雄や異世界の勇者の魂を入れる

何度か実行されたと記憶しているが、行ったのはただの蘇生だ

「行われたのはただの蘇生ですし、その辺りが不明ですね」

新しい術式かスキル、その確認かなにかか

司教もその辺りを危惧しているようだった

蘇生を使える司祭が取り込まれると危険と判断し遠ざけている




「ウィリアム」

ギルバートが困ったような、怒ったような顔でこちらを見ている

「わしにそういう話をされても困るんじゃがのお

 考えを纏めるためにしているなら別にかまわんが

 長くなるようなら、サラかテレスにしてくれんかの?」

そうですね、しかし、、


「昨日、私のギルドに勇者が登録しに来たんですよ」

私もテレスもいない時に来たのは偶然なのか狙ったのか

「いいねえ、わしがちょっと行って揉んでやろうか?」

あなたがそうだからこちらのギルドに来たのでしょうね


「まあ、それなら丁度いいじゃろ、先に鑑定してしまえ

 ろくでもない結果なら、のお?」

そうですね、うちのギルドの冒険者になっているので

出来る事なら穏便に済ませたいのですが、、


「問題を起こすようなら、そうですね」

「わしにまかせろ、な、な?」

「私のギルドの冒険者です、責任は私が取ります」


「ちぇ、ずるいのお」




ギルド受付ロビー:

「何でずっといるんだ?」

「物色中なんじゃないか?」

「え?、やっぱり、おとこ?」

「じゃあ私達は安心ね」

「やべえ、俺の貞操が危機!」

「ライ達呼んで来いよ、あいつらと仲良しなんだろ!」

「ばか、あいつ等は3人が仲良しなだけだろ!」


ギルド内にはPTの待ち合わせや仲間の勧誘とかもあり

軽い食事が出来る場所も併設されている、当然酒など出ない

今日は待ち合わせもあるので、ここで飲み物を頼み待っているのだが


「待ち合わせなんじゃないか?」

「だれと?」

「仲間じゃないか?」

「ソロだろ?」

「恋人じゃないか?」

「え、どっち?」

「そりゃ決まってんだろ!」


あー、みんなぶっころしてー


受付に移動する、、なんで皆身構えるんだよ!

「なあ、サラさん、この状況ひどくね?」

受付カウンターの向こうでそっぽを向いているサラに声をかける

「さあ、自業自得では?」

なんかさ、あんたライ達の誰かと付き合ってる?

俺が完全に悪者っぽい扱いよね?


「酷い噂最初に流したのあいつらだからね?」

「はあ、そうですか」

なんか、取り付く島も無い!、俺ピンチ!




キィ!


妙な緊張感の中、扉が開く音だけが響く


とことことこ、茶色いローブの子供が入ってくる


きょろきょろと周りを見回し、俺に気づき手を上げる


「フジワラの待ち人?」

「子供だよな?」

「駄目じゃね?」

「アウトだよな?」

「弟とかじゃない?」

「え?、弟に手を出してるの、よけい駄目じゃね?」

「変態!」

「変態!」

大事な事なのか?、繰り返してんじゃねーよ!


周りの喧騒を不思議そうに眺めていた茶色いローブの子供

首の部分がもぞもぞと動き被っているフードから黒い物体が出てくる

エメラルドグリーンの目で周りをきょろきょろと見回し

「にゃ~ん!」


女性職員と女性冒険者が凍りつく!


黒い物体が出てきたせいでフードが外れる

もークロ暴れちゃ駄目でしょ、と言いつつこちらを向き声をかけてくる

「藤原君!」


ギルド内が凍りつく!



「どういうこと?」

「え?、恋人なの?」

「可愛い!、何あの生き物!」

「可愛い!、何あの女の子!」

「にゃ~んだって、可愛いよね!」

「フジワラ君だって、フジワラシネ!」

おい!

「妹かな?、恋人とか有り得ないよな」

「お兄ちゃん、じゃなかったぞ?」

「あ、確かに、変態フジワラに騙されてるんじゃね?」

「お兄ちゃんって呼ばれたいな!」

「すりすりしてるわ、いいな!」

「撫でてみたい!」

収拾がつかなくなってきた


「リンさんじゃないですか」

低いがよく通る声がギルド内に響く

「あ、ウィリアムさんこんにちは!」

「お、そのお嬢ちゃんがフジワラちゃんの、ゴフッ!」

じじいをぶん殴る!、わざとよけなかったのな、ムカつく!

ぱちぱちぱち、拍手が起こる、え?


「ギルバート、皆に好かれてますね?」

「今、拍手した奴ら後で話がある!」



ギルド長室:

「フジワラちゃん、ギルド内の風紀を乱さないでくれんかのお?」

にやにやしながら話してくる、じじいしね

「変な噂流されて迷惑してんのは、俺なんだが?」

ライとかてめーの手駒なんだろうがよ、じじいしね

「フジワラちゃん、わしなんかムカつくんじゃが変な事考えてる?」

考えてねえ、じじいしね


「リンさんは、フジワラさんと知り合いだったんですね?」

うーん、駆け引きとか苦手なんだけどな

「はい、同郷です」

「そうなんですか、どこの地方ですかね?」

「ヒミツです」

にっこりと返す


「同郷といえば、昨日ギルドでタカヤマ、エイ、シイと言う方達が

 冒険者登録しましたよ」

同郷といえばって、おかしくないですか?

「なっ!!!」

絶句する藤原君、関わらないって言ったけどあっちから来ちゃったね

まあ、登録したのが貴族街のギルドでよかった、接点ないしね


藤原君を見る、ウィリアムさんの手だよ冷静にね?


「タカヤマって、召喚された勇者様じゃないのか?」

冒険者登録していいのか?、と聞く藤原君、冷静だね

「...王族からの紹介状を持ってきましたので断れませんでした」

と、ウィリアムさん、イレーヌ姫かな、うーん、なんだろ

「なあ、嬢ちゃん、ちょっと模擬戦しね?」

なんかさっきから変な動きをしてたギルバートさん?、が言ってくる

クロが反応しそうになってたので腕の中で拘束中です

(我は、いかなる挑戦も受けるのだ!、瞬殺なのだ!)

簡単に挑発に乗っちゃダメですクロ君

「はあ、私戦闘とか出気無いですよ?」

ウィリアムさんを見る、ヘルプ!

「ギルバート、あなたは黙っててくれませんかね?」


「ちぇ、ちょっとくらいいいじゃん、けち!」

不貞腐れるおじいちゃん、うーむ



「じゃあこれ、売れたお金から買ったからね」

と、カーサに買い取ってもらった分のお金を渡す

結構な量なので売った分のお金から魔法の鞄を買いそれに入れた

「おう、サンキュ」

前渡した分と、一緒に潜った時の分で私は金貨8000枚プラス

藤原君は前回渡した分とは別に買い取ってもらった分6000枚プラス

無駄遣いしないようにね?

(予言しよう、こいつは奴隷を買う!)

え、そうなの?

(もし、リンに少しでも似ていたらこいつを殺す)

クロ君、本気ですね!

藤原君、私達にはわからないようにしてね?



「リンさん、どうぞ」

ウィリアムさんに手を取ってもらい馬車に乗る

宿まで送ってもらうことになった

藤原君が送るといったけどクロが猛反対した

宿を知られたら危険と言うことです、隠密3を侮るなとのこと

「じゃあまたね、藤原君」

「お、おう、またな!」

次元の迷宮であったらまた一緒に潜ろうね


ウィリアムさんとギルバートさんに終始見られていたので

今後の個人的な話とかは出来なかった


ギルバートさん、鑑定してみようかと思ったけど、やめておいた

気づかれる可能性がわずかに存在する、老練というのか

ふざけているようで隙が無い、苦手なタイプです



馬車に揺られる、、心地よい揺れ

市民街のギルドに来るとき辻馬車に乗ってみたけど

比べ物にならないくらいがたがたと揺れた、作りが違うんだなあ

やっぱりギルド長と言うのはお給料もいいのだろうか、、

はっ!、まさか本当に横領をしているのでわ!


「リンさん、、変な事考えてませんか?」

気づかれた!、鋭いです

「テレスが言っている事はでたらめですからね?」

釘を刺された!


「そういえば、テレスがまた暴れたみたいですね」

荒くれ者を吹き飛ばしたあれかな?

「まあ、彼女に非は無いので研修だけで済ませてますが、、」

非は無いのになんで研修なんですか?

(リン、なんで答えないのだ?)

(下手に会話すると色々探られそうだからね)

優しそうだけど優しくない、それがウィリアムさん


ゆっくりとした、だけど、緊張する時間が流れる


「彼等とは会わないほうがいいですか?」

おっと、いきなり本題ですね

「そうですね、有名な人とは関わりたくないです」

勇者とは明言せずに聞いてきた


「リンさんは、どう思いますか?」

返答に困る質問の仕方をしますね

「どう、とは?」

知りたい事を具体的にお願いします

「どう見ますか?」

...鑑定ます、ですか?


「私の故郷である病気が流行ったんです」


「病気ですか」


「はい、奇病です、その病にかかった人は、人を襲うようになるんです

 魔物みたいな感じですね」


「人を襲うのですか」


「ただこの病の恐ろしいところは、

 この病にかかった者に殺された人が蘇り、人を襲う様になるんです」


「蘇ると病を持った状態になるのですか?」

まだ、質問しちゃダメです


「しかも病にかかっている事を見分けるのが非常に難しいのです」


「そうなんですか」


「こんな病、一度広がったら止まりようが無いと思いませんか?」


「蘇った者からは感染しないとか?」


「どうなんでしょうね、私は見た事が無いので詳しくはわかりません」

考えてみると、元の世界での吸血鬼とかゾンビみたいだね


宿に着く、、


「送っていただき、ありがとうございました」

お礼を言い馬車を降りる

「こちらこそ、貴重な意見ありがとうございます」

敵じゃない鑑定持ちは、貴重ですよね?



「リンさん、その病の原因に心当たりはありますか?」


「分かりません、出来れば近づきたくないです」


「わかりました、失礼します」


馬車が去っていく


なんか意味不明な会話をした気分、疲れたね、クロ

「Zzzz…」

ですよねー!

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名前:楠木(クスノキ) (リン) 種族:人族 性別:女 年齢:16

レベル:7

HP:130/130 MP:240/240

STR:75 VIT:90 DEX:75 MND:90 INT:240

スキル:(特殊)言語翻訳、アイテムボックス、鑑定

    (技) 隠密1、罠解除1

    (魔法)召喚魔法(式神)、空間魔法2

        火魔法1、水魔法2、雷魔法1、土魔法1

        光魔法3、闇魔法1

    (自動)HP回復


装備:普通の服、偽りの宝石、魔法の鞄

   聖なる糸 :HP50、VIT25、MND25、HP回復

   白のローブ:INT20

   素早さの靴:DEX10

   魔力の腕輪:MP20

   力の腕輪 :STR10


金貨:26225(8000up)


使い魔:クロ

スキル:(技) 隠密1

    (魔法)火魔法3、風魔法2、土魔法1

        光魔法2、闇魔法1

    (自動)HP回復


名前:藤原(フジワラ) 秀平(ヒデヒラ)


金貨:12160(6000up)

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