003:閑話:藤原秀平
俺の名前は、藤原秀平高校一年生だ
容姿は普通だな、特に目立った特長が無いので普通にしてると集団の中に埋没する
まあ別にそんなことはどうでもいい、目立たないことで平凡に暮らしてきたのだが
この学園に入ってから、なぜかいじめにあっている
容姿は平凡だが、頭は非凡だったので高校からこの学園に入ったのだが
どうにも同じクラスの鷹山というやつに目をつけられてしまったらしい
ここはいわゆる名門に分類される学園だ、小中高そして大学まで併設されている
小中は会員制よろしく名家のご子息や学園に多額の寄付をした人達という
上流階級の人達、またはそこに入りたい者達のみで構成される。
高校からは、特待生制度で一般の成績優秀な人達を受け入れている
学費その他一切免除の代わりに、大学は他の有名大学に入ってもらうためだ
将来高級官僚等のキャリア組になったときのパイプ作りも兼ねて双方に利が有る制度だ
鷹山は小学生からいるいわゆるボンボンだ、今までちやほやされてきたのだろう
下手に成績もよかったので色々勘違いしていたんだろうな
この学園では成績上位者は公式に発表される、中学までは鷹山が一番だったらしい
それが高校になった途端、公式発表の中にも入らなくなったのだ
そして新しい順位で一番が俺、なぜも何も無いか、それがいじめの原因だ
最初は口で言うだけだったのだが、無視していたら手を出すようになってきた
まったく、どうしてやろうか?
あいつの強みは自分の家柄だけなのだから、そこから潰してやろうか?
いやそれでは時間が掛かり過ぎる、家から絶縁の状態にもっていくほうがいいか
出来ることならこの手で殺したいのだが無理だしな
取り合えずこの暴力を振るっている鷹山達を録画する
既に教室のあちこちに隠しカメラを設置済みだ
どうするかな、証拠と共に学園に訴える?ネットに拡散する?
この際、骨を何本かくれてやる、きついの1発こい
鷹山だけに見えるように注意しながら蔑む視線をおくる
「この糞野郎が!」
いいぞ、こいよ、おぼっちゃま
覚悟を決めたのだがきつい一発がこない、おいおいびびったのか?
顔を上げると教室の雰囲気が変わっている
ああ、あいつが来たのか
楠木凛
あいつも高校からの編入組みだ、なぜ知っているかって?
上位者発表で俺の次に名前が出ていたからだ、しかもその時つぶやいていた言葉が
「あ、もうちょっと間違ったほうがよかったか失敗失敗!」
だ、おもわずまじまじと見つめてしまった、つぶやきを聞かれたのがわかったのか
こちらを向いたあいつは曖昧な笑顔を見せ去っていった
見惚れた、、クソ
楠木は、ずれている、俺も相当だがあいつも相当だ
俺は自覚しているが、あっちは本人に自覚が無いのだ
しかも自分をごく平凡な女子高生とか言ってやがる、かんべんしろ!
歩けば10人が10人振り返る容姿の持ち主が平凡とか
嫉妬した女子がお人形さんみたいで気持ち悪いとか言い出す状況とか
相当浮いているんだからな!
男女関係無く編入組みに絡んでくる鷹山が唯一何も出来ない相手
というか鷹山は何回か楠木にアタックしている、相当惚れ込んでいる
まあ本人がまったく気づかず華麗にスルーされているのだが
笑える状況だがやつのことだいつ実力行使にでるか心配だ
もう少し危機感を持ったほうがいいと思うんだがな、、
「おはよう」
楠木が誰にとも無く挨拶をする
「おはようございます、楠木さん」
「おはよう凛」
「楠木、おはよう」
クラスのあちこちから挨拶が返る、鷹山も最高の笑顔で挨拶している
自覚して無いだろうがこの状況は異常だからな?気づけよお前!
女子も陰口は相当だが表面上は友好関係だ、鷹山のお気に入りだしな
と、何かの異様な気配が膨れ上がる、なんだ?
教室全体が光りだした、いや教室の床が光っている、これは魔方陣?
一瞬の眩暈の後に意識が持っていかれる
薄暗い部屋の中で教室で見たのと同じ召喚陣が薄く光を放っている
おいおい、まさかの異世界召喚か?
綺麗なドレスを着た、女性が歩み出てくる。
「勇者の皆様、よくおいでくださいました!私はこの国の第一王女イレーヌといいます」
お姫様がなにやら演説している、まあ定番だな流し聞きでいいか
どうせ腹黒なんだろ、演技が下手すぎだ馬鹿が
おいおいおいおい、まじかよ!
スキル:(特殊)言語翻訳、アイテムボックス、スキル強奪
スキル強奪だってよ?、しかもアイテムボックスまでついてやがる
笑いをこらえるのが大変だぜ、クソ!どうしても口角が上がる
!
なんだ?
視線を感じてそちらをみると、楠木が見てい、た?
違うな、、、、鑑定か!
ちっ!、まずいな、どうする?
腹黒姫の説明だとスキルは自己申告らしい、鑑定が激レアか
「勇者様!」
鷹山が腹黒姫に何か言われている、あいつ普通に全部のスキル報告してんのか馬鹿か?
「貴方のスキルはなんでしょうか?」
腹黒姫が聞いてくる、さすがにスキル無しはないんだろうな、しょうがねえな
「アイテムボックスです」
アホ姫は???状態だが、周りの騎士達が「おぉ!」と騒ぐ
戦争してるやつらにしたらすばらしいスキルだろうな、荷物運びとしてな
楠木は、、また見ている、これは詳細まで鑑定しているのか?
だが何も言わないらしいな、まあそうだなあいつも鑑定を明かす気無いだろうしな
楠木のやつ持ってるスキルが召喚魔法とか、爆弾発言しやがった
まじかよ明かせるスキルがそれって鑑定のほかにもまだ隠すスキルあるってことかよ?
隠したスキルはアイテムボックスだった
あいつを見ていたら会食のときに食べ物を空間に消していた
俺も持っているから収納するときにそうなることがわかっただけだが
だが、食事に何か混ざっているんだな?、気づいてよかった俺も真似よう
意味も無くあいつを目で追ってしまう、クソッ!
おまえ腹黒姫に睨まれてたぞ、気づけよ、ばか!
今の俺じゃまだ守れないだろうが、クソッ!
気が急く、、、違う!、よく考えろ、あいつは大丈夫だわかっているだろう
食事の混ぜ物はこれか、感情が理性を押しのける、ちっ!
もう食べてないのにこんなに影響が出るのか、クソ共が覚えてろよ?
よく考えるんだ、俺は先にやることあるだろう?
せっかく人を殺してもいい世界に来たんだから
殺ることが、あるだろう?、、、なあ、鷹山
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名前:藤原 秀平
種族:人族 性別:男 年齢:16
レベル:1
HP:20/20 MP:5/5
STR:5 VIT:5 DEX:5 MND:5 INT:5
スキル:(特殊)言語翻訳、アイテムボックス、スキル強奪
装備:学生服
お金:0
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