034:お茶会
魔素、
その世界に満ちている力、魔力の元
人の場合わかり易い数値としてMPがある
野生の動物は、この魔素を過剰に摂取すると魔物化する
累々と転がる死体、ご馳走だ
野生の感だろう、魔力が少ない肉から食べられていく
魔力のある死体はそのMPが少しづつ減る代わりに鮮度が保たれる
がつがつがつがつ、いくら食べても大丈夫
柔らかい皮の肉は、肉も柔らかくて美味しい
がりがりがりがり、このきんぴかの皮の肉は食べづらい
硬い皮の隙間から顔を突っ込み食べていく
おいしい、おいしい、がつがつがつがつ
「・・・・・」
周りがうるさくなってきた、だけど気にしない
肉ならいっぱいあるから、取り合いしないでいいだろう
勝手に食べればいい、いくら食べても無くならない
「・・・!!!」
がつがつがつがつ
「失せろ、死肉喰らいが!」
背中に何かが刺さった、これは俺の肉だぞ!
「がぁぁぁあぁ!」
俺の肉を奪う奴は噛み千切ってやる!
「ファイアランス!」
ボッ!、死肉喰らいが燃える
「姫は!」
「こちらです!」
「司祭殿!、早く」
おぉぉぉぁあああ!
「魔力の少ない死体が、アンデッド化しているぞ!」
「燃やせ!」
「蘇生できますか?」
「わかりません、神に祈ってください」
光魔法4の蘇生の詠唱が始まる、
ささやき、、いのり、、、、、光がイレーヌ姫を包む、、、
「ここは、」
「イレーヌ姫!、ご無事で何よりです!」
「無事?、私は死んだのではないのですか?」
「蘇生です」
「ああ、そういうことですか」
騎士達が忙しなく動き回る
「魔力の高い者から、蘇生するんだ!」
「アンデッド化したものは、灰にしろ!」
司祭が、魔力が溜めてある宝石を装備し、魔力回復薬を飲む
「このような場所では、そう何度も蘇生は発動出来ません!」
「わかりました、あと何回可能ですか?」
「3回かと、教会に持ち帰ったほうが蘇生の確率が上がりますが、、」
「さすがに、王都から離れ過ぎています!」
「騎士隊長、勇者から1人、随行騎士から1人だけ蘇生しなさい
フジワラがいるならば彼を優先で、蘇生しなさい
死体をアイテムボックスに収納出来れば後は教会で蘇生します
いない場合はMPの高い者だけ魔法の鞄に収納し急ぎ教会に搬送を」
イレーヌ姫が命令を下す
「ハッ!」
魔法の鞄はアイテムボックスと違い時間が経過する
アイテムボックスならば時間が停止するので
今アンデッド化していない死体も持ち運べるのだが、、
「フジワラは、いませんでした」
魔法の鞄から出した時、アンデッド化してそうな死体は燃やされる
運搬に耐えられそうな死体は、ほとんどが勇者だった
「撤収します、死体運搬班は先行して王都へ!」
「ハッ!」
イレーヌの勇者遠征は、失敗に終わった、、、
豪華な馬車の中で、虚ろな影がつぶやく
「これでいいですか、はかせ」
ああ、上出来だよ、イレーヌ
貴族街冒険者ギルド:
茶色いローブのリンが入ってくる
「こんにちは、テレスさん」
テレスさんに挨拶する、今日は治療士の仕事をしようと思う
「あ、リンちゃん、こんにちは、、、ごめんね」
テレスさんが、すまなそうに謝る
「わかりました、じゃあ今日はこれで失礼しますね」
挨拶をし、ギルドを出る
今日は別の治療士が来ているみたい
最初のころは、一緒に治療士として働いていたけど
最近は他の人がいるときは、遠慮する事にしている
理由は、私に治療をお願いすると言い出す人がいたりするから
そんな事で余計な摩擦を起こしたくない
いらない巻物をカーサの店で売る事が出来るようになったので
お金には困っていない、治療士を続けているのは
冒険者ランクを上げるためのポイントのためだけだ
それも、ランクDになって管理迷宮に行けるようになればいい
「リン、ランクアップ試験の戦闘が楽しみだな!」
「クロは見てるだけ、だけどね?」
正直、戦闘に関してはどうしようか悩んでいる、糸を使う気は無い
「水魔法だけなら少しくらい本気で使ってもいいかなあ」
「王都水没だな!」
そうなの?
「もう時間的に迷宮も行けないし、何か買ってカーサのとこ行こうか」
「うむ、肉だな!」
「リン!、なんで毎日来ないのよ!」
「来る理由ないし?」
「カーサうざいし?」
先制攻撃に対し、ダブルアタックで反撃だ!、上が私で下がクロ
「え、私うざいの?、ごめんなさい、、、」
耳が垂れ下がり、しゅんとする、いいね!
「クロもうざいから気にしないでいいよ?」
「なーんーだーとー!」
クロが頭を強めにぐりぐりしてくる
「お菓子買ってきたから、一緒に食べよ?」
ムースやスポンジのケーキをアイテムボックスから取り出す
「う、うん、飲み物はハーブのお茶でいい?」
「うん、お願い」
「我はミルクをダブルで!」
「ダブル?」
「気にしないでいいから、ミルクは私が用意するよ」
お店を休憩中にして、嬉しそうにお茶の準備を始めるカーサ
「リン、クッキーをミルクにつけてくれくれ!」
ミルクを吸ってしなっとしたクッキーがお気に入りらしい
「まだお茶の準備が出来てないから、待ってね」
「うむ!」
私のひざの上に移動しまるまるクロ、いい子だね、撫でてあげる
嬉しそうに目をつむり、しっぽを揺らす
「冷たくて美味しい!、すっぱい!」
カーサが、嬉しそうにベリーの乗ったムースを食べている
見た目、老婆に偽装しているので、あまり外には出ないらしい
貴族街のケーキ屋は行ったことなかったみたい
まあ、老婆の格好でケーキ屋とか行きづらいか
「やっぱりリンは、アイテムボックス持ってたのね!」
冷たいものを出した事と、ダミーで魔法の鞄を買ったことから
推察したのかな、やっぱり鋭いよね
「私も早く魔法の鞄+5にしたいなあ」
んー?
「武器や防具じゃないのに+5にすると、何かいいことあるの?」
武器は攻撃力(STR)、防具は守備力(VIT)が上がる
「アイテムボックスほどじゃないけど時間経過が遅くなるのよ」
おー、アイテム系も強化でそういう効果がつくのかあ
「リン、リン!、我もケーキくれくれ!」
クロがおねだりしてくる
「何がいいの?」
「カリカリしたやつ!」
生地がクッキーのやつかな?
「これ?」
チーズケーキを取り出す
「ちーがーうー、甘いやつがいいー!」
我が儘じゃのー、フルーツのタルトを取り出す
「はい、カーサが食べやすいように切ってあげて」
クロとコミュニケーションをとりたそうにしてたので、カーサに振る
「う、うん!」
嬉しそうだ
「カーサ、カリカリとあまあまを上手く混ぜつつ切るのだ!」
タルトにくっついてカーサのほうに移動するクロ
「うん、わかった!」
ハーブの匂いとケーキの甘い匂い
少し騒がしいけど、ゆっくりとした時間が過ぎていく
「我の新しい技、爆裂歩法が生まれたのだ!」
「なにそれ、かっこいいね!」
クロとカーサが楽しそうに話している、なにその歩法?
「リンとの華麗な連携で、、」
「いいなあ」
ちらちらとこちらを見ている、なんだそれは恋する乙女ですか?
「次元の迷宮の特性は知ってるでしょ?」
既にわかっているみたいだけど、確認しておく
「うん、、」
「私はまだレベル6だからね、それにカーサはHPとVITがさ」
「カーサは貧弱だな!」
「うん、けど!、それは何とかなると思うの!」
「そうなの?」
「装備でカバーか?」
「うん、確認しないとダメだけど、多分大丈夫だと思うの」
確認って、誰に?
あまり立ち入った質問は控えておく
「まあ、その辺がどうにかなるなら、ね」
「レベル差は、大丈夫なの?」
「ステータス私のほうが上だからね?」
「な、な、な」
いつもの叫びが出るみたい
「なんでよおおおお!」
クロが横取りする
「なんでよおおおぉぉぉ!」
結局叫ぶのね!
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名前:楠木 凛 種族:人族 性別:女 年齢:16
レベル:6
HP:70/70 MP:220/220
STR:65 VIT:55 DEX:65 MND:55 INT:220
スキル:(特殊)言語翻訳、アイテムボックス、鑑定
(技) 罠解除1
(魔法)召喚魔法(式神)、空間魔法2
水魔法2、光魔法2
装備:ミスリルの糸、普通の服、偽りの宝石、魔法の鞄
白のローブ:INT20
素早さの靴:DEX10
魔力の腕輪:MP20
力の腕輪 :STR10
金貨:24200
使い魔:クロ
スキル:火魔法3、風魔法2、光魔法1
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