029:閑話:フジワラの迷走
市民街ギルド:受付嬢:サラ
「なあ、スライムの迷宮行きの馬車って無いのか?」
フジワラさんが聞いてくる、この人は滅茶苦茶な人だ
先日ギルド長のギルバートさんと模擬戦と言う殺し合いをした
ギルド長は確かレベル50を超えていたはずだ
それをレベル5の彼が一瞬とはいえ本気にさせた、滅茶苦茶だ
「迷宮行きの馬車は冒険者が6人以上希望しなければ出ません
スライムの迷宮は希望者0なので、出てないです」
「俺、行きたいんだけど?」
「希望者1なので、出てないです」
「ひどくね?」
「規則ですので」
貴族街のギルドからは希望者に関係なく定期的に馬車が出ている
この辺りが、貴族街と市民街の差だ
いや、ウィリアムさんとギルバートさんの差だ!
「迷宮までの地図とかある?」
もしかして、ソロで行く気なの?
「銀貨5枚です」
「ひどくね?」
「ひどくないです」
途中までゴブリンの迷宮行きの馬車で移動し、分かれ道で降り
そこから徒歩でいくための地図を渡す
「フジワラさん、私の名前覚えてます?」
何となく予感があるが、聞いてみる
「えーと、ソラさん?」
ひどくね?
彼はギルバートさんと同類だ!
周りをイラつかせる才能がずば抜けている、しかも天然で!
スライムの迷宮跡:
「なんだよこの地図、途中から違うじゃねーか!」
分かれ道で降り、地図の通りに歩いてきたが荒地が広がるのみだ
文句をいいつつしばらく進むと
「なんだよこれ、隕石でも落ちたのか?」
荒地だと思ってたこの一帯は、なにかの爆心地のようだ
「この辺りだよな?」
周りを日が暮れるまで探し回るが、、、荒地が続くのみ、、
「めいきゅうどこだああああああああああ!!!!」
むなしい叫びが響きわたる
数日後、ギルドに文句をいいに来たフジワラに
あなたが出発したすぐ後に、貴族街ギルドからの定期馬車により
スライムの迷宮消失の報がもたらされたと言われ
その場で独特なポーズで崩れ落ちるフジワラが目撃される
ゴブリンの迷宮:
スライムの迷宮での魔法コンプ計画が、一瞬で破綻したので
ライ達とゴブリンの迷宮に来ている
「やっぱり、フジワラがいると安定するな!」
休憩中にライが言う
「そうだね、ジムの負担が軽くなるのがいいよね」
セイも同意する
「...」
ジムも同じ意見だ
さすがに何度も組んでいるので連携も慣れてきた
こいつらと一緒ならこの迷宮で苦戦する事も無い
「そういえば、フジワラ何日かいなかったけどどこ行ってたんだよ?」
「ああ、スライムの迷宮に行ったんだけど、無かった」
「なんだそりゃ」
「何かが起きたらしくて、迷宮自体が消滅したんだと」
「そんなことがあるのかぁ」
「肉の美味い屋台見つけたから誘おうと思ったのに居ないんだもんな」
「あ、美味しかったよねあの店!」
「...」
「そうそう、ライが可愛い女の子驚かせちゃったんだよね」
「ちげーよ、あの子は席移動しただけだろ!」
「...」
「だね、肩に乗ってた黒い小さな生き物も可愛かったよね!」
おーい、まさかー
「もしかして、その子黒髪黒目か?」
「そうそう、長い黒髪が綺麗でさ、絹のような滑らかさっていうの」
「触ってないのに、滑らかさはおかしくないか?」
「えー、けど小さい生き物が髪の中を移動するたびに、さらさらって」
「あー、たしかにそうだったな」
ぐぎぎぎぎぎぎ!
「なんで誘わなかったんだよ!!」
「だからいなかったじゃん?」
「そうだよー」
「...」
「うおおおおおちきしょおおおおおおおおおお!!!!」
むなしい叫びが響きわたる
市民街大通り:
騎馬に乗った騎士達が通り過ぎる、結構な数だ
「なにかあったのか?」
セイにたずねる、こいつは情報通だからな
「なんか遠征に出た姫と勇者達が行方不明になったみたいよ?」
はっ?
「なんだそれ?」
「よくわからないんだってさ、連絡が一切無いだけだから
問題なく無事の可能性もあるし、全滅の可能性もあるし
なんか王城でも事件があったみたいで、色々大変らしいよ」
チッ!、なんか俺の知らないところで色々動き出してんだな
もっと強くならないと、、、、
ランダムで内容が変わるという、次元の迷宮に行ってみるか
「次元の迷宮行き馬車は希望者4なので、現在待機中です」
「俺、行きたいんだけど?」
「希望者5なので、現在待機中です」
「後1増えるのって、ほとんど無いんじゃね?」
「ですね」
「ひどくね?」
「ですね」
ギルド職員がなにか耳打ちしている
「4人PT諦めて、ゴブリンの迷宮に行きましたので希望者1です」
「ひどくね?」
「ですね」
俺って、隠しステータスのLUC(運)が0じゃね?
楠木の鑑定で見れたりしてな、今度あったら聞いてみよう
「ことごとく、あえないんだけどな!!」
市民街ギルド:
「フジワラさん、装備をちゃんと整えたほうがいいんじゃないですか」
受付嬢のソラに言われた、たしかに学生服もボロボロだしな
「防具屋ってどこにあるんだ?」
ギルドの壁を指差される
「街の地図を見てください、それと私の名前はサラですよ?」
お、おぅ、覚えたから!
魔道具屋:
カランコロン、扉につけてある鐘がなる
「誰もいないのか?」
どうせ買うなら魔法効果の付いたものにしようと思いここに来た
「お客かい?」
店の奥から声が掛かる、気づかなかったけどカウンターの向こうに
老婆が座っていた、胡散臭そうな目でこちらを見ている
「・・・ほう」
なんだ?
「それで、何のようだい?」
ばあさんが聞いてくる
「なにか防具が欲しいんだが」
「予算は幾らなんだい?」
「金貨150枚くらいか」
「...お帰りはあちらだよ?」
予想してたが、やっぱ、桁がひとつ足りないか
「邪魔したな」
店を出て行く、どうすっかな、鎧とか着たくねーしな
魔法効果の無い服なら今のままで十分だし
服屋で適当なローブでも買うか
魔道具屋から歩き出す男を見つめる影、、、、
「あれ、今の藤原君じゃない?」
(そうだな、あの生意気な小僧だな、殺すか!)
「もー、なんでそんなに藤原君のこと嫌いなの?」
(なんとなくだ!)
普通の服屋:
「よし、これで魔法使いっぽくなったな!」
普通のローブをきたフジワラが店を出てくる
普通のローブなのに金貨10枚した
「だけど、こんなので金貨10枚とか物価高いな!」
後日ライ達に自慢したところ、同じ物が銀貨5枚で売ってた事を知る
冒険者フジワラ、彼のLUCは本当に0なのだろうか、、、
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名前:藤原 秀平 (フジワラ ヒデヒラ)
種族:人族 性別:男 年齢:16
レベル:5
HP:60/60 MP:45/45
STR:65 VIT:45 DEX:45 MND:45 INT:45
スキル:(特殊)言語翻訳、アイテムボックス、スキル強奪
(武技)剣術1、弓術1
(技) 隠密1
(魔法)土魔法2、風魔法1、光魔法1
(自動)HP回復3
装備:普通のローブ(new)
騎士の剣:STR20
金貨:160(10down)
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フジワラ君の閑話はこれで終りかもです




