028:冒険者の平凡なる日常4
貴族街冒険者ギルドに向かう馬車の中
「さすがにこの時間だと僕達だけだね」
と、魔法使いのウィン君、出来る男の子だ、特に家事
少し早い戻りになったので相乗りする冒険者PTはいない
「毎回こんな楽だといいんだがな」
バス君、毒針に引っかかるお茶目さんだ
「レベルが上がったでござる!」
良かったでござる!
「リンさんさえ良ければ、このままPTを組んで欲しいな」
きらりと歯を見せ、PT勧誘をしてくるサンド君、奇襲が得意な騎士様だ
「ごめんなさい」
即答だ!
(さすがリン、容赦が無いな!)
なぜか嬉しそうに顔をすりすりしてくるクロ
「私もレベル上がったので、しばらく冒険はいいかなって」
フォローを忘れない、ついでにいうとレベルは上がっていない!
(ペテン師リンの誕生だな!)
「そうですか、残念です」
残念そうな顔をしているが、あっさりと引き下がる
やっぱり何かウィリアムさんに言われているのかな
聞いてみようかな?、いや、、止めておこう
「今日は色々と勉強になりました、また機会があったらお願いします」
ウィン君が何かいいたそうにこちらを見ているけど
華麗にスルーする、なんとなく想像がつくからね
「ウィン君のお弁当おいしかったです」
「え、うん、ありがとう、今日はちょっと張り切ったんだ!」
冷めても美味しいようにああしたとか、温め易いようにとか
自分から脱線して行っている、バス君が苦笑いしてこちらを見ている
簡単に話題を変えられる、ちょろいな!
(ちょろいんで天然、ウィン!)
そうだね!
ギルドに到着した、次元の迷宮はその性質上出てくる敵が不明なので
事後に魔石を納品する事で、倒した魔物の討伐依頼が達成になる
サンド君が手続きをしている
「リンちゃん、あの野獣どもに酷い事されなかった?」
テレスさんが聞いてくる
「テレスさん、サンド君達は野獣じゃないですよ、色々教えてもらって
勉強になりました」
「い、いろいろ?、クッ!、この下種共め何も知らないリンちゃんに
何を教えやがったんだ、ごらぁぁ!」
ガシッ!、ギギギギギ
「いたいいたいいたい、誰だヤメロぉぉ!」
「テレスさん、いい加減にしてくださいね?」
笑顔のウィリアムさん登場です
「暴力反対です!」
「これは教育ですよ?」
「私はもう大人です!」
「じゃあ大人らしい言動でお願いしますね?」
「わかりましたから、はなして?」
「ダメです」
ウィリアムさんとテレスさんが去っていく、仲良しだよね?
魔道具屋:
カランコロン、扉につけてある鐘がなる
それほど広くない店内に男性2人と女性が1人入ってくる
「お客かい?」
店の奥から声が掛かる、気づかなかったけどカウンターの向こうに
老婆が座っていた、胡散臭そうな目でこちらを見ている
一瞬なにか妙な感覚がしたが、気のせいだろうか
「すみません、僕はウィンという冒険者です、こっちは仲間のサンド
こちらは治療士のリンさんです」
一応家が火の魔法使いとして名が通っている僕が交渉する事になった
「ウィンにサンドに、、、リンね」
「はい、約束も無く尋ねて来てすみません」
「お前さんは、火の一族の縁の者かい?」
「そうです、父と面識があるのですか?」
なんだか格式ばった話が進んでいく
(ねえクロ、彼女おばあさんに見えるの?)
(見えないが?、リンと同じくらいの娘だろう)
さっきからこっちをちらちら見て、明らかに挙動不審なんだけど
ウィン君達には、威厳のある老婆が話してるように認識されている?
(リンあれじゃないか、エルフの秘宝?)
(ああ、あれの効果なのか一度見破った私には効かなくなったとか)
(おそらくな)
なんか変な感じだね
まあ、けど彼女合わせてくれるんだね、ありがとうね?
にっこりと微笑んでみる
ガタッ!
なぜ怯える!
(リン、彼女怖いから何も言わないだけじゃないか?)
(クロが怖いのかな?)
(そうだな?)
きー!、クロにあしらわれた!
「リンさん、巻物を」
おっと、交渉が成立したみたい、魔法の鞄から未鑑定品を出す
「?巻物」「?巻物」「?剣」
鑑定が始まる、、、、
「火魔法:火の壁」「光魔法:状態回復」「銀の剣+1」
どうなの?、ハズレかな
「よかったねえ、これは相当なものだよ」
あれ、当たりなの?
「状態回復かあ、サンドどうするの?」
「取り合えず、ジュノとバスに報告してから相談しよう」
サンド君が金貨を300枚くらい払って、お礼を言って出て行く
ウィン君も礼を言って後に続く
店内には少女が2人とネコが1匹
「えっと、合わせてくれてありがとね?」
てっきり、クスノキ リンと呼んでくるかと思ったけど
何も言わなかった事にお礼を言っておく
「な、何言ってるのよ、貴女こそ言わなかったじゃないの」
あ、そうか、彼女もエルフと言われることを心配してたのか
「ふふふ、我は全て解った上で傍観してたがな!」
「すごいね?」
「嘘でしょ!」
「むむむ!」
ダブルの突っ込みが入ると思っていなかったのか、困惑するクロ君
あまり遅くなってもあれなんで、またねと言い店を出る
(そういえば、彼女の名前なんだっけ?)
(カーサ?)
サンド君達に合流する
「ウィリアムさんに相談しようと思うんだ」
「そんなに凄い物だったんですか?」
聞いてみる
「状態回復がどれ位の価値かわからないんだ」
(値段なら彼女に聞けばいいんじゃないの?)
(サンドとウィンは、あれが苦手なんじゃないか)
ああ、なんかそんな感じだったね
自分達が原因で家と魔道具屋一族が対立したら怖いとか
出来るだけ関わりたくないと言うところかな
貴族街ギルド:
「これは珍しいものが出ましたね」
状態回復の巻物を見たウィリアムさんの感想です
「過去の例からすると、白金貨10枚くらいでの取引ですが
オークションに出した方がいいでしょう」
白金貨は金貨10000枚だったかな
「おいおい、マジかよとんでもねーもの引き当てたな」
バス君、これでお金に困らなくていいね!
「そんなにするものなんですね、ちょっと意外です」
回復の巻物と同じくらいかと思ってた
「うん、僕から言わせてもらうとリンさんのほうが意外です」
ウィン君に突っ込まれた!
(衝撃の突っ込み!)
「状態回復は光魔法2の呪文ですからね、本来なら光魔法を覚えて
地道にレベルを上げて使えるようになるのが理想ですが
今の教会では、回復、状態回復、解呪の3つを使えると
司祭への昇格が可能になったのでレベルを上げる必要も無く
お金で解決しようとする人達には幾ら出しても欲しいものになります」
そんな人達が欲しがってるものとか逆に危険なんじゃないの?
「なあサンド、俺はオークションじゃなくて白金貨10枚で売ったほうが
いいと思うが」
「僕もそれに賛成、これは持ってるだけで危険を招くよ」
「拙者もそれに賛成でござる」
(教会と全面戦争希望でござる!)
黙れでござる!
「私も賛成です」
右にならう、波風を立てない基本です
「うん、そうだね僕達は冒険者だけど駆け出しだし
無駄な危険は避けるべきだね、今回はリンさんもいるし
一番安全な方法を選択しよう」
サンド君が、こっちを向いてにっこり笑う、まぶしい!
(リン、反撃するんだ!)
曖昧に微笑み返す、、視線をそらせた、サンド君心なしか顔が赤いぞ
(完全勝利だな!)
そうなの?
相談の様子を黙ってみていたウィリアムさんが口を開く
「良い判断だと思います、しかし私の言った白金貨10枚の裏付けを
とってから決めるという意見が出ればもっと良かったですね」
お金にあまり興味の無い私、サンド君、ウィン君は
提示された金額の部分を多いと認識したが気にしなかった
白金貨10枚が多すぎて満足してしまったバス君、ジュノ君
確かに日頃のウィリアムさんの態度から疑う事さえしなかった
本当は白金貨12枚だったかもしれない、白金貨2枚を5で割れば
金貨4000枚だ、馬鹿に出来ない数字になる
ギルドが買い取ったとしても最終的にはオークションに流れる
落札額は知ろうと思えば調べられるのだ
白金貨20枚で落札された場合、みんなはどう思うのだろう?
ウィリアムさんに対して、ギルドに対して
少し判断が早計過ぎたのは否めない
それぞれが、同じような結論に思い至り反省している
(我は気づいていたがな!)
(私はどうでもよかったけどね!)
「すみません、少し説教みたいになってしまいましたね
本来ギルドと冒険者は対等の立場です、このような教育的な発言は
避けるべきなんですけどね」
ウィリアムさん、いい人だね
「リンちゃん、騙されては駄目、この人は私の給料を横領してるのよ!」
(偽善者め、抹殺してくれる!)
テレスさん、ほんとに貴女の給料を横領してあげましょうか?
おおぅ、頭をつかみ引きずっていくテレスさんに凄い事を言っている
正体をあらわしたなこの、ギギギギ、いたたたたあ、、、
仲良いよね?
結局、白金貨10枚で買い取ってもらう事になった
オークションでは他の出品状況しだいでもっと高く売れることは
了承してくださいねといわれた、当然納得する
ギルドは今までも冒険者から買い取ったマジックアイテムを
競売で売っているのだ、言わば出品者としてプロである
保管しておく事のリスクをどうにか出来ていれば
最高のタイミングで最高値で売れる、倍以上になることもありえる
まあ、どうでもいい
結局今回の収支は、こんな感じ
「光魔法:状態回復」:金貨100000枚(白金貨10枚)
「火魔法:火の壁」 :金貨1000枚
「銀の剣+1」 :金貨200枚
その他もろもろ :金貨10枚
鑑定料の金貨300枚を差し引いて、白金貨10枚と金貨910枚
1人金貨20182枚、結構な額なのでその場でギルドに預ける
引き出す場合は、ギルドカードが必要になる
本人の魔力を通さないとギルドカードは情報を表示しないので
金目的で殺されてギルドカードを奪われるという心配も無い
リンさんは、幸運の女神だねとお世辞をいうサンド君達と
前回行ったラウンジ風喫茶店でささやかな祝杯をあげる
こういうのもたまにはいいよね?
正直お金が増えても使い道無いので、その日は貴族街で
色々と食べ物や飲み物、あと一応キャンプの道具とかを買い
宿に戻る
人の口に戸は立てられぬというけど、、、
彼女と探索に行くと当たりが出ると言う噂が広まってしまい
翌日から、治療士としてギルドにいるとPT勧誘が引っ切り無しに来て
悩まされる事になる
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名前:楠木 凛 種族:人族 性別:女 年齢:16
レベル:5
HP:60/60 MP:200/200
STR:55 VIT:45 DEX:55 MND:45 INT:200
スキル:(特殊)言語翻訳、アイテムボックス、鑑定
(技) 罠解除1
(魔法)召喚魔法(式神)、空間魔法1
水魔法2、光魔法2
装備:普通の服
白のローブ:INT20
素早さの靴:DEX10
魔力の腕輪:MP20
力の腕輪:STR10
魔法の鞄
金貨:24200(20120up)
使い魔:クロ
スキル:火魔法2、風魔法2、光魔法1
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