023:閑話:フジワラの戦い
ゴブリンの迷宮:4Fボス部屋
「君達はここは初めてなんじゃないのかな?」
「よかったら、手伝おうか?」
「僕以外の男は必要ない!」
「ちょっと君はだまってて」
「あんた、一番役に立ってないのになにいってるのよ?」
「なんだありゃ?」
ボス部屋前でナンパか?
「ああ、一攫千金狙いの中堅冒険者だな」
ライ、リーダーっぽい戦士だ、両手剣を使う
「だね、けどあいつって、、」
セイ、器用な狩人だ、ロングボウと短剣かな?、罠解除も持っている
「...」
ジム、喋れよ!
「なんだ、何か気になるのか?」
セイに聞く
「彼、スラム街で見た事あるんだよね、初級ならまだしも
普通の中堅冒険者はあそこは使わない、お金をケチって
危険を買うような冒険者は中堅まで生きていけないからね」
お前もほぼ中堅なのにスラム街にいたことのほうが俺は気になるがな?
「盗賊とかの類じゃないかと?」
「うーん、僕変な事言っちゃった?」
おっと、自分の失言に気づいたみたいだ
「別にどうでもいいんじゃないか」
まあ、本当にどうでもいいしな、たまに組む程度の仲だ
「...」
「おう、そうだな」
ジムになんて言われたかは、秘密だ!
ライ達のPTにゴブリンの迷宮に誘われたので、着いて来た
「しかし、多いな」
スキル強奪のためにソロで来ようとしてたが、人が多すぎる
こんなところで無双でもしようものならすぐに噂になってしまう
「多いのは4Fのボス部屋だけだぜ、他はそんなでも無い」
「なんでだ?」
「レアで僧侶が出るんだよ、ドロップに光魔法が含まれるから」
ああ、そういうことか、確かに一攫千金だな
なら、ボス部屋のルートからそれれば問題ないのか
光魔法なら既に持っているしな
順番が来たのでボス部屋に入る、扉を閉めると敵が湧く
「多くないか?」
「ああ、当たりを引いたらしいぞ」
「6匹とかフルだよね」
「...」
「フジワラ、右奥のが僧侶みたいだ、集中砲火で!」
セイが言いつつ矢を放つ
「ああ」
石礫を広範囲に放つ、牽制だ、さすがにライとジムで5匹はつらい
「...」
ジムが敵に突っ込んでいく、待ちジムなのに攻めるとは珍しい
「ウラァ!」
ライもジムに続いて突っ込んでいく
魔法使いと弓使いに牽制の石礫を放ちつつ僧侶に攻撃をする
ライの大地の守りが切れたので掛け直す
ゴブリン僧侶は自分の回復で手一杯だ、ゴブリン戦士が落ちた
ジムが攻撃を受けつつ後衛に迫る、あっちは大丈夫か
「セイ、突っ込め!」
大地の守りをセイに掛け、石礫で牽制をする
「了解!」
弓を捨て短剣に持ち替えたセイが僧侶に突っ込む
おっと、魔法使いだけは確実に止めを刺しておこう
スキル強奪発動!、、、、失敗
スキル強奪発動!、、、、風魔法取得!
スキル強奪発動!、、、、弓術取得!
いいね!
スキル強奪は便利だ、特に魔法関係は特筆に値する
本来なら後天的な魔法は巻物から取得する、この場合
「火魔法:火の矢」
のように、魔法の一部だけ取得になる
「火魔法の巻物」
ならば、先天的なものと同等のスキルとなり成長もするが
まず出ない、それこそ国の宝物庫やレアボスのなかのレアである
激レア魔物じゃないと魔法の巻物はドロップしない
しかし魔物は、先天的に魔法を持っているのだ
その辺の雑魚でも魔法使いならスキル強奪でその魔法を取得できる
反則だな!
「やっぱりフジワラがいると戦闘の安定度が違うな」
ライ、お前今回攻撃受け過ぎだったぞ
「なんか、フジワラがリーダーみたいだったよね」
まあ、前線に立つ戦士が指示とか無理だよな
「...」
そうだな!
「それ、巻物じゃないのか?」
魔法使いのいた場所に巻物らしきものが転がっている
「お?」
「え?」
「...」
「風魔法:風の刃」
「魔物から直接ドロップとは珍しいね」
「風魔法か、悪くないな」
これは、宝箱も期待できるか?
「うーん」
宝箱を調べてたセイがうなる
「どうした?」
「これは、ダメだね、多分転移だよ」
「マジかー」
なんだなんだ?
「どういうことだ?」
「ああ、うん転移の罠は解除に失敗するとランダム転移しちゃうんだ
まだよくわかってなかったころはみんな開けてたんだけど
あるとき壁から足が生えてる迷宮があってね」
おいおい、ホラーだな
「本当にランダムな場所に転移するのか」
「うん、転移宝箱は当たりが入ってる確率高いらしいけど」
「ダメだな、宝箱は諦めよう、直接ドロップで巻物拾えたし
これで良しとしよう鑑定料も必要ないし、十分だ」
ライが言う、こういうところはリーダーっぽいよな
「そうだね」
「...」
市民街ギルド:受付嬢:サラ
「ギルバートさん、いい加減にしてください」
たまにしかギルドに顔を出さないギルド長に文句を言う
「なにがじゃ?」
嬉しそうに聞いてくる
「フジワラさんです、もうランク2個上がっても良い位
ギルドに貢献しています」
「だって、模擬戦してくれないじゃん?」
子供か!、じじいのくせに子供か!
「模擬戦は関係ないでしょう?、そんな規約ありませんよ!」
「わしが規約じゃ!」
なんでこんな人がギルド長なの!、もうやだじじい死ね!
タイミングが悪い、ライ達がギルドに入ってくる、フジワラさんもいる
「おう、フジワラ模擬戦すっぞ!」
じじいが、気軽に声をかけている
「おい、ボケ老人が紛れ込んでるぞ、つまみ出せよ?」
フジワラさんが、じじいを指差し言ってくる
「おいおい、そんなこというとギルドから追放しちゃうぞ?」
お前が追放されろ!、ボケジジイ!
「こんなのが上司とか大変だな」
同情される
「無視すんなよー、フジワラちゃん」
にっこり笑う、ボケジジイ
「もうおじいちゃんたら、さっき模擬戦したばっかりでしょ?」
「しとらんわーい!」
「もう、ボケちゃって、ダメね、セイお母さん連れてって!」
「えー、僕に振らないでよー」
「ジムお父さんもほら、手伝ってあげて」
「...」
あら、私でもジムが何を言ったか理解できたわ
「なんだよー、お友達の情報でも教えてあげようかと思ったのになあ」
は?
「なんだよ?、お友達って」
おもわずじじいに振り返る、満面の笑みがこちらを見ている
「どうした?」
クソッ!、こいつ遊んでやがるな!
「ライ、報酬はそこの受付嬢に渡しておいてくれ」
「私の名前はサラです、いい加減覚えてください!」
文句を背に扉に向かう
「リン、とかいったっけなあ」
!!!!!!!!!!
「模擬戦すればいいんだな?」
「うん!」
にんまりと笑いながら頷くじじい
あー、ころしてー
ギルド内訓練場:
あんなに嫌がってた模擬戦をあっさりうけおった
まさかウィリアムにもらった情報がこんなに役に立つとは
今度酒でもおごってやろう、、
それにしても雰囲気が尋常じゃないな
「じじい、俺とお前だけだ観客は無しだ」
なんじゃ?、本気でくるということか
「よいぞ、ただ判定員にサラを立ち会わせる、いいな?」
「ああ、いい」
おいおい、無詠唱で大地の守りと風の守りまで使ってやがる
いいねえ、何でもありなんだな、好きだぞそういうの
見学しようとしていた冒険者達が追い出される
おーい、時間回復まで使ってやがる、光魔法まで持ってるのか
「えーと、じゃあ私が判定員をします、どちらかが参ったと言うか
私が戦闘続行不能と判断したら、そこで終了です」
「了解じゃ」
「ああ、いいぞ」
いつの間にか剣を握ってやがる、どこから出したんじゃ?
わしは、そうじゃなこの刃を潰した剣でいいかの
「じゃあ、始めてくださ「石礫」い」
石礫と共に突っ込んでくる、なんじゃ?、芸が無いの
礫を剣で弾き、返す刀でフジワラの剣を受ける、む?
「フッ!」
気合と共に沈んだ背から見えない刃が迫る
「風の刃か、上手いがまだまだ、スラッシュ!」
初級のスラッシュはただの斬激だが上級になると衝撃波が飛ぶ
風の刃を吹き飛ばし、そのままフジワラを衝撃波が襲う
「ああ!、スラッシュ!」
気合と共に突っ込んでくるフジワラ、防御も無しか無謀だの
スラッシュを剣で受ける
にぃ、なんじゃ、何がおかしい?
わし等を中心に風の刃がなんじゃ、この数は!
「風の刃!」
「ぐぅ!」
自爆か?、なんじゃこの戦い方は
「破ッ!」
気合と共にフジワラを吹き飛ばす、無茶苦茶じゃな
こんな戦闘をするやつだったとは、残念だ、もういいか
「スラッシュ!」
衝撃波がフジワラを襲う
「ああ!」
前進しながら剣で受ける、まだ同じ方法で来る気か
距離を取り、スラッシュを放つ
なんだ?、なんで倒れないんじゃ?
既にMPも無いはず、どうなっている?
「避けるなよ?、ああああ!」
走りながら風の刃を飛ばしてくる、む!、やられた
避けるとサラに当たる位置だ、まさかあの状況でこれを計算してたのか
しょうがない
斬!
フジワラの右手を斬り飛ばす、ここまでする気は無かったのだが
「捕まえたぜ?」
腕とか足なんか斬り飛ばされても、死なないんだぜ?
この程度で油断するなよ?、じじい!
「な!」
痛みを感じないのか?、どういう経験をしてきたんじゃ
「おおおおおお!!!」
直接、石礫が叩き込まれる、HPを削って撃ってるのか!
がっ!、馬鹿か!、死ぬぞ!
「えぃ!」
ボコン!、という鈍い音と共にフジワラが崩れ落ちる
「サラか、」
サラがフジワラを気絶させたようだ
「ギルバートさんの負けです、いいですね?」
むむむ、、、
こんな壮絶な戦い方をするとは予想できなかった
わしもまだまだだのお
「負けたわい」
ギルドランクが上がった
「もうお前とは戦わん!」
意味のわからない事をいって、どこかに行ってしまった
何をされたか覚えてないが、お前が勝ったんだろうがくそじじい
「フジワラ、ギルバートさんに勝ったのか?」
「凄いね、見てみたかったな」
「...」
なんでか俺が勝った事になっているらしい
あんな化け物に勝てるわけ無いだろうが、ちきしょうが
魔法もほとんどダメージ入っていなかったんだぞ
楠木が生きてるらしい、貴族街のギルドで冒険者をしている
へへへ、俺もランクを上げて貴族街に移籍しようかな?
取り合えず、スライムの迷宮で魔法をコンプしよう!
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名前:藤原 秀平 (フジワラ ヒデヒラ)
種族:人族 性別:男 年齢:16
レベル:5(1up)
HP:60/60(10up) MP:45/45(10up)
STR:65(10up) VIT:45(10up) DEX:45(10up)
MND:45(10up) INT:45(10up)
スキル:(特殊)言語翻訳、アイテムボックス、スキル強奪
(武技)剣術1、弓術1(new)
(技) 隠密1
(魔法)土魔法2(1up)、風魔法1(new)、光魔法1
(自動)HP回復3
装備:ボロボロの学生服
騎士の剣:STR20
金貨:170(100up)
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スライムの迷宮はもう無いんですけどね




