016:閑話:藤原君の逃走
備品管理庫:
明日の遠征に持って行く物をアイテムボックスにしまう作業中
会話が聞こえてくる
「役立たずどもの処分が決まったらしいぜ」
「へえ、どうなるんだ?」
「俺達騎士団と魔術師、あと教会で分けあうらしい」
「じゃあ、新しい玩具が俺達にも提供されるのか?」
「ああ、今の玩具だけじゃ足りないと具申しておいたぜ」
「へへへ、楽しみだな」
「お前は無茶し過ぎるから回ってきても最後だぞ」
「ちっ!、この前のはぎゃあぎゃあうるさいから黙らせただけだ」
「おいおい、結局喋らなくなっちまっただろうが」
「ちょっとやり過ぎたかもな!」
胸糞悪い会話がされている、壊した玩具というのは
消えた女子の誰かなんだろうな
「どうせなら、リンってやつで遊びたいよな」
ドクンッ!、心臓が大きく鳴る
「ああ、あのイレーヌ様のお気に入りか、小さくて綺麗だよな」
「めちゃくちゃにしたいぜ!」
「泣き喚く顔が見てみたいよな、ひひ!」
騎士っていうのは、ゴミのことなのか?
「あいつは魔術師どもが使うらしいぞ?」
「そうなのか、魔術師どもが使うんじゃ後から楽しめないな」
「ああ、おそらくいらない手足とかは切り取られるだろうしな」
「やつらの実験体を一度見たことあるぜ、ありゃ無理だ」
「だな、どうだ魔術師が持ってく前に味見してみないか?」
「お、いいな、今夜にでもやっちまうか?」
あー、ころしてー
「あの、」
騎士に声をかける
「あ?、お前まだいたのか」
「はい、目録の中で解らない物がありまして、、」
「チッ!、どれだ」
「こっちです、すみません」
俺にさっきの会話を聞かれていたことは気にもしないらしい
「ここなんですけど、同じようなものが並んでて、、」
落ち着け、、
「見せてみろ、ああ、こっちのだ」
冷静に、、
「どれですか?、1つ取ってくれませんか、、」
まだだ、、、アイテムボックスから剣を取り出す
「面倒臭えな!、これだ」
心臓を確実に、、、、刺す
「ガッ!、ゴフ」
声を出させるな、手を口に、痛てえ、クソ噛むな
しばらくすると、クソ騎士が動かなくなる
スキル強奪発動!、、、、失敗
チッ!、何も取れなかったか、アイテムボックスにしまう、後1人
「あの、すみません、、」
スキル強奪発動!、、、、剣術取得!
剣術か、まあ今の武器には丁度良いな
じゃあ、ここにあるものは全部いただいておくか
犯人は俺だとわかるだろうが、どうせ明日にはいなくなる
それまでばれなければいい、、、
楠木に危険を知らせたい、
知らせてどうなる?
一緒に逃げれば、
レベル2で剣術1しかない俺がどうやって?
楠木なら大丈夫だ、
何を根拠に?
鷹山に知らせれば、
ふざけるな!!!
ちきしょう!
力があれば!
ちきしょう、、楠木、、ごめん
探索組みが出発する、姫様も同行するらしい
メイドも同行する、こいつ等は奴隷だ、魔術師も数人同行している
「リンも来なさい」
姫様が楠木と話している、そうだ、一緒に来い
騎士が来て、楠木が城に戻っていく、あー、ちきしょー
「俺、この探索から帰ってきたら楠木にプロポーズするんだ!」
ちきしょう!
賭けの開始だ
「鷹山君、鷹山君て、きもちわりい、ホモなんじゃねえの?」
取巻きBこと、日井だけに聞こえるように呟く
こいつは鷹山関係で女に対するときだけ執拗なのだ
凄い目で睨んできたが、姫様もいる今は何もしてこない
休憩中、、
トイレと言い、隊列から少し離れる
同行の騎士達は特に気にした様子もない、逃げるとは思っていないのだ
ま、逃げるにしても徒歩と騎馬じゃ、すぐ追いつかれる
さあ、、俺1人だぞ?
ゴッ!
いきなり頭に衝撃が走る、いてえ
「藤原さ、さっきのはなに?」
待ってたよ日井君、お前のそれをくれ
「さっきのってなんだ?、ホモ君」
「あぁ!、死にてえのか?」
日井から見えない位置でアイテムボックスから剣を取り出す
「お前がね、スラッシュ!」
剣術1の武技、スラッシュだ、足を狙う
「な!」
不意の攻撃、しかもスキルによる武技だ、避けられない
当然一撃で仕留められるとは思っていない、だから足を狙った
不意に日井が認識できなくなる、けど気にしない同じ場所に攻撃する
スキル強奪発動!、、、、隠密取得!、土魔法取得!
よし!、土魔法まで取れるとは予想外の収穫だ
訓練場でのリンチのとき、こいつだけたまに見失うときがあった
大抵はそのあと背中から攻撃されてたが、注意していても見失う
報告してないが隠密をもっていると予想していたが、当たったな
最大の難関がクリア出来た、このまま消えてもいいが、どうするか
ガサッ!、振り返る
「フジワラさま、、」
ああ、あんたか、スラッシュ!
「ひっ!、あっ!」
ごめんな、あんたには助けられてばかりだったから
「やめてください、ヒール!」
スラッシュによる傷が回復していく、隠密!
「フジワラさ、ま?、あれ」
殺す気はなかったんだけどな、ごめん、、、背中から心臓を刺す
「!!!、ごふっ」
口から大量の血を吐き出し、動かなくなる
スキル強奪発動!、、、、光魔法取得!
確変中か?、運がよすぎる
こういうときは嫌なことが起こる前兆だ、調子に乗るなよ、俺
期せずして必要なものは全て手に入ったし、潮時だ
今は魔術師に勝てない、当然鷹山にもだ、騎士もいる
何をするつもりか確認したいが、俺が無事でいられる確証がない
今なら街がどちらに在るかもわかる
金は昨日の騎士と今の僧侶からあわせて金貨20枚手に入った
価値がわからないがどうにかなるだろう
もう会えないかもしれないが、楠木のそばにいたい
だから、、、
数日後、市民街冒険者ギルドに、フジワラという冒険者が登録される
--------------------------------------------------------------------
名前:藤原 秀平 (フジワラ ヒデヒラ)
種族:人族 性別:男 年齢:16
レベル:2
HP:30/30 MP:15/15
STR:35(20up) VIT:15 DEX:15 MND:15 INT:15
スキル:(特殊)言語翻訳、アイテムボックス、スキル強奪
(武技)剣術1(new)
(技) 隠密1(new)
(魔法)土魔法1(new)、光魔法1(new)
装備:ボロボロの学生服
騎士の剣:STR20(new)
金貨:20(20up)
--------------------------------------------------------------------
装備に騎士の剣追加




