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ネコと私  作者: 昼行灯
新人冒険者編
15/143

014:初めての迷宮

「リンさん、今度僕達と迷宮に行かないか?」

新人冒険者の人に誘われる、ここで新人ということは、貴族様?

お金あるんだから傷薬使えばいいのにね、PTに回復役いないのかな


「そうだな、やはり最初はゴブリンの迷宮かな」

治療を終えたベテラン冒険者の助言だ


「貴方はもう治療が終わっているのだから、出て行ったらどうですか?」

貴方の治療もおわったよ


「レベルを上げるだけなら、新人じゃなく俺みたいなやつと一緒のほうが

 安全だ、戦う必要も無いからな」

「魔物より貴方と一緒のほうが危険ですね、女性が1人でオークの迷宮に

 いくようなものだ」

「なんだと!」

「なんですか!」

喧嘩が始まった、そんなことしてないで、もっと迷宮の情報プリーズ



治療士としてお金を稼ぎながら、情報収集をしています


今わかっていることをまとめると

王都ローランは南に王城と貴族街、それを囲むように東西北に市民街

地図では下(南)は魔の山脈で行き止まり、侵攻もなければ開拓も不可能

上(北)は、市民街商業区、冒険者ギルド有り

右(東)は、スラム街、近づかないほうがいいとのこと

私が最初にいた場所は、商業区に近かったのでそれほど酷くなかったみたい

左(西)は、居住区、そして街を出ると多数の迷宮有り

さっきの話で出てた初心者用の迷宮がここにあるみたい


迷宮

 各階層にボス部屋有り、宝箱は必ずポップ、脱出用転移魔方陣も有り

 小部屋では、稀に宝箱ポップ有り

 スキルの巻物は宝箱からと魔物から直接ドロップ有り


管理迷宮:貴族街ギルドと市民街ギルドの中間に存在


西の迷宮群:初心者に人気

ゴブリンの迷宮:全部ゴブリンだが色々な職がいる

 4F構成、1:雑魚、2:戦士系、3:魔術混じる、4:僧侶も稀にポップ


オークの迷宮:豚さん戦士系の職が多い、魔術系がいないので人気

       女性には不評、苗床にされるので

 3F構成、1:雑魚(単体)、2:戦士系(PT)、3:ロードが稀にポップ


動物の迷宮:色々な動物系魔物がでる

 3F構成、1:兎、2:犬、3:熊


スライムの迷宮:魔術師系に人気、戦士は武器が溶けるので来ない

 3F構成、1:雑魚、2:属性持ち混じる、3:キングが稀にポップ


次元の迷宮:謎迷宮、入るたびに内容が変わる

  敵は基本入ったもののレベルと同じ魔物が出る

  PT単位で内容が変わるので他のPTに基本会わない

  出るには最低でも1Fのボスを倒して脱出用転移で出るしかない



(次元の迷宮しかないな!)

男性の治療のときは、ずっと私の傍から離れないクロが言う

(そこは、もう少し強くなってからだね)

(じゃあ、ゴブリン?)

(他の人多そうだから無理じゃないかな)

(じゃあじゃあ、動物?)

(動物はいろいろな攻撃方法があるから、対応が大変じゃない?)

(むぅぅん!)

(2人とも魔法使えるしスライムの迷宮だね、人少ないだろうし)

(ダメだ、直接攻撃出来ないじゃないか!)

(じゃあ、オークにする?)

(ダメに決まっているだろう!、リンのバカバカ!)てしてし



お疲れ様でした、といいギルドを後にする

「明日、スライムの迷宮行こうか」

「うむう」

と、ちょっと乗り気じゃないクロが答える

「装備どうしようかな」

「宝物の中にいいもの無かったのか?」

「うーん、剣や鎧とかだったからなー、あ、杖もあったっけ

 けど、糸使うし手に持つ装備はいらないなあ、指輪もいくつかあったな

 宿で鑑定して使えそうなの見繕うかな」

持ってきた糸も限度があるし、自分で作れたりしないかな

チタン合金の糸とか、ミスリルの糸とかいいよね!


「クロは装備とか出来るの?」

「無理だな、召喚すればわかるがリンの元に呼ばれるのは我だけだろう」

「あー、装備はその場に残っちゃうんだ」

「うむ、我はこの状態が完全体なのだ、つまり無敵!」

「すごいね?」

「うむ!、後2回変身出来るのだ!(嘘)」

「すごいね?」

「うむ!」


服屋さんに寄って探索に着ていく服を買う

さすがは貴族街、生地の選定から始まってしまったので

出来合いの服でお願いした、まあシャツとズボンだけだし

男性の子供用サイズで何とかなった、スカートを薦められたけど

命がけの魔物狩りだしさすがにお断りした

見た目重視で肌を露出しまくりの女冒険者さんもいるけど

まあ、ある意味尊敬に値する、何か譲れない信念があるのだろう

靴は確か宝物庫からの戦利品に何個かあった、それを使おう


装備の強化を進められたけど、所持金じゃ足りなかったので諦めた

強化すると+1とかつくらしい、わかりやすいね!


緋色のローブ:MP20、INT10

素早さの靴:DEX10

魔力の腕輪:MP20

力の腕輪:STR10


装備はこんな感じになりました

緋色のローブは、魔術師が着ていた変な紋章が入ったローブです

ただ宮廷魔術師の正式装備だろうから、人がいるところでは着れない

装飾品は、指輪もあったけど指の動きが阻害されるのでやめた

相変わらずHPとVITが一般人並なので慎重に行動しないとね


宿の女将マルアさんに早めに出るので、朝食をお弁当にしてもらい

緋色のローブをアイテムボックスにしまい茶色のローブを着て宿を出る

広い街なので徒歩での移動は時間が掛かる、なので馬車移動にする

冒険者ギルドから各迷宮に馬車が出ているのだ

取り合えず、ゴブリンの迷宮の馬車に乗る

「あれ?、リンさんじゃないですか」

私のことを知ってるらしい

「おはようございます」

誰だろう?、取り合えず挨拶しておく

「迷宮に行くのですか?、見たところ御一人のようですが」

「あ、違います、ちょっと街の外れに用があるので、」

馬車で直接行ったら色々問題が起きそうなので、街の外れで降りる

一応迷宮の場所はわかっているので、街の外からは徒歩だ

「急ぎの用でないなら、様子見に一緒に行きませんか?」

いやー、回復役いたら様子見どころか絶対無茶するでしょ?

「ごめんなさい、まだ迷宮は怖くて」

迫真の演技だ

(女優リンの誕生だな!)

そうだな!

「そうなんですか、残念です、

 迷宮に行くならぜひご一緒にと思ったのですが」

おそらく同じPTの人達だろう、皆うなずいている


君達全員を相手出来るようになったら、一緒に行ってみてもいいよ

今の私じゃ、いきなり後ろから羽交い絞めにされただけで抵抗できない

良い人そうだからそんなことしないと思うけど、絶対など無いからね

PTの立ち回りとかは見ておきたいし、また機会があったら誘ってね


探索頑張ってくださいね、と言い街の外れで、馬車を降りる


とことことことこ、周りの景色を楽しみながら歩く


普通に畑とかあるんだね、たまに会う農夫の人と話をしたりして

各迷宮の詳しい位置を補足していく


平和だなあ、肩でクロがあくびをしている



スライムの迷宮:

「ついた!」

他の迷宮への道は馬車の轍が深かったけれど、ここはほとんど無い

人気が無いんだね丁度いいけど、緋色のローブに着替える

「クロ君、初迷宮です!」

「Zzz」

「……静かだと思ったら、寝てたのね君」

そっと、草むらにクロを置く

「安らかに眠れ、、、」

さて、いくか!



中は石造りの洞窟だ、床や壁がほんのりと光っていて見通しは悪くない

「光よ、」

光魔法の明かりを発動しておく、念の為だ

しばらく進むと、前方から何かが来る、這ってくるみたいだけど音がしない

鑑定しておくかな


名前:スライム

HP:10/10 MP:0/0

STR:1 VIT:1 DEX:1 MND:1 INT:1

スキル:物理耐性


うーん、弱いよね?

半透明な水色の体の中心に赤く光る魔石かな?、が見える

梅干が入った崩れかけのゼリーみたいな感じかな

移動時に音がしないというのが少し怖いな、囲まれるまで気づかないとか

そんなところを注意すべきかな


考えているうちに、スライムが近くまで来たので攻撃をしてみる

「では、」

水の刃を発動!、ザシュ!

切断の音と共に崩れかけだったゼリーが完全に崩れる

後には、水溜りっぽいものと魔石が1つ

「まあ、こんなものかな」

魔石をアイテムボックスにしまう


前方を見ると、次々とスライムさんがこちらに這ってくる

壁や天井は這ってこないのか、楽だなあ

冒険者が来なかったため増え続けたのか、数だけは多い

さっきは標準の水の刃でMP10減ったので、消費MPを1で撃ってみる

ザシュ、バシュ!、軌道上にいたスライムが死んでいく

今のINT110だし、多分110-1=109がダメージなんだろうな


念のため糸での攻撃も確認しておこう

糸を繰り体に巻きつける、と同時に糸が溶ける、うーん

体自体が酸みたいなものなのかな、糸での斬撃に変えてみる

ピゥン、と空気が鳴りスライムの体が一瞬波うち崩れる

「いけた、けど糸がダメになった、無念」

これもダメージ計算あるのかな、STR15+DEX15=30とか?

物理だと軽減はVITかな、あれ、スキルの物理耐性ってどんなのかな


物理耐性:物理攻撃軽減50%


むむむ、30/2-VIT1=14で倒すのに結構ぎりぎりのダメージなのか

けど糸に魔力込められるんだよね、そうすると

STR15+DEX15+INT110=140、とかかなあ


けどまあ、戦士系の人が来ないのも理解できるね

1回の攻撃で武器がダメになるんじゃ、採算が合わない

知りたいこともわかったし、後は水魔法でいいか


と、思った瞬間、リンに戦慄が走る!


!!!!


「りぃぃぃぃんんんん!」

な、なんだ!、震えが止まらない!


しかも後ろを取られただ、と


ととととと、という足音とむきゃぁぁという叫び声が近づいてくる


クッ!、振り返る時間が無い、横へ飛ぶんだ!


バフンッ!、遅かった背中に取り付かれてしまった!

「ずるいぞ!、リンのばかばかばかばか!」

てしてしてしてし、くぅ、激しい攻撃にさらされる


まだだ、まだ、いける!

「ごめんね、クロの寝顔が可愛くて起せなかったんだよ」

「むぅぅ!」

「お詫びに肉串あげるからね」

「むむむ!」

「ほら、残りのスライムもクロが倒していいよ?」

「しょ、しょうがないにゃ」

にゃ?、なにそれネコ語?



その後は、ネコ無双をただただ眺めているだけでした

クロ、消費MPもっとセーブしないとダメだよ?

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名前:楠木(クスノキ) (リン) 種族:人族 性別:女 年齢:16

レベル:1

HP:20/20 MP:140/140(40up)

STR:15(10up) VIT:5 DEX:15(10up) MND:5 INT:110(10up)

スキル:(特殊)言語翻訳、アイテムボックス、鑑定

    (魔法)召喚魔法(式神)、水魔法1、光魔法1


装備:普通の服

   緋色のローブ:MP20、INT10

   素早さの靴:DEX10

   魔力の腕輪:MP20

   力の腕輪:STR10


金貨:130(30up)


使い魔:クロ

スキル:火魔法1、風魔法1

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