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ネコと私  作者: 昼行灯
闇の一族編
135/143

134:魔闘技

音のない世界。

(これがテレスの見ている世界か...)


全てが止まって見える。

その中で神速のスームがのろのろと動いているのが見える

(神速などといっても所詮はこの程度か)


しかし、呼吸が出来ないのだな。

潜水みたいなものか、いつまでもいられるというわけではない。


スームの短剣に乗り、トトトと歩き顔を踏み台にしトンッと飛び、鉄壁のサームの肩に着地したところで世界に音が戻ってくる。


「ベプッ!」

と、鈍足のスームが変な声を上げ地面に転がるのか見える。

踏み台にしたのが悪かったのか、鈍足よ、ちゃあんと殺してやるからそんなことで死ぬなよ?


鉄壁のサームのヘルムに右足をぷにっと当てる。

「消えた? むっ、うお! なっ、なぜオレの肩にいるんだ!」

「鉄壁とかいったな、我の技を受けきってみせろよ?」

まだその(ことわり)が解っていない魔闘技、今回はスキルとして発動しよう。


極炎掌(ごくえんしょう)!」


浸透勁(しんとうけい)

テレスの使った鎧通しと同じ発勁の技、魔力を混ぜることで相手の体内で爆発する力に属性を付加する事ができる。

もちろん極炎掌などという技名は存在しないし、初っ端から炎の魔力を混めるなど規格外だ!


ズンッ!

乗っていた鎧の肩の部分がベコンッと音を立てへこみヘルムに肉球の型が残る。


ボッ!!!

鉄壁のサームの全身から、特に鎧の隙間から炎が吹き上がる。

「ふむ、悪くないな」

地面に転がる鈍足の隣で呟く。

「なぁぁ、にをしたんだ!?」

いきなり現れた我に驚いている。何が起きたか理解できていないらしい。

「言っただろ? 少し本気を出すって」

鈍足の顔を覗き込み答えてやる。

「ひぃ! 化け物!!!」


「おぃ、まだ怯えるところではないだろう?」

飛び起き距離を取るために移動したのであろう鈍足の頭の上で呟く。

「あえ?」

「あえ、じゃない、もっと冷静になれ」


何かスキルを発動したらしく、少し速い移動をする鈍足。

向かう先は、カーサが中に居る鉄の箱。縮地を発動する。

「いい判断なのだ」

鉄の箱の上で欠伸(あくび)をしながら到着した鈍足に答えてやる。

「なぁぁんでぇぇ、瞬間移動ぅぅぅ?」

「さっきまでの冷静な判断はどうした? まさか速さで負けただけでその体たらくなのか?」

「…………」


斬!

いきなり逃げようとしたので片足を切断する。


ズザザァァァァ!

派手に転がる片足のスーム。

「た、たすけて!」

命乞いか。


「雑魚が死ぬ覚悟もないのに人を殺しに来るな!」

一応確認しておくか。

(リン、こっちに来た雑魚の一族は皆殺しでいいのか?)

(ん? いいよー)

いいらしい。

「死ね」

斬!

炎の爪で雑魚のスームに止めを刺す。追加効果の炎で死体も残らん。

エコロジーな技なのだ!


(勝ったの?)

リンが聞いてくる。

(当然なのだ!)

魔闘技についてはまだ秘密なのだ! サプライズなのだ!



他の死体も、跡形もなく燃やし鉄の箱を解除する。

「クロちゃん!」

「カーサ、店内に戻るぞ!」

「え、うん」

(リン、こっちは終ったのだ。我を召喚するのだ!)

(んー、ダメ。クロはカーサについててね?)

(ぬぅ! そっちは安全なのか?)

(んーと、今おじいちゃんと不死の人が戦ってる最中かなぁ)

(なんでギルバートがいるんだ! 我を喚ぶのだ!)

魔人など危険ではないか! リンのばかばか!

(えー、大丈夫だよ遠くから見てるだけだし)

(いいから喚ぶのだ!)

(ダメだよ、カーサ敵の罠に掛かったんでしょ?)

(もう魔道具屋の中に戻ったので問題ないのだ!)

(じゃあ、藤原君もお願い)

(小僧などどうなってもいいのだ!)

(そんなこと言わないでさ、こっちは危なそうなら転移で戻るから)


「絶対だからな!」

「ひゃ! なになに?」

「うるさい! バカーサめ!」

てしてしてしてし!

「え、いた、いたい、やめてやめて!」

お仕置きされて嬉しそうなカーサ。



さっき、我が助けに入る寸前、自害しようとしていただろう?



まったく、

「お茶にするのだ。ミルクとケーキを持ってくるのだ!」

「うん、ケーキはないからクッキーでいい?」

「うむ!」


ん?

何か忘れている気がするが...

「クロちゃん、ホットミルクにして蜂蜜入れる?」

「おぉぉ、(ぬる)めにして蜂蜜たっぷりで頼むのだ!」

「は~い!」

まあいいか。




そうだ! 思い出したのだ!

魔闘技の技についてテレスと色々話したいと思ってたのだ。


我は得意な炎の魔力を技に混ぜ込んでみたが、テレスはなにを付加しているのかとか。

テレスが魔法を使ったところを見たことないから、おそらく生命力、気というやつを使っているのだと思うが、もしかしたら気だと物理的な威力が魔力よりも高いのかとか。


いや、いやいやいや。

テレスはああ見えて抜けているところがある。

気にした事なかったわ、とか言いそうだ。気だけに!

「ぷぷぷぷぷ!」

「どうしたのクロちゃん?」

「べ、別になんでもないのだぁぁぁぁ!」


ぺろぺろぺろ、甘ウマなのだ!


「テレスとフジワラは大丈夫かな?」

ぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろ

「うまうまー! カーサ、クッキーいれていれて!」

「うん、一口サイズに割ったほうがいい?」

「おぉぅ、大きめにわってわって!」

「は~い!」

ミルクに夢中のクロの耳には先ほどの言葉は届かなかったようだ。






貴族街ギルド:

いつもと少し雰囲気が違う。

「?」


ああ、人の出入りが無いのね。

「ぬ、クソギルド長の馬車が無い」

逃げたな!


ギルドの扉をくぐる。


ん?

「テレスさん、入ってきたら駄目だ!」

「逃げてくれ!」

「…………なんですかこれは?」

ギルド内を二分して、いや男女で分かれて戦闘をしているのか?


「テレスが加わったら勝ち目が無いぞ!」

「駄目だ、撤退の準備を!」


ん?

ああ、そういうことか。

女の集団から男が一人歩み出てくる。

「やあ、はじめまして」


魔眼のラザムというやつか。


ラザムの魔眼が怪しく光る.........

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使い魔:クロ

スキル:(特殊)念動力

    (武技)魔闘技(new)

    (技) 隠密5

    (魔法)炎魔法4、水魔法4、雷魔法1、鉄魔法4

        光魔法5、闇魔法5

    (自動)HP回復、MP回復、クリティカル、魔法耐性

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