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ネコと私  作者: 昼行灯
闇の一族編
130/143

129:双剣のシーム02

双剣のシームの必殺技:剣撃乱舞!


凄まじい回転から繰り出される真空の刃がフジワラに襲い掛かる。


童子切(どうじきり)から意識を戻し、静かに、襲い来る見えない刃を感じ取る。


切っ先を水平に倒し少し引き、刀術のスキルを発動する。

飛燕(ひえん)!」

ヒュンと振られた刀から放たれた剣気が(つばめ)のように飛来し見えない刃を打ち消す。


「ヌゥ、なんだそれは!」

「言ったろ剣術を無くしたって、刀術に進化したんだよ」

「な、なんだと! そんなことがあるの、か?」

「実際今、目の前で刀術のスキル使っただろ?」

「ば、馬鹿なぁぁぁぁ!」

ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン!

連続で襲い掛かる真空の斬撃。


気配察知でその見えない刃を認識する。六か...

飛燕六閃(ひえんろくせん)!」

六匹の燕が全ての斬撃を打ち消す!



「やるな! だが!」

遠距離からの攻撃をやめ直接攻撃に切り替える双剣のシーム!



童子切を鞘に収め、深く腰を落とす。


居合いの構えだ!


「諦めたか! 死ねい!」

回転するシームから数え切れない剣撃が放たれる!!!


キンッ!

いつ抜いたのか、刀と曲刀のぶつかり合う音だけが木霊(こだま)する。

疾風(しっぷう)!」

神速の居合い斬りだ!


「速いだけではオレの連続攻撃は防げない!!!」

そう、遠距離攻撃とはわけが違う近距離から無尽蔵に放たれる曲刀による剣撃だ!


秘策があるのか?

その体勢は疾風の構えのままだ。


だが見よ! 不敵にそして獰猛に笑うフジワラの顔を!


次の瞬間フジワラの刀を持つ右手が(かす)む!

「......乱舞(らんぶ)!」

神速の居合い疾風の乱舞攻撃、疾風乱舞(しっぷうらんぶ)だ!!!



キンッ!

虚空に何かきらめくものが舞う。


斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬!

キラキラと宙を舞うシャムシールの欠片達の中、無慈悲に切刻まれていく双剣のシーム。


いつの間にか回転は止まっている。


しかし、一向に地に落ちる気配の無い双剣使い。


なにが彼を宙に繋ぎとめているのか?

斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬!

斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬!

斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬!


まさに乱舞!

既に人としての形を留めて居ないそれが宙を舞っている。



スキル強奪発動!、、、、対象スキル無し!


双剣のシーム、死亡。





「ふぅ!」

血に酔うという言葉がある。


今の彼がそうなのだろうか?

地に膝をつき呼吸を整えているフジワラ。


普段の彼なら気付いたはずだ。


背後にふわりと現れた女。

その美貌は、人間離れした妖艶さを醸し出し。

彼女の周りの空気はねっとりと纏わりつくような密度と粘度を帯びている。

「坊や凄いわね」

耳元で囁く。


突然背後に気配を感じた!

「なっ!」


「んだ、くす、の、きかぁ」

楠木がすぐ近くでこちらを覗き込んでいる。


耳にかかる吐息が気持ちいい。

「ふうん、君の想い人は、くすのきっていうのね」

「あ、あ、なに、いって、いるんだ? くすのき?」

「フフフ、なんでもないわ。あなたのお名前教えてくれるかしら?」

「フジ、ワ、ラ」

「双剣のシームを倒すなんて凄いわね」

「あ、あ、よゆ、うだ、ぜ」


「フフフ、いいわあ貴方。強さとスキルと装備について聞かせてくれるかしら?」

「あ、あ、いい、ぜ」



双剣のシームだったものの前で楽しそうに会話する二人。


周りにはいつの間にか数十人の男たちが集まっている。


何をするでもなく、欲情した目でただ女を見つめる男達。


その焦点の合っていない目は、女の目の前で嬉しそうに話しているフジワラと似ている。




女の名は、リリム。


魅惑のリリムと呼ばれる魔女だ。

禁断のキメラ。サキュバスと人間のハーフ。


淫夢、それは想い人の夢を見せ精を摂るサキュバスが使うスキル。

彼女は現実でそれを可能にする、彼女の放つ淫の気とその魅惑の瞳によって彼女の姿は想い人へと変わり全ての男を魅了する。



話を聞いていたリリムが驚きの声を上げる。

「スキル強奪!」

「あ、あ」

「アハ、ハハハ! 召喚魔法が使えるという勇者どころの話じゃないわね!」

とんだ拾い物をしたわ!


周りを取り囲む、欲情した目で見つめる男達を見る。

「フフ、貴方達はもう要らないわね...」

皆、名のある冒険者や貴族だが、もう必要ない。


この坊や、フジワラ一人いれば十分だ。

最強の下僕が手に入った。いっそのこと全員フジワラのスキル強奪の餌にしてしまうか?


ちらちらとこちらを見つめるフジワラ、初々しい反応ね。

「フフフ、フジワラは女を抱いた事あるの?」

「な、なに、いってるんだ、よ!」

顔を赤らめる。可愛い反応ね。

「ワタシを抱きたい?」

「な、に、い、て、るん、だくす、の...き」

いいわ! 興奮する!


不死がもうすぐ街に来てしまうから先に依頼を、リンという冒険者を片付けなくてはいけない。


けど!


終ったら、そのクスノキという娘を貴方に殺させて、その死体の前で貴方に抱かれてあげるわ!


果てる時に一瞬魅惑を解いて上げるわ!

最高の、二度と忘れられない初体験をプレゼントしてあげるわ!


フフフ、興奮するわ! 楽しみねフジワラ!

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