012:冒険者ギルド
冒険者ギルド:ギルド長ウィリアム
ウィリアムは元貴族だ、長男でなく兄も優秀だったため家督は継げないと
貴族としての人生に早々に見切りをつけ家名を捨て冒険者になった
幸い戦闘の才能に恵まれていたらしく、高ランクの冒険者になり
元貴族という経歴も買われこの貴族街の冒険者ギルドにスカウトされた
我が儘な貴族の扱いもうまく、礼儀作法も心得ていることから
当時ギルド長であったギルバートに無理やりに、その座を押し付けられた
「市民街のギルドが腐りきってるから、大掃除しに行くだからここはお前に任せる」
そういったギルバートは実際大掃除を完了させた、そしてそのままそこに居座る
「こっちのほうが、暴れられて楽だから戻らん」
いい迷惑だ、以来貴族の関わる案件は全てまる投げしてくる
今度あったら、殴ってやる!
涼しい顔をしながら、不穏な考えをめぐらせていたところ
茶色いローブの子供がギルドの扉をくぐってくるのが見えた
貴族の子弟のお忍びかな?
冒険者ギルド:受付嬢テレス
貴族街の冒険者ギルドの受付は神経を使う
貴族相手に下手をうって機嫌を損なうと、面倒なことになるからだ
今のギルド長のウィリアムさんと前ギルド長ギルバートさんのおかげで大分ましになった
それ以前は、不興をかい、その場で切り殺されたという話も聞くし
この街にいられなくなるという話も聞いた、奴隷にされ貴族の慰み者になった人もいたという
それでも受付のなり手が減らないのは、貴族の子息に見初められて結婚したという
まるで夢物語のようなことが何年かおきに実現するからだ
逆に有望な冒険者を抱え込もうと、自分の娘を冒険者ギルドの受付に入れてくる貴族もいる
「あのー、」
先ほど入ってきた茶色いローブの子供が声をかけてくる、あら?、女の子なのね
「はい、どういったご用件でしょうか?」
顔が見えないままでは失礼と思ったのか、女の子がフードを外す
手入れの行き届いた黒髪、そして吸い込まれそうな黒目、肌も綺麗、貴族のご令嬢ね
あら、綺麗な黒髪からエメラルドグリーンの瞳が覗いている、なにかしら?
するり、と、黒い小さな生き物が彼女の肩に移動する、彼女に負けない漆黒の毛並み
小さなお口に長めの尻尾、肩にちょこんと座るその生き物
「か、か、かか」
「か?」
「可愛い!!!」
女の子と小さな生き物がビクッ!っと跳ねる
「あ、ごほん、すみません」
取り乱してしまった、いけないいけない、ウィリアムさんがこっちを見ている、ひゃー!
「えと、冒険者になりたいんですけど」
ん?、冒険者になりたいって聞こえたけど
「あの、もう一度お願いします」
女の子が、心配そうな顔になりながら
「冒険者になりたいんです、けど、ダメですか?」
んんん?、冒険者になりたいって聞こえる、なんで?
「えーと、もう一度お願いします?」
「すいません、職員が失礼しました、冒険者登録をご希望ですか?」
後ろから声が掛かる、うわ、紳士だ、だんでぃな紳士だ!
「あ、ウィリアムさん、すみません!」
受付嬢が謝っている
「申し遅れました、ギルド長のウィリアムと申します」
華麗に礼をする、あれ、貴族なのかな?、ところでギルド長って偉いの?
「あ、ご丁寧にどうもです、私は、、リンといいます、これはペットのクロです」
(むむむ?)
(面倒だから召喚魔法は隠すよ)
(うむむ)
「失礼ですが、紹介状はお持ちでしょうか?」
な、なんだってぇぇぇ!、そんなの必要なの?、聞いてないよぉ
(いきなりピンチだな!、殺るか?)
(殺らん!、作戦変更だ相棒、泣き落としだ!)
「えっと、ないです」
泣きそうな顔で返事をする
(ほら、クロも可愛さアピールするんだ!)
「にゃ~ん?」
「はぅ!」
受付嬢が倒れる、ちょろいな!
「そうですか、そうしますと実力試験を行うことになりますが」
な、なにぃ!、効いてない、だ、、と!
(クロ、もっとだ、もっと破壊力のある攻撃を!)
「あ、あの!、戦闘するってことですか?」
涙をうかべながら聞く
「にゃぅ~ん?」
「ぐはっ!」
受付嬢が吐血し倒れる、いいぞ、これならどうだ!
「そうですね、取り合えず魔力登録を行いましょうか、こちらへ」
だめだ、効かない、あのおじさまは鋼の心を持っているのか!
華麗に背を向けてこちらへ、と奥の部屋に案内をしている
ふぅ、あぶないあぶない、テレスが気を引いてくれたおかげで持ち直せた
しかしなんという破壊力だ、既にあれは物理攻撃に等しい!
しかもダブルアタックなど高等なテクニックまで使用するとは、侮れん!
背を向けたことで気づかれなかった鼻血をハンカチで拭くウィリアム
「まず、こちらに名前とスキルを記入してください」
紙とペンを渡される、う、この世界の文字私かけるのかな?
「あの」
「全て正直に書く必要はありません、明かしてもいい部分のみ記入してください」
うん、まあいいや、書いてみればわかるか
名前:リン 種族:人族 性別:女
レベル:1
スキル:(魔法)水魔法1、光魔法1
こんなとこかな、魔法ないとただの人だもんね、しょうがない
「はい、これでいいですか?」
......これは、
「光魔法が使えるんですね、すばらしい、確認だけさせてください」
と言い残し、部屋を出て行くギルド長さん
しばらくしてギルド長さん、さっきの受付嬢を伴って戻ってくる、彼女大丈夫なの?
「彼女は当ギルドの受付をしている、テレスといいます」
そういえば、名前知らなかった
「ペペツでふ、よぼしく」
鼻血出てるよ、ねえ、大丈夫なの?
「申し訳ないが、彼女に回復をかけていただけますか?」
ああ、そういうことか
「はい、では、ヒール!」
光が彼女を包む
「!、なおった、あれ、こぶも消えちゃった」
テレスさんが驚きながら頭をさすっている
...ふむ
「では、テレスは受付業務へ戻ってください」
「あ、はい」
クロをちらちら見ながら、部屋を出て行くテレスさん
「では、魔力登録をしてギルドカードを作成しましょう」
ん?
「あの、試験というのは?」
「はい、今のが試験となります、合格です」
にっこり笑いながら、答えてくる、まぶしい!
「戦闘とかしないんですか?」
クロが戦いますよ?
「光魔法をお持ちですので、戦闘に出る必要自体がありません
実際ギルド内の診療所で回復を行ってもらうという依頼もありますし
迷宮探索にいくにしても回復要員としてPTから誘いがたくさん来ると思います」
そうなんだ、けどPTとか組むつもり無いけどね
ギルドカードをつく手いる間にギルドの説明を受ける
ギルドランク
SSS、SS、S:化け物
A:人間じゃないかも?
B:人間離れしてる人
C:ベテラン冒険者、ほとんどの人はここで終わる
D:ちょっと凄い冒険者:管理迷宮に入ることが出来る
E:普通の冒険者
F:初めはここから
ステータス基準
ランク:レベル:ステータス:HP
A: 50: 150: HP300
B: 40: 100: HP200
C: 30: 060: HP120
D: 20: 045: HP090
E: 10: 030: HP060
F: 05: 015: HP030
見辛いかな?、ランクとか強さはだいたいこんな感じだって
この前倒した魔術師はレベル40でランクB位だね
私はランクFにも満たないステータスだけどINTだけはランクB並なんだね
そして依頼のメイン部分はやはり魔物討伐みたい
王都だけあって基本周りに魔物は出ないらしく、新米冒険者でも入れる迷宮での狩りだって
ランクDになるとギルドが管理している管理迷宮というところに入れるようになる
それなりに強い魔物といいアイテムがドロップするんだってさ
藤原君や鷹山君が潜ってるのはここなのかな?
でも管理迷宮って近くにあるって言うし遠征する必要ないよね
戦闘が苦手な人用に薬草採取やさっき言ってた診療所の回復役とかもあるらしい
街の南にある山脈、というか森には近づかないようにといわれた
高レベルの魔物が出るらしい、森に入らなければ問題ないので注意することと厳命された
レベルを上げるためにPTに入りたいときはテレスさんに声をかければ斡旋してくれると
でも受付は他にもあったけどなんでテレスさんなんだろうね?
ギルドカードは貴族街と市民街で違うらしくて、貴族街のカードを持っていれば
どこでもフリーパスで移動できるらしい、市民街のは貴族街に入ることが出来ないみたい
ラッキーだったね
取り合えず今日はもう夕方になってしまったので、お勧めの宿を教えてもらって
ギルドを後にする、失礼しますというと、またねと言ってくれた
「いい人達だったね!」
「ふふふ、リン、そう思わせといて実は、というのが世の常だ、極悪非道だ!」
そうだね、極悪非道だね!
ふふふ、私の綿密な作戦によってリンちゃんの担当になれた、ふふふ
これでクロちゃんを独り占めだ!、ぐふふふ
誰にも渡さん!、邪魔するものはデストロイだ!
まさか女勇者が登録に来るとは、しかもあれは話に出ていた召喚魔法持ちだろう
いったいどうやって逃げてきたのか、あの魔術師は高レベルの術者だったはずだ
逃げ切れるものではないと思うのだが、、、少し探りを入れたほうがいいか
ともあれ、あの胸糞悪いやつらから無事に逃げてきたのならば、守ってやらねばな
ギルバートを殴りに行くついでにやつにも相談をしておくか
「すいませーん、ギルドから紹介されてきたんですけど」
茶色いローブの少女が受付で声をかける
「はいよ、新しいお得意さんかね、わたしゃここの女将のマルアだよ、よろしくね」
恰幅のいいおばさんが笑いながら声をかけてくる
「リンといいます、こっちのちっこいのがクロです、よろしくお願いします」
「んま!、2人とも可愛いね、リンちゃんにクロちゃんだね、よろしくね」
流石に貴族街、一日金貨1枚となかなかのお値段だけどいい感じの宿だ
「安心して寝られるって、いいねクロ」
藁じゃないベッドで横になりながらクロとじゃれ合う
「うむ、我はあの藁のベッドも風情があってよかったのだがな」
そうだね、ちょっと懐かしかったね
なんか色々ありすぎて目が回っちゃったね、明日はゆっくり起きよう
じゃあ、おやすみ
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名前:楠木 凛 種族:人族 性別:女 年齢:16
レベル:1
HP:20/20 MP:100/100
STR:5 VIT:5 DEX:5 MND:5 INT:100
スキル:(特殊)言語翻訳、アイテムボックス、鑑定
(魔法)召喚魔法(式神)、水魔法1、光魔法1
装備:学生服
茶色のローブ
金貨:70
使い魔:クロ
スキル:火魔法1、風魔法1
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ギャグ要素入りまーす




