124:死の行軍02
前方、遥か先に死の軍が行軍している。
騎馬の後ろに乗る男、鑑定持ちの冒険者に質問する。
「この位置から鑑定できるか?」
「駄目だ遠すぎる。もう少し近づけないか?」
行けるか?
数瞬迷う、「おい!」冒険者の叫びに空を見る。
宙を舞う赤い骨が何かを投擲するのが見えたドンッ!!
骨の槍だ。
硬いといっても骨だ、鋼を貫けるはずが無い。
無いのだ、騎馬上にいる鎧を着た騎士とその後ろの冒険者を共に貫く事など...
前線が騒がしくなる。
「司祭を早く!」
騒ぎの中心に馬を向ける。
「報告しろ!」
「ラムダ様、鑑定に出た斥候が竜騎士にやられました」
「死体の回収に向かっているところです」
「駄目だ、司祭が来るまで死体はそのままにしろ」
「なぜです!」
「アンデッドになる可能性がある。魔術隊、火魔法の準備を! 動き出すようなら燃やせ!」
アンデッド化しても生前と同じスキルを使用してくるのか、たしかアンデッド化した冒険者には炎魔法使いもいたはずだ、不味いな。
「前線に魔法防御と対空防御の指示を出せ!」
「司祭は死体がアンデッド化しないならば蘇生を行え!」
「ここでは蘇生率が...」
「かまわん、情報が優先だ!」
未知過ぎる。
殿下には後方で指揮をしていただくよう進言せねば。
「ぎみがじきがん?」
「ヌゥゥゥゥ!」
とっさに馬上を飛び退く! 宙でシールドバッシュを発動し突き出された骨のナイフ弾く。
影渡り。
投擲された槍の影と共に移動してきた、ダークストーカーの移動スキルだ!!!
馬上を見上げる。
腐臭を放つものがそこにいる。
元は忍か暗殺者だったのだろう、アンデッドなのに口が聞けるのか。
「ターンアンデッドを!」
命令を出しつつ斬りかかる。
これがSランクといわれる冒険者の実力か!
侮ってなどいなかった、先日ある冒険者に己の慢心を叩きのめされたばかりなのだ。
予想外。
まさにその一言、このような奇襲が存在するのかと言わしめるだけのまさに奇襲!
しかし、これは退路の確保など初めから考えていない、死を恐れないものの所業。
「ライト!」
「ターンアンデッド!」
「ターンアンデッド!」
「ヒール!」
「ターンアンデッド!」
「ヒール!」
「ライト!」
四方八方から光魔法が放たれる。
「ブブ、じっばいじじゃった」
嬉しそうに灰と化すアンデッド、消滅が嬉しいのか! クソが!
アンデッド、アンデッド、アンデッドか、ちきしょう性質が悪い。
後方指令所:
前線よりの報告がなされる。
「前線で動きがあったらしい、竜騎士の攻撃により二名死亡、それに紛れて暗殺者が奇襲、これは失敗し灰になった」
「死体は?」
「その場で蘇生を行い二名とも成功したようです」
「死体の扱いが問題ですね」
「いつ動き出すかわからない恐怖か...」
「近接戦になった時点で負けですね」
「大規模魔法は?」
「扱えるものが居ない」
「ガレムさえ殺せればいいのだが...」
「なあ勝てる戦術が無い気がするんだが俺等抜けていいか?」
「国からの依頼を反故にしたと世界に広めますよ?」
「ウィリアムは、やる事がえげつねーよな。大体ガレムがあそこに居ない可能性もあるんだろ?」
「本人が居ないと眷族は長く持たないとの報告がある。死者の軍団がある以上あそこに本人がいるのは確実だろう」
「王都に逃げても状況が悪化するだけですしね」
「やるしかねーのか」
「………」
管理迷宮40Fボス部屋:
大名が現れた!
旗本が現れた!
旗本が現れた!
上忍が現れた!
舞姫が現れた!
グレーターデーモンが現れた!
「え、あれ? レアボス?」
「燃えるぜ!」
グレーターデーモンを放置して仲間を呼ばせたいけど、ちょっときついかな?
「テレスさんはダイミョウ、藤原君はハタモト、クロはマイヒメの後ジョウニン、カーサはこっち!」
「フッ!」
呼気と共に消えるテレスさん。
「空蝉、炎よ......行くぜ」
ヴンという音の後に、剣に炎を纏い魔物へと突っ込んでいく藤原君。
「殺ってやるぜ!」
ドンッ! という音と共に舞姫に一直線で突っ込んでいくクロ君。
「アローレイン、どうするのリン?」
グレーターデーモンに矢の雨を撃ちこちらへ来るカーサ。
「ちょっとグレーターデーモンの魔法を封じてみよう」
「え? そんなこと出来るの?」
「カーサ、ステータスいつもより上昇してるでしょスキルの上達にもなるしやってみよう」
「う、うん」
キンッ!
テレスさん、大名の攻撃を籠手で弾いている。
少し遊んでる感じがするのは、おそらくあの籠手のせいだ。
白虎の籠手:STR10、VIT20、DEX30、MND20、INT10
ちょっとどころじゃなく凄い装備だ、全てのステータスが上がるとか。
白虎って四神の神獣だったっけ、いわゆる神獣装備とかいうやつなのかな?
ギンッ!
振り下ろされる刀より速く横薙ぎの手刀が刀の腹を叩き折る。
ゴッ!!!
その手刀を拳に変えそのまま裏拳を大名の横っ面に叩きつけ吹き飛ばす。
吹き飛ぶ大名を目で追い浅く腰を落としたと思ったら消える。
縮地だ!
飛んでいく大名の正面に姿を現す、その姿は正拳突きの構えだ。
藤原君は、頑張っている。
頑張れ!
「ぬぅぅ、ちょわー、あちょー!」
クロは、何か変な叫びを上げながら戦っているけどまあいいか、何か考えがあるのだろう。
ボンッ、ボンッ、ボンッ!
上忍の空蝉を唱えるそばから糸の攻撃で剥がしていく、誰も見ていないしこのまま殺ってしまおうかな?
(リン、それは我の獲物なのだ!)
(じゃあ、遊んでないで早くこっち来なよ?)
(修行中なのだ!)
(なにさそれ?)
「カーサ、静寂の矢とかそんなスキル無いの?」
「あるけどなんで?」
「グレーターデーモン魔法耐性高そうだから物理スキルからの追加効果のほうが効くんじゃないかなってさ、あれ? もしかして上忍の忍術も静寂で封じられるのかな?」
確認しておく価値はありそうだね。
忍術に静寂は効かなかった、かわりにグレーターデーモンの魔法を封じる事が出来、魔法を封じられたグレーターデーモンを計五匹おかわりすることが出来た。
宝箱:罠:転移
「転移だね、さすがに私が開けるよ?」
「よろしくお願いします先生!」
「?剣」 「?巻物」 「?ぶき」 「?鎧」
いっぱい出た!
鑑定!
「正宗」 「火魔法の巻物」 「手裏剣」 「忍びの衣」
「マサムネ!」
「マサムネ!」
藤原君とクロが嬉しそうに顔を見合わせる。
「はい!はい! 正宗欲しいっす!」
「我も!我も! 欲しいのだ!」
「クロは装備出来ないでしょ?」
「にゅぅぅぅ!」
フジワラは正宗を手に入れた!
「正宗ゲットだぜ!」
「おめでと!」
「おぅ、さんきゅ!」
「これ、手裏剣と忍びの衣はセット効果発動しそうだよね?」
「そうね」
「けど、忍刀とかもありそうだよね」
「あー、ありそう」
「テレスさん装備する?」
「忍びの衣は装備してもいいけど、手裏剣は無理ね」
「あ、そういえばその籠手凄そうですね!」
聞いたとたんぱっと嬉しそうに顔を綻ばせ話し始める。
「バカギルド長が手に入れてきたんです。相当な価値があると思うのですが、色々迷惑をかけたからお詫びも込めてとかぬかしてました」
ほんとに嬉しそうだ、やはりラブラブなのだろうか!?
「白虎の籠手?」
カーサが鑑定結果を口にする。
「ま、まさか空装備か!」
「ネコよ、あれは佩楯のはずだ」
「ぬ、フジワラ、我が言語を理解するとはやるな!」
「絆だ!」
「ブレイカー!」
「ぬぉぉぉぉ!」
何を言っているか解らないけど二人ともなんだか嬉しそうだ、そっとしておこう。
テレスは忍びの衣を手に入れた!
カーサのレベルが上がった!
フジワラのレベルが上がった!
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名前:カーサ 種族:ハイ・エルフ 性別:女 年齢:116
レベル:32(1up)
HP:90/90(10up) MP:270/270(10up)
STR:25(5up) VIT:40(5up) DEX:170(10up)
MND:40(5up) INT:220(10up)
スキル:(特殊)鑑定
(武技)弓術4
(魔法)火魔法2、水魔法3、風魔法4、鉄魔法1、光魔法1
(生産)錬金5
装備:偽りの宝石+3、魔法の鞄+5
エルフの弓:MP20、DEX20、INT10
深緑のローブ:DEX10、INT10
エルフの衣:DEX20
エルフの靴:DEX10
巨人の腕輪:VIT20
大地の腕輪:HP20
セット効果エルフ:HP30、MP30、DEX30、INT30
名前:藤原 秀平
種族:人族 性別:男 年齢:16
レベル:19(1up)
HP:300/300(10up) MP:235/235(10up)
STR:245(10up) VIT:275(10up) DEX:195(20up)
MND:185(10up) INT:195(10up)
スキル:(特殊)言語翻訳、アイテムボックス、スキル強奪
(武技)剣術5、槍術3、格闘術4、弓術5
(技) 隠密5、罠解除5
(魔法)炎魔法1、氷魔法1、風魔法5、鉄魔法1
光魔法4、闇魔法4、忍術2(1up)
(自動)気配察知3、HP回復5、統率3
装備:大地の剣:HP20、STR10、VIT20
正宗(new):STR20、DEX10
大地の鎧:HP30、VIT30
緋色のローブ:MP20、INT10
大地の籠手:HP20、VIT10
セット効果大地:HP30、MP30、STR30、VIT30
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