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ネコと私  作者: 昼行灯
闇の一族編
124/143

123:死の行軍

王都ローランは、地図上ローラン王国という国の最南端に位置する。


王国の首都が国境に近い位置に存在するのは軍略上如何なものかと問われそうだが、王都ローランの南部には西から東へと地図を分断するように山脈が走り、その行軍が不可能なほどの山脈を越えた先は魔物の地とされ国が存在しない。


東西も人が住むには厳しい魔物の森が点在し、王都周辺だけがなにか結界でもあるかのように魔物の侵攻から守られている。


人が、国家がローラン王国を侵略しようとした場合、王都ローランから北へ伸びる街道を南下するしかない。


攻めてくる位置がわかっているのだ、守るほうとしては敵軍による奇襲に備え兵を残す必要も無いし、侵攻可能方面への兵力の分散の必要も無い。


長く続く王国の歴史の中で、国家間戦争でこの王都が戦場になったことは一度も無い。



その街道を北へと行軍するローラン正規軍。


指揮官であるエリック王子の乗る馬車に冒険者ギルドの長であるウィリアムが乗り込む。

「遅くなりました」

馬車内にはエリック王子、王子付きの親衛隊長、Sランク冒険者のガーランドの三名。

「ああ、彼女達は連れてこなかったのか?」

エリック王子が彼女達の事を聞いてくる。

「ええ、テレスは個の戦力としては群を抜いていますが団体戦は苦手というか出来ませんからね。それに、リンさんは話す前に逃げちゃいましょうと言われてしまいました」

困った顔のエリック王子、なかなかに珍しい。

「彼女と彼に関しては、平気な顔をしてこの国にいること自体が奇跡みたいなものだしな、国として強制も出来ない」

隷属に成功していたら、今ここに彼と彼女がいたのだろうか。


「いいのか? 敵は不死のガレムってやつだけじゃないんだろ。テレスが魔眼のラザムってやつの手に渡ったら不味いんじゃないか?」

ガーランドが聞いてくる、今ローランにいる軍隊と冒険者の主力がこの不死のガレム討伐軍に参加している。


ガレムの進軍速度はそれほど速くない。

竜騎士を含むSランク冒険者を手勢に加えたことで、その不死の軍団を維持するために街道沿いの村を襲いながら進軍しているのだ。


不死の軍団は定期的に人の生を吸収か何かしないと滅ぶらしい。

怪我の功名と言うべきか、貴重な竜騎士達が滅ぶのを阻止するため行軍が遅くなっている。

ガレム単身で王都に進入されそこで騒ぎを起こされることがなくなったのはありがたいというべきだろう。


「どうやら迷宮に潜るみたいでしたので、そのままにしておきました。特にテレスは今日はギルドに居ないほうが良いでしょう」

「やはり同時に動くと見ているのか?」

「私ならそうします。彼等も実力主義というだけで馬鹿というわけでも無いのですからこのチャンスを利用しない手は無いでしょう」

「俺等がギルドを空けててもいいのかよ?」


ガーランドを見る。

「不死のガレムもそうですが、魔眼のラザムも相手を取り込む類の敵です。それに情報が無いだけで他にもこのような類がまだいるかもしれません。情報が出揃うまでこちらの特出した戦力は出さない事です」

最高戦力はここに集め、街に、いやギルドには特出した戦力を残さない。

「ウィリアムテメェ!」

私が言わんとした事を察して激高するガーランド。

市民街の受付嬢サラも今日はギルドに来ないように命令してある。

「ガーランド、例えば、魔眼のラザムにテレスとサラが魅了され王城へ乗り込まれたらどうなると思いますか?」

魅了により死を(いと)わなくなったなら、テレスなら、いやサラの方こそが王の首を獲る事も可能かもしれない。

「ふざけんな! テメェはギルドと冒険者を見捨てたと言うことだろうが!」

「私はギルド長ですよ、そんな無責任な事はしません。」


「特出した戦力が居ないよう、それに男女での戦力の均衡が保てるように、かつ防衛できるだけの戦力を残してあります」

勝てそうに無い場合は全力で逃げるが下るかするように含めてある。


「ガーランド、ウィリアムは正しい」

黙ってみていたエリック王子が話しに加わる。

「ハッ、しかし」

「今回の件、いまだ狙いが不明だ。我が国を狙ったものか一時的に集まっている冒険者達を狙ったものか、それとも...」

「リンさん達もそうですがテレスもソロでの管理迷宮最下層攻略という偉業を成してしまった以上狙われている可能性がありますからね」


エリック王子がトントンと肘掛を指先で叩く。

「ここに居ない以上、彼女達は敵の目の届かない場所にいたほうが都合がいい、そして敵の特性を考慮すれば彼女達が居ないほうが被害が抑えられるのも事実だ」

「しかし!」

「ギルドが全滅するかもしれない、それも事実だ。しかし闇に属するものがその様な目立つ諸行をするか?」

「ガーランド、あなたも人を集めているのでしょう。しかもPTの人数ではない数の人を、上に立つつもりなら全てを救い上げる事は不可能だとわかっているはずです。完全が無理ならば最善を、それも無理ならば守るべき順番の高い者から守るべきです」


あー、口で勝てる気がしねえと言い、座席にドシンと座り直すガーランド。

それだけで切り替えたのか、元々他国のギルドだし関係ないと割り切ったのか、怒りの痕跡もない顔で話を続ける。

「けどよ、今から戦う相手みても国を落としに来てる様にしか見えないんだけど、勝てる算段あるの?」


肩を竦める私とエリック王子が、親衛隊長をみる。

「取りあえずは、相手の戦力を増やさない努力をするとしか言えませんな」

親衛隊長が肩をすくめると鎧がカチャリを音を立てる。




管理迷宮40Fボス部屋:


(サムライ)が現れた!

(サムライ)が現れた!

浪人(ロウニン)が現れた!

中忍(チュウニン)が現れた!

中忍(チュウニン)が現れた!

巫女(ミコ)が現れた!


「通常ボス?」

「うむ!」


藤原君が大地の剣と騎士の剣をスラリと抜き放ちこちらを見る。

「ここは俺に任せな!」

キラン、と歯を輝かせ笑顔を見せる。

「戦闘中に後ろ向くやつってバカなの?」

痛烈なカーサの口撃!

「危ないよ?」

私の追撃!

「うぐっ!」

フジワラは279のダメージを受けた!

「何もしてないのに俺のHPが1になった。何を言っているか解らないだ」

「終ったのだ!」

「終ったわ」

ノーダメージのクロとテレスさんが戻ってくる。

「え?」



宝箱:罠:毒針

「毒針です」

「あ、俺に解除させて!」

「ん、あそうか、藤原君、罠解除4があるのね」

「イエス!」

「じゃあどうぞ」

「マカセロ!」

キラン、と歯を輝かせ笑顔を見せる。


カチッ!

「あうち!」


「大丈夫?」

「オゥ、ゼンゼンヘイキサ!」

「小僧何がしたいんだ?」

「さあ?」



フジワラのレベルが上がった!

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名前:藤原(フジワラ) 秀平(ヒデヒラ)

種族:人族 性別:男 年齢:16

レベル:18(1up)

HP:290/290(10up) MP:225/225(10up)

STR:235(10up) VIT:265(10up) DEX:175(10up)

MND:175(10up) INT:185(10up)

スキル:(特殊)言語翻訳、アイテムボックス、スキル強奪

    (武技)剣術5、槍術3、格闘術4、弓術5

    (技) 隠密5、罠解除5(1up)

    (魔法)炎魔法1、氷魔法1、風魔法5、鉄魔法1

        光魔法4、闇魔法4、忍術1

    (自動)気配察知3、HP回復5、統率3


装備:大地の剣:HP20、STR10、VIT20

   騎士の剣:STR20

   大地の鎧:HP30、VIT30

   緋色のローブ:MP20、INT10

   大地の籠手:HP20、VIT10

セット効果大地:HP30、MP30、STR30、VIT30

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