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ネコと私  作者: 昼行灯
管理迷宮編
110/143

109:盗賊ギルド

朝、

日も昇りきり、通りも活発に息づき始めた頃


この通りは市民街から貴族街へと続く大通り、おそらく市民街の中ではこの通りに面した地に店舗をかまえるのがローラン王都に住む商売人の夢のひとつ

貴族街のほど近くにひときわ目立つ宿がある、その宿代は市民街では一番高く、その値段に見合うだけの質の高いサービスが受けられる


通りをはさんだ場所にある軽食屋で、運ばれてきた朝食を食べるでもなく通りを行き交う人を見つめている男が一人

男の視線の先には冒険者、それも魔術師風の出で立ちの者が歩いている


ふっ、とその魔術師が立ち止まり周りを見渡す

「おっと、危ない危ない」

何となく行った鑑定が気付かれてしまったようだ、今この街には高レベルの冒険者が多い

今の魔術師風の冒険者もなかなかのレベルであった


鑑定は、基本実行する者のINTと鑑定される者のINTで成否が分かれる

ならばレベル1の鑑定持ちがレベル30のINTの低い冒険者を鑑定できるかというと不可能だレジストされる、これについては諸説ありINT×レベルで判定されてるのではとか、鑑定の熟練度があるのではないかとか、相手のスキル所持数で鑑定の難易度が上がるのではないかとか言われているが本当のところは定かではない


今回のターゲットは何度か鑑定を行ってみたのだが上手くいっていない

一度目はレジストされ、二度目はもう少しのところで気付かれそうになり中断した

今回は宿から出てきたところ、まだ気の抜けているタイミングを狙い鑑定を行う予定だ、当然鑑定を行うときはすぐに逃げられる場所に移動してから鑑定を行う

情報ではレベル10代の中堅冒険者とのことであったがどうも違うらしい、鑑定はその様な者にレジストされるほど程度の低いスキルではない


サポート兼監視役として同行している者達も得体が知れない

依頼を断るべきかとも思ったが、断った場合どうなるかを考えるとそれも難しい

実際の所、対象に対しても興味がある、どこかの国の王族か高レベルの密偵の変装か、もしかするとはぐれの勇者なのかもしれない

そう考えれば監視役は勇者探索隊という事になるが、ともかくやつらには有用な人材と認識されなければこちらの命も危ない


いまさらながらに思うがギルドを通さない裏の依頼など受けるべきではなかった

「部屋を出た、朝食も済ませたらしい、しばらくすると出てくるぞ」

勘定を終え店を出て行く男が通りしな声をかけてくる、宿にも協力者が居るのかこいつらは他国の者達じゃないのか?


勘定をすませ、通りにいる先ほどの男の後を追う



大通りから外れた路地、なぜか人影は無い

こちらからは宿の入り口が確認できるが、あちらからは露店等が邪魔して見えない位置、逃げるにも容易い場所だ


…対象を待つ


……

………

………………出てこない、


「おい、出てこないぞ?」

「………」


「おい!」

「なんだよ?」

若い男の声が返ってくる、初めて聞く声だ......いや!


トスッ、

何かが刺さる感覚


「あ?」

そいつを鑑定する............凄まじいスキルの量、その中でもひときわ目立つスキルがある、異質なそれは、そんな、まさか、ありえないそれはスキル強奪!!!


まだ少年といってもいいその男が獰猛な笑みを浮かべ囁く

「そういうことだ」

そういうことか、やはり裏の依頼など受けるべきではなかったのだ

前回の鑑定時は美しい少女達と楽しそうに笑ってただけだ、だから軟弱な印象を持っていたが違ったらしい

あぁ、違うか、それを守るためなら何でもすると言う...こと......か


トクン、トクン、トク...ン......と剣から伝わる心音が消える


スキル強奪発動!.........土魔法取得!


「お、ラッキー!」

強奪により取得した土魔法がプラスされた事で土が上位の鉄魔法になった




この鑑定持ちにあったのは、そう

一度目は管理迷宮の事務所、レジストした

二度目も管理迷宮の事務所、楠木達といたとき、特定するためスキル以外はレジストしなかった、偽装の練習も兼ねてだ

そして、今、俺のほうに来てくれてよかった、取巻きの暗殺者みたいなやつらも含めて四人全て殺した

「俺が狙いだったのかな?」

もの言わぬそいつに聞いてみる...どうでもいいか、アイテムボックスにしまう


「楠木達のほうにも別のやつらが行ってたりするのかなぁ」

と、思ったがあっちに行ったやつらのほうがもっと酷い事になってそうだなと考え思考を中断する

クソネコはムカつくが頼りになるやつだ、あいつがついてる限り問題ないはず


「楠木やカーサのばあさん達に鍛えられといてよかったわな」

楠木には色々忠告されたが、鑑定を一番上手く使いこなせているのは絶対楠木だ、次がカーサばあさん

あいつ等の鑑定に比べたら管理迷宮事務所でされた鑑定とか児戯に等しい


「だけどやっぱ鑑定されるのは精神衛生上よろしくないな、せめてカーサばあさんの鑑定をレジストするか楠木の鑑定に気付くくらいまでレベル上げないとな」

けど、レベル上がるとよけい差が開くような気がするのは俺の気のせいだと思いたい



ちなみに、こいつらを殺った手順はまあ簡単だ

二度目の鑑定で鑑定持ちは特定できていたので気配もわかる、そして気配察知で通りの向かいにいることはわかっていた

後はそいつを見失わないようにするだけ、宿を出る寸前に隠密で姿をくらまし路地でしばらく様子を見る、俺を見失った事で出てきた宿屋の給仕と町人を装った男二人、しばらく話を聞いてれば鑑定結果次第で殺す用意もしてるとの事だったので殺した


まあ、それだけだ、どうでもいい

俺には裏を探る手段が無いからな、取りあえず目の前の危険を排除するだけだ


けどなんか楠木はその辺を元から絶っているみたいなんだよな

もしかして闇魔法の魅了とかその辺を上手く使っているのかな?

いや、魅了は一時的なものだよなたしか、あれ違うのかな?


あれこれ考えながら市民街ギルドへ向かうフジワラ


そう、

フジワラの光魔法はまだ4だ、5で覚える洗脳や闇魔法5の呪いなどの存在は知らない、彼がそれを覚えた時どのように使うのか今はまだわからないのだ!


その洗脳の矛先は誰に向かうのか!

おそるべしフジワラ!!!


しかし彼女の光魔法は5を超え既にユニーク化しているのだ、無駄だぞフジワラ無駄な計画だ逆に我が洗脳してやるカカッテコイヤワレー!


と言う叫びがこだましたとかしないとか




ギルドへ向かう道すがら屋台をはしごして行く

「おっちゃん、いつものくれ!」

「はいよ、幾つ作ればいいんだフジワラ」

「取りあえず10個かな、あ、前の時の皿かえすから綺麗な皿でくれ」

アイテムボックスから食べ終わった皿を取り出しながら言う

「フジワラぁ、せめて気持ちだけでもいいから洗えよ、水魔法あるんだろ?」

「え、面倒臭いじゃん?」

「おまえなぁ、そんな性格じゃあの可愛い彼女も愛想をつかすぞ?」

「え、そ、そうか?」

クソワラなに勝手に彼女設定してんだコロスゾワレーと聞こえてきそうだ


「どっかおいしい店知らない?」

食べ物屋に禁断の質問をする愚か者ワラ

「お前喧嘩売ってるのか?」

「なんだよ買っちゃうよ?」

「あ゛?」

「あ゛?」

バカなやり取りをしながら出された食事をアイテムボックスにしまっていく


「だってさ、あっちは貴族街の食べ物出してくるんだぜ、太刀打ち出来ないじゃん?」

「あー、あっちは使っている食材から違うからな、そりゃ無理だ」

あっちの指す意味が微妙に食い違っている

「なんだよ、庶民の意地とかないのかよ?」

「無茶言うなよ、大体こっちで成功した料理人があっちに店を出すんだからよ、どう考えたって無理な話だろ」

「あー、それもそうか」


しかし、ラーメンや丼物なら貴族街より市民街のほうが美味いかもとの情報を得て、今後はそっち方面で勝負に出ようと心に誓うフジワラ



テクテクテク、と歩く



そろそろギルドが見えてくる......屈託無く笑う年季の入った笑顔が思い浮かぶ


「じじいとか人間だった頃も太刀打ちできなかったのに魔人とかになっちまうんだもんなあ、取りあえず一人の時でも地味にコツコツレベル上げしようかなぁ」

強くなった頃にじじいが、戦おうぜぃとかいってきそうだよな


............なんで魔人になったんだろうな




――――を――

今回の―――賠償――――


「なんだ?」

ギルドの前が騒がしい



隠密発動!



すえた臭い、垢のこびりついた服に身を包む男達


「我々わー!」


ギルド反対の旗


「今回のー!」


謝罪と賠償をせよとの横断幕


「損害についてー!」


叫んでいるのは恰幅のいい男


「冒険者ギルドの活動停止とー!」


ちらほらと見える剣呑な目つきをした男




ギルドに入ると同時に隠密を解く

ギルド内は騒然としている、外の騒ぎを覗きながらソワソワとするギルド職員

じじいの魔物化についてあれこれ憶測した話題をする冒険者


しかし、特に諍いのような事は起きていない、とサラさんとライ達がいる

「よお、久しぶりだなライとジム、それにサラさん外のあれなに?」

「よ、元気そうだなフジワラ」

「………」

「フジワラさん、おはようございます、外のあれは盗賊ギルドです」

「ん?、なにそれ」

「非公式の冒険者ギルドみたいなものさ」

「よくわからん」


「冒険者ギルドは、魔物を狩ることを主体とした国家に属しませんが各国家公認の組織ですが、盗賊ギルドまたは暗殺ギルドは人を対象にした非公式な組織です」

「ふーん、でも魔物と人じゃ対象が違うからかち合わないんじゃないの?」

「冒険者ギルドの仕事は、要人警護や商隊の護衛、それに存在自体が町の治安維持に役立っています」

「治安乱しているのも結構いると思うけど」

「そういう人達は訴えに基づいて調査ししかるべき措置がとられます」

「あー、ギルド追われたそういうやつらの集まりって事?」

「そういう方達もいますが、まあ色々です」

「ま、冒険者ギルドを怨んでるってことか、いままでもこんな事あったの?」


「規模は小さいのがたまにありましたけど」

「けど?」

「すぐに片付いていたので」

「じじい?」

「ええ、相手の意見も聞かずにばっさりと」

「ひどくね?」

「まあ、聞くだけ無駄ですし」

「サラさんもひどくね?」


「いやフジワラ、お前今やってる演説ちゃんと聞いたか?」

「え、聞いてない」

「聞けよ!」

「え、だって集まってる奴ら見ただけで聞くまでも無いじゃん?」

「じゃあ、ギルバートさんもひどくなくね?」

「一理あるな!」


「取りあえずウィリアムさんに報告が行ってるので、対応はその指示を待ってからという事になっています」

「実力行使してきたら?」

「実力で排除しますよ?」

「冒険者ギルドこえー!」


取りあえずこの状態だとギルドから出られないので、先ほど買った料理を食べながら時間を潰す事にする

隠密すれば出れるけど、その時点で隠密あるのばれちゃうからね


「フジワラ、俺もなんかくれ」

「………」

「やだよ、軽食ならギルドでも買えるだろ」

「料理人が到達できていない、と言うかそれ魔法の鞄だろほとんど出来たてじゃねーか、すげー美味そうだ」

「なんだよそれ、いいけど金払えよ二割り増しだからな」

「ケチだなぁ」

ライ達に売ったら匂いに吊られて皆が売れと催促にきやがった


ちくしょー、めんどうくせー!

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名前:藤原(フジワラ) 秀平(ヒデヒラ)

種族:人族 性別:男 年齢:16

レベル:17

HP:280/280 MP:215/215

STR:225 VIT:255 DEX:165 MND:165 INT:175

スキル:(特殊)言語翻訳、アイテムボックス、スキル強奪

    (武技)剣術5、槍術3、格闘術4(+1)、弓術5(+1)

    (技) 隠密5、罠解除4

    (魔法)炎魔法1、氷魔法1、風魔法5、鉄魔法1(new)

        光魔法4、闇魔法4、忍術1

    (自動)気配察知3、HP回復5、統率3


装備:大地の剣:HP20、STR10、VIT20

   騎士の剣:STR20

   大地の鎧:HP30、VIT30

   緋色のローブ:MP20、INT10

   大地の籠手:HP20、VIT10

セット効果大地:HP30、MP30、STR30、VIT30

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