101:最下層攻略06
何時だったか、ある者に召喚され名付けられた
種として上位の存在であったが、個となることで認識の対象となる
名で縛られる事で孤独となり、名を持つ事で唯一となる
種から切り離され孤高となり、名を持たぬ同胞の王となる
我が名は、ナベリウス、魔の王なり
「我が名はクロ!、ネコ王なのだ!」
ババン!、と効果音を上げいきなり名乗り出すクロ君
「知ってるけど、どうしたの?、ネコ王っていうのは初耳だけどね」
「対抗したのだ!」
「何に?」
「さあ?」
ちょこんと首を傾げるクロと私、撫でようと手を伸ばした瞬間
キンッと、小部屋の中の空気が張り詰める!
「!!!」
魔物が湧く、フッとわずかな呼気と共に消えるテレスさん
ドンッ!、と乗っていたテーブルを破壊しつつ魔物に向かうクロ
「今夜の肉串が減りました」
壊れたテーブルを見つつ呟く私
「ガガーン!!!」
チャキーン、と侍の首をはねつつ心に致命傷を負うクロ君
「せめて俺に止めを刺させて、マジで!」
気付いたら魔物は全滅しててスキル強奪を発動する機会が無い藤原君
「あ、レベルが上がった!」
とカーサ、会ってから初めてレベルが上がったね
「おめでとう!」
「おめ!」
皆から祝福の言葉がかけられる
「うん、ありがと!」
嬉しそうに微笑むカーサ、良かったね
「え、あれ?、どうして?」
カーサが自身のステータスを確認し困惑している、鑑定!
HP、MP、DEX、INTが10増えて、他は5増えてる
悪くない増え方だけど、今までと増えた量が違うってとこかな?
毎回それだけ増えてたなら現在のレベルとステータスの数値が合わない
「テレスさん、レベルによって増えるステータス値って変わるんですか?」
カーサが困惑してるなら、次に知識のありそうなテレスさんに聞く
「基本的に変わらないと思うけど、してきた経験によってある程度変動するわね、全力で戦ってきたり、死ぬような経験をしたり、高度な技術の戦闘を経験したり、後は、スキルの量が関係しているとの説もあるわね」
色々とあてはまる事象があるね、そのせいかな?
「じゃあ、上位の鉄魔法とかが増えたからとか、スキルレベルも色々高くなってたからとか、かな?」
後は、ちらり、と藤原君を見る
統率3
確認しようが無いけど、これも関係しているんじゃないかなあ?
「ま、検証しようが無いことだね、多く増えたんだし良かったねカーサ」
「うん、STR初めて増えたわ!」
「あー、そういえばSTR低かったね」
「うん、………本来ハイ・エルフはSTRは増えないものなのよ」
近づき私の耳元で囁くカーサ、エルフというのは皆に秘密だしね
「じゃあ出来ればそちらにも秘密にして欲しいかな」
同じくカーサの長い耳元で囁く
出来れば身内にも秘密にして欲しい、判断はカーサに任せるけど
「二人だけの秘密ね!」
頷き嬉しそうに笑う、秘密の共有が嬉しいとか?
「我もいるのだ!」
いつの間にかカーサの頭の上にクロが乗っている
「内緒話は禁止です!」
テレスさんが割り込んでくる
宝箱は出ないけど定期的に経験値も入るし悪くないよね
クロの言うフラグというのがそこはかとなく立っている気もするけど
代わりに色々と貴重な情報も手に入るし、現に今も...
安全地帯:
ボス部屋挑戦を一時中断し、現在迷宮に居る要人が集まる
「強いボスが出ちゃったけどどうしよう?、緊急対策会議開始じゃ!」
「ギルバート、変な会議名をつけないでください、それに彼女達はどうするんですか?」
「わしを除け者にするような奴等は参加資格無しじゃ!」
「また、そんな勝手な事を、、」
しかし、彼女達をここに連れてこれないのも事実
存在自体を明かしていないので貴族は特に興味を示さないが
蘇生を使える冒険者、話は通してあるが教会が興味を示している
ギルド関係者との面通しも裏目に出てしまった
今回のボスについては後でテレスに伝えておこう
もしテレスが今後リンさんと行動を共にするならば
PTとしてバランスもよくなる、しかもテレスは40F攻略済み
遠くない将来彼女達も40Fボスに挑戦する事になるだろう
しかしまだ先の話だ、今は目の前の事について考えよう
冒険者PTのリーダー、教会の司祭、貴族の方達と人が集まる
「現在確認されている希少種以上のものが出たと言う認識でいいでしょうか?」
「たまに出る異様に強い奴が出たと言うことかの」
ボス部屋では稀に一ランク上の魔物が出るときがあり希少種と言う
その稀の中でもさらに低い確率で数ランク上の魔物が出ることがある
おそらく今回のケースはそれを引いたと言うことだろう
「グレーターデーモンが確認されているという事から考えると、アークデーモン、もしくはデーモンロードという事でしょうか」
悪魔族にキングは居ない、貴族級もしくは君主級が最上位となる
デーモンロードは、実質魔王に分類され最強の魔物とされている
「名前持ちかもしれんのお」
名前持ちと言うのは俗称だ、その存在はほとんど確認されていない
魔物が変異すると言う話や魔に堕ちた人と言う話もある
真偽不明、遭遇して生き残ったものがいないのだ
「どうしますか?」
ある一団に質問する、次に挑戦する予定だった方達
「どうするとは?」
一団を率いる若者が質問してくる
「今までの例からすると全滅後の次に挑戦したからといって希少種が出るとは限りません、が出る可能性は高くなっているという報告はされています」
「同じものが出る可能性があると?」
「おそらく通常より高い確率で、そして全滅は即ロスト、蘇生の可能性もないかと」
「お前さんが抜けてその空きにわしが入ろうか?」
ギルバートが会話に入ってくる、お前さんは失礼ですよ
戦いたいらしいが、負けがロストでは流石に許可できない
「あの方が戦闘に参加しないのは私も賛成ですが、ギルも背負っているものがあるのですから許可できませんよ」
「ならウィルも参加すればいいじゃろ、勝率が上がるぞい」
「二人ともロストしたらどうするんですか?」
「ロストした後のことなど心配してもしょうがなかろう、関係なくなるのだし」
「貴方はまたそんなことを、、」
「我々が挑戦します、隊長も残ってください!」
若手の精鋭でPTを組み挑戦する事にしたようだ、流石に堅実
「もう決まったみたいですよ、流石にあちらは貴方のような無謀な者はいないみたいですね」
「次期国王の筆頭じゃし死なれては困るわい」
「貴方に死なれても困るんですけどね?」
「もう少しなんじゃよ」
ギルバートがつぶやく、、何がかは予想はつく
もし本当ならば、貴方はどちらを選ぶのですか?
希少種による全滅後の挑戦はもめるのだが、、
死にたくないから代わってくれと言う実力に自信のない冒険者
希少なアイテムが手に入るチャンスと思い交代しろという貴族
今回もロストの可能性はあるが消耗品が壊れても関係ない者達が
代われと強引にねじ込んで来る所だが、流石に相手が悪い
情報の共有が行われ、会議はあっけなく幕を閉じる
この後しばらくは彼の一団の挑戦となる、五回分の枠を空けた
流石に前線を渡り歩いた猛者達だ、纏う気配が城にいる者達とは違う
第一陣を見送った彼と隊長がこちらへ来る
「ウィリアム」
「はい」
「治療士のリンという者に会いたいのだが」
やはりそう来るか、
「我が貴族街ギルドの冒険者ですね」
「そうらしいな」
「わしもついていっていいかの?」
「ギルバートは黙っててください」
「老人は敬うものじゃぞ?」
「ギルバートは黙っててください」
「…ちぇ」
「どうぞ、こちらです」
「いや、案内はよい、許可を貰ったということでいいかな?」
「………はい」
ひらひら
と、魔法の灯りの上を舞う白い蝶
よく見れば、それは紙で出来た蝶を模った物
ずっと小部屋にロックを掛けてたからか空間魔法が5になった
これは嬉しい、転移設定が後2個出来るようになった
合計4個設定できる、今設定してあるのは
1.次元の迷宮入り口
2.管理迷宮1F転移魔法陣そば
じゃ、後は
3.カーサの家
4.任意の場所
だね、移動が色々と楽になりそうだ
と、それよりも今は別の問題が発生しているよね
「ねえ、エリック王子がこっちに来るんだけど、どうしよ?」
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名前:楠木 凛 種族:人族 性別:女 年齢:16
レベル:18
HP:290/290 MP:560/560
STR:285 VIT:275 DEX:305 MND:275 INT:560
スキル:(特殊)言語翻訳、アイテムボックス、鑑定
(技) 隠密5、罠解除1
(魔法)召喚魔法(式神)、空間魔法5(1up)
火魔法5、氷魔法1、雷魔法3、土魔法5
光魔法、闇魔法5
(自動)HP回復、MP回復、クリティカル
装備:普通の服、偽りの宝石、魔法の鞄
聖魔の糸+5:ALL100、HP回復、MP回復
白のローブ:INT20
素早さの靴:DEX10
魔力の腕輪:MP20
力の腕輪 :STR10
ウサギの尻尾:DEX20、クリティカル
使い魔:クロ
スキル:(特殊)念動力
(武技)格闘術5
(技) 隠密5
(魔法)炎魔法2、水魔法2(1up)、風魔法5、鉄魔法3
光魔法5、闇魔法5
(自動)HP回復、MP回復、クリティカル
名前:カーサ 種族:ハイ・エルフ 性別:女 年齢:116
レベル:31(1up)
HP:80/80(10up) MP:260/260(10up)
STR:20(5up) VIT:35(5up) DEX:160(10up)
MND:35(5up) INT:210(10up)
スキル:(特殊)鑑定
(武技)弓術4
(魔法)火魔法2、水魔法3、風魔法4、鉄魔法1
(生産)錬金5
装備:偽りの宝石+3、魔法の鞄+5
エルフの弓:MP20、DEX20、INT10
深緑のローブ:DEX10、INT10
エルフの衣:DEX20
エルフの靴:DEX10
巨人の腕輪:VIT20
大地の腕輪:HP20
セット効果エルフ:HP30、MP30、DEX30、INT30
名前:藤原 秀平
種族:人族 性別:男 年齢:16
レベル:17
HP:280/280 MP:215/215
STR:225 VIT:255 DEX:165 MND:165 INT:175
スキル:(特殊)言語翻訳、アイテムボックス、スキル強奪
(武技)剣術5、槍術3、格闘術3、弓術4
(技) 隠密5、罠解除4
(魔法)炎魔法1、氷魔法1、風魔法5、土魔法5
光魔法4、闇魔法4、忍術1
(自動)気配察知3、HP回復5、統率3
装備:大地の剣:HP20、STR10、VIT20
騎士の剣:STR20
大地の鎧:HP30、VIT30
緋色のローブ:MP20、INT10
大地の籠手:HP20、VIT10
セット効果大地:HP30、MP30、STR30、VIT30
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