6.最高の快楽
「そういうことをしていて君は平気なの?」
「あったりまえじゃない。別に減るもんじゃないんだもん。それどころか、楽しいよ」
「節操がないとは思わないのかい?」
「中にはね、絶対にそれはしないって女の子もいるよ。だから、恋愛は自由なわけだよね。でもさ、そういう固い人ってどうよ。つまんないじゃない。そういう人って、やっぱ人気ないよね」
「なるほどね。やめようとかって思わないの? たとえば、彼氏ができたらやめようとか。結婚したらやめようとか」
「なんで? 彼氏ができたからって、これは仕事だよ。なんでやめる必要があるの? それに私は買いたいものがたくさんあるんだ~。そういう私の欲望をかなえることができる男が現れたらやめるかもしれないけど、今のところは出てきそうもないからさ~」
「そういうもんかね」
「そういうもんだよ。やっちゃん、頭固いよ~。そんなんじゃつまんないよ。人生は一回なんだからさぁ」
俺は、じっとアリスを見つめた。
なるほど、かなり頭が柔らかそうだ。
アリスだから、いいのか……。
俺は、久しぶりに妙な高ぶりを感じて、直球勝負に出た。
「じゃぁ、この後ホテルで楽しむかぃ?」
アリスはワイングラスを口元にもっていきながら、妖艶な笑いを浮かべた。
「いいよ。三万円だけど、よいかな~?」
「三万か、高いな。それだけの価値があるの?」
「あるよ。なかったら言わない」
「自信だね」
「今まで誰も、金返せって言ってこないし、次も指名してくるよ。ってことは、それだけの価値があるってことじゃない」
「なるほどね。こりゃ、楽しみだね」
「やだな~。やっちゃん、いやらしー!」
そうさ。俺はいやらしいんだ。
久しぶりに楽しめるな。
俺は、ワイングラスを指で撫でた。ロウソクの灯りに映るワインが俺を誘っているように見えた。
ホテルに入ると、さっさと服を脱ぎだした。
慣れているその姿に苦笑さえ出る。
「せっかくの夜だよ~。楽しくやらなくちゃ損だよ~」
そう言っておどけて見せるのだ。これだけ慣れているのだ、いろいろな体験をしてきているのだろう。
「あ! 先払いね。三万円」
そう言うと、手のひらを上に差し出してきた。俺は財布から三万を抜き取るとアリスに渡した。
そうか、レンタル料は今日のレンタルが終わったら、後日請求書が来ることになっていたが、ホテルでのお楽しみ代は別なのか。だから、“別料金”ということか。
アリスは、三万を財布にしまうと鼻歌交じりに風呂場へと姿を消した。
アリスなら俺にぴったりだ。
「ねぇ~。お風呂、一緒に入ろうよ~」
素っ裸のまま風呂場から顔を出して俺を誘ってくる。俺は、ゆっくりと立ち上がると着ている服を脱ぎだした。
アリス……
アリス……
アリス……
最高の夜をありがとう。
震えるような興奮が全身を貫き、久々の絶頂を感じることができた。俺の性癖を受け止めてくれるのはアリスを置いて他にいないと思ったよ。ありがとう。
何よりも、アリスなら後ろめたい気持ちにならなくて済む。これだけ、自由奔放にセックスを楽しめるんだ。何も、気にすることなんてないだろう。
そうだ、八時間をかなり過ぎてしまったな。どのくらいの延長料金が発生するんだろう。まぁ、三万で許してやるよ。ダメだよ、そんな顔をしても。さっきの三万で許してやるって言ってるんだ。
それにしても、最高の興奮を感じることができた。
もう一度、君を指名したいけど、もう無理だろうな。
残念だよ。
俺は、ゆっくりと服を着ると、余韻を楽しむようにアリスを見た。
アリスは俺の一番愛する姿でベッドに横たえていた。
舌をだらりと垂らし、白目をむいて、苦しみもがきながら最高のエクスタシーを迎えたんだ。これが、本物の快楽なのさ。
可哀想なアリス。
二度と快楽を味わうことのできないアリス。
俺は静かにドアを閉めると、ホテルの暗い廊下を歩きだした。
FIN
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。自由恋愛という名の下に、結構えげつない事件が多発する昨今ですが。
こういうのって、実際にあることですよね。
これって、本当なら18Rなのかなって気もしないでもないですが、でも敢えて18Rにしませんでした。
始めてあった人と、二人っきりになることの恐ろしさを、このような形ででも知って欲しいと思ったからです。
これを読まれて不快な思いをされた、親御さんがいらっしゃいましたら、お許しください。
また、運営さんにて、18Rに変更される場合もあるかと思いますが、そのときはしょうがないかな・・・って^^;
さて、次回作は・・・明日からアップします~
今度は、ホラーです。(ただし、あんまり怖くないです。なにせ、自分がヘタレだからwww)