初(恋)メール
冒頭は分かりにくいかもですが、SNS(線)の会話を意識しています。
加藤君へ 大海です 今日はありがとう!
さっそく連絡くれたのか 全然いいよ! 俺も楽しかったし
それなら良かったです(ホッ) 本番頑張るから応援してね
うん絶対試合見に行くから!!!
嬉しい それで……
◆
「それでもし私が、本番でゴール決めたら話したいことがあります。
ゴールを片付ける時に、二人だけで聞いて下さい」
俺はモニターに表示された、その最後の一文を読み上げた。
それは十分ほど前に、大海と交わしていた携帯での会話。
ひょっとすると、脈有な感じでは無いだろうか?
おかんを音無の方の家に送った後、俺は自分の部屋で一人そんな事を考えていた。
根拠なんてない。おかんの友達と言う事で、それなりに俺も大海と仲は良い。
ここ最近は、同じ目標の為に一緒に頑張った。
ただ俺が大海に好かれた僅かな要素はあれど、その記憶はない。
期待してそれが勘違いだった時、振られた時の恐怖は想像もつかない。
ドラマや創作物で見た先人たちは、吐血レベルのダメージを受けているように思う。
本気なら尚更だ。
どこまでも本気で他人を思いやれる、大海ネネの顔が頭に浮かぶ。
バスの車内。教室の隣の席。そして俺にノートを返してくれた姿と、土にまみれてボールを投げる姿。
そのどれもが、輝いて感じた。
ズキッと、胸のあたりが痛む。
今時小学生でも、もっと器用に恋愛するっての。
数日前までは学校やバスで、一緒にいられれば満足だったのに。
今はその姿に届くはずのない手を、無意識に伸ばす。
「あぁ、これは相当本気だな俺」
ご意見、ご指摘など頂ければ嬉しいです。